やはり俺が雷門中に入学したのはまちがっていなかった。 作:シェイド
久々にフットボールフロンティア編全部見ました……やっぱ最後は感動するね。
こっからアレスに分岐すると考えたら…やっぱ正史はエイリア襲来の方がしっくりきちゃうなぁ…。
必殺技とかパラレルワールド設定とか面白いけどね!
「いいのかい比企谷君?入りたての土門君を試合に出して」
染岡と並んで座っていた目金にそう問われた。
少なくともお前よりは出来るし……と言いたくなるのを抑えつつ、DFに入った土門を見つめる。
ちょうど相手選手のドリブルを止めようと、進路上に立ちはだかったところだった。
「まあ、大丈夫だろ。だってアイツ……」
「"キラースライド"!」
「帝国出身だぞ?」
「ええ!?」
あれ、言ってなかったっけ土門の奴。去年のフットボールフロンティアで帝国DFがやっていたディフェンス技だろ、確か。
気づいてるの豪炎寺くらいだけど…みんな思ったよりそういうの見ないのか?
ボールを奪った土門は前線にいる豪炎寺と壁山にハイボールを上げる。2人が同時にジャンプし、イナズマ落としの体制になるが、練習と同じく失敗に終わる。
「「サクの兄ちゃんかっこ悪~」」
「うぅ~……」
その様子を見て雷門唯一の応援隊も、落ち込んだような様子を見せていた。
つかあれ壁山の弟か……体格は似てないんだな。頭しか似てないぞ。
その後の試合の流れは、誰が見ても野生中ペースだった。円堂や土門の必殺技でなんとか防げているが、防戦一方だ。
ようやくマイボールに出来たとしても、壁山と豪炎寺の失敗によってすぐに敵ボールに変わってしまう。
『ここで前半終了!両チーム無得点!だが試合を支配しているのは野生中!疲労困憊の雷門イレブンに、反撃の手段はあるのか……』
おお、あの将棋部の奴中々的確な解説だな。あれ?もしかしてアイツにもっと詳しく解説してもらえば俺観察する必要ないんじゃね?……それはないですね、ごめんなさい。
意気消沈とした様子でベンチに帰ってくる雷門イレブン。
しかし、コイツだけは違った。
「やったな!皆!」
「円堂?」
「何言ってんだ、コテンパンじゃないか」
「でも同点だぜ?しかもあんな凄い連中相手にだ。後半も、俺は絶対にゴールを割らせない。そして、2人のイナズマおとしで点をとって勝つんだ!」
さすが円堂。ポジティブランキングぶっちぎりの1位は伊達じゃない。
あれだけシュートを撃たれるということは中盤を完全に抑え込まれているということ。向こうの獣じみた身体能力について行けずにいる証拠だ。
だが円堂の守りは固い。既に前半だけで何十本ものシュートを撃たれたが、その全てを防いでいる。尾刈斗中戦で繰り出した"熱血パンチ"様様である。
それに帝国の試合から考えれば物凄い進歩なのは確かだ。円堂の言うことは間違っていない。
「……俺を、ディフェンスに戻してください」
「壁山!?」
「駄目なら、比企谷さんと交代させてください。俺には、イナズマ落としは出来ないっす……これ以上ボールを上げてもらったって……」
壁山から漏れ出たのは諦めの声だった。
前半、何度も上げてもらったボールを尽く技の失敗という形で敵に渡してしまったこと、あれだけ練習してきたイナズマ落としが出来ないこと。
それに何より、応援に来てくれた弟の前で無様を晒していることが響いているのか。
「いや!ディフェンスには戻さないし、交代もさせない!俺は、お前と豪炎寺にボールを出し続ける!」
そんな壁山に対しての円堂の返答はこうだった。
……交代させないってことは俺はこの試合出番ないな。壁山の目の前で他の選手と代わるのもどうかと思うし。
「え?」
