間に合いました(詳しくは作者twitter参照)。
そしてこちらでも1ヶ月開けてすみませんでした。
テスト週間。
それは普段の授業で学んだことを発揮する為に知識を蓄える時。勉強が苦手な人にとってはまさに地獄のような期間とも言えよう。
「うう~。どうしよう~。」
市ヶ谷家の蔵では真っ白なノートを前に香澄は頭を抱えていた。
「ったく…。」
「ありしゃ~助けて~!」
「急にくっつくな!大体普段から勉強サボり続けてきたお前が悪いんだろ!?」
「だって~!」
あまりの辛さに香澄は有咲に泣きつく始末。有咲もそんな彼女に呆れた視線を送っていた。
「はいはい2人ともー、早くしないと終わらないよ。」
「いや私は大体終わってんだよ…。……問題は…」
「助けてぇ~。」
相変わらず有咲はしがみつく香澄をなんとか引き剥がそうとするが香澄は絶望の余りかずっとこんな状態だ。
「………うん、出来た。」
「え?おたえ早くない!?」
「マジ?…あのおたえが!?」
「うん、終わったよ。」
「……なあ、ちょっとノート見せてもらっていいか?」
「いいよ?」
そのままたえからノートを受け取り、パラパラとページをめくっていく。そしてある程度見たところで有咲の口元が若干つり上がっていた。
その訳はというと…
「なあおたえ……これなんだ?」
「オッちゃんだよ?可愛いでしょ?」
「お前問題解いてたんじゃねーのかよ!?」
そのノートにはぎっしりと書き詰められたのは問題の解答…ではなく、うさぎのイラストであった。
「こんなんで本当にテスト間に合うのかよ…」
そう言いながらカレンダーを見る。そこにはちょうど1週間後の日にちに大きな赤丸がつけられ、その下には『テスト当日』と書かれていた。
しかし現実は非常なりというべきか、このような有り様である。
香澄は理解に追い付かず、たえに至っては勉強してるのかという程のマイペースさな為先程から有咲は頭を抱えていた。
「……そーいやりみとさーやは…?」
テーブルの反対側を見るとそこには正座をして互いに教えあっているりみと沙綾がいた。
「なんだ、2人はやっぱり真面目にやってんだな。」
関心したように見ていると後ろから香澄が有咲を呼ぶ声がしたため、ため息をついた。
「有咲~この問題何て言ってるの~?」
「だからこれはクジラ構文使えって言ってるだろ。このthatに気を付ければ簡単に読めるっての。」
「このwhatって意味ってどれなの~?」
「お前話を聞いてたか!?このwhatは『何』って意味じゃねえよ!」
「ねえ有咲、ちょっといいかな?」
沙綾に呼ばれた有咲は悩んでる香澄に「後で来るからそれまで考えとけよ」と言い残し、沙綾の元に向かう。
「で、沙綾はどうしたんだ?」
「この数学の問題なんだけどさ…因数分解してもうまくいかないんどけど…」
「それは…「有咲、ちょっといい?」あーもうちょっと待て!」
このような感じに蔵のテーブル周りを必死に回り1人1人の質問に答えていく。しかし、彼女も人間であるため対応にも限界がある。
よって…
「……もう無理…マジ死ぬ…」
こうなってしまうわけだ。
気力が無くなったかのように有咲は腕を伸ばしたまま机に伏せてしまった。
「有咲ちゃん…大丈夫…?」
「いや、すげー死にそう…」
りみが彼女の傍に行き心配する傍らで…
「有咲、疲れたの?」
たえによるこの一言で有咲は少しイラッとしたが、本人は疲労が溜まっていた為怒りをぶつける余裕も無かった。
「よし、有咲の為に甘いもの買いに行こっか。」
「やったあ!さーやのパン食べたーい!」
と盛り上がる香澄とたえであったが、未だに微動だにしない有咲とそんな彼女を心配するりみ、そして沙綾はそんな状況を苦笑いしながら見ていたという中々カオスな状況になっていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
一方やまぶきベーカリーでは葛三とその友人である恭太郎がパンを選んでいた。
「さて、どうすべきか…。」
「…まだ悩んでるんですか。」
彼の目の前には塩パンとウインナーロールが並べられており、トングとパンを乗せたお盆を持ったまま悩み続けていた。
「悩むなら両方買えば良いんじゃ無いんですか?」
「いや、他のパンを思ったより買ってしまったのでな。これ以上買うと予算を越えてしまうんだ。」
「……それを大量に買っているからでは?」
葛三の持つお盆を見ながら呟いた。現に彼のお盆にはチョココロネが4つも乗っていた。
「それにしても珍しいですね。きみがそんなに甘いもの好きだったなんて。」
「いや、別に自分は甘いものが好きなわけではないぞ?」
「は?じゃあそれどうするんですか。」
「決まってるだろう。あいつへの土産だ。」
「あー…。そう言うことですか。」
葛三の言葉を聞いて何かを理解した恭太郎。そんな中、悩んだ末に塩パンを手にした葛三はレジに向かい会計をしていた。
