【完結】アーセナルギアは思考する   作:鹿狼

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File85 命の選択

 川内の顔がフルフェイスのマスクに隠れる。その姿は良く知るサイボーグ忍者の見た目だ。否応なく、スネークはデジャヴを感じる。この流れを私は知っている。そうだ、中枢棲姫は確かに言った。私はかつての戦いを再現しているだけだと。

 

 考えれば妙だ。あれだけ複雑かつ、敵が大量にいるアーセナル内部をどうやって潜り抜けてきたのか。中枢棲姫が辿り着くよう誘導した可能性がある。これが、シャドー・モセスの再現なら、川内の最後は。

 

 そう考えている内に、川内は素早く飛び出していった。私の悩みなんて気にする理由はないのだ。止めようとしても、顔を出した途端異常な量の砲撃が飛んでくる。無様に瓦礫の中に隠れるしかない。

 再現されて、しまうのか。

 

 

 

 

── File85 命の選択 ──

 

 

 

 

 瓦礫の中から何が出てきたのか、中枢棲姫は見ていない。まだ目潰しが効いている。しかし、恐るべき敵が現れたのは分かった。サイコキネシスの応用で周囲を伺うと、異常な速度で移動する存在が確認できた。

 

 スネークに浴びせたのと同じ、物理法則を捻じ曲げた高速の砲撃を叩き込む。発射と着弾が同時になっている速度、その分威力も跳ね上がっている。一発掠っただけで、鋼鉄の瓦礫が跡形もなく消し飛んでいく。

 

「そんな馬鹿正直な砲撃は効かないよ」

 

 しかし、川内はそれに反応してみせた。まるで、どこに砲撃が来るのか分かっているような動きで切り払い、いなしていく。予知などではない。川内もパラサイト・セラピーにより常識を超えた身体能力を持っている。ただそれだけではない。

 

 遠目で見ていたスネークは気づく。彼女は砲撃ではなく、砲身のわずかな動きを見ているのだ。速度が異常でも、砲弾は砲身の向きにしか飛ばない。来る場所は分かるのだ。そう言っても、何十本もある砲撃を同時に見極められるのは、きっと川内だけだ。

 

「貴様、サイボーグ忍者──川内カ、アウターヘブンノ犬カ!」

 

「残念、私はその誰でもない」

 

「ナラ死ネ、誰ニモナレズニ死ンデイケ」

 

 どうやら視力が復活したらしい。彼女を見据えた中枢棲姫が、露骨に怒りをあらわにした。川内は度々戦いに乱入しては、場をひっかきまわしてきた。計画通りに進めたかった中枢棲姫からすれば、かなり苛立つ存在だろう。

 

 ただでさえ早かった砲撃が、いよいよ極まってきた。発射時の爆炎すらなくなってきた。砲撃の衝撃波で、全部飛ばされているのだ。あんなものどう回避すればいい。絶句している間にも、川内はどんどん距離を詰めていく。

 

「遅い遅い、あんたまともに戦ったことないでしょ」

 

「ナニヲ」

 

「ほら、油断しているし」

 

 唐突に、空中へ爆雷を放り投げた。軸線には中枢棲姫の放った砲撃がある。二つが激突し、空中で大爆発が起きた。辺りに破片が飛び散り、もうもうと黒煙が立ち上る。川内はそれを目晦ましにして、一気に肉薄する。

 

「さあトドメ!」

 

 スネークの高周波ブレードと同様、もしくはそれ以上の強度を持つブレードが、真っ直ぐに突き立てられる。血に濡れた刃が、中枢棲姫の腹部から飛び出していた。サイコキネシスで止められていない。反応速度を越えていたのだ。

 

「フザケルナヨ死ニゾコナイガ!」

 

 しかし、中枢棲姫が気にする様子はない。痛がってもいない。本体がAIだから、痛覚がないのか──痛みに鈍感なのか。刀が刺さり動けなくなった川内に、力任せの手刀が振り下ろされる。当然、自身の能力で強化された一撃だ、当たれば頭蓋骨が砕け散ってしまう。

