やはり俺が雷門中に入学したのはまちがっていなかった。 作:シェイド
復帰はこの作品、たまたまアニメ見る機会があって再び熱がつきました。
既に頭の中は世界編というね、もうね、妄想だけですよ、ほんと。
……よう実は近日出します。必ず。
「結局、新必殺技はできなかったようですね。どうやって戦うつもりです?」
御影専農との2回戦当日。試合前のミーティングで冬海監督はいつもの嫌味な顔で俺たちにそう告げてきた。
イナビカリ修練場での特訓を昨日までやっていた俺たちだが、新しい必殺技は出来ていない…
「…たしかにこの前の勝負は、俺の負けだった。でも試合はチーム同士の戦いだ!力を合わせれば、絶対にチャンスはある。ガンガン攻めて行こうぜ!」
「「「おおー!!」」」
円堂に鼓舞にチーム全員拳を突き上げる。やっぱりキャプテンが似合うなコイツは。
審判より整列するよう声がかかる中、俺は豪炎寺に声をかける。
「豪炎寺」
「ああ、今回も頼んだ」
今回もベンチスタートな俺である。
「分かってる。ただ今回は後半から俺も出るからな」
「…完成したんだな?」
豪炎寺だけは複数機械をこなした仲である為、俺の必殺技の練習を見ているのだ。修練場だけでは完成できなかったが、最後まで足掻いた結果、鉄塔広場で完成させた。
「おう。…それに、ムカついてるからな」
忘れてねえぞ。前回の円堂&豪炎寺VS下鶴&杉森の対決時に、俺たちとの試合を「害虫駆除作業」と言われたこと。今回ばっかりは許さねえ。
***
『フットボールフロンティア、予選2回戦の開始です!』
お、今日も実況は角馬か。声結構好きだし、良いこと言うんだよな。変にどっちかに肩入れしすぎないところもポイント高い。
『本日は雷門中学と御影専修農業高校附属中学との対戦!その強さは帝国に匹敵するとも言われる御影専農。それに対し雷門中はどう戦うのか!実況はわたくし、角馬圭太がお送りいたします!そして今、審判により開始のホイッスルが…今吹かれました!雷門ボールでキックオフ!』
フォーメーションは4-3-3。野生中との試合でいいディフェンスをみせた土門をCBに置き、栗松が右SBへとポジションを移している。ベンチには俺と影野、とメガネもだったな。
前回の染岡の負傷はすぐに回復できるものだったから良かったが、出来れば怪我じゃなくてチームの流れを変える為に選手交代は行っていきたいものだ。
キックオフと同時にセンターサークル内にいた豪炎寺と染岡がボールをパスし合いながら敵陣内へと侵入していく。
染岡がドリブルで上がる中、進路を塞ぐのは下鶴。
「はっ!抜いてやるぜ!」
「…」
「なに…?」
染岡のドリブルに反応せず、立ち塞がったのみでディフェンスをせずあっさり抜かれる下鶴。抜いた染岡が動揺してしまう程にあっさりと抜かされていた。
…何か意図があって抜かせたのか?
