【完結】アーセナルギアは思考する   作:鹿狼

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File66 賢者の遺産

 監視カメラを統合するメインコンピューターはともかく、地図データを持った端末はすぐに見つけることができた。一度中に入ってしまえば隠れる場所は多く、スネークの独壇場だった。

 

 なまじ余裕があるからこそ、不安は増大していく。

 ガングートは裏切っているのか、敵なのか。いっそ確信を持てた方がまだマシだ、焦燥感だけが募っていく。

 

 ガングートは言った。諜報とはとどのつまり、メリットとデメリットを天秤にかけた、駆け引きでしかないと。時と場合によって、裏切るのが当然の世界だと。彼女は、自分を以ってそれを体現しているのだろうか。

 

 

 

 

 

── File66 賢者の遺産 ──

 

 

 

 

 マップデータをG.Wに読み込ませてみたが、なぜか反応が返ってこない。奇妙に思い問いかけると、どこか苛立ったようすの声が聞こえた。勿論AIに感情はないので、()()なのは違いないが。

 

〈やはりビーチだ〉

 

「マップデータにあそこのデータがあったのか?」

 

〈少なくとも、そうとしか思えない箇所が存在している〉

 

 G.Wの苛立ちは若干だが理解できた。ビーチは間違いなく、現実として存在している。しかし、あんな世界を認めることは簡単にはできない。物理的、時間的にも隔絶した空間は、私達の常識という計算を狂わせる。

 

 そんな狂気に、身を投じることができるのは私だけだ。スネークは特異体質の持ち主である。本来、姫のテリトリーに特定の艦しか入れないように、ビーチにも特定の艦娘しか入れない。だがスネークはそれを無視できるのだ。

 

 地図に表示されているビーチにも、問題なく入ることができる。それでも不安はある。ビーチの中身までは地図に書いていない。一度入ったらどうなるか分からないのだ。それでも確実に行けるのは私しかいない。だいいち、此処まで来て引き返すなど認められないのだ。

 

 スネークは意を決して、ビーチの入り口が書かれた場所へと向かう。若干錆びついた階段を下っていき、地下3階ぐらいまで降りる。その一角に、警備もなにもないただの壁がある。そこが、イクチオス格納庫へと繋がるビーチへの入り口だ……恐らくは。

 

 試しに壁に触れても、固いだけのコンクリートがあるだけだが、感覚が奇妙な気配を感じている。私の深海凄艦としての力がビーチを察知しているのだ。ここで間違いない。スネークは数歩下がり、壁にダイブした。

 

 まるで、胃液をひっくり返したような気持ち悪さが一気に広がる。蒸し暑かった空気が腐った臭いに置き換わる。視界が真っ赤に染まり、霧がかかっているようだ。顔を上げれば、赤く、赤く染まった世界が広がっている。

 

 いつ来ても、気持ちの良い物ではない。

 まあ、屍者の世界が居心地よくなった終わりだろう。これで良いのかもしれない。深海海月姫のビーチと違い、辺りには巨大な座礁物が多い、身を隠すには不便しなさそうだ。近くの鯨の骨に身を隠し無線を繋ぐ。

 

「G.W、聞こえているか」

 

〈問題ない、今回は聞こえている。エラー猫の解析はまあまあ上手くいったか〉

 

「ノイズが多いな……しかし文句は言えないか」

 

 さすがは、艦娘なんてオカルトを運用する世界か。理屈も分からないあの猫の力も、多少は解析できるらしい。ビーチを現実世界で安定した通信をするための力を、疑似的に再現したらしい。なんでも、使い方によってはインターネットを上回る大規模通信の可能性もあるんだとか。

 

〈それよりどうだ、道は分かりそうか〉

 

「いやさっぱりだ」

 

 あくまで、例外として入れているだけだ。このビーチが内包する意味を理解できてはいない。深海海月姫のビーチに巨大な太陽があった理由も、私はしっかり分からなかった。もしかしたら、一度北端上陸姫と戦ったガングートなら分かるのかもしれないが、今彼女に頼るのは不安が残った。

 

〈しかし、ガングートぐらいしかアテはないぞ?〉

 

 その通りなのだが、中々決断できない。そうしている内に時間は無駄に過ぎていく。仕方がないか。そうため息を吐いて無線を繋ごうとした時、スネークは背後に、突然気配を感じた。

 

 また──待ち伏せなのか?

