やはり俺が雷門中に入学したのはまちがっていなかった。 作:シェイド
エイリア編見始めたんでまだイナイレ投稿続きます。
「そう、マークに着け!そしてシュートコースを塞ぐんだ!」
「はい!」
野生中との予選1回戦に勝利した俺たちは、いつものように河川敷グラウンドで練習をしていた。
「比企谷、あのシュートは完成できたか?」
「……まだです」
「お前は前半は試合を見るという役割があるが、後半は試合で活躍してもらわなければならない。前回の野生中との試合では出番がなかったが……今後はそうはいかないだろう」
「……おう」
円堂たちがグラウンドの半分で連携やミニゲームを行っている中、俺はその反対側で豪炎寺とシュート練習を行っていた。
シュート練習と言っても、豪炎寺は必殺"ファイアトルネード"を撃ってはいない。俺も"ぼっちワンツー"はここ最近使用していない。
理由は……橋の上で俺たちの練習を見ている奴らがいるからだ。
「"熱血パンチ"!」
「みんなー!その調子よー!」
「あいつは……」
そんな中、必殺技を繰り出す円堂を見てついため息をこぼしてしまった。
確かにこれまでの俺たちは人数だけ揃った弱小サッカーチームで、豪炎寺だけがマークされてはいたが……。
「なぁ、最近ギャラリーが増えてないか?」
「そうでやんすね」
「どうしたどうした、動きとめるな」
「……もしかして、ついにできたのか?」
「何がだよ」
「俺たちのファンだよ」
「「「えええ!?」」」
あーそういう考えになるのか。確かにこっちを見つめているのは事実だし、俺たちのプレーを見に来ているのも事実だ。
……問題はその理由だ。
「ファン……俺たちに……」
「お、俺も注目されている……!」
「あ!カメラ!こっちに向けてる!」
「「「あはははっ!」」」
楽しそうだね君たち。確かに橋の上全てにいるかのような人数だ。あれだけファンになってくれれば嬉しいよね。
……もっと自覚しようぜ。
「そ、そのうちテレビ局とか来たりして!」
「テ、テレビ!?緊張してきた……と、トイレ行ってきていいっすか?」
しまいにはテレビとか言い出したぞこいつら。
テレビ出るのは無敗の帝国やら全国の強豪ぐらいだろうに。
「よーし練習だ!必殺技にもっと磨きをかけるぞー!」
「「「おー!!」」」
地味に壁山を無視した円堂の一声でみんながやる気になったときだった。
上から黒い車が降りてきたのだ。
「うわあああ!?」
つか危ないな……もう少しで円堂と壁山轢かれるところだったぞ。
その黒い高級車から降りてきたのは、雷門中の理事長の娘で生徒会長を担い、野生中に勝った後サッカー部マネージャーに就任した雷門夏未であった。
「必殺技の練習は、禁止します」
「いきなり何を言い出すんだよ!?必殺技なしで、フットボールフロンティアを勝ち抜けるのかよ」
「あれが見えてないの?」
「あれって……俺たちのファンだろ!」
キラキラした目を雷門に向ける円堂。
コイツ……マジでファンだと思ってやがるな。
「あれはファンなんかじゃない。他の中学の偵察隊だ。俺たちのデータを取りに来てるんだ」
「「「て、偵察~!?」」」
見かねた豪炎寺が人だかりの理由を説明する。
そう、俺たちは弱小サッカー部という立場から、帝国や尾刈斗との練習試合。更には強豪野生中に勝利したことで注目されているのだ。
「全く無名のチームが、帝国学園に勝ち、そのまま連勝を続けているのよ。当然起こりうることだと思うわ」
「……分かった!必殺技の練習は、ライバルたちにこっちの手の内を見せてしまうことになるんですね!」
「「「えええ~!?」」」
音無が気づいたか。やっぱ理解力早いよな。むしろ半田達2年はなんで気づかなかったんだよ?
