機関を貫かれた空母棲姫は、その動きを止めた。
それでも尚空母棲姫は艦載機の発艦を止めない。飛行甲板から吹き出す嵐が、アーセナルと青葉を吹き飛ばす。彼女の眼には、抑えられない報復心が燃え続けていた。
だがその瞳に、流れ星が映り込んだ。
見下ろす青葉とアーセナルは、耳元に手を添えながら無線を聞いている。内容は恐らく、ヘンダーソン飛行場の陥落だ。それはつまり、飛行場の爆撃機で封じ込めていたG.Wの復活を意味する。
何故だ、何故支援艦隊が来なかった?
敗因は何だ、どうして挟み撃ちは失敗した。万全を期し、ここで待ち構えていたこと自体が過ちだったのか。
否否否! ありえない、こんな結末など。
しかし瞳に映るミサイルの流星群は、空母棲姫の最後を示している。避けられない運命を前に、彼女は眼前の二人を見下ろす。
そしてもう一度、空を見上げた。
ミサイルは不条理だったが、夜空に描く軌跡は、とても美しく見えた。
「静カナ…気持チニ…ソウカ、ダカラ私ハ……」
その言葉は誰に向けたものでもなかった。青葉もアーセナルも、その真意を理解する日は来ないだろう。
彼女は、彼女自身の意志を抱えながら、今度こそ消えた。
此処に、第三次SN作戦は終結した。
空母棲姫を下した青葉はいったん艤装を回収しに向かったアーセナルと別れ、衣笠たちと合流するため、飛行場の方へ移動する。航行している間、深海凄艦はほとんどいなかった。いたとしても、青葉の姿を見た途端逃げ出してしまう。彼女たちを統率していた姫がいなくなった今、此処に留まる意志は存在しないのだ。
戦艦棲姫は結局、最後まで姿を表さなかった。
彼女は何処へ行ったのだろうか、もしかして白鯨についていたのかもしれない。確かめようもないが。空母棲姫がしきりに言っていた別動隊が何故来なかったのかも分からない。
足元が徐々に明るくなっていく。
思わず目を閉じるが、眩しさで涙が出てくる。細く眼を開けると、深海凄艦の浸食が消え、赤から青に戻った水平線が広がっていた。
「……日の出、ですか」
朝日の中に、ヘンダーソン飛行場があるガダルカナル島が見えた。
無数にあった建築物や飛行場は、三式弾でボロボロになっている。残されていた数少ない飛行機も使い物にならない。上陸した彼女は、廃墟を見渡す。
瓦礫に埋もれた飛行場。そこに青葉は腰を下ろした。
廃墟と化した飛行場だが、それでも朝日に照らされている分には、綺麗に見えた。海面は波一つなく、穏やかになびいている。
なのに、全く勝った気がしなかった。
空母棲姫は倒した、私たちは生き残ることができた。それだけだ。結局戦いそのものは、概ねサボ島沖夜戦の再現として収束した。
勿論本来なら古鷹は沈んでいるし、加古はそもそもいなかった。完全に同じではない、それでもこの戦いのモチーフはサボ島沖夜戦だ。私自身まだそう思っているし、この戦いを誰かが聞いたら、サボ島沖夜戦を連想するに決まっている。
この戦いで私が感じたことも、全てかつての重巡青葉が体験したことの焼き回しだ。思いも、心さえも。私の物語は、『青葉』の史実で塗りつぶされるだろう。空母棲姫の意志もまた、同じように。
私は、他人が大事だと思えることを残したかった。
だけど、それで残るのは他人の意志だ。その方法として選んだ新聞でさえ、私の意志ではなく重巡青葉――そこに乗っていた、彼の意志なのだ。
なら、私の意志はどこにある。
いや、そもそもそれらの全てを、過去から、今からの逃避に使った私に、そんな権利があるのか。自由を行使する権利などあるのか。
「……青葉は、誰なんですか」
その言葉さえ、此処ではない何処かで、誰かが繰り返した言葉のような気がした。
だからだろうか、無事に笑顔を向けてくる古鷹を見ても、何も感じなかったのは。
アーセナルが空母棲姫の注意を引いてくれたおかげで、何とか敵陣を突破できたと。背後を突かれることなく、三式弾を叩き込めたと聞いても。
「終わったね、青葉」
そこにいたのは、自分の罪の象徴だ。
だから贖罪として、自分ではなく他人を伝えようとした。だがそんなものは所詮、罪悪感を癒すための逃避でしかない。青葉は古鷹から、目を背けたかった。