 不安を抱えていたせいか、一瞬だけ反応が遅れた。自分の未熟さを呪いながら、背後へPT小鬼から奪ったハンドガンを構える。それと全く同じタイミングで、スネークの額に、リボルバーが突き付けられた。

 

 しかし、そこにいた敵は、全く予想していない人物だった。

 

「……多摩?」

 

「にゃあ、久し振りにゃ」

 

「まさか、単冠湾の?」

 

 軽巡多摩は、また猫のように頷いてリボルバーを逸らす。

 艦娘なんて、同じ見た目の艦が何隻もいるから、彼女は私の知っている多摩とは限らない。だが、これは偶然にしては出来すぎている。嘘をつく理由も思い浮かばなかった。

 

「なぜお前がここにいる」

 

「なぜって言われても、スネークもアレが目当てなんじゃないのかにゃ?」

 

 アレとはなんだ、イクチオスのことか?

 スネークの態度を見て、多摩は知らないのだな、とでも言いたげに首を振る。私だけが何も知らないみたいで、若干腹が立った。

 

「スネークなら知っていると思うけど」

 

「だから、何のことを言っている」

 

「『賢者の遺産』に決まっているにゃ」

 

 遺産、その単語を聞いて、苛立ちは欠片も残さずに消し飛んだ。

 遺産? 遺産だと? その言葉が意味することは知っている。当たり前だ、遺産とは、愛国者達にも深く関わっているのだから。

 

「こんなところで立ち話もアレにゃ、まずここから出よう、案内するにゃ」

 

 そう言って多摩はビーチを航行し出す。言いぶりからして、ビーチ内の構造も知っているようだ。いったい彼女はどこの艦娘なのか、なぜ遺産を知っているのか、信用して良いのか。だがこのままでは遭難する。零れそうな不信感を抱えたまま、スネークも多摩のあとを追っていた。

 

 

 *

 

 

 彼女の案内は正確だった。敵の巡回を完璧なタイミングで抜け、そのまま目印のないビーチを航行する。やがて唐突に強い光が刺し込み、私たちはビーチを抜けていた。現在位置をマップで確認すると、イクチオスの工場エリアになっていた。

 

「……悪夢か?」

 

 目の前を見て、思わず口にしてしまう。

 整然と並べられた区画ごとに、メタルギア・イクチオスが無尽蔵に並べられていた。核のプラットフォームにも使える戦略兵器が、何十隻も整備されている。もしこいつら全員にエノラ・ゲイが乗っていれば、世界は火の海になってしまう。

 

 呉で、アフリカで悪夢を齎した兵器が大量生産されている。スネークは、こいつらを何としても破壊しなければいけないと感じていた。できるなら今すぐ、ありったけのミサイルを叩き込んでやりたいが、その前にすべきことが残っている。

 

「スネークは、これが目的にゃ?」

 

「そうだ」

 

「そっか、目的が同じでなくて良かった、同じだったら大変だったにゃあ」

 

 そう言いながら多摩はまたリボルバーを手で遊ぶ。一応顔見知りではある。彼女と殺し合うなんて私も御免だ。それはそれとして、遺産について聞かねばならない。

 

「端的に言えば、多摩は大本営の使いだにゃ。大本営から遺産を探して来いって言われたから来たにゃ」

 

「大本営の工作員だった訳か……川路が大本営のスパイだということも知っていたのか?」

 

「いや、知らなかったにゃ。同じ大本営でも派閥はあるから、別のとこから来た奴だと思っていたけど」

 

 果たして多摩は、川路がKGBのスパイだったと知っているのだろうか。まさか同じ工作員が裏切り者だとは思っていないだろう。そう考えると、多摩が少しだけ不憫に思えた。特に理由もないので、教える気もないが。

 

 多摩の話によれば、ソ連が──イクチオス開発に関わっている噂は大本営も把握しており、それが原因で混乱状態にあることも知っている。だからこそ、このタイミングで『遺産』奪取のために、多摩を送り込んだのだ。