会計を済ませたことでこれ以上長居する必要も無くなった2人は店を後にしようとした。恭太郎が扉にに手をかけようとしたとき…
「お邪魔しまーす!」
勢いよくその扉が開かれた。当然その近くにいた恭太郎は思いっきり顔面を強打しており、その付近で踞っていた。
「おい香澄……お前はもうちょっと静かに出来ねーのか…。」
「あはは…まあ良いんじゃないかな?」
その後ろから他の4人も入ってきた。
「あれ?葛三くん?」
「おお、君たちか。久しぶりだな。」
「久しぶりだねー!」
「だから香澄はもうちょっと静かに知ろって…。」
葛三との久しぶりの再開を喜ぶ香澄に有咲はため息混じりに言う。当の本人は「何で~!?」と聞き返した為、有咲は頭を抱えた。
「葛三くんも来てたんだ。」
「ああ、ちょっと帰り道によってたんだ。りみたちもか?」
「ううん。さっきまでみんなとテスト勉強してたんだけど中々進まないから少し休憩にね。」
「なるほど。」
「有咲、バテちゃったんだ。」
「誰のせいだと思ってんだ!?」
たえの一言に凄まじい形相で有咲が言い放ったが、たえは「さあ?」という表情をしていた。
「あはは…。まあ私たち、有咲に頼りっぱなしだからね。」
と苦笑いする沙綾。葛三も「なるほどな」と言いながら大体のことを察した。
「彼女も大変なんだな…。」
「あ、それでなんだけど葛三くん。明日時間あるかな?」
「大丈夫だが?」
「実はこの間教えて貰った所、確認して欲しいんだ。」
「ああ、それか。別に構わないぞ。」
「あれ?りみりんって葛三くんに勉強教えてもらってるんだ。」
と、りみと葛三が話している所、沙綾が少し気になったことを聞いた。
「うん。葛三くん、結構教えるの上手いんだ。」
「へえ~…。じゃあさ、私も教えて貰ってもいいかな?」
「ああ、自分で良ければ協力させてくれ。」
「・・・・・じー。」
「お…おたえちゃん、どうしたの?」
「じゃあさ、明日6人で蔵に集合しない?」
「どーしてそうなるんだよ!?」
有咲は本日何回目かわからないツッコミをたえに向けて放つ。しかし、やはり当の本人は聞いていなかった。
「よーし!それじゃあ明日は蔵で葛三くんも含めて皆で勉強会だー!」
「だからなんでお前がしきるんだよ!」
と、店内は賑わり6人による勉強会が確定したのだった。
「……俺忘れられてませんかね。」
「えーと…誰だかわからないけど…お疲れ様です。」
「あ、はい。」
そして密かに蚊張の外になっていた恭太郎を沙綾はそっと励ましていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
─2週間後─
花咲川学園では1週間前に行ったテスト返却が行われた。各自それぞれ自分の答案を見て、喜ぶ者、がっかりする者などその様子は様々だった。
そしてポピパメンバーはというと…
「やったよーー!!赤点回避出来てたぁー!!」
最も危険視されていた香澄が無事赤点を回避していた。因みにりみ、沙綾も前回のテストからどの教科も点数は上がっていて、有咲はいつものように上位層の成績だった。
「今回皆結構良いね~。」
「まあ、香澄が赤点回避してる位だしな。それにあいつの教え方、結構分かりやすかったし。」
「うん。葛三くん、わからない問題でも丁寧に教えてくれるからすっごく理解しやすいの!」
「へえ~。じゃありみりんは最高の専属家庭教師がついてるんだね~。」
「せ…専属!?」
「あ…いや、そー言う意味じゃ無いんだけど…」
沙綾の言葉に赤面するりみを彼女は宥めていた。
「……ん?そう言えばおたえは?」
「ここにいるよ?」
「うおい!!なんで真後ろにいるんだよ!!?」
「有咲の髪見てたの。」
「……お前な…」
「あ、そうだ。おたえちゃんは大丈夫だったの?」
有咲が何かを言おうとしたがりみがたえに質問ため、話の方向は反れてしまった。
「大丈夫だったよ?」
「そうなんだ。良かったね…。」
「赤点ギリギリだったけど。」
「ん?じゃあなんでさっき先生に呼ばれてたの?」
「うん、これが駄目だって言われちゃって…」
たえの一言に沙綾は疑問を覚え、それを質問する。そしてたえの答案を見た有咲はため息をつき、りみと沙綾はなんとも言えない顔をして香澄は新しいものを見るような目をしていた。
「おたえ、これなんだよ…。」
「ムキムキなオッちゃん。」
「いやだからなんでテスト中にこれ書いたんだよ!?」
「葛三、筋肉あるじゃん?」
「…そうだな。」
「オッちゃんが筋肉つけたらどうなるのかなーと思って。」
「なるほどわからん。」
どうやら勉強意外にも多少言うべき事があるようだ…。
そう思った有咲は再び葛三に頼るべきか、それともこれ以上はやめた方が良いのか再び悩む羽目になったのだ。
うん、最近思ったけどおたえを暴走させすぎな気がするけど大丈夫かな?おたえ推しに怒られそうで怖い…。
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@kanata_kizuna