やはり俺が雷門中に入学したのはまちがっていなかった。   作:シェイド

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自分が続き気になるんだよ!!



サッカー馬鹿

「断る」

「ええー!なんでだよー!!」

 

 いや、いきなりサッカーやろうぜって言われても困るんですけど。

 俺サッカー出来ないし、やったことといえばハブられてグラウンドの端っこで壁とパスするくらい……自分で言ってて悲しくなってきた。

 

「もしかしてサッカーやったことないのか?大丈夫大丈夫!誰だって最初は初心者だし、なんなら部員俺1人だけだから!」

「いや、だからやらないっての」

「ええー!やろうぜサッカー!楽しいんだぜ!?」

 

 駄目だこいつ、完全に俺を部員にする気だ。

 

「大体なんで俺なんだ。他にもたくさんいるだろうに」

「他にも勧誘はしてる!……ただ誰も受けてくれないだけで」

「……なんかすまん」

「いいっていいって!いつものことだし!」

 

 ……こいつぼっち耐性高くないか?俺よりは高くないだろうが……いや、一人で部を作っていることを考えると俺以上か!?

 

「…なぁ、頼むよ~入ってくれ比企谷!!この通りだ!」

 

 円堂は真剣だった。目からも真剣さが伝わるほど真摯な目をしていたし、なにより俺なんかに頭を下げていることが本気度を表していた。

 …ぶっちゃけ断りづらい。だが入る気も毛頭無い。俺は学校が終われば即小町に会いに帰らなければならないのだ!

 

 だから、条件をつけることにした。

 

「円堂、すまんが今は無理だ」

「…そっか。悪かったな、しつこく勧誘して……」

「…俺は今はと言ったんだ」

「へ?」

「俺はお前のことを、円堂守のことも、サッカーのことも何も知らない。だけど、お前のその真摯な態度や、サッカーにかける思いってのは伝わってきた。だから、だな、その、あれだ。俺はこれから雨の日以外毎日ここで昼食を食べる。だから、お前がもし俺に自分のことを、サッカーのことを教えたいならきても構わない。もしかしたらやる気になるかも、しれないな」

 

 自分でもひどいと思う。でもこれしか思いつかなかった。

 円堂の勧誘を拒否するのは簡単だ。だが、俺なんかに声をかけ、まして一度を気持ち悪いと言ってこない。目のことに触れてこない(なんで?)。離れて行く様子もない。もちろん、サッカー部への勧誘のためってのもあるんだろうが、俺の観察眼をもってしても円堂が嫌々勧誘してるという感じが全くと言っていいほど無い。

 

 だから期待してしまったのだ。こいつとなら友達になれるかもしれないって。

 

 そして―――こいつとだったらあの、俺の望んだ本物が手に入るかもしれない。

 それに円堂がここまで情熱をかけるサッカー。何がそこまでさせるのか、それも知りたくないといえば嘘になる。

 

(でもちょっと厳しい条件だったか……ほぼ毎日俺と飯とか嫌に決まってるだろうしな。よし、じゃあな円堂、今日が最初で最後の出会いだった……)

 

 まあこれで諦めてでもくれたら万々歳―――

 

「わかった!!」

「え?」

「つまり、比企谷をサッカー部に入れたかったらもっと話せってことだろ!サッカーとか、俺とかのことをさ!」

「お、おう」

「よし、じゃあ早速―――」

 

 キーン、コーン、カーン、コーン。キーン、コーン、カーン、コーン。

 

「あー昼休み終わっちゃった…じゃあ明日からだ!また明日なー比企谷ー!」

「お、おう」

 

 そう言って円堂守は去っていった。

 え、なに?まじであいつ明日から来るの?嘘でしょ?あ、あれか。俺が小学校のときにされた『明日約束な!』とか言っていざ集合場所行ったら誰もいなくて夕方まで1人で待つーーーみたいな感じだな。うん、そうだろう。そうに違いない。

 今日はイレギュラーだったが、明日からもまた素晴らしいぼっち生活の日々だな。さすが俺、プロのぼっちなだけのことはある。

 

 だが、この時の俺は知らない。

 円堂守というサッカー馬鹿という存在を甘く見過ぎていたということを……。

 

 

***

 

 

「よっ!比企谷。さっそくきたぜ!」

「……円堂」

 

 こ、こいつガチで来やがった。あ、あれか?実はこうやって俺に興味持ってますみたいな感じ出しといて金とか騙し取っていくやつか?

 ……ないな、うん。だってこいつ見るからに馬鹿っぽいしな。サッカー好きだからサッカー馬鹿か。

 

「うーんそういやなにを教えればいいんだ?」

「そこ考えてなかったのかよ……お前がサッカーやりだしたきっかけとか、サッカーの魅力とか、……お前の黒歴史とかな」

「黒歴史ってなんだ?」

「……いや、なんでもない。忘れてくれ」

 

 純粋かよこいつ。まあ中学生でそんなの抱え込んで奴は少ないだろうが……まず言葉自体を知らないようだ。

 

「俺がサッカー始めたのは―――」

 

 その日から本当に毎日円堂はここにやってきた。

 雨の日は教室で食べていることを言うと、じゃあ教室で一緒に食おうぜ!とかいってきたので流石にやめていただいた。妥協案としてサッカー部室で昼食を食べることになったが。

 だがこれはある意味ラッキーでもあった。俺が教室にいるとクラスの雰囲気がよくない(気がする)ので、雨の日でも教室とトイレ以外で飯が食えるのは本当にラッキーだ。

 