 

「遺産はソ連にあるのか?」

 

「それは間違いないにゃ」

 

 内心首を捻る。この時代だと『遺産』は全て合衆国(愛国者達)の手元に渡っていた筈だ。史実も、そこまではねじ曲がっていない。ソ連の中には愛国者達の影が見え隠れしている。合衆国にある筈の遺産がソ連にあるのは、それが関わっているのだろう。

 

「その言いぶりからして、遺産が何なのかは知っているみたいにゃ」

 

「まあな」

 

「ま、裏社会を知っていれば当たり前かにゃ」

 

 いくら大本営でも掴めていないか、愛国者達が、遺産を基に生まれたことは。そもそも大本営が愛国者達を知っているかも分からないが。スネークは遺産を良く知っている。だからこそ、理由を聞かなくても、大本営が遺産を欲しがる理由は分かった。

 

 一千億ドル──それは、第二次世界大戦を複数回起こせるほどの、現実離れした金だ。そんな資金が、この世界には現実として存在している。それが『賢者の遺産』だ。

 

 かつて、WW2末期、大戦終結後の世界の在りようを決めるために、米中ソの有力者たちで作られた『賢者達』という秘密結社があった。彼らはその為の活動資金を共同で出し合った、それが賢者の遺産だ。

 

 しかし、大戦終結後の混乱に乗じて、この遺産を管理していた男が資金を奪ってしまったのだ。その資金は男の子供に相続され、かつて存在した大要塞グロズニィグラードの資金源となる。

 

 その後も『遺産』は色々な勢力を行き来し、最終的に手にしたのはCIAのゼロ少佐、つまり愛国者達の創立者だった。遺産は愛国者達の活動資金として有効活用されるようになる。ここまでが、スネークの知る事の顛末だ。

 

 しかし、この世界は途中で史実が狂っている。遺産がソ連にあるのはそれが原因だろう。そんな莫大な資金を得るチャンスがあれば、誰だって手を伸ばそうとする。大本営の行動はある意味で当たり前だった。

 

「多摩からすれば、遺産探しの邪魔さえしなければなんでもいいにゃ。むしろイクチオスを壊して、騒ぎを起こしてくれれば都合が良い」

 

「別に狙っていないし興味もない、そこは安心していいぞ」

 

「それはありがたいけど、もっと騒ぐように仕向けさせてもらうにゃ」

 

 どういう意味だろうか。私が興味を持つような話を振るのだろうか。多摩はこちらに近づいてそっと耳打ちした。

 

「ここよりも下の階層に、コードトーカーの隠し部屋があるにゃ」

 

 なぜそれを知っている。その情報は確かなのか。

 短いが、情報量が多い。一瞬の混乱を突いて多摩はスネークから離れてしまい、小走りで移動を始めていた。

 

「多摩からしても川内は心配にゃ、よければだけど、助けてあげて欲しいにゃ」

 

 それだけ言い残して、多摩はあっと言う間に姿を消した。なぜあんなに急ぐのか。疑問に思った瞬間、工場内の動きが慌ただしくなり始めた。緊張感が蔓延してくる。近くにあったエレベーターが、地下から上がってきていた。

 

 エレベーターからゆっくりと現れたのは、深海凄艦の姫、北端上陸姫だった。

 彼女は時間をかけてイクチオスを見渡す。整備や警備の深海凄艦が明らかに緊張していた。スネークにも、得体のしれない感覚が纏わりついている。

 

 視られていない、察知されてもいないのに、見られている感覚がある。ゴスロリ衣装の少女が、果てしなく不気味に感じられる。あれがビーチなんて世界を展開しているのだから、当然かもしれないが。

 

 スネークは自らの直感に従い、この場を離れていく。多摩はこれを察知していたのだろう。

 多摩は、川内が心配だと言っていた。どこから情報を手に入れたのかは分からない。私が潜入したように、アフリカの遠征艦隊にも、大本営のスパイがいたのだろう。

 

 恐らく踊らされる。だが、それで真実へ近付けるなら、それはそれで構わない。目指すべきは更に下層だ。下への移動経路を求めて、スネークは再び動き始めた。

 

 

 *

 

 

