【完結】アーセナルギアは思考する   作:鹿狼

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File5 メタルギア・レイ

 一歩一歩慎重に階段を昇りながら、神通の言葉を思い返す。

 どうやら青葉以外にも、古鷹という生き残りがいるらしい。余裕があれば探すべきだ。だがこのままでは全員死ぬとはどういうことだ。

 

 そう思ったものの、アーセナルは疑問を打ち切る。どうせすぐ目の前に、答えはあるのだ。私を追撃し続けてきた姫の顔を、やっと拝む事ができる。その顔をどうやって歪ませてやろうか、一度考え出すと止まらない。

 

 そうだ、思い知らさなくてはならない。

 この私から、自由を奪うことがどれほどの罪なのか。しかし、その思想を作った『過去』が何なのかまでは、考えが及ばなかった。問い掛けの代わりに、管制室への扉をゆっくりと開く。

 

 

 

 

―― File5 メタルギア・レイ ――

 

 

 

 

 管制室の中へ、クリアリングしながら蛇のように入り込む。コンソールをいじっている深海凄艦は数匹。十分制圧できる。静かなる侵入者に、彼女たちは気づいていない。一度開けた扉が閉まる時の音で、ようやく気づく始末。

 

 その間に、アーセナルは一匹を締め上げて昏倒させていた。

 二隻目はブレードで喉をかっさばき、悲鳴もなく絶命する。

 不意をつかれた深海凄艦は艤装を出現させようとするが、懐へ潜りこんだアーセナルの殴打を峰内にくらい、地面に倒れる。

 

 最後に残った一匹が、悲鳴を上げて仲間を呼ぼうとするのが見えた。ここで呼ばれたら全て台無しだ、静かに始末した意味がない。微妙に距離があったのが深海凄艦の致命打になる。残った彼女は、機銃を展開しアーセナルを仕留めようとしたのだ。

 

 直接殴りかかればまた別の結果だっただろうが、機銃を展開する隙を突かれ、懐へ潜りこまれる。間も無く彼女は卒倒し、管制室は蛻の殻となった。

 

〈姫らしき深海凄艦はいるか?〉

 

「いやいない、雑魚ばかりだ。どうやら一歩遅かったらしい」

 

 期待していた分、余計に落ち込む。それでも何らかの情報は得られるだろう。自分を元気づけ、先程まで深海凄艦が操作していたコンソールへ向かう。

 

 アーセナルはブレードやP90を装備している腰回りの艤装から、アクセス用のケーブルを差し込む。少し待つと画面に、『G.W』という文字が浮かび上がる。内部に侵入できたらしい。流石は全世界の情報検閲を可能にするAIか。

 

「できるか?」

 

 G.Wは無線でも音声でも答えず、無言で返事をした。アーセナルは邪魔が来ないように、再度P90を構え、内外を警戒する。

 

 窓越しに下を見ると、長い滑走路と複数の陸上機が見えた。G.Wが言っていた飛行場だ。そこからは今も、続々と陸上機が発進している。誰かを探しているのか――恐らくは、連合艦隊の生き残りだ。

 

 振り返ると、昏倒している深海凄艦がいる。たった四匹、手間はかからなかった。それが逆に不信感を呼ぶ。

 ここは重要な拠点じゃないのか?

 警備が少なすぎやしないか?

 物資と兵士の数が合わない。

 

〈アーセナル、幾つか情報を手に入れた。まず海域の情報だ。敵基地の位置も把握できた〉

 

 仕事が速い、いやこれぐらいできないと困る。

 間もなくレーダーを見た時と同じく、アーセナルの網膜に直接、G.Wの拾った情報が掲示される。

 

〈この基地はどうやら、深海凄艦のコロンバンガラ基地攻略の為に建造された、人類側の拠点だったようだ。だが青葉たち連合艦隊の壊滅をきっかけに、乗っ取られてしまったのだ〉

 

 ヘンダーソン飛行場と同じだ、戦いなど何時も、そんなものかもしれないが。それより目に入ったのは、この基地から少し離れた場所に記された、大きな赤い点だった。嫌な予感しかしない。

 

「この点は何だ?」

 

〈空襲の目標地点のようだ。連合艦隊の生き残りがその島に潜伏している。深海凄艦は後30分で爆撃を始める。生存者を排除するために〉

 

 生き残り――それは神通が言っていた、古鷹ではないか?