「目を逸らさないで」
古鷹が両手で、青葉の顔を掴んだ。なけなしの抵抗を試みるが、相手は古鷹だ、強く抵抗できる筈もない。
「青葉、覚えているよね。私が伝えたいって言ったこと」
「止めて、下さい」
「止めない、止める訳にはいかない」
やはり彼女は立派だ、ちゃんと自分の意志を貫いている。対して自分はどうだ、過去から逃げてはいけないと知ったのに、まだ目線を逸らしている。
「駄目なんです、青葉なんかが、古鷹さんの思いを聞いちゃ駄目なんです」
「私は青葉に聞いて欲しいの、青葉じゃなきゃ駄目なの」
一体、何を言われるのだろうか。
彼女のことだ、私が
それは責められても仕方がない、人の思いを利用する。それは愛国者達がやったことと同じだ。許されないことから逃げ出したツケを、いい加減払う時が来たのだ。
息が上手くできない、喉がカラカラで喘ぎ声が静かに鳴っている。
許されないのだ、嫌われているに違いない。恐い、やっとまた会えたのに、二度と話せなくなると思うと震えが止まらず、胸が痛い。
罪から逃げて、彼女の本心から逃げて――ボロボロと落ちてきた、涙で顔が濡れた。
「え?」
青葉は泣いていなかった。じゃあ誰が?
「ごめん、ごめんなさい……青葉」
古鷹が、泣いていた。
何が起きている? 嫌われていて、許されないことをして、責められる筈だったのに。なんで彼女が泣いている?
「一人にしちゃって、きっと寂しかったよね、辛かったよね」
「何で古鷹が謝るんですか? だって、皆青葉のせいで沈んだんですよ? 挙句それを誤魔化して新聞なんかで、利用してたんですよ? 悪いのは青葉じゃないですか!」
「違うの、知ってたの、青葉があれに苦しんでて、償いの為に新聞を作ってたことを」
「じゃあ、なんで」
「知ってて私は、黙ってた。本当は伝えないといけなかったのに、今の関係が壊れるのが嫌で、気づいていないフリをしてたの。青葉がいつも一瞬目を背けるのだって知ってた、でもその後私も、目を背けてた……」
古鷹の両手が、青葉の頬からずり落ちた。力なく垂れ下がる腕に、彼女の涙が跡を作る。まだ治り切っていない傷口の血と混じって、奇妙なコントラストが、地面に広がっていく。その上に古鷹は、力なく座り込んだ。
「青葉が過去から目を背けてたって言うなら、私も同じ、馬鹿な艦娘だってこと」
「馬鹿って、そんな……」
だが、二人揃って同じことを考えていて、それにお互い気づいていなかったとしたら。
「……馬鹿?」
「そう、馬鹿なんだよ、私たちは」
古鷹が青葉を見上げ、その手を強く握りしめる。頬に手を当てていた時よりも強いのに、温かい。彼女の顔は、涙でくしゃくしゃの笑顔だった。それは青葉が良くやっていた、誤魔化しの笑顔とは違っていた。
「遅くなっちゃったけど、今からでも良いなら言わせて。青葉、私はあの時のことを、後悔なんてしてない、恨んでもいない」
もう息はつまらなかった、彼女の眼をハッキリ見れた。
「だけど、ごめん。艦娘になって、私が沈んだ後……『青葉』がどうしてたのか知った時、私が何をしてしまったのか、やっと自覚した」
青葉の脳裏に、最後の景色が蘇る。
むせかえるような夏の日に、身動き一つとれず、無数の艦載機を見上げた呉の海を。それは始めてアーセナルに助けられた時と、同じ幻影だ。だがその中身はかなり違う。
「自分だけを責めないで……責め続けないで……
青葉は、古鷹を強く抱きしめていた。
お互いに泣き続けていた、どうしようもなく、抱え込んできた物が溢れて止まらない。そんな訳で、遠くから見つめる加古と衣笠にも気づかなかった。
気づいたとしても同じだろう、それ程にもう、制御できなかった。
「終わったか?」
海岸線から、戦艦棲姫のように巨大な影が歩み寄る。アーセナルが妙にスッキリした顔で青葉を見ていた。
「なんか、機嫌が良さそうですね」
「そりゃそうだ、忌々しい空母棲姫をやっと殺せた。これでもう、追われずには済むからな。戦艦棲姫が私を知っていたのかは謎が残るが、それはこれからにしよう。次の標的はハッキリしている」
「そうですか」
「それで、お前はどうだ、良い気分か?」