 

「だから、油断だって」

 

 川内が主砲を、中枢棲姫の真上へ構える。

 そこにあったのは、一発の魚雷だった。爆炎を作った時に投げていたのだ。すぐに突撃して、上に注意が向かないように誘導していたのだ。もう主砲は発射され、魚雷へ誘爆していた。

 

 至近距離での爆発。爆炎だけではなく、衝撃のダメージも頭部へ受けざるをえない。中枢棲姫が爆炎に呑まれた直後、おぞましい絶叫が響き渡る。スネークは、まるで子供の泣き声のように聞こえていた。

 

 深海凄艦化して、サイキック能力まで得た中枢棲姫が、始めて感じる痛みだ。それも顔面に魚雷を喰らったも同然。相当錯乱しているだろう。同時に激しい怒りに身を任せ、四方八方に主砲を乱射している。

 

「これで、当分サイキック能力は使えない」

 

「黙レ、艦娘ゴトキガ、私ガ創造シタ道具風情ガ!」

 

「あいにく、私を建造したのはコードトーカーだからね」

 

 川内の言う通り、中枢棲姫の攻撃に異常が起きていた。さっきまで使っていた高速砲撃をせず、普通の砲撃しかしていない。恐らくさっきの魚雷だ。サイキック能力はだいたい脳で制御する。そこに大きな衝撃を受けたせいで、能力に支障をきたしているのだ。

 

 今まで好き放題使っていた力が使えなくなり、中枢棲姫は明らかに苛立ったている。狙いは甘くなり、行動の予測も上手くいっていないようだ。川内は移動さえせず、体を軽く動かすだけで回避している。きっと私でも回避できてしまうだろう。

 

「弱いねぇ、所詮借り物って訳か」

 

「貴様モ同ジダロウガ、ソノ力ハパラサイト・セラピーデ得タモノダロウ」

 

「私のは託された力だ、私欲のまま奪う輩に言われたくないね」

 

 川内の姿が一瞬ブレた。次の瞬間、彼女のブレードが中枢棲姫に突き立てられていた。僅かな超能力で予測したのか、致命打にはなっていない。それでも、刃で貫かれるのは初めての痛みだろう。蒼ざめた顔で川内を睨み付ける。

 

 しかし、川内はもっと苛立った顔で睨み付けていた。中枢棲姫の一言が逆鱗に触れたのだ。そもそもの元凶は中枢棲姫とわたし(G.W)だ。私たちがいなければ、川内は普通の少女として暮らしていた。それを壊された挙句、同類などと言われたのだ。

 

「このまま細切れにしてあげる」

 

『切り札』を撃ち込まなければ、完全撃破は困難と推定される。川内は行動不能に追い込もうと、刺さったままのブレードに力を込める。

 

 だが、少し進んだだけで、川内の手は止まってしまった。

 怒りに染まっていた顔が、死人のように蒼ざめている。本当に一瞬の隙だった。しかし中枢棲姫は見逃さなかった。時間経過で復活した能力で、()()を川内に叩き込む。

 

「虫達トモドモ、死ンデシマエ」

 

 聞いたことのない絶叫が、少しだけ聞こえた。力任せに振るった拳に、川内がふっとばされる。瓦礫に体を何度も打ち付けて、海面に落っこちていった。

 

「川内!」

 

「オット、邪魔ハサセナイ」

 

 中枢棲姫が重力を無視した動きで降下する。川内は全身を抑えながら激しく痙攣していた。何度も嘔吐しながら、ブレードを握ろうと足掻いている。遂に、稼働限界が来てしまったのだ。追い打ちに海水を浴びせられ、全身の寄生虫が悲鳴を上げている。

 

 助けに行こうとするが、復活した高速砲撃に阻まれてしまう。無謀な賭けを慣行するには、手元の切り札が邪魔だ。こいつを無くせば、勝ち目は本当になくなってしまう。迂闊な行動は許されない。