 先程の陸上機は、彼女を空爆するために発進していたのか。

 

〈彼女たちは無線で救助を求めていた、その電波を拾われてしまったのだ〉

 

「相当切羽詰まっているようだな」

 

〈どうする?〉

 

 位置的には今すぐ行けば間に合うかもしれない。しかし助ける意味は余りない。せいぜい戦力が落ちるぐらいだ。敵に露見するリスクを無視してまで無線をした、つまり自力では動けない。そんな連中がどれだけ戦えるのか。

 だが、

 

「古鷹だったな、そいつらの無線周波数は分かるな。そこから青葉や衣笠の周波数を割り出せないか?」

 

〈やってみよう〉

 

「繋がったら、そのまま伝えておいてくれ。知らなかったのならともかく、知ってしまった以上、知らないフリは無理だ」

 

 まあ運が良ければ助かるだろう、そして時間が余れば、救援に行けばいい。アーセナルは再び、網膜に写る情報に眼を通していく。空襲の計画、拠点配置生き残りの掃討――今更だが、何故深海凄艦は青葉たち生存者に拘るのだろう。

 誰だって内側に敵を入れたくはないが、それだけとは思えない。

 

 

「マサカ、オ前ガ来ルトハ」

 

 

 アーセナルの疑問は、謎の――しかし聞き覚えがある――声に遮られた。静かな部屋に声が響く。今更警戒しても遅い、アーセナルは自分の鈍感さを呪いながら、ゆっくり振り返る。

 

「生き残りでも掛かればと思っていたが、とんでもない大物がかかってくれた」

 

「お前が、この海域の『姫』か?」

 

 その深海凄艦は、アーセナルが侵入した管制室の扉にいた。

 明らかに今まで見た深海凄艦とは違っていた。他者を支配する者特有の、オーラのような威圧感がある。

 

「忘れたのか、私を?」

 

 不敵に、そして不遜に笑いながら、姫は自分の体に指を向ける。そう言われると、既視感がある。真っ白なロングヘヤーに、サイドテールを伸ばした髪形。しかし全身の黒い服も、甲冑のようなガントレットにブーツも、あちこちがひび割れている。

 

「……馬鹿な、お前は沈めた筈」

 

「あの程度で、姫が簡単に沈むと思ったか。いや――沈んだな、だが蘇ったんだよ」

 

 謎かけのように、彼女は指先をくるくると回す。アーセナルは、彼女が誰なのか完全に思い出した。

 奴だ、私の初戦闘の餌食になった筈の深海凄艦だ。

 

「空母棲鬼改め、空母棲姫。オ前ヲ沈メルコノ瞬間ヲ待チ望ンデイタ」

 

 名乗りと同時に、殺気が溢れ、部屋を埋め尽くす。

 あの時乗っていた、水上バイクじみた艤装はない。お互いに生身、勝てる可能性はある。いや――仕留める、ここでミサイルを使ってでも。

 

「それは私の台詞だ、私を追い詰められると、本気で思っていたのか?」

 

「できるさ、此処は私のホームグランドだからな。まあ、まさか真っ向から入り込んでくるのは予想外だったが」

 

「私が敵から逃げる理由などない」

 

「そうか、なら残念だったな。今の私は逃げるしかないのだ」

 

 今何と言った?

 一瞬疑問を感じた隙に、空母棲姫は管制室の窓を破り、外へと落ちていってしまった。アーセナルも追い駆けて下を覗き込む。しかし彼女は地面に激突していない。真上に向かって急上昇する、兵員輸送用ヘリ。その扉から、体を出しながら浮上していた。

 

「逃げるのか!?」

 

「その通り、お前にやられた傷がまだ治り切っていない。褒めてやる、この短期間でここまで来たのはな。だがここまでだ」

 

 空母棲鬼――否、空母棲姫の声を皮切りに、深海凄艦が雪崩れ込んで来る。完全に背後を取られた形になってしまった。

 

「まだシズメルナ、捕えて拷問しろ。〈《あいつ》〉からの要望だ。だがその後は、私の番だ」

 

 アーセナルは迷いなくミサイルを撃とうとした、しかし管制塔の中に神通が残っているのを思い出す。ここで空母棲姫を仕留めれば問題ない。だがまだ艦載機も、陸上機もある。それを全て盾に使われて、確実に殺せるか?

