Sweet Daily   作:キズカナ

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ご無沙汰してます。
こちらの小説、ある約束で「3月中に上げます」と宣言してしまいました。
なので絶対に3月中に更新するという断固たる意思の元に編集しておりますが、何かの間違いで間に合ってない場合がございます。
その際はそれぞれタイムマジーンで3月31日に戻るか「今日は3月31日だ」と自己暗示していただき皆さんの気合いで3月中に合わせて読んでいただくことを推奨いたします。

読者の声「無茶言うな」

さて、おふざけはこのくらいにしてどうぞ( ゚д゚)ノ



絶望の中にも幸福あり?

 

 

 牛込りみは絶望していた。

 世の中にこんな理不尽が存在しても良いのだろうか、一体私が何をしたのが言うのか…。確かに私の注意不足もあったのかもしれない。それでも少しくらいの加護はあっても良かったのではないだろうか。

 しかし現実は非情である。いくら嘆いても目の前の現実が良くなる訳ではない。

 もう少し…もう少し早くここについていれば…彼ら?を救うことが出来たのかもしれない。

 

「りみりん…?おーい?」

 

 彼女の友人が傍で声を掛けている。

 だが今のりみにはその言葉は届かなかった。今の彼女の心は完全に後悔と絶望に支配されているからだ。

 

「あのさ…りみりん…?」

 

 果たしてこんな現実、許して良いものか。

 否。許されるべきではない。

 だからこそ彼女は決意したかの悪しきこの運命を駆逐しなければならない。

 そしてもたらすしかない、世界に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界にチョココロネを!

 

「あのさ、1人で燃えてる所悪いんだけどさ…パン、置けないんだよね…。」

 

 と、傍から山吹沙綾が焼きたてのパンを載せたお盆を持ち、苦笑いしながらその姿を見ていた。

 

「あっ…。ごめんね、沙綾ちゃん…。」

 

 その言葉に我に戻ったりみは申し訳なさそうにその場を退いた。

 

「あはは…。さっきのりみりん…親の敵と言うばかりチョココロネの場所見てたよ?」

「えっ?そ、そんなに?」

「うん。やっぱり…ショックだったかな…?」

「それは…その………うん…。」

 

 戸惑いながらもりみは頷いた。それを見ていた沙綾はまた苦笑いしながらも難しい顔をした。チョココロネはやまぶきベーカリーの大人気商品なので無くなることを前提に次に焼く準備をしているのだが、今日に限って予備の材料が無く、追加で焼くことが出来ないのだ。その結果こうなったと言う訳だ。

 

「じゃあ…今日はこれ買って帰るね…。」

 

 りみは自分の心の穴を埋めるかのようにチョコレートロールパンをお盆に載せ、レジで会計を済ませた。

 

「ありがとうございました。あと…なんかごめんね?」

「ううん。私も次はもっと早く来るようにするね。」

 

 りみはチョコレートロールパンが入った紙袋を持ってお店を出ていった。その後ろ姿はどこか気分が沈んでいるのを隠しきれないように沙綾は見え、今度からはもっと入念に材料管理を行わなきゃと強く心に刻んだ。

 

「不味いよ~。寝坊しちゃった~。」

「いらっしゃい……あれ?モカ、どうしたのそんなに慌てて。」

「昨日夜遅くまで起きてて~寝落ちして起きたらこんな時間になっちゃったんだよ~。それよりさーや、チョココロネある~?」

「あー…言いにくいんだけど…チョココロネ、売り切れちゃったんだよね…。」

 

 そう言われたモカは雷を直接くらったかのようにショックを受け、膝から崩れ落ちていた。

 

「モカちゃんの……モカちゃんのチョココロネがぁ…。」

「……チョココロネ以外なら幾つかあるんだけど…どうする?」

「………買う。」

 

 本当にこれからは気を抜かずにチェックしよう。りみに続き、モカの姿を見た沙綾は改めてそう自分に言い聞かせた。

 因みにその日モカはこれでもかと言うほどのパンを購入し、やけ食いをしていたのだとか。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 一方、肩を落としながら家に帰ったりみは自室で買ってきたチョコレートロールパンをちまちまと食べていた。普段ならチョコレート関連の物、特にチョココロネはあっという間に食べてしまうりみであるが、やまぶきベーカリーでのことを引きずっているのか少し食べるペースが遅くなっている。

 

「うう…チョココロネ…。」

 