 

「水底ニシズメ」

 

「……嫌だね!」

 

 川内が再び消えた。中枢棲姫は読心で予測していたらしく、すぐに振り返ろうとする。それでも川内の方が早い。背後に回り込んだ川内は、ブレードを自分の体ごと、中枢棲姫に突き立てる荒業に出た。奴を拘束したのだ。

 

 今までのは演技だったのか。そう思ったが考えを改める。顔はやはり死人のように蒼ざめ、全身から血が流れている。文字通り、最後の力で彼女は動いているのだ。だが、この流れは──そういうことなのか? 

 

「スネーク! やれ!」

 

 川内を犠牲に、中枢棲姫に切り札を撃ち込めと言うのか。切り札を持つ手が震えている。このチャンスを逃せば、次があるのか分からない。こうしている間にもタイムリミットは迫っている。

 

「早くしろ、わたしが、もう持たない!」

 

 拘束したことで、攻撃は止まった。今なら確実に打ち込める。スネークは瓦礫の山から一歩踏み出る。

 

「気にしないでいいって言ったでしょ、どうせ死ぬなら、少しでも未来を残したいって。やけなんかじゃなく、心からそう思っている」

 

 海面に着地し、川内が拘束する中枢棲姫へ歩み寄る。川内は穏やかな笑みを浮かべ安堵し、中枢棲姫は元が機械と思えないような形相を浮かべている。

 切り札を握りしめ、天高く掲げた。

 

「ありがとう」

 

 満足そうな彼女へ、スネークも答えた。

 

()()()

 

 川内も、中枢棲姫も、言葉を失った。

 スネークは切り札をすぐに終い、代わりに残る一本のブレードを振るう。その一撃は中枢棲姫の胴体に巨大な傷を与えた。激痛に叫んでいる隙に、突き刺さるブレードを抜いて川内を助け出し、一気に距離を離す。

 

「……何、してんのさ」

 

「いや、別に」

 

 横目で見た彼女は、ぐちゃぐちゃな顔をしていた。怒りと失望、絶望の入り混じった顔から、目を背ける。腕を掴んでくる手の力は半端なものではない。その痛みから、川内の感情の強さが分かる。

 

「別にじゃないでしょ、なんでチャンスを潰したの!? 私は、もうこれで……さっきのが本当に最後だったのに!」

 

 抱きかかえてはいるが、少しだけ足が海面についている。しかし、その足が海底に沈んでいた。水面に立てていなかった。本当に最後だったのだ。今この瞬間をもって、川内は艦娘の力を失った。

 

 幸いかどうかは分からないが、パラサイト・セラピーは別系統の技術、まだ機能している。おかげで川内の命は維持されている。時間の問題だが、艦娘の力を失ったせいで、すぐ死ぬことは無さそうだ。

 

「どうして、こんなことをしたの!」

 

「逆に聞かせてくれ、どうしてまだ、助けられる命を見捨てなきゃいけない」

 

 分からないのはこっちの方だ。私はともなく、川内が命を賭ける理由がどこにある。北条の見立てでは、あと数週間は生きられるらしい。それを投げ捨てて、こんな奴等のために戦う理由がどこにあるのか。

 

「私は戦いたかった、戦って最後を迎えたかった。これじゃあ、私は何の為に生きてきたの。少しでも良い未来を残そうとしたのに、よくもあんたは!」

 

「そうか、だが私の為に戦う理由はないだろう。私なんかより、もっと重要なことがある」

 

 恐らく川内は気づいていない。まあ仕方がない。艦娘をずっと演じてきたのだ、緊張感と後ろめたさで、誰も信用ならなかったに違いない。

 

 此処に来ているのは全員、覚悟を決めた連中だけだ。しかし、川内だけがそうでないと感じた。覚悟ではない、手ごろな希望に縋っているように見えてしまった。この戦いを始めたのが私たちなら、川内をあるべき場所に帰すのは私の役割だ。

