やはり俺が雷門中に入学したのはまちがっていなかった。 作:シェイド
毎回一話。出しても一話。
……途中で本当に勉強詰みそうになったら更新止まります。探さないでください。
俺がサッカー部に入って、円堂と友達になって1週間が過ぎた。
円堂に頼んで今年いっぱいは基本河川敷か鉄塔広場で練習をすることにしてもらった。
小町のお兄ちゃんとしては妹を1人にはしたくないからな。
これが部員がちゃんといて、グラウンドで練習できる部活なら無理な話だが、現在の雷門サッカー部は部員2名、マネージャー1名。試合もできない、というか本当に部として存在していいのかすら危うい状況である。それに学校のグラウンドが使えるならまだしも部員が2人の部活にグラウンドの振り分けはこない。
それに、円堂も勧誘始めて1ヶ月で俺1人、という成果からみても今年中にメンバーを揃えれるかどうか、ぐらいだと思っているらしい。……まあ、本人は勧誘を続けるらしいが。
俺?いや俺がまともに話せるの円堂と秋しかいないから。なんならクラスにいないもの扱いされている気すらしてくる。
つらいのかって?友達のできた俺につらいことなどなにもない!……あ、すいません嘘つきました。さすがにクラスぼっちは友達ができたからか余計につらいです。
この1週間は主に基本的な体力作りとしてのランニングやランニングを兼ねてのドリブル練習、木野、円堂とのパス練習を河川敷で行い、円堂が鉄塔広場でタイヤ相手に体でぶつかりに行っているときは近くで小町とパス練していた。
これまで運動を全然やってこなかった俺からすれば毎日毎日きつい練習ではあったものの、この1週間でようやくボールを思うところに蹴れるようになれた。
いや、今馬鹿にした奴ら想像してみ?ほとんどサッカーしたことないクラスの陰キャがサッカーボール蹴ったらどうなると思う?スカすか意味わかんないところに飛ばすの2択だよ?インサイドでちゃんと両足ともまっすぐ蹴れるようになったのは頑張ったと八幡思うんだ。
でもね小町ちゃん。そんな兄に対して『昨日サッカークラブに行ってる同級生の子が球技大会でのサッカーで無双してたよ?お兄ちゃんの千倍上手かった』とか言うの本当にやめよう?俺これでも結構頑張ってるんだけど……。
***
月曜日。
それは、どの世代の人に聞いて1番嫌な曜日と言わしめる悪魔の曜日。土日が楽しければ楽しいほどつらさが増すという追加効果付きの憂鬱な日である。
いつもは家でゴロゴロする俺だが、昨日と一昨日は違った。円堂と鉄塔広場で午前中に練習したのだ。小町から「お兄ちゃん……ほんとに小町のお兄ちゃん?」と疑われるくらいに、朝、寝坊もせずに起きてドリブルして鉄塔広場に向かい、円堂と汗を流したのだ(意味深ではない)。
初めての友達である円堂とサッカーの練習とはいえ約束したことを破る気にはならなかった。もちろんだりぃな、と少しだけ思ったものの、ボールを蹴ることが楽しいというのが少しわかってきていたので時間よりも早く集合し、遅く終わることが続いた。
でも円堂、お前いつからいるんだよ。俺が8時についてすでに汗だくの状態って……しかも午後も1人でタイヤと向き合ったりしてるし……本物のサッカー馬鹿ってのはこいつのことを言うんだと改めて思った。
今日もいつも通りクラスではぼっちを貫き、放課後部室へと向かう。
俺がサッカー部に入ったことはある程度噂になってはいるものの、俺という存在の知名度のせいで全く誰が、というのを聞かない。ちょっとステルスヒッキー仕事しすぎなんですけど!
「うーっす」
いつもと同じ挨拶をしつつ部室のドアを開けた。
目の前に見知らぬ人が2人いた。
「あ、ごめんなさい部室の場所間違えました」
ドアを閉める。
ドアの隣にかけてある部室の名前を見る。
『サッカー部』
「いやここサッカー部じゃねーか」
ドアを改めて開けて中に入る。
さっきの見知らぬ男子生徒が2名と、笑いをこらえて俯いているであろう円堂と木野がいた。
「誰だお前?」
「あにょ、えっと、お、おりぇは!」
「「……ぶふっ!!あははははははは!!」」
見知らぬ男子生徒A(強面)に声をかけられ、答えると案の定キョドって噛んでしまった。笑いをこらえていた2人はついに我慢の限界だったのか吹き出していた。
くっそ…見知らぬ人の前で噛むのはやっぱり恥ずかしい。今すぐにでも穴を掘って潜るか、探さないでくださいの手紙を置いて旅に出たい気持ちだった。
…いつか必ず円堂には強烈なシュート浴びせてやる。
…木野にはなんもない。なんかしたら俺が死ぬ未来しか見えない。
「な、なぁ円堂。この目が尋常じゃない……目が腐ってる奴は誰だ?」
見知らぬ男子生徒B(普通)の方が円堂に問いかける。
というか目が腐ってること久しぶりに言われたわ……円堂も木野も見た目気にしなさすぎるタイプだったために忘れてたが、俺の目は大体のやつに不気味がられるんだった。
「ああ、紹介するよ。比企谷八幡。俺たちと同じ一年で2人目の部員だ!」
あ、なるほど。やっと繋がったぞ。
「……つまりこの2人は入部希望者ってことか」
「そうなんだよー!!」
「やったね!これで部員が4人よ!!」