 ガングートは辺りを見渡す。赤い狂気の海は消え、まともな地下工場が広がっている。さすがにあんな場所長居したくはない。やっと出れたことに、深く安堵した。思わず壁に寄りかかり、一服したくなってくる。

 

 スネークがビーチを彷徨っているのに先んじて、ガングートはビーチを突破していた。

 どこをどう行けば、どこに行けるのかが大体分かった。これが深海海月姫のビーチでサラトガたちが感じた、『理解』するということなのだろう。同じミームを持っているからこそ、そこから生まれた世界が分かるのだ。

 

 まあ、だからって居心地が良い訳ではない。最悪だった。しかしまだやることは山ほど残っている。スネークのサポートも続けなければならないし、私の仕事も残っている。どうやら、大本営のスパイまでいるらしい、状況は悪化しつつある。

 

 その時、無線が入ってきた。てっきりスネークかと思ったが、予想外の相手がCALLしている。川路が私になんの用なのか。

 

〈ガングート、少し警告しておく〉

 

「警告?」

 

〈スネークが侵入したことは大体察知されている。だが、同時に何者かが手引きしたという疑惑を北端上陸姫が持っている〉

 

 ガングートは辺りを見渡す。上層と比べてギスギスした空気が漂っているのはそのためか。一応変装は続けているが、目立つ行動は避けた方が良いかもしれない。

 

〈お前は今どこにいる?〉

 

「イクチオスの工場地帯だ」

 

〈まずいな、北端上陸姫がそっちへ行きそうだ。大人しくするか、別のフロアに行った方が良い〉

 

 警告のために無線をしてくれたのか。ガングートは川路の警告に従い、急いでその場から離れる。工場の中には予想していた通りおびただしい数のイクチオスが整備されている。脅威だが、驚愕でもある。

 

 いったい、これだけのイクチオスを建造するのにどれだけの資金を使ったのか。ガングートにとっては、無数のメタルギアこそが確証に思えた。それはどこにあるのか。考えている矢先に、また無線が入る。

 

 周波数を見てドキリとした。スネークからだ。要件を聞くと、何か目的があって合流したいのだと言う。彼女も丁度同じフロアに辿り着いたと言う。どうやってビーチを突破したのか疑問だったが、断る理由もなかった。

 

 こんな大規模な工場でも、例え深海凄艦の巣窟でも、トイレはある。まともに落ち合える場所はそこしかない。敵の目を誤魔化しながら進みトイレに着くと、既にスネークが来ていた。

 

「ガングート、お前はビーチを移動できるのか?」

 

「できるが、それがどうかしたのか?」

 

「案内して欲しい、もう一度ビーチに行かなければならない用ができた」

 

 スネークはいつの間にか、多摩──大本営の工作員と接触していたのだ。彼女からコードトーカーの情報を得たのだという。しかし、そこに行くには再びビーチを経由しなければならない。

 

 案内は別に構わないのだが、心配なのは情報の出所だ。

 いっさいの根拠のない、口だけの情報。いくら多摩が知った艦娘だからといって、簡単に信じすぎてはないのか。何よりも彼女は大本営の工作員なのだ。

 

「なぜ信じたんだ、まさか焦っている訳じゃないだろうな」

 

「別に盲目的に信じてはいない、だが、賭けるぐらい構わないだろ。そもそも裏をとれるような情報ではない」

 

「せめてメインコンピューターとか、そういった場所にアクセスしてからの方が良いと思うが」

 

「何十年も見つかっていない部屋だぞ、痕跡があるとは思えない。第一、諜報は確率だと言ったのはお前だろ。多摩の証言は、真実の可能性が高い筈だ……それとも、なにか他の理由があるのか」

 

 ガングートは少しだけ目を泳がせる。自覚している以上に焦っているのだ。スネークの言う通りだ。可能性が高いならそれで構わない。案内を了承して、再びビーチを目指していく。ビーチへの出入り口がマップにあるのは本当に助かった。

 

「なあ、少し聞いても良いか。お前北端上陸姫のこと知っているんだろう」

 

「知っていると言うか、戦ったことがあるだけだ」

 