下鶴を抜いた染岡と共に豪炎寺がペナルティエリア付近まで上がっていく。そのまま"ドラゴントルネード"打てたらいいが…
「ディフェンスフォーメーションγ-3!発動!」
相手GK杉森の発した言葉に御影専農の選手が反応。FWまで戻ってきてディフェンスに回っている。
染岡からパスを受けた豪炎寺だったが、あっという間に前に5人、横に1人と囲まれてしまった。
「速いな…サッカーサイボーグと言われるだけあるぜ」
「比企谷先輩とは真逆ですよね~」
「お、ってことは俺は人間ってことか。ありがとな音無。珍しくまともなこと言ってる」
「珍しくってなんですか!あたしはいつもまともですよ!」
「いつも?稀にの間違いじゃね?」
「いつもです!」
「2人とも試合に集中して!ほら!染岡君のシュートが止められちゃったじゃない!」
「「すみません!!」」
音無といつもの掛け合いをしていたら、木野に怒られてしまった。解せぬ。
気づけば杉森がボールをキャッチしていた。影野とメガネによれば、相手ディフェンス陣4人の間を"ドラゴンクラッシュ"で打ち抜いたようだが、杉森の真正面だったと。
うちの攻撃パターン完全に研究されてるって考えた方が良さそうだな。あながち前回言っていた俺たちのデータが全て分かっているってのも本当なようだ。
「ドンマイ染岡!次だ次!まだ始まったばかりだぞ!相手の攻撃に備えよう!」
「ああ!」
円堂が大きな声でコーチングし、染岡もディフェンスに戻っていく。
なんだかんだ良いGKなんだよな、円堂って。選手ひとりひとりにコーチングするし、守備の指示もできる。少し前まで弱小サッカー部と言われ続けていた雷門にいるのが不思議なくらい…とまでは言わんが、アイツがいるから俺たちはサッカー続けられてるところはあると思う。
『今度は御影専農の攻撃!下鶴がドリブルで上がっていく!』
下鶴を含めて3人近くにいる御影専農に対して、うちはマックスと少林寺が下がりながらの対応。難しい守備の場面だが…風丸がスライディングしボールをカットした。
「ナイスだ風丸!」
「あいつよく間に合ったな!」
最終ラインの土門が驚いたように円堂に声をかけている。
「風丸先輩ったら、あんなに足が速かったかしら!」
撮影しながら試合をみている音無をはじめ、ベンチもびっくりしながらも嬉しそうな表情を浮かべている。
間違いなくあの特訓のおかげだろうな。だって生死に関わるレベルだったからな?電気とか針とか絶対駄目だろ、刺さったら大怪我だぞあれ。
風丸がドリブルで運び、宍戸にパスを送る。受けた宍戸もドリブルで上がっていくが、すぐさまスライディングでボールをカットされた。
なにあれ速すぎない?びっくりするくらい綺麗にボール奪われてるんだけど。
相手10番の大部がドリブルで上がっていき、マックスと栗松を簡単に躱している。まるで動きが読まれているみたいに。
…パターン化でもしてるんだろうか。
「来るぞ!コイツは俺に任せて、11番をマークだ!」
「「おう!!」」
円堂の指示が飛び、壁山と風丸が下鶴のマークにつく。
いや待て、そしたら右サイドが空いてしまって…
「
『あっとここで逆サイドの山岸にボールが渡った!』
「逆か!」
『そうです!逆サイドにいた山岸がフリーだ!そのままシュートを放つ~!』
山岸のシュートはゴール左上を狙ったコース重視のシュートだった。
円堂が横っ飛びしがっちりとキャッチ。そのままボールを投げようとするが…
『ああ!円堂投げられない!』
「もう守備の形ができてるのか…!」
御影専農の攻守の切り替えの早さは相当なものだ。シュートを撃ったあとには既にマークに動き出していた。
セカンドボールになったとしても拾われるのがオチか…ムカつくこと言うチームではあるが、強さは本物だ。
「やっぱり、動きが違うと思いませんか?」
「ええ、精密な機械が相手って感じ…」
「いえ、そうじゃなくて!」
音無と木野が話している間に、マークを振り切った少林寺と風丸。
「ほら!」
音無が言いたいのは、相手じゃなくて俺たちの動きってことか。
「いけ!風丸!」
円堂からの正確なスローイングから、中盤の風丸、そして豪炎寺へと繋がった。
パススピードも上がっているな。外から見てると尚更わかりやすい。
「"ファイアトルネード"!」
ペナルティエリア外から迷わずシュートを撃つ豪炎寺。
…今のはディフェンス反応してないな…なんでだ?