「青葉は……どうなんですかね」
青葉の答えを待たず、アーセナルは何処からともなく取り出した葉巻に火をつけ、口に加える。手馴れた動作だが、これも恐らく、アーセナルに乗っていた『誰か』の動きの模倣なのだろう。
また、青葉の中に不安が出てくる。
私の仕草、私の思い。それは何処まで自分の物なのか。乗組員や史実から生まれた艦娘に、本当の
「悪かったな」
「え?」
「G.Wのことだ、あの野郎が何か、余計なことを言ったんだろ?」
「ええ、まあ、事実でしたし」
「私の乗組員……つまりS3を巡る演習の中で、予定されていない奴がいた」
「予定されていない?」
「そいつが言った言葉がある。『言葉を信じるな、言葉の持つ意味を信じろ』。青葉、これは何だと思う?」
アーセナルの手には、戦闘機の機銃が握られていた。
激しい戦闘でボロボロになっている。
しかし空母棲姫を沈めたからだろう、変異していた外見が戻っていた。
「帰り際に、戦闘機の残骸を見てきた。あれは戦闘機は戦闘機でも局地戦闘機というものだ。機体の名は『
「雷電、ですか」
「実はな、S3の中核に置かれた奴のコードネームも、雷電なんだ。私はそこに、何か意味を感じている」
「意味とは、例えば?」
「運命でも、性でも……懐かしさでもいい。
所詮雷電はコードネームに過ぎない、意味などない。だがそこに意味を見出しているのは、私の心だ」
目を細め、遠くを見つめながら彼女は、雷電の機銃を遠くへ投げ捨てた。
放物線を描いて朝日を縦に横切り、水しぶきを立てて沈んでいく。
それがアーセナルの頭に、少し被った。
「正直、空母棲姫の言葉を聞いて、お前たちが羨ましいと思ったよ」
「羨ましい? あれを聞いて?」
「そんなに驚かなくても良いだろ、いや、まあそうだよな。全て艦の代理行為なんて言われればな……だが、私にはそれさえ無いんだ」
水しぶきの掛かった顔を、スーツの裾で拭う。
撥水性の高いスニーキングスーツに、色々な水滴がついている。彼女は顔を見せないように、青葉に背を向けていた。
「お前たちの行動や、思いには、誰かの記憶がある。艦の代わりだとしても、残り火が灯っている。ビッグ・シェルの私とは違ってな」
「アーセナル……」
「だがな、だからって私は私を否定しないぞ。
私の全ては紛い物だ、だが、全てが偽物だと言うのなら、私は何よりも自由なのだ。如何なる規範にも依存しないのだ、この私は」
朝日を背に、彼女は振り返った。
そこに居たのは、何時も通り、不遜に、悪役のように、不敵な笑みを浮かべる彼女だった。
「私は信じたいものを信じる、自分で決める、決められる自由を、私は好んでいる。私の名前も」
「名前?」
「アーセナルギアは止めだ。
私は……スネーク、スネークだ。
何でもなれる、その後で何かを残す、
再び振り返ったアーセナル――いや、スネークが海岸線に向かって歩き出す。反射的に追おうとした青葉を、手で制止する。そして、ジェスチャーで振り返るように伝えた。
青葉が振り返った先には、古鷹、加古、衣笠。第六戦隊の仲間たち。
「お前はどうする?」
再び振り返った時、スネークは名前の通り、何処かへと消えてしまった。
*
終わった後の話をしよう。
スネークが消えた後、入れ替わりで現れたのは連合艦隊だった。白鯨には襲われなかったらしい、ショートランド泊地も無事だ。
白鯨らしきものは見つからなかったが、後の調査で戦艦棲姫の存在は確認できた。私たちの報告――ショートランドが実地試験の犠牲になろうとしている――を聞いた新しい提督の顔は、一生忘れないだろう。
しかし、代わりに得たものは大きかった。
客観的に見れば、この戦いは取り残された重巡四隻で、ソロモン諸島を奪還できたことになる。
大本営はこのことを、大掛かりな戦果として発表するつもりだ。その中には当然、アーセナルギアもといレイテの英雄は存在しない。国の英雄にしては、自由過ぎるのだ。そして信じがたいことに、神通も存在しないことになっていた。
この事を知った私と二水戦の駆逐艦たちは、当然提督にかみついた。しかし帰ってきた回答は、酷いものだった。