 落ち込んでいると下の階で誰かの話し声が聞こえた。片方はいつも聞いている人物、姉のゆりの声なのですぐにわかった。しかし、もう片方は……。耳を澄ませてみると男性のものだった。姉が男性と話しているというのが気になり思い腰を上げて階段を降り玄関へと向かった。

 

「あ、りみ。起きてたんだ。帰って来てから部屋に籠りきっていたから寝てるのかと思ってたよ。」

 

 彼女に気付くとゆりはりみに話しかけてきた。

 

「うん。ちょっとね…。」

「………あ、そうだ!今、葛三くんからチョコレート貰ったんだけど食べる?」

「チョコレート!?」

 

 自分の好きな食べ物に目を輝かせるりみを見てゆりは少しほっとしていた。

 

「じゃあちょっと奥行っててね。私は葛三くんにお礼言ってくるから。」

「えっ?葛三くん来てるの?」

「うん。…ってさっき言ったんだけど?」

「あっ。」

 

 目の前のチョコレートによって会話の一部分が聞こえていなかったようだ。

 

「じゃあ…一緒にお礼言っとく?」

「うん。」

 

 そのまま2人が玄関に戻るとゆりの言うように葛三がそこにいた。

 

「いや~待たせちゃってごめんね葛三くん。」

「いえ、大丈夫です。で、りみは…大丈夫そうですね。」

「えっ?」

「いや、さっきゆりさんに『なんかりみが落ち込んでいる』って聞いたからな。」

「えっと…心配させちゃってごめんね?」

 

 りみは罰が悪そうな表情をしていた。

 

「それにしても…今日どうしたの?やまぶきベーカリーから帰って来るなり凄く落ち込んでたけど…。」

「えっと…その…………、チョココロネ…が」

「チョココロネ?」

「……そういうことか…。」

 

 りみの言葉にゆりは少しだけ首を傾げていたが、葛三は何となくだが察したようだ。

 

「買えなかったんだな?」

「……うん。」

 

「でも仕方ないんだけどね…。」と言うりみを見ながら葛三は少し考え事をしていた。

 

「そのチョココロネはやまぶきベーカリーのじゃないと駄目なのか?」

「駄目って訳じゃないけど…やっぱりやまぶきベーカリーのチョココロネが1番美味しいから…。」

 

 それを聞いて再び葛三は頭を掻いた。

 

「でも大丈夫だよ!葛三くんがくれたチョコレート、めっちゃ美味しそうだし少し元気出たから。ありがと。」

「そうなのか?それならいいんだけどな。」

 

 そんな会話をしてると葛三の携帯電話が鳴った。

 

「おっと…。じゃあ自分はそろそろ帰ります。」

「うん。おばさんによろしく伝えといてね。」

「はい。それじゃあ失礼します。」

 

 そのまま葛三は牛込家を後にして自分の家に戻っていった。

 

「じゃあチョコレート食べようか。」

「うん!」

 

 その後、ゆりとりみは葛三から貰ったチョコレートの箱を開け、チョコレートを堪能しようとしていた。

 その時、りみの携帯電話が鳴った。

 

「もしもし?」

『ああ、りみか。』

「葛三くん?どうしたの?」

『いや、実はさっき帰ったら母がケーキを焼いていたんだが…。自分と母だけでは食べきれない量でな。もし良かったらお裾分けしようと思うのだが…』

「うん!じゃあ取りに行くね!」

『わかった。じゃあ都合いい時間に来てくれ。』

 

 会話が終わるとりみは電話を切った。

 

「誰からだったの?」

「葛三くんからだったよ。葛三くんのお母さんがケーキ焼いたから良かったら食べに来ないかって。」

「へえ。じゃあ何時からにする?」

「いつでも大丈夫だって。」

「じゃあ準備が終わり次第行こっか。」

「うん!」

 

「じゃあチョコレートはその後のお楽しみだね。」と言って箱をしまい。姉妹は戸締まり等の準備をし始めた。

 朝から不運なことが起きてしまい、今日は厄日かと思っていたのだが、案外良いことが起き、今朝のショックが嘘のように心が晴れ晴れしていた。

 

「それにしてもさりみ、ケーキ食べた後でチョコレート食べれるの?」

「大丈夫。チョコレートとケーキは別腹だよ?」

「あははっ!そうだったね。」

 

 そのまま2人は十六夜家へと足を進めて行くのであった。

 

 





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