某日
Poppin'Partyのメンバーは有咲の蔵での練習を終え、やまぶきベーカリーに向かっていた。
「んー!今日も疲れたー!」
「おいおい…まだ昼だぞ?」
「でもなんか朝からバンド練習してると『やってるなー!』て感じしない?」
「いや全然?」
「ええー!?有咲ならわかってくれると思ったのにー!」
「安心して香澄、私は凄く感じてるよ?」
「おたえー!」
たえの胸に飛び付く香澄。それを横目で見る有咲。3人を後ろから見守るりみと沙綾。ポピパメンバーのいつもの光景だ。
「今日もみんな元気だね~。」
「あはは…。そうだね。」
「それにしてもどうしてウチに行こうなんて言ったの?普段はそんなに言わないのに…」
「うーん…なんだかみんなとチョココロネ食べたくなっちゃって…。ダメだったかな…?」
りみが申し訳なさそうにそういうと沙綾は「全然!」と元気に答えた。
「じゃあ私の部屋でみんなで食べよっか!」
「いいの!?」
「勿論!」
沙綾の提案によって「それじゃあやまぶきベーカリーまで皆で競争だー!」と言って走り出した。それにつられてかおたえも走り出した為、残りの3人も有咲を筆頭としてその場から駆け出した。
それから少しして5人はやまぶきベーカリー前まで辿り着いた。着順としてはおたえ、香澄、沙綾、りみ、有咲の順だった。
「はあ…はあ…おい…。お前ら…急に走んな…。」
遅れてきた有咲が息をあげながらぼやいた。
「有咲、運動不足?」
「おたえ…お前な…」
頬をひきつらせながらたえを睨むものの本人には全く効果がない模様。
アリサのこわいかお
タエには効果がないみたいだ…
さて地の文で遊ぶのはさておき、有咲の呼吸が整ったところで5人は店内へと入っていく。
店の中には様々なパンが焼き上がった時の香りが充満しており、まさにパン屋という感じでパン好きにはたまらない空間となっていた。
「うん、さーやの香りだ。」
「あはは。なにそれ?」
おたえのボケに笑いながら沙綾は返答する。一方のりみはチョココロネの場所を目指しお盆とトングを持っていた。
そしてチョココロネ売り場に近づいた時、誰かと接触した。
「すみません!前見てなくて…」
「いやいや、こちらこそすみませ…」
その声を聞いたとき「どこかで聞いたことある声だな…」と思いながら頭をあげると…
「ん?りみ?」
「えっ…?か…葛三くん!?」
彼女のお隣さんである『十六夜葛三』が目の前にいたのだ。
「おーいりみりー……あっ。」
「ん?」
タイミングがいいのか悪いのか…香澄が2人のもとにやって来ると葛三の姿が目に入った。
「あっ!この間のりみりんの彼…」
「香澄ちゃん!」
香澄が何かを言いかけた所でりみは持っていたお盆とトングを元の場所に戻し2人で外に出た。彼女らにつられてか残った3人もそのまま外に移動した。
「ん?なんだったんだ今の…」
葛三はその場に1人残されたままだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「えっと…りみりん?」
お店の外に香澄を連れ出したりみは必死だったのか息を切らしていた。
「香澄ちゃん…ちょっと待って…色々と…」
りみは必死に何かを伝えようとするが上手くろれつか回ってない為、香澄は首を傾げていた。
「りみ?本当に恋人なの?」
「ち…違うよぉ…。」
「恋人じゃないんならあそこまで焦って外出る必要無いんじゃねーのか?」
「えっと…それは…。」
何かを言おうとするがどうにも歯切れが悪いりみ。しばらくその様子を見ていた沙綾は「ふーん」と何かを納得したかのようにうなずいていた。
「そっか~そう言うことか~。」
「さ…沙綾ちゃん?」
りみに「ちょっとこっち来て?」と仕草をするとりみは香澄たちから少し離れた場所に向かった。
「どうしたの?沙綾ちゃん。」
「りみりん…あくまで私の推測なんだけどさ……」
「あの人のこと、好きなの?」
沙綾の言葉にりみは数秒間沈黙し、「おーい」と沙綾が声をかけた所で『ボフッ』と効果音が聞こえそうな勢いで頭から湯気が出ていた。