 その場合神通を死なせたリスクだけが降り注ぐ。どうする? どちらの方が良い?

 

「良い顔だ、その顔を早く歪ませてやりたい。なに直ぐだ、『白鯨』の実地試験が終わり、生き残りどもが『運命』を辿るのを待つといい」

 

 悩んでいる間に、空母棲姫は飛び立ってしまった。

 周囲は陸上機が護衛している。背後には深海凄艦。

 不審な動きをしたら卒倒させられる。

 無理だ、仕方がないと、アーセナルは爪を噛みながら、彼女を見送るしなかった。

 

〈G.W、レイは?〉

 

〈終わっている〉

 

 だからアーセナルは、ミサイルを用いずに、基地を制圧するプランに切り替えた。

 突如響き始めた轟音に、深海凄艦は動揺する。その隙に砲身の射線から逃れるアーセナル。不審な動きに気づいた深海凄艦が、アーセナルを襲おうとした瞬間、彼女を護るように、『何か』が滑り込んだ。

 

〈メタルギア・レイ、01から15まで発艦完了、これより基地の制圧に入る〉

 

 G.Wと、無数のミサイルと、戦術ネット。

 それらに加えてもう一つの、アーセナルギアをアーセナルギア足らしめる、最後の要素が、基地の蹂躙を始めた。

 

 

 

 

 少し遡り、アーセナルがコンソールを操作している頃になる。

 夕焼け空はすっかり暗くなり、おぼろげだった星がハッキリと見えつつある。このまま暗くなれば、作業はより困難になる。青葉は衣笠と共に、自分の艤装を修理するので忙しかった。

 

「ねえ青葉、アーセナルってやっぱり」

 

「ええ、噂のあの人でしょうね」

 

 本来なら雑談をする余裕もないのだが、アーセナルという特殊過ぎる存在を目の当たりにした青葉は、彼女が本物かどうか確かめたかった。だから衣笠と同じテーマで語り合う。同時に、膨らんでいく焦りを会話で落ち着かせたかった。

 

「レイテ沖の英雄……」

 

「本当なのかな?」

 

「他にミサイルなんか搭載した艦娘がいますか?」

 

 もっとも、彼女が艦娘なのかさえ分からないのだが。

 自分が何なのか、彼女自身も分かってなさそうだ。建造ではなく、ドロップで現れた艦娘かもしれない。しかし艦娘か、深海凄艦かどうかの区別もつかないのは珍しい。艦娘なら本能的に分かるのだが。

 

「私はどっちかと言うと、本当に助けてくれるかの方が不安だよ」

 

「来てくれますよきっと、彼女は英雄ですから」

 

「それだって噂でしょ? それもネットの掲示板の、実際はあんなだったじゃない」

 

 衣笠の痛い指摘に、青葉は口を閉ざす。

 確かに、若干――いや大分、予想していた英雄像とは違っている。それでもきっと、私を助けてくれると青葉は、何の根拠もなしに考えていた。

 

「期待ぐらいしてもいいじゃないですか、艤装もこんなですし、治したって……」

 

「それは、そうだけど……」

 

「せめて提督が生きていれば、『安全装置(セーフティ)』を解除できるんですがね」

 

 うんともすんとも言わない妖精は、心無しか元気がなさそうだった。

 提督とのリンクが切れてしまい、全力を出せないせいだ。艦娘が全力を出すためには、提督と呼ばれる適正を――例えば妖精が見えたり、完全に会話ができたりと――持つ人間と、一種の契約をしなければならない。

 