 1週間も一緒に飯食べたり話したりしてれば大体わかってきた。

 

 円堂は小さい時の片付け中にたまたま物置からサッカーボールとおじいさんのサッカーノートを見つけたらしい。そのノートを開いたらイナズマ?が走ってサッカーボールを蹴ることに夢中になったとのこと。

 中学まで1人でボール蹴ってたエピソードを聞いた時は、リアルキャプテン翼!?とか、やっぱこいつ俺側じゃね?つーか毎日1人サッカーとかレベル高くね?なんて思ったりもした。

 

 で、中学入ってサッカー部入ろうとしたら、まずサッカー部がなかった。だから作ったと。なにその行動力。普通そこまでやれる奴なかなかいないだろうに。

 しかもなんと、現在部員が円堂1人であるのにマネージャーが1人いるらしい。その時俺は思ったね、こいつソロ充と見せかけてリア充かよって。

 マネージャーは女子で、木野秋さんというらしい。円堂と同じクラスの人だ。もともとサッカーが好きで、人がやってるサッカーを見るのが好きだからという理由でマネージャーになったんだと。

 この部室も前までは物置になってて、それを2人で掃除して今の状態にしたんだとか。

 すげえな。どんだけサッカー好きなんだ。

 

 で、今は放課後1人で部室前でリフティングしたり河川敷でドリブルしたりしてるらしい。さすがサッカー馬鹿だと思った。

 そしてさっきから円堂のことをぼっちぼっちと言ってはいるものの、実際に言うと『サッカーにおいてぼっち』だった。だってたまたま円堂のクラスの前を通る時少し中を見ると席の近い男子と楽しそうに話していた。つまり奴は半ぼっちといったところだ!

 ふっ、未だに敗北を知らないとはなんと罪な……その日の夜は目から水が流れ出したがそんなことはどうでもいい。

 

 サッカーについてもいろいろ教えてくれた。ポジションの名前に役割、そして必殺技。なんとサッカーには必殺技というものがあるらしい。なんということだ。ちょっとかっこいいと思ったのは内緒である。

 円堂はキーパーをやりたいらしい。おじいちゃんがそうだったのか?と聞けば、次の日に案の定そうだったということが発覚した。

 でもな円堂。体育の授業以外でサッカーしたことない奴、しかもハブられてた奴に「キーパーってなんかいいよな!」っていうのやめてくれないか?振られても「お、おう」ぐらいしか言えねえから!ちょっと気まずくなっちゃうじゃねーか。

 ま、すぐに円堂のコミュ力でどうにかなるんだけどね。

 

 そしてまた一週間が経ち………。

 

「よ、比企谷」

「円堂か」

「今日も飯食おうぜ!」

「毎日毎日飽きないのか?勧誘しても靡かない奴なんて興味ないだろ?」

「なんていうか、俺、比企谷と話すの楽しいんだ。こう、変に取り繕わなくていいっていうか、言いたいことが言える、みたいな?」

「まさかお前そっちの気が………」

「へ?そっちの気?」

「……すまん、なんでもない」

 

 そうだよな。円堂って生粋の純粋だからわかんないよな。本当にごめん。汚い俺を許してほしい。

 

「そ・れ・に!まだ勧誘諦めてねえからな!」

「はぁ。そうだろうな。毎日毎日ここに昼食食べに来るぐらいだし」

 

 円堂相手にキョどることはなくなった。接ししすぎてもう慣れてしまった。やだ、八幡、円堂に染められちゃった!……キモいな。

 

「あ、そうだ比企谷……頼みごとが」

「……またあれか?」

「うん。ここの問題なんだけど次板書でさ、その、教えてくれるか?」

「わかってる。もう慣れた」

「あはははは………」

 

 このやり取りからもわかると思うが、円堂はサッカー馬鹿だけでなく普通に馬鹿だった。

 課題はやってるみたいだが学校の成績は下の中。いや、お前進学校でもない普通の中学なんだが……なんて思った時もあったがすでに円堂がどれほど勉強できないかは知っているつもりだ。ソースは数学。俺の壊滅的な数学よりも酷い点数を新入生テストでとったのを聞いた時、思わず口の中のコーヒーを吐き出してしまった。

 円堂と反対側に吹いたのは我ながらいい判断だったと思う。あと一瞬動くのが遅ければ確実に円堂の顔一直線コースだった。

 

 昼にここでなら勧誘というか話をする、と俺が提示してるばかりに妙な罪悪感があるため数学以外の教科については教えれるところは教えていた。こいつどんだけ勉強できないんだ……。

 

 そして昼休み終了5分前のチャイムが鳴り、円堂が立つ。

 

「サンキュー比企谷、英語助かったぜ」

「別にいい」

「そっか、ならまた明日な!」

 

 そう言って立ち去る円堂。

 いつもなら俺も少し遅れて立ち上がり、教室へ向かうのだが……。

 今日は言わなければならないことがあった。

 

「円堂」

「ん?どうした?」

 

 

 

 

 

「俺―――サッカー部入るわ」




相変わらずのクオリティの低さ。許せ。
自分で読んでおかしいところを変えられる読みたい小説っていう素晴らしいことに気がつきました。
早く大学入試終わってほしいです。

次回は三月(←最早てきとー)かなぁ。

ちなみにですが今回はオリジナル設定入ってて、まあ実際アニメでも染岡と半田の入部時期が明確ではないのでそれより前に勧誘してた体でいきます。
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