『英雄談に、轟沈艦がいたら評判が良くない。』だそうだ。英雄とは勿論、私たち第六戦隊のことだ。肝心の神通は、最初の水雷戦隊を逃がした時点で轟沈した――という物語に差し替えられていた。
スネークが散々、英雄扱いを嫌っていた気持ちがやっと分かった。英雄とは、誰かによって造られる存在だ。英雄自身の意志はまるで関係ない。提督自身も嫌そうな顔をしていたのが、少ない救いだった。
そうして英雄になった私たちの抗議は、やや形を変えて解消することになった。
「……お久し振りです、神通さん」
久々に訪れたのは、コロンバンガラ島近海。神通が艤装を護り、轟沈した場所である。
英雄扱いと、神通轟沈の真相を明かさない代わりに、非公式ながら彼女を弔う機会を貰ったのだ。
葬式とは、死者を弔う儀式だ。
だが、それは生者を死者から切り離す行為でもある。昔から伝えられてきたプロセスによって、人は悲しみや苦しみを堪える。同時に、死者を忘れないようにする。そうしなければ、何時までも死者を引き摺ってしまうから。
そうやってゆっくりと忘れていき、再び生きる。忘れること自体は悪ではない、むしろ生物に必要不可欠な機能なのだ。
けど全てを忘れない為に、何か象徴を残す、墓や慰霊碑を。
「この下に、神通と神通さんが、いるんですね」
やはり、スネークの言う通り、運命のようなものを感じる。
どうして艦娘は、分かっていても、運命の軛に呑まれてしまうのだろうか。過去を乗り越えようとして、繰り返してしまうのか。
それは多分、私たちの過去が、大体悲惨なものだからだ。
だから余計に、乗り越えようと躍起になる。トラウマを克服して、そこから自由になろうとする。
けど、それは復讐と同じで意味のない行為だ。
深海凄艦を倒しても、史実が変わった訳ではない。
過去は変えられない、空母棲姫を倒したからといって、神通は帰ってこない。
そして、運命は私たちを制御する。
S3は情報という過去を制御した。運命の軛はトラウマという過去を利用し、艦娘を制御する。そうして過去は亡霊のように、私たちを介して再現されるのだ。
私たちは、トラウマを抱えているからこそ、未来のために戦わないといけないのではないか。私の知る誰かではない、本当に未来の、今にはいない存在。不定形でしか語れない、未来の誰か。その人に向けて、私たちは伝えていくのだから。
だから彼女は、カメラの電源を起動させ、一つのフォルダを開いた。
「青葉? どうしたの、その写真は……」
写真に写っていたのは、代わり映えしないソロモン諸島の朝焼けだった。しかし古鷹は、右下にある日付けが、神通の轟沈した日だと気付いた。
「これ、神通さんの遺影なんです」
「遺影……!?」
「青葉のせいで皆沈みました、これからもそうなると思っていました。だからせめて、忘れないように、遺影を保存するフォルダを作っておいたんです」
それが、あの時までこのファイルが空だった理由だ。贖罪のための慰霊碑が、このカメラだったのだ。
「でも、今日でこれは消します」
これは、過去の象徴だ。トラウマに自分を繋ぎ止めていた、自分の証明だ。だけど、こんなトラウマは、皆抱えている。生き残り続けた艦娘は幾らでも居る。遠くで目を閉じる、幸運艦と呼ばれた二水戦の子なんて、その筆頭だ。
震える指で、青葉は消去のボタンを押す。
これが消えれば、自分が消えてしまいそうだった。贖罪でも、長年自分の大きな部分を作ってきたのだから。心配そうに、古鷹が見つめている。しかしこれは自分で消さなければいけないのだ。
フォルダを削除しますか――はい/いいえ――フォルダ内の写真も消去しますか――はい/いいえ――フォルダを消去しました。
だが、カメラ自体は捨てなかった。
「古鷹」
「どうしたの?」
「写真、どれが一番ですかね」
「誰に向けての写真?」
「誰でしょう、分からないです」
「じゃあ分かんないよ」
「そうですか……」
「加古や、衣笠の意見も聞いてみないと」
少し離れた場所では、二人が静かに祈りを捧げていた。
二人を見る貴女は、そう言って笑みを浮かべた。反射的に体が、カメラを動かしていた。記念すべき一枚が、また増えた。素敵な一枚だ。どうして私は、そう思ったのか。