 しかし、一人の人間に制御されるシステムは不安定だ。

 リンクが切れてしまった原因は、繋がっているから直感的に分かる。暗殺か事故か、深海凄艦の空爆かまでは分からないが。提督はきっと死んでしまったのだ。だからリンクが切れた。なら基地に残っている仲間たちも、もしかしたら――

 

 嫌な考えになりそうだ。

 青葉は再び、艤装の応急修理に戻ることにした。しかしこれ以上いじれそうな場所はない。一応航行可能になってはいるが、契約が切れているので、本格的な戦闘は困難だ。だがそれ以上に、やれることがなくなったことへの落胆が大きい。

 

〈聞こえているか、青葉、衣笠〉

 

 だから何の前触れもなく、耳元の無線から聞こえた声に心底驚いた。

 

「誰ですか!?」

 

〈私はG.W。アーセナルギアに搭載された自立型AIだ〉

 

 何だAIって、何だG.Wって。

 いやAIという存在は知っている。人の人格を模した、自分で考える機械のことだ。艦娘も元々機械、似た存在だとは思う。だが、だからといってこんな、ビジネスライクな挨拶をするように登場してこないでくれ。

 

「どうやってこの周波数を!?」

 

〈そんなことはどうでもいい、君達に伝えるべきことがある〉

 

 敵に拾われる危険を考慮し、逃げてから無線は使用していないのに。それもまた、無線相手の怪しさを引き立たせる。だが、G.Wの伝えるべき事に比べれば、青葉の疑問は確かに『どうでもいい』ことだった。

 

〈君たちのいる島からそう遠くない距離に、古鷹という艦娘がいる。深海凄艦がそこを空爆するという情報を得た。後30分後だ。君たちのいる島からなら、ギリギリ間に合う〉

 

 古鷹が生きている、だが今にも死に瀕している。

 相反する二つの事実を同時に知って、青葉は言葉が出なかった。歓喜か絶望かも分からない。だがそれとこれとは全く別に、体は動き出していた。

 

「衣笠!」

 

「分かってる、でも青葉は大丈夫なの!?」

 

「艤装が本調子じゃないのは、お互い同じでしょう」

 

 動き出すと同時に、G.Wが古鷹の要る島の座標を教えてくれる。このAIはアーセナルの装備らしい。やはり彼女は皆が思った通り、残酷な史実を覆す英雄なのだ。

 

「アーセナルさんはどうしたんですか?」

 

〈彼女は今忙しい、古鷹の救援に行く余裕はなく、重要度も低い。古鷹を助けたいのなら、君達だけでやってくれ〉

 

「忙しい? 何かあったんですか?」

 

 無線機はもう、うんともすんとも言わなかった。向こうで何かあったのか、心配しても仕方の無いことだ。それよりも優先しなければいけないことは、古鷹だ。

 

「絶対、絶対に助けます」

 

「私だって、同じ気持ちだよ」

 

 衣笠の言葉で自分の気持ちも強まった気がした。

 今回もあの時も、古鷹を助けることはできなかった。その過去を今日、今乗り越えるのだ。この罪悪感を終わらせられるかは、私次第だ。

 

 

 

 

 G.Wの指示は的確で、最短ルートで島に辿り着いた。

 だが艤装の調子に気を使いながら航行していたせいで、古鷹のいる島まで30分近くかかってしまった。同時に、今まさに空襲を仕掛けようとしている陸上爆撃機が見えた。

 

 遠巻きに見る孤島は、とても小さかった。岩礁と言っても差し支えない程だ。本当に古鷹が隠れているのか分からない。だが、もしもを考えたら。青葉と衣笠は二隻だけで、対空砲火を始める。

 

 幸いにも、爆撃機の数は少なかった。

 投入している数が少ないのか――知る由もなかったが、空母棲姫の直衛に大半が回されていたせいでもある――二隻でも、ギリギリ対処できる範疇だった。

 

 そうだろうか、青葉は疑問だった。

 たった二隻で対処できる理由はそれだけではない、何故か分からないが――機関の出力が高まっているのだ。提督と契約している時と同じくらいに。つまり本調子の力で戦えている。

 