「高いのが怖いって言いながらお前、あんなに努力してたじゃないか!精いっぱいやった努力は、無駄にはならないよ!きっと身を結ぶさ!だから、何度でもお前のところにボールを出し続ける。いいな!?」
「……でも……俺は……」
どちらにせよ、後半の指針も決まった。なら俺もすべきことをしよう。
「豪炎寺、壁山。お前らは後半もイナズマ落としに挑戦しろ。円堂も決まるまでやらせるつもりだろうし、皆もそのつもりで何度だって2人の元にボールを上げてやれ」
「比企谷、何か分かったのか?」
「さすがに前半見てればな。風丸、お前はあのチーターみたいな11番と速さ比べだ。うちで1番足が速いのはお前だ。お前がマークするしかない」
「わ、わかった」
「土門は前半と同じようにサイドをしっかりと塞いでくれ。次に栗松は―――」
豪炎寺の案により、俺は前半全てを使って野生中の動きを観察していた。そして分かったことや具体的にどう動けばいいのかを各選手に伝えていく。
まだまだ弱小サッカーチームである俺たちに、相手選手数人を1人で把握しその時々の最適なプレーをすることは出来ない。もちろん、こうやって指示を出している俺もそう。
だから少しでも円堂の負担を減らす守り方をしようと思う。前半だけで両手が腫れるほど無茶をしている円堂だが、本人は笑顔だしまだまだやる気全開だ。元々無茶しないでくれなんて言っても聞かない奴だしな。
なら、少しでも負担を軽くしてやって、カウンターからイナズマ落としを繰り出し1点をもぎ取るしかない。
「なーんで比企谷がスタメンじゃないのか分からなかったけど、こうやって外から試合を見て対策を考えるためだったんだな」
「なんだよ、もしかして半田俺がサボってるとでも思ってたの?」
「おう。小町ちゃんが来ない試合はやる気ないんだろうなーって」
「……まあ確かに小町がいないのはつらいけど」
「大丈夫です先輩!先輩の様子はちょいちょい小町ちゃんに報告してますから!」
「ねえ、なんで音無から俺の情報が小町に行っちゃってるの?おかしくない?それになんて送ったんだよ、見せろ」
「見せませんよ!」
「こいつッ!」
いつメールを打っていたんだろうか。でもまあ俺は試合を見るのに集中してたし……でもコイツ絶対碌でもないこと書いてやがる!
「あの2人仲いいよなー」
「なー、音無って比企谷のこと好きなのかな?」
「えー?先輩のあの目は誰だって引いちゃうって!」
「てめえらも何変なこと言ってんだ!」
「うわッ!?こっちきた~!?」
「逃げろ逃げろ~!!」
こんな大事な試合だというのに……俺たちは俺たちでいつも通りだな。
ま、緊張感がいい感じに抜けてくれたらそれでいい。
***
『野生中のキックオフで後半戦開始!』
前半で疲労困憊の様子を見せていた割に、俺から逃げるくらいには元気だった奴らには後半戦も走り続けろと脅した後、運命の後半戦が始まった。
「"スネークショット"!」
「"熱血パンチ"!」
「"ターザンキック"!」
「"熱血パンチ"!」
「"コンドルダイブ"!」
「"熱血パンチ"!!」
後半も、前半同様シュートの嵐が円堂を襲うが、全てセーブしていく円堂。
いくらマークをつけたり少しばかり対策を講じたところで、シュートを撃てる奴が多いためどうしてもシュートを撃たれてしまう。加え、あの身体能力に帝国にも劣らないようなスタミナ。その差が時間が経つにつれて更に顕著になっていく。
「はあっ!!」
「ぐうッ!」
ゴールを守るためとはいえ顔面で凌いだ円堂……これは交代した方がいいだろうか?俺はスタミナ満タンだし、少なくとも前半から出ずっぱりのチームメイトたちより走れるはずだ。
「もっと守備の人数をかけるんだ!円堂にばかり頼ってちゃ駄目だ!」
「はいでやんす!」