「でも、最後に選ぶのは青葉だよ?」
「ええ、分かってます」
今なら、神通の言葉の意味が分かる。
私が伝えるべきなのは、私自身が感じたこと、大切だと思うこと。誰かの意志ではなく、自分自身の意志を残すこと。彼女は、私にそうして欲しかったんだ。
「……分かってます」
しかし、艦娘と史実は決して切り離せない。
一つ一つの行動が、史実の残り香を放ち続ける。私たちは、名を冠する艦の
だからこそ、私はその中で、信じたいものを見つけよう。
重巡『青葉』の過去から、『私』だけが感じた思いを伝えよう。偽りでも、信じて、個人的な意味を見出そう。そこにこそ自分の意志がある。
このカメラの中には、無数の写真が収められているのだ。今までも、これからも。
その中で、どの一枚を伝えるかは、私次第だ。そうやって、人は伝えていくのだ。どこまでも。
例え再現だとしても、誰かの代理行為だとしても、そこから抜け出せないとしても。いや、だからこそ、私は語ることを止めない。
未来の誰かに、私を伝えたいから。
海上保安庁 監視艇あおば
平成29年就役
総トン数 73トン
主機 MTU 12V2000M94
1,302kw×2,373min-1×2基
特殊装備 監視カメラシステム 多機能レーダー
試運転最大速力 36.0kt
航海速力 33.0kt
最新鋭の監視装置を装備し、これまでは運航を見合わせていた波高2メートルを超えても安全に航行可能な監視艇。
彼女は今の海を観護り、未来の海を護り続けています。
そう、止めないのだ。
まだ物語は終わっていないのだから、止めてはいけないのだ。
この、水面に映る巨大な影が。その象徴だ。
「――白鯨?」
白鯨の語り部イシュメールは、最初に語った後、最後まで出て来ない。 なら私もそれを真似、語り部の座を降りましょう。
しかし次を――
次に私が皆さんに会う時は、最後の時ですから。
では、また。
THE END
「はい、私です」
「ええ、全て予定通りに進みました」
「僅かに彼女が暴走しましたが、あの程度なら問題ありません」
「――はい、全て奴の狙い通りになっています。第三次SN作戦を隠れ蓑にした、『演習』は成功です。『軛』も問題無く」
「空母棲姫は偽りの情報を与えられていたようです。誰も気づいてはいません。勘づいているのは、G.Wだけです」
「ええ、誰も」
「『運命の軛』が実在していて、実在していない――それを本質とするシステムだとは」
「そうです、運命とは内在するもの。故にまたの名を、S3と言う」
「――はい、戦艦棲姫は白鯨と共に逃亡しました。狙いは恐らく、北方の
「分かりました、私もそちらへ向かいます。ええ、連中の好きにはさせません」
「分かっています、全ては、アウターヘブンのために」
言葉や思想といった文化の継承を、進化のアルゴリズムから分析する考え方。模倣子、模伝子、意伝子とも呼ばれる。
元々は1976年に発表された『
また文化が遺伝子のように進化するという考え方自体は以前からあり、ソースティン・ヴェブレンは社会や経済の進化がダーウィン的であると考えていた。
ミーム学の多くは、『利己的遺伝子』の考え方に基づいている。これは生物の生態や行動を、遺伝子の主観から捉えた考えである。つまり生物は遺伝子の乗り物に過ぎず、性衝動や食欲などの反応も、より遺伝子が伝わりやすくなるから存在する。遺伝子は生物の生存のためではなく、遺伝子を残すために生物を動かし、生かしている。
よって遺伝子と同じ特性を持つミームにも同じことが言える。文化の発展により得れる恩恵や利便性、娯楽などは、よりミームが広がるために存在していると考えられる。
ミームには様々な感染経路があるが、近年もっとも拡大しているのはインターネット・ミームである。他の感染経路にはない特徴として、感染までの経緯で、ミームの痕跡を情報として永遠に残すことができる点である。
監視艇おあばのスペックは『ツネイシクラフト&ファシリティーズ株式会社』ホームページによる。
http://tsuneishi-fc.com/craft/gyoumutei22