 衣笠と目が合うが、彼女も不思議そうな顔をしていた。同じ疑問を抱いているのだ。

 まあ良い、調子が良いなら、それで良い。青葉は再度、空へ砲身を向ける。このまま行けば――その希望はあっけなく圧し折られた。

 

「不味い青葉! 敵艦隊見ユ!」

 

 青ざめる悲鳴が聞こえた。夜の暗闇を払うように、敵艦隊の姿が見える。

 全部で六隻、戦艦クラスはいないが、こちらはたったの二隻だ。

 どうする、このままでは耐え切れない。

 

 敵艦隊を包む夕焼けは、刻一刻と黒ずんでいた。

 後数分で夜になる、そうすれば空襲は回避できるかもしれない。

 いま必要なのは時間だ。

 損耗の少ない衣笠と、応急修理しかしていない青葉、囮になるのは当然、

 

「私が囮になります、衣笠は航空機を落としてください!」

 

「――分かった、すぐに向かうわ!」

 

 一瞬苦虫を潰したような顔をしていた。だが彼女はそれでも、見捨てないと言ってくれた。それは嬉しかったが、古鷹が死んだら元も子もない。運命を破るには、相応の代償がいるのだろう。青葉は大きく息を吐き、狼のように叫びながら突入しようとして。

 

「――へ?」

 

 本日二度目となる、間抜けな声が漏れた。

 

 それは突然起きた。

 敵艦隊の足元が泡だったかと思った瞬間、巨大な魚が喉元に喰らい付いたのだ。次々と水面から飛び出す姿は、トビウオのように滑らかな動きだった。

 

 だが、そのトビウオは生物ではない。

 鱗のように生物的だが、紛れもなく鋼鉄の装甲を纏っていた。これは機械だ、生物のような機械なのだ。更に言えば魚でもない、二本足と腕にも見える翅を生やし、海中を優雅に泳いでいる。

 

 深海凄艦の動揺はそれ以上だった。

 慌てて砲撃を撃ちこむが、水中にいる巨人には届かない。反撃に足元から現れ、顔面を蹴り潰されていく。

 

「空爆隊が……」

 

 衣笠が、呆然としながら空を見上げていた。

 海面に顔だけ出した巨人が、今度は怪獣のように口からビームを吐く。よく見ればそれは高圧縮された水だと分かる。暗闇をバックにした水圧カッターは噴水のように綺麗だった。

 

 しかし夜では、爆撃機の位置は正確に分からない。

 なのに、怪獣はその水圧レーザーを、的確に命中させていく。そして、空爆隊と敵艦隊が全滅したのは、全くの同時だった。

 

〈水陸両用二足歩行戦車、メタルギア・レイだ〉

 

 同じく全く同じ動きで巨人が振り返り、青葉達を包囲していく。味方だと分かっていても、警戒心が止まらない。

 

「……青葉?」

 

 だが、不安も不信感も、この声を聴く為だったなら、何てことは無い。小さな孤島から、彼女の声がする。途端に涙が流れそうになる、今すぐ抱き着いて泣きだしたくなる。けど一番怖かったのは彼女の筈だ。

 

「助けに、来ました」

 

 青葉は涙をこらえながら、彼女の方へ手を差し伸べた。

 古鷹の肩には、同じく第六戦隊の仲間だった加古が抱えられていた。駄目だ、涙が抑えられない。それを隠そうと青葉は、顔の前にカメラを構える。炊かれるフラッシュが、二人が生きていると証明していた。




G.W(ジー・ダブル)(MGS2)
 アーセナルギアの中核を成す光ニューロAI。開発者はエマ・エメリッヒ・ダンジガー。その正体はアメリカを裏から支配する秘密結社『愛国者達』が作り上げた大規模情報検閲システムであり、アーセナルギアはむしろG.Wの護衛として建造されている。そんな存在故か、アーセナルギアが艦娘化した際、G.Wも同じく艤装として蘇ることとなる。
 本来の行動目的は愛国者達の支配継続のためだが、愛国者達が存在しないこの世界で、何を目的としているのかは不明。
 尚アーセナルの人格は、ソリダス・スネークや雷電など、愛国者達への敵対者がベースになっている。よってお互いの仲は最悪である。

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