「"シュートポケット"!」
前回の河川敷での対決で止められた杉森の必殺技だ。だが今回は"ファイアトルネード"の威力が勝り、杉森が弾いている。
キック力も上がってるな、豪炎寺もまだまだ強くなるようで。
「豪炎寺ー!行くぞぉ!」
「ああ!」
こぼれたボールの反応した染岡が走り込んでくる。
「「"ドラゴントルネード"!」」
「"シュートポケット"!」
先程よりも威力を殺しきれていないが、同様に弾かれる。
「またか!」
「豪炎寺さーん!」
「よし!」
またもこぼれ球に反応し、壁山が前線へと上がっている。しかしこう見ると、豪炎寺の負担大きいな…全部豪炎寺ありきな必殺技ばかりだ。
そりゃ、昨年まで木戸川清修という強豪でレギュラーやってたし、当然といえば当然なんだけど。
「「"イナズマ落とし"!」」
「"ロケットこぶし"!」
"ドラゴントルネード"の更に上の威力の技に対し、杉森も技を変えて対応してきた。
完全に弾かれたボールは相手ボールとなり攻め手が入れ替わる。
「オフェンスフォーメーションΔ!」
「来るぞ!マークにつけ!」
相変わらずこっちの動きを読んでいるかのように突破してくる御影専農の選手たち。
あのオフェンスフォーメーション、ディフェンスフォーメーションが俺たちにハマる戦術なんだろうな。
だが逆に言えば、あのフォーメーションが分かればうちの弱いところや改善する点が見えてくるってことだ。
「ディフェンス囲め!」
円堂の指示で風丸と土門がドリブルで上がってくる大部に向かっていくが、先程と同様に左サイドの山岸がダイレクトでシュートを放つ…いやこれは。
「くっそー!」
シュートと見せかけて、今度は右サイドの下鶴へのラストパス。
「"熱血パンチ"!」
完全に振られた円堂だったが、かろうじて"熱血パンチ"で弾き出す。
が、弾いた先には山岸が詰めていた。
『ゴール!!決まった、決まってしまった!御影専農先制!』
「くそっ…!」
『円堂、一度は防げたものの、最後は間に合わず…これは悔しい』
なんだかんだ雷門中の生徒だし、角馬も雷門贔屓なところはある。
それにしても考えつくされた、計算された立ち位置だったな。山岸がいたのは、円堂があの位置からなら弾くであろう場所だった。パンチング技は出すスピードは早いが、狙われるとこうなることもある。
『雷門のキックオフで試合再開です!』
豪炎寺から染岡にボールが渡るが、すぐさまカットされる…と思えば、杉森までボールを戻している。
「バックパス!?」
「まさか…あいつら!?」
染岡と円堂の声に続き、スターティングイレブンからも焦りが窺える。
全員でそれぞれプレスをしボール奪取を狙うが、全て躱されボールを回される。
『あ~!戦わない戦わない!御影専農はゆっくりとボールを回し、前半の残り時間を使い切ろうという作戦か!?』
前半もロスタイムを残すばかり。自陣のコーナーフラッグ付近で7人の選手たちでボールを保持している。
俺たちもボールを取りに行きたいが、ディフェンスが動くと2点目をとられる可能性もあり、人数差もありボールが奪えない。
「くっそ…いいのかよ…こんな試合して!……いいのかよ…」
円堂が悔しそうな、それでいて歯がゆそうな顔をして拳を握りしめている。
ようやくカットできたボールも下鶴がヘッドで杉森に返し、それを杉森はキャッチ。
『ここでホイッスル!御影専農が1点リードのまま、前半終了となります!』
「あ、あぁ…」
壁山ががくっと膝をついている。
壁山だけじゃない、さっさと引き上げていく御影専農と違い、うちのスタメンはがっくりと膝をついたり、空を仰いだり、悔しそうに唇を噛むばかりだ。
…さて、と。後半は俺の出番だな。
この試合で杉森、お前の無失点記録を終わらせるのは…俺だ!
ちょっとかっこつけた八幡のモノローグ多めの今回でした。
次回で御影専農戦は終了ですかね…。