 ただ戦っただけで、ビーチを理解できるわけではない。恐らく北端上陸姫の大本は、私達(ソ連)絡みの記憶だ。もっとも、彼女の行動は理解できない。だいたいの深海凄艦がそうだが、北端上陸姫はその中でも特に、破壊を楽しんでいるフシがある。

 

「どんな戦いだったんだ?」

 

「調べれば分かるだろう?」

 

「ビーチまで暇だ、直接聞きたい」

 

 それでいいのだろうか。そう思いつつも、記憶を辿りながらガングートはあの日の戦いを話し始める。

 

 ソ連にとって、まだ艦娘が珍しい存在だった頃、北端上陸姫は現れた。

 当時はまだ陸上型という存在が知られておらず、その上海上移動もできる特異個体の出現。対策もままならず、ソ連はあっと言う間に湾岸部への進行を許してしまった。

 

 だが、半ば上陸したその時が、最大のチャンスでもあった。

 陸からなら侵入を察知されにくい。また戦力も展開しており、姫の護りも薄くなっている。ガングートはその為の、艦娘として初めての潜入工作員として出撃したのだ。

 

 その姫は何としても撃破しなければならない姫だった。

 北端上陸姫の手口は悪辣極まっていた。上陸してまずやったのは、人間へと変装させた深海凄艦を人間社会に送り込み、そこでテロを起こすと言う手段だった。しかし破壊を目的にしたのではない。疑心暗鬼になり、自滅する人間社会を見て悦に浸っていたのだ。

 

 挙句、何の目的か、人を攫い何かの人体実験に使っていたのだ。人を使った機械──今思えば、それはスペクターだったのかもしれない。ここにいる以上、北端上陸姫も愛国者達に当時から関わっていたのかもしれない。拷問を楽しんでいた可能性もあり得るが。

 

 暴虐の限りを尽くした姫を沈める作戦は進み、ガングートはどうにか北端上陸姫の喉元まで辿り着いた。だが、最後の一手を察知されてしまったのだ。

 

「奴の勢力は壊滅させることができた、だが肝心の奴は取り逃がしてしまった……私のミスが原因でな」

 

「最大の目的を達成できなかった訳か、追放されたのはそれが原因か」

 

「仕方ないことだと分かっているがな」

 

 一気に立場が変わってしまった。初期の艦娘として重宝されていた立場でなくなっていき、やがて適当な冤罪を被せられ、私はKGBを追われることに成った。かつての英雄は一介のテロリストに成ってしまったのだ。

 

 やったことが大きく変わってもいないのに、周りが変わることで私の立場が変わっていく。大きな時代の流れに、ガングートは逆らうことができなかったのだ。そうして流された末に、今私はスネークの元にいる。

 

 更に流された先は、どこに繋がっているのか。

 今度こそ、少しは落ち着ける場所に行けるのだろうか。一抹の望みを抱きながら、ガングートはビーチの外へ行く光を潜った。

 




ビーチ(???)

深海凄艦が海域を『赤い海』に転じさせる瞬間、一時的に発生する特殊な空間の呼称。滅多に確認できるものではないが、一瞬垣間見た人々が例外なく海岸の印象を受けたため、この呼び名が浸透した。一応大本営も把握はしている。
膨大な怨念によって、あの世とこの世が接触した世界とも、あの世から呼び出された、『史実』が実体化した場所とも言われているが詳細は不明。現状判明していることは、ビーチ内では時間、空間の概念が歪むこと、それを利用し、ワープや長距離通信ができるということだけである。
しかし、姫として半端な存在の場合、赤い海にならず、恒常的にビーチとして存在し続けることがある。こうなった場合、ビーチには発生源となった姫と関わりのある艦娘しか入れず、また通信等も阻害される、極めて危険な海域になる。深海海月姫は記憶をほぼ喪失していたため、ビーチを維持できていたが、姫として覚醒したことで、同時にビーチは閉じている。

情報提供:本当のビーチはその名前の通り、さまざまな『死』が座礁(デス・ストランディング)した空間である。しかし、深海凄艦の作るビーチに海岸はなく、地平線まで海が広がっている。これは、まだあの世が座礁し切っていない、つまり、深海凄艦は完全に死の座礁を起こせないことの証明である。
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