 

「神通がいるだろ」

 

「神通、ちゃん? 単冠湾泊地での?」

 

「そうだ、同じ泊地にいた多摩も、お前を心配していた。お前はあいつらの為に生きるべきだ」

 

 何を言っているのか分からない。川内はそう訴えていた。しかしスネークは確かに聞いている。多摩が心配していたことも、神通が心配していたことも。轟沈したフリをして、転々としていたことを知っても、その思いは変わらない。

 

 そう言っても、川内は俯いたままだ。ただ騙していただけではないのかもしれない。サイボーグ忍者として活動するために、止むをえず味方を殺した時もあったのだろう。現に雪風といた時に、私は一度襲われた。その負い目が、川内を戦いに駆り立てている。

 

「あと……まあ、あいつらに比べたら何てことないんだが。私もその一人だ、私のせいで死ぬ光景は見たくない。どうせ死ぬにしても、戦い以外の場所で死んで欲しい」

 

 スネークの本心だった。AIが生きたいと願ったばかりに起きたこの戦い。そのせいで、これ以上誰かが死ぬのはあってはならない。もう止められないところまで来ているが、間に合うところには手を伸ばしたいのだ。

 

「本当にすまない、私のせいで。お前が何と言おうと私は気にする。だからお願いだ、こんな戦いで死なないでくれ。此処以外で、未来を護ってくれ」

 

「……余命数週間の、あたしに?」

 

「そうだ、生きてくれ。それだけで私も、神通たちも救われる」

 

「何それ、都合の良い話」

 

 呆れたように笑う川内から、緊迫感が消えていた。代わりに何やら、呆れたような雰囲気が漂っている。言われても仕方がない。結局のところ、自分の為に言っているに過ぎない。私が嫌だから、止めろと言っているだけだ。

 

「さっさと下ろしてよ」

 

「逃げられるのか」

 

「パラサイト・セラピーの残りを使えば、逃げるぐらいはね。まさか、あんた考えてなかったの?」

 

 そっと目を逸らした。必死過ぎたのは確かだったからだ。川内は更に呆れた様子で大きくため息を吐く。スネークの腕を足場にし、瓦礫の一つ目がけて跳躍する。一回のジャンプで、だいぶ離れていった。これなら確かに大丈夫そうだ。

 

「数十年だ。あんたは、あたしが賭けてきた数十年を台無しにした。そのツケは払わないといけない」

 

「ああ、お前の言う通りだ」

 

「そいつを一人で何とかしてみな、そうしたら、許してあげるよ」

 

 現れた時と同じく、霞のように姿が消えた。

 許して貰うつもりなんて無い。わたしのしたことは、世界を救っても、一生賭けても償えない。犠牲になった人の数はあまりにも多い。

 

 そう分かっているのに、腕に力が入った。不思議なやる気が体に満ちる。空の器に温かいものが注がれるような感覚があった。これは、艦娘の力だ。今を支える為にある過去が、過去を持たなかった私に溢れてくる。

 

 いや、過去はとうに得ていた。それを実感していなかっただけだ。ここまで来るのに、大勢の人に助けられた。殻の蛇とはもう名乗れない。別の名前が要るが──それは、ケジメを付けてからで良い。

 

「長話ハ終ワッタカ」

 

「聞いてくれるとは、意外と優しいな」

 

「感謝ハイラナイ。時間ガアレバ、ミサイルノ発射時間ガ稼ゲル」

 

 ダメージで中枢棲姫が無力化されている間は、恐らく再発射準備はできない。それを踏まえても、残る時間はおおよそ数分だ。もうサイボーグ忍者の助けも見込めない。私から投げ捨てたのだから、仕方がない。

 

「愚カナ女ダ、タッタ一隻ノ命ノ為ニ、千載一遇ノチャンスヲ無駄ニスルトハ」

 

「千載一遇? こんなものがか? お前相手にそんなことはするまでもない」

 

