涼宮ハルヒの螺旋 ―壊れなかった世界―   作:最上 イズモ

10 / 19
涼宮ハルヒの合宿(久しぶりにエヴァンゲリオンの世界へ)

「夏休みに合宿するわよ」

放課後の部室で、唐突にハルヒが宣言した。

椅子に座っていた全員の視線が一斉に彼女へ向く。

窓から差し込む夕方の光の中で、ハルヒはいつも通り自信満々だった。

 

ハルヒ「場所、どこにする?」

 

キョン(イズモ)は一瞬だけ思案し、静かに口を開いた。

この世界の流れも、ハルヒの退屈耐性も、ある程度は把握している。

刺激は必要だが、制御できる刺激でなければならない。

 

キョン(イズモ)「知り合いに自衛隊の大佐クラスの人がいる」

キョン(イズモ)「その基地を見学するってのはどうだ。夏休みになると思うけど」

 

ハルヒの目がわずかに輝いた。

 

ハルヒ「面白そうじゃない」

 

キョン(イズモ)「ただし条件がある」

キョン(イズモ)「俺と、案内役の赤木リツコさんの言うことは絶対に聞くこと」

キョン(イズモ)「泊まりは基地内の空き宿舎だ」

 

ハルヒは少し考えた後、即答した。

 

ハルヒ「いいわ。それで決まりね」

 

その翌日。

部活後の部室には、珍しくハルヒの姿がなかった。

キョン(イズモ)は周囲を確認し、朝比奈ミクルに近づく。

 

キョン(イズモ)「ミクル、ある時間に飛んでほしい」

 

ミクルは戸惑いながらも、小さく頷いた。

 

ミクル「上の人から指令が来てます」

ミクル「虚数空間の件、ですよね」

 

キョン(イズモ)「ああ」

 

場面は切り替わり、コンピューター研究部部長のマンション付近。

夕暮れの空気が重く、異変の予兆が漂っている。

 

キョン(イズモ)「これを着けて」

 

ミクルに手渡したのはステルス迷彩装置だった。

 

ミクル「はい」

 

キョン(イズモ)「急いでハルヒの後を追え」

 

ミクル「はい」

 

二人は姿を消し、ハルヒの後を追って室内へ侵入する。

直後、空間が歪み、虚数空間が展開された。

 

使徒擬きとの戦闘が終わり、赤黒い空間が静まり返る。

 

キョン(イズモ)「……みんな、元の空間に戻ったな」

 

ステルス迷彩を解除し、キョン(イズモ)は白い少年へ向き直る。

 

キョン(イズモ)「カヲル、今の俺は数日後の未来から来た俺だ」

キョン(イズモ)「理屈は省くが、第3東京に行きたい」

 

カヲルは穏やかに微笑んだ。

 

カヲル「いいけど、理由は?」

 

キョン(イズモ)「涼宮ハルヒという存在が、この世界の創造神に近い」

キョン(イズモ)「本人に自覚はないが、退屈すると世界が危うい」

キョン(イズモ)「だから、面白い世界を見せる必要がある」

 

カヲル「なるほど」

カヲル「だからこの世界に飛んだんだね」

 

キョン(イズモ)「ああ」

キョン(イズモ)「彼女たちが来るのは七月三十日だ」

キョン(イズモ)「今帰る時、一緒に時間を合わせて飛ばせないか」

 

カヲル「わかったよ」

 

瞬間、世界が切り替わる。

ゼーレから独立した組織、グリュック。

キョン(イズモ)はミクルに指示を出した。

 

キョン(イズモ)「司令室へ行く」

キョン(イズモ)「ミクルは綾波の所へ」

キョン(イズモ)「カヲル、頼む」

 

司令室。

重苦しい空気の中、碇ゲンドウが低く問う。

 

ゲンドウ「誰だ」

 

キョン(イズモ)「キョン(イズモ)だ。この姿は初めてだがな」

 

ゲンドウは一瞬目を細め、やがて静かに語った。

 

ゲンドウ「君のおかげで、使徒擬きへの対処も、老人どもの問題も楽になった」

ゲンドウ「初号機の機能も維持でき、ユイも戻った」

ゲンドウ「感謝している」

 

キョン(イズモ)「協力できて良かった」

 

ゲンドウ「用件は?」

 

キョン(イズモ)「異世界から見学者が来る」

キョン(イズモ)「表向きは自衛隊基地見学だ」

 

ゲンドウ「了解した」

 

数分後、宿舎で再合流する。

アスカとレイが視線を向けた。

 

アスカ「久しぶり」

レイ「……久しぶり」

 

シンジだけが困惑していた。

 

シンジ「あなたは……?」

 

キョン(イズモ)「君に憑依してインパクトを防いだ者だ」

 

シンジは目を見開いた。

 

シンジ「伝説の……最上イズモさん?」

 

キョン(イズモ)「大げさだ」

 

数日後。

夏休み。

ハルヒたちを連れ、ワープゾーン化したトンネルを抜ける。

 

キョン(イズモ)「ここが例の自衛隊基地だ」

キョン(イズモ)「案内は赤木リツコさん」

 

リツコ「箱根基地研究開発部、赤木リツコ」

リツコ「よろしく」

 

ハルヒは周囲を見渡し、感心したように息を吐く。

 

ハルヒ「広いし、近未来的ね」

 

リツコ「ここは研究開発が主」

リツコ「戦車類は外部施設よ」

 

AI開発区画、兵器開発区画を巡り、最後に巨大な存在が姿を現す。

 

リツコ「汎用人型決戦兵器、エヴァンゲリオン」

 

ハルヒ「ロボットじゃないのね」

 

リツコ「人造人間よ」

 

宿舎に到着し、一泊。

翌朝、第三東京市へ。

 

ハルヒ「意外とお土産屋、多いのね」

 

賑やかな街並みの中で、ハルヒは退屈とは無縁の笑顔を浮かべていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。