「さ、さ、さ、さ、沙綾ちゃん!?」
「落ち着いて!?あくまでも私の推測だから!ね?」
必死に詰め寄るりみを見て沙綾は「どうどうどう」といった感じにりみを沈めていた。
「はあ…はあ…ご…ごめんね?沙綾ちゃん…。」
「うん…それで…実際のところどうなの?」
「そ…それは…。」
りみは誰にも聞こえないレベルで何かを呟いていた。沙綾には彼女が何を言っていたのかは聞こえなかったものの、りみのこれまでの反応からなんとなく察しがついていたようだ。
「まー無理には聞かないからさ。とりあえずチョココロネ食べて落ち着こ?」
「うん…。」
「あ、それと……何か相談事があったら私で良かったら力になるよ?」
沙綾の言葉に「ほえ?」と首を傾げていたが、「こっちの話♪」と沙綾にはぐらかされてしまった。
2人はそのまま店内へと入っていった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ところで、りみとはどんな関係なの?」
店内に入るといきなりこの台詞が耳に入った。それを聞いた2人は声がした方を見るとそこにはたえが葛三に色々と聞き取っている状態だった。
「ああ、りみとは彼女がここに来てからの隣人同士だ。ご近所付き合いも多くてな…次第と仲良くなっていった…というところだ。」
「そっか。」
「それにしてもりみりんに男の子の友達がいたのは驚いたよ~。」
「そうだな。確かにそう言われても無理はない。彼女も年相応の女の子なんだ。自分と打ち解けるまでもかなり時間がかかったしな。」
「そうなの?」
「ああ、出会ったばかりの頃は声をかけただけで「か、葛三くん!」ん?」
話をしているとりみが横から会話を遮ってきた。当の本人は話をされたくないのか顔を真っ赤にしていた。
「おお、りみか。さっきはどうしたんだ?急に飛び出して行って。」
「それは…その…」
りみ、香澄、たえ、そして葛三がわやわやしてる側で沙綾と有咲はその様子を眺めていた。
「なんだ。すっかり打ち解けてるじゃん。」
「まーな…。これはかりは香澄とおたえが一枚上手だったと言うべきかなんと言うべきか…。」
「それにしてもどうやって彼に話しかけたの?」
「いや、気づいたらおたえが中に入ってあの人と話してたんだよ。なんか『筋肉凄いですね。』みたいな会話しててさ…。」
「そ…そうなんだ。」
「おたえの行動にはもう驚かねーけどさ…てっきり持ち出した話題はりみのことかと思ったら何故か筋肉について色々と語り合ってるからな……流石に私もビックリしたぞ?」
「まあ…こういうところは流石おたえと言うべきなのかな?」
有咲がため息をつく傍ら、沙綾は「あはは…」と小さく笑っていた。
「ねえ、りみってもしかしてマッチョ体質の人が好きなの?」
「おたえちゃん!?そうじゃないよ!?それにまだそこまでは…」
「えっ?じゃありみはゴリマッチョの方が好みなの?」
「おたえちゃん話聞いて!?」
「それで葛三くんが出会った時のりみりんってどんな感じだったの?」
「ああ、それについてだが話すと長く…「葛三くんも言わなくていいよぉ…。」」
残りの4人は相変わらずといった感じでとても賑やかに話をしていたのだが、りみはなにかと大変そうで端から見てもわかるくらいには目を回していた。
「助けてやるか…。」
「だね。」
ストッパーとしてそこに沙綾と有咲が入ってきたことでなんとか事なきを得たりみであった。
因みにこれは余談だが…
「あ、申し遅れました。私、市ヶ谷有咲です。よろしくお願いいたします。」
「十六夜葛三だ。よろしく頼む。………それより…さっきと口調が違うが…社交辞令的なものなのか?」
有咲の猫被りは一発でバレてしまったらしい。
ゼロワンの主題歌かっこよすぎて気付けはしょっちゅう聴いてます。OPムービーも凄くカッコいい!みんなも仮面ライダーゼロワン見よう!
☆10という最高評価をくださったぴぽさん、ありがとうございました!
良ければ感想や評価よろしくお願いします!
@kanata_kizuna