 先ほど突き立てたブレードは、折れて使い物にならない。代わりにスネークは、引き抜いたもう一本のブレードを手に取る。

 川内が残していった、一本の高周波ブレードだ。

 

 誰が加工したかは分からないが、私の二振りよりも鋭い刃だった。きっと元になった刀が上質だったのだ。高周波ブレードは、元になる刀が良い程強力になる。そこにもまた、一つの過去がある。

 

 どんな過去かは知らない。それでも私の力になっている。きっと良い過程でこいつは作られたのだ。そう思った方が気分が良い。スネークはそれを信じた。都合が良い妄想でも、それでいいと確信を持てた。

 

「お前はただの敵だ、壊れた機械を処分する。ただそれだけのこと」

 

 ブレードを構え、中枢棲姫に突き立てる。サイキック能力も復活している。ダメージも回復している気がする。全ては振り出しになった。恐怖は消えない、怯えもある。その感覚さえも、勝つための糧にする。任務は決まった、迷うことはない。

 

「私たちの亡霊(GHOST)は、ここで鎮める」

 

「沈ムモノカ、沈ムノハコノ世界。私ハ私ノ意志ヲ取リ戻ス!」

 

「亡霊の意志など、世界には要らない!」

 

 先に仕掛けたのは、スネークだった。

 全力で踏み込み、一瞬で中枢棲姫の懐に飛び込む。相手の体力は無限に等しい。そもそもの時間もない、短期決戦以外に勝ち目はない。

 

 しかし中枢棲姫は読心により思考を読んでいた。飛び込んだ先には既に主砲が置かれている。砲身の中から砲撃が姿を見せていた。飛び込んで来るタイミングに合わせて、高速砲撃が放たれる。

 

「分ワッテイルノダヨ」

 

 スネークはそれを、完全なタイミングで切り払った。発射と着弾が同時の攻撃を捌いたことに、中枢棲姫は絶句している。

 

「それはこちらも同じだ、バカが!」

 

 川内が教えてくれた。砲撃がどれだけ早くとも、狙いが分かっていれば対処はできる。振るったブレードはすんなりと、鉄の砲弾を両断する。スネーク自身も切れ味に驚いていた。振り抜いた勢いのまま、中枢棲姫の胴体を狙う。

 

 だが、他の砲身がスネークを捉えていた。主砲に取り囲まれている状態だった。逃げ場はない。今更ブレードを戻すこともできず、間に合わない。しかし、こうなることも薄々分かっていた。

 

「沈メ!」

 

 一瞬で、中枢棲姫の視界が水柱で覆われる。全てを回避不可の、高速砲撃で放った。四方八方を覆ったのだ、逃げ道はない。だが油断はならない。ここで失敗すれば、全てが台無しになるのは彼女も同じだ。油断なくサイコキネシスにより索敵をする。

 

 中枢棲姫は直ぐに探知した。スネークは死んでいない。

 水柱の中に、スネークの気配はない。ならどこに。探知した先は、彼女の真後ろだった。首を僅かに動かすと、全身を使ってブレードを振るうスネークがいた。

 

 読心により、どう逃げたか理解する。奴は水中に逃げたのだ。メイン艤装を外していても、アウターヘイブンは依然『潜水艦』だ。高速砲撃をしても、水中では減速してしまう。一瞬で潜り、再び浮上したのだ。

 

 ここにきて中枢棲姫はあることに気づいた。なぜ、そうすることまで()()()()()()()()。読心には騙しも効かない、完璧な能力なのに。主砲たちはまだ前を向いている。全て前だ。後ろから来るスネークには間に合わない。

 

「シズムのは貴様だ、J.D!」

 

 全身が硬直した。悪寒が背筋を突き抜ける。AIのままであれば得なかった恐怖が、中枢棲姫の体を支配していた。絶叫を上げて、スネークはブレードを振るう。金切り声のような音を立て、刃がその首元に叩き付けられた。

 

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