涼宮ハルヒの螺旋 ―壊れなかった世界―   作:最上 イズモ

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リピート8(2回ループで終わる)

昼下がり。

キョン(イズモ)は端末を操作しながら、ある違和感を覚えていた。

プログラムの構造自体は単純だが、どこか既視感がある。

 

キョン(イズモ)「……この処理、前にも触ったような」

 

その瞬間、通信音が鳴った。

表示された名前は涼宮ハルヒ。

 

ハルヒ電話「今日、暇でしょ」

 

キョン(イズモ)「まあな」

 

ハルヒ電話「二時前に駅前集合だから」

 

キョン(イズモ)「必要なものは」

 

ハルヒ電話「水着一式」

 

キョン(イズモ)「了解」

 

約束の一時間前。

キョン(イズモ)はすでに駅前に立っていた。

念のため、ステルス防水仕様のパワードスーツを展開する。

見た目はただの服装だが、水中でも行動に支障はない。

 

やがてハルヒと長門ユキが現れ、何事もないように車に乗り込む。

市民プールに到着すると、ハルヒは迷いなく飛び込んだ。

 

ハルヒ「速く来なさーい」

 

キョン(イズモ)「飛び込み禁止だぞ」

 

イツキ「実に夏らしい光景ですね」

 

キョン(イズモ)は周囲を警戒しながら、イツキに視線を送る。

 

キョン(イズモ)「閉鎖空間は」

 

イツキ「最近はゼロです」

 

それを聞き、わずかに胸を撫で下ろす。

ハルヒは水面から上がり、満足そうに息をついた。

 

ハルヒ「そろそろご飯にしましょう」

ハルヒ「今日はミクルちゃんの手作りサンドイッチよ」

 

キョン(イズモ)「いただきます」

 

イツキ「これは美味しいですね」

 

何事もない一日。

そう思っていた。

 

帰り道、喫茶店に立ち寄る。

ハルヒは紙ナプキンに大きく予定を書き始めた。

 

盆踊り。

花火。

バッティング。

昆虫観察。

肝試し。

釣り。

ビーチバレー。

天体観測。

 

キョン(イズモ)「二週間で全部やる気か」

 

キョン(イズモ)「明日は出店のある盆踊りだな」

キョン(イズモ)「明後日は花火大会」

キョン(イズモ)「肝試しは出店のお化け屋敷で済ませればいい」

 

ハルヒ「今日は解散」

 

翌朝。

浴衣の買い出しに付き合わされる。

キョン(イズモ)は内心、瞬時に生成できるのになと思いながらも口には出さなかった。

 

盆踊り会場。

出店を端から端まで巡り、夜が更ける。

 

ハルヒ「花火しましょ」

 

キョン(イズモ)「見るのとやるのは別物だが、まあいいか」

 

手持ち花火、噴き出し、打ち上げ。

夏らしい光景が続く。

 

その後も予定通り、遊び尽くした。

だが、夏休みは終わらなかった。

 

キョン(イズモ)「……このプログラム、前にも修正してないか」

 

カエデ「ループしています」

 

キョン(イズモ)「何回目だ」

 

カエデ「二回目です」

 

キョン(イズモ)「まだマシだな」

 

その予感はすぐに確信へ変わる。

 

夜中、天体観測を終えた直後、電話が鳴った。

 

キョン(イズモ)「どうした」

 

ミクル電話「未来に帰れなくなりました……」

 

イツキ電話「どうも、小泉です」

 

キョン(イズモ)「時間が閉じてるな」

キョン(イズモ)「今行く」

 

夜の公園。

ミクルは震えながら説明を始めるが、禁則事項ばかりが続く。

 

キョン(イズモ)「もう分かった」

 

キョン(イズモ)「原因は勉強だ」

キョン(イズモ)「最後のミーティングで勉強会を提案しないと、ループが確定する」

 

イツキ「普通なら何万回も繰り返さないと気づかない現象ですね」

 

キョン(イズモ)「今回は運が良かった」

 

そして最後の日。

全ての予定を終え、ミーティング。

 

ハルヒ「これで課題は終わったわね」

ハルヒ「なんか、物足りない気もするけど」

 

キョン(イズモ)「まだある」

キョン(イズモ)「みんなで勉強会だ」

 

ハルヒ「まだ終わってなかったの」

 

キョン(イズモ)「俺は初日に終わった」

キョン(イズモ)「一番危ないのはミクルと小泉だ」

 

ミクル「まだです」

 

イツキ「私もです」

 

ハルヒ「しょうがないわね」

ハルヒ「四人でやりましょ」

 

翌日。

静かな教室で勉強会が開かれた。

その瞬間、世界は前へ進み出す。

 

長い夏は、ようやく終わった。

 

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