「その通りよ。だから禁止します」
「確かに必殺技を研究されるのは不利だ」
「でも!必殺技なしでどうやって!」
「円堂。必殺技だけがサッカーじゃない。パス回し、トラップ、シュート。やることは山ほどある」
さすが豪炎寺。良いこと言うな。俺たちは野生中に勝利したとはいえ辛勝だ。その前の尾刈斗中だってそう。
基礎的能力はまだまだ低いのだ。
「だったら!誰にも見られない練習場で練習をしよう!必殺技のさ!」
「そんな練習場、どこにあるんだ……?」
「でもさ、必要だろ?」
相変わらず無茶なこと言いだすな円堂は。そんな場所あるわけ……。
***
「さあ、入って」
「ここは……?」
あれから、次の対戦校である御影専農中のエースである下鶴と、無失点記録中のキーパー杉森が現れ、なんやかんやで円堂&豪炎寺の盾矛コンビと決闘をしたり、相手が"ファイアトルネード"を完コピしていたり、豪炎寺の本家"ファイアトルネード"を杉森が完璧に防いだりと色々なことがあった。
そして本日、雷門にここに連れて来られたのだが……
「伝説のイナズマイレブンの秘密特訓場。イナビカリ修練場よ」
「「「ええええー!?」」」
「ホントか!ホントに、イナズマイレブンの……」
「ええ」
「お前、なんでこんな場所があるって」
「見つけたの」
いやまあ、見つけたから連れてきたんだろうけど……。
「それをリフォームしたの。必殺技の特訓場としてね」
「え……使っていいのか?!」
いや、使っていいだろ。もしこれで使用禁止とか言い出したら完全に見せるだけ見せる悪役令嬢みたいになっちまうだろ。
……最初はそんな雰囲気だったなぁ。
「あるものは使わなきゃ損ですからね」
「ホントか!?すっげえ!!ありがとう!」
「!……わ、私はただ、無様な負け方をして、我が校の恥になって欲しくないだけよ」
ツンデレかよ。円堂の真っすぐな言葉に視線逸らすのが精いっぱいってとこか。
「分かってるって!おおぉぉぉ!!燃えてきたぜ!!」
そういうわけで、俺たちのイナビカリ修練場での特訓が、始まったんだ。
***
「……なんなんだここは?」
「どうやって必殺技の特訓をするでやんす?」
それぞれ数多く置いてある機械に近づくが……確かに、これでどうやって……?
「「「うわあああ!?」」」
「おい、立ち止まるな!」
「そ、存在が消えちゃうかも……」
ルームランナーの巨大版でしかも車に轢かれる可能性まである機械。
ハリネズミの回し車の横版や、電気を放出する機械まで。
俺が乗っている機械は、足場を変えて上を目指さなければ下の鋭い針に串刺しにされるだろうもの。
「うおっ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」
……あれ?これ本当に死ぬやつじゃね?
***
ピピピピピピッ!!
ドアの方から時間終了を告げる音が鳴り響き、全ての機械が機能を停止させる。
「はぁはぁはぁ……俺よく生きてるな」
「し、死ぬかと思ったでやんす……」
「イナズマイレブンって、こんな特訓してたんだ……」
「結局新必殺技は出来なかった……」
扉の前に倒れきっている俺たちはマイナスな発言ばかりしてしまう。
命の危険がある特訓とかどうなってんだ本当に……何考えてたんだよ、伝説のイナズマイレブンってのは。
「元気出せ!伝説のイナズマイレブンと同じ特訓を乗り越えたんだぜ!」
「その通りだ、この特訓は無駄にはならない」
この2人マジか。円堂も豪炎寺もやる気ありすぎだろ。
円堂の奴、あれだけシュート全身に食らってなんであんな元気なわけ?まさかマゾか……?
「よぉーし!試合まで1週間、毎日続けるぞ!」
「「「おぉ~……」」」
円堂に続いて声を出すが、もう疲れ切っていた俺たちは小さく、そしてあまり乗り気じゃない感じの声を出してしまう。
こればっかりは仕方ない。だって今すぐ寝たいくらいにはキツいんだよ。
「もう二度とごめんだ……こんな特訓が何の役に立つってんだ……」
土門の呟きを聞きつつ、疲れ切った俺たちは這い出るように扉から1人1人出ていくのだった。
***
その日から河川敷を使わずにイナビカリ修練所に籠るようになった。
雨の日でも特訓できるのは確かに利点だが、死の危険を感じさせる基礎力向上練習はやるすぎだと思うんです。
1週間、イナビカリ修練場でボロボロになるまで特訓した後、雷雷軒でうまいラーメンを食べるという行動を繰り返した。
俺だけ毎日通ったんだが、他の連中は付き合いが悪かった。円堂ですら2回ぐらい来てくれなかったし。
なんでだよ、最高だろ練習後のラーメンって。
「比企谷さん地味にラーメン大好きですよね……」
「地味ってなんだ地味って。ラーメンが待ってると思えば特訓だって乗り切れるってもんなんだよ」
「機械複数やってるの比企谷さんぐらいですって。よくやりますね……」
「豪炎寺だってやってるだろ」
「どうして豪炎寺さんを基準にしてるんですか!?」
どうしてって……いや、豪炎寺が全国レベルなら、豪炎寺基準じゃないとフットボールフロンティア優勝なんて出来っこねえだろうに。
「なあ円堂、比企谷の奴お前に毒されてないか?」
「え?うーん……そんなことないと思うけど……」
そうそう、円堂に毒されてるとかないっての。
そして残り数日も修練場で特訓を重ね……。
ついに、御影専農との試合当日を迎えたのであった。
一旦切ります。
大体二話で一試合やる感じですかね。