円堂と木野が目をキラキラさせながらハイタッチしてる。これが普通の男子とかだったら嫉妬とかするかもしれんが、円堂だからな。何も感じない。むしろ和むまである。
「そうなんだ。俺、半田真一。よろしくな比企谷!」
「染岡竜吾だ。よろしく頼むぜ比企谷!」
「お、おうりょ!よろちくな!!」
「「「「ぶふっ!」」」」
お前らそんなに人が噛むの面白いか?……あ、いや面白いかも。ソースは想像上の円堂。円堂が噛むだけでめちゃくちゃ笑える自信あるわ。
「比企谷八幡だ。部員っていってもサッカー全然したことなくてな。まだ始めて一週間だ。2人は経験者か?」
「ああ、一応クラブ行ってた」
「俺もだ」
経験者か……チームとしてはプラスだが、俺個人としては俺より下手な奴がいないのは結構つらいな。
まあ仕方がないといえば仕方がないんだが。
「そういえば、2人はポジションとか決まってるの?」
木野がそう2人に問う。それ、それですよ木野さん。俺も気になる。
「ちなみに円堂はどこなんだ?」
「俺はゴールキーパー!」
「キーパーって……珍しいなお前」
「あれ?そうなの?でもなんかキーパーっていい感じしないか?」
キーパーって珍しいのか。まあ、たしかに普通点取りたい!とか動き回りたい!とかでフォワードとかミッドフィルダーが多そうではあるがやっぱりそうなのか。
「染岡と半田はポジションどこなんだ?」
「俺はフォワードだ」
「俺はミッドフィルダーでもディフェンダーでも、どっちでもいけるよ」
「比企谷は?」
「あーえっとだな、俺はまだ決まってないんだ」
「決まってない?」
「これから部員が増えていったとしても、ポジションが偏りすぎてたら試合とかできないでしょう?だから、比企谷君はその時に空いてるポジションになってもらおうって」
「まだ練習し始めたばっかりだしな。パスしか出来ん」
「えーそうか?比企谷、ドリブルうまいけどな!」
円堂はこう言っているが実際のところ俺はサッカーを舐めていた。サッカーめっちゃ難しい。パス一つ、1日で綺麗に出来るようにならないんだからな。ドリブルもとりあえず前にはできるようになっただけでテクニックとかは何もないし。
「半田はMFとDF、どっちの方が得意なんだ?」
「どっちかって言われたらやっぱMFの方かな。ドリブルの方がカットとかよりも出来るし」
「比企谷。ポジション決まってないならDFでとりあえず行けばいいんじゃねえか?DFって結構みんなやりたくないといえばやりたくない地味なポジションだし、あんまり目立ってるところを見ない地味なポジションだからな」
染岡。お前は多分あまり気にせずに言っているんだろうが……そうやって地味地味と言われるとやる気失うんだけど……。
でもたしかに現状だと、GK円堂にMF半田、FW染岡としたらDF誰もいないんだよな……。
「……ならとりあえずDFってことで」
「そっか。よぉし!人数も増えたし、早速練習しようぜ!」
「「「「おおー!」」」」
こうして雷門中サッカー部は部員4人、マネージャー1人となった。
***
「……で、なんで河川敷なんだ?」
「悔しいけど、グラウンドが使えないからな。それに……」
「お兄ちゃん!今のボール変な方向に行ってたよ!」
「うっせ、わかってるっての!」
「……誰だ?あれ」
「ああ、比企谷の妹だよ」
「ええー!?」
「嘘だろ!?」
俺が木野とパス練をしていると、半田と染岡が驚きの声を上げて俺と小町を見比べている。失礼な奴らめ。
「全然似てないな」
「ああ。アホ毛くらいしか接点がない」
ひでえこと言いやがる。でも何も反論できねえ。
「ほら、比企谷君次行くよー!」
「……おう、いいぞ」
この日からこの5人+小町で練習をした。
その間に円堂とか半田が勧誘(俺?したって変わんないから何にもしてない)するも部員はこれ以上集まらず。
結局この1年間、このメンバーで河川敷や鉄塔広場で練習した。
やはり染岡も半田も円堂のタイヤ特訓には度肝を抜いたらしい。そりゃあ人がタイヤに叫びながらぶつかっていくのを見ると誰でもそうなる。
2ヶ月間基本的な練習をしたあと、河川敷の橋の下の壁を利用してのシュート練習(俺のみ)や、河川敷グラウンドのゴールを使ってのキーパー練習、ダイレクトシュートやボレーシュートの練習なんかもした。
半年経てばランニングの際にタイヤを縄で結び、それを腰に引っ付けて走るようにもなった。
これはきつかった。初めてやった日は小町の手料理すら食べる気が起きずに帰って速攻寝てしまったほどだ。
それでも日に日に慣れて今では平時の3分の2くらいの速さで走ることができるようにまでなった。
あと、サッカーの練習をするようになってからというもの、俺はサッカー動画にハマった。同世代や国内のプロ選手のテクニックや必殺技、さらには海外まで……見ていて飽きなかった。
必殺技を打つタイミングといい、そのパワー、スピード。とてつもないものだったのだ。いつかは俺もそんな風に必殺技を使う日が来るのだろうか。
そしてそんな毎日を過ごしていくうちに春が夏に、夏が秋に、秋が冬になり………。
春、俺たちは2年生になった。
うーん、ちょっと前のより面白くない気がしますが仕方がないです。
だってなんか眠たいんだm……。