「はい!」
風丸の言葉でチームが動く。相手1人に対し人数有利を作り出してシュートまで持って行かせない。
「ゾーンプレスですね」
「確かに有効な戦術だが……相手よりも動き回るから体力をどんどん使っちまう。前半であれだけ疲弊していたってのに……やっぱアイツの頑張りが皆を……!」
そう、元々相手より体力ないのにゾーンプレスなんてやればすぐにバテてしまう。
だが……円堂の頑張りによって奮い立っているアイツらは限界を超え続ける。むしろここで俺は出ていかない方がいい。交代の時間で気持ちを切らすわけにもいかないしな。
「……でも、俺は……」
それにしてもまだ壁山は下を向いているのかよ……
「目を開けろ壁山!」
豪炎寺の言葉に顔を上げて必死に走り、守り続けるチームメイトを見た。
「みんな疲れてるのに……キャプテンはあの手でシュートの痛みに耐えてる。誰も諦めようとしない。何故……何故ここまで……!」
「信じているからだ。俺たちが必ず点を取ってくれると、本気でな!目を閉じるってことは諦めることだけじゃない。あいつ等を裏切るってことだ!」
「!?」
さすが豪炎寺。言うことが違うわ。もし俺が同じセリフを言っても壁山には届かなかったはずだ……くそ、これだからイケメンは!
ついでに俺も言っておこう。
「壁山!」
「ひ、比企谷さん……?」
「お前!弟の前でそんな姿見せたら駄目だろうが!ちゃんとお兄ちゃんとしてカッコいい姿を見せてやれ!!」
「比企谷……」
俺も小町がいるから分かる。俺は今まではかっこ悪かったらしいが、最近はいいと小町が言ってくれた。それだけでどうしようもなく嬉しかった。
壁山の弟はこんなところにまで応援に来てくれている。それだけ兄のかっこいい姿を見たいってことなんだろう。心配そうに兄を見つめているときがあったから恐らくそうだ。
だから、やってやれ壁山。
「"ターザンキック"!」
「皆が守ってくれたこのボールは、俺が必ず止めて見せる!"ゴットハンド"!」
円堂ががっちりとボールを抑えゴールを守った。
その姿を見た壁山がついに立ち上がる。
「行くぞ!壁山!」
大きく円堂が蹴り出したボールに向け、豪炎寺と壁山、そして今までその高いジャンプ力で立ちはだかってきた相手キャプテンの鶏みたいな奴がジャンプする。
やはりただジャンプするだけでは、相手キャプテンには敵わない。
すると、これまでと違って壁山は下ではなく、上を見上げる形で大きく胸を踏み台のように逸らした。
そこに豪炎寺が飛び乗り二段ジャンプ。
「これが俺の!"イナズマ落とし"!!」
そのままの勢いでボールに到達し、オーバーヘッドキック。
"ドラゴントルネード"にも劣らない、一筋のイナズマが走ったかのようなシュートは一直線に野生中ゴールへ。
そして……
『ゴォォォォル!!ついに野生中ゴールをこじ開けた!!豪炎寺と壁山による"イナズマ落とし"で、雷門先制!!』
ピッピッピー!
『そしてここで試合終了!フットボールフロンティア、地区予選第1回戦を突破したのは……雷門中だぁぁぁ!!』
円堂たちの諦めない気持ちが壁山に届き、必殺"イナズマ落とし"によって俺たちは野生中を破り、2回戦へと駒を進めたのであった。
***
「お兄ちゃん!地味にいい仕事したじゃん!」
「くそ、音無の奴め……」
家に帰宅したら小町に出迎えられ、今日の試合のことを話そうとしたら全て知られていた。
あいつマジで報告してやがったのかよ……。
八幡試合に出ないっていうね。
これでようやく野生中も終わり。次はサッカーサイボーグか……。
イナズマ落としって、ゲーム的にはイナズマおとしなんだけど、アニメだとイナズマ落としだという……公式どっちなんだろ。