ピンポーン……ピンポーン……
「ったくやっと来たわね」
時刻は18時。楓お母さん下着事件から2時間ほど経っていた。
「随分ゆっくりだったね。慌てること無かったかな。彩葉お出迎え一緒にしよっか」
「はい」
私は、エレナお母さんを置いて楓お母さんと2人で玄関に向かった。扉を開けると天音お姉さんとさゆりお姉さんが立っていた。
「やっほー楓ちゃん!それにいーろーはーちゃん!!!」
「んーー!!苦しいです!」
どうやら長年やっていたという楓お母さんへのセクハラが私に回ってきたらしい。
「やっぱり子供の体温って温かいよね。抱き枕にして寝たいもん。ほっぺもぷにぷにしてて気持ちいいよ」
天音お姉さんは、私の体を撫で回しながら言った。まぁ綺麗なお姉さんに触られて悪い気はしないけどこれを何年も楓お母さんはやられてたのか……
「人の体温なんて変わりませんよ。天音お姉さんも温かいし柔らかいです」
私は天音お姉さんに体を預けながら言葉を返した。なんだかこの人には甘えてもいいようなそんな気がしたのだ。
「珍しいわね彩葉が甘えてるなんて。蹴飛ばそうとしたら胸の中に収まってるんだもの。流石に邪魔出来なかったわ」
知らない間にエレナお母さんも玄関に姿を表していた。楓お母さんへのセクハラが無いか確認しに来たのかな。
「私も初めて見たかも。ってか彩葉甘えられるなら私にも甘えてくれたっていいのに……」
楓お母さんは、驚いたような表情をしていた。それに少しだけ怒ってるような気もするけど気のせいかな?
「あー!楓ちゃん私に嫉妬してるー!彩葉ちゃんは渡さないからね!」
「私の子です!ほら彩葉同じように甘えてくれていいんだからね?」
「!?はい……」
天音お姉さんから私をひったくるようにして楓お母さんの胸の中に、私は抱き抱えられた。
謀ったな天音お姉さん……敢えて楓お母さんを煽ってこうなるように仕向けたんだ。私は、楓お母さんが自分の胸に私の顔が当たるように強く抱きしめていて、その柔らかい感触をいつまでも感じていたいような気持ちになった。それに好きな人から抱きしめられるなんてこんなにも嬉しくて心臓が爆発しそうなぐらいドキドキする事も分かった。
「ほら彩葉、天音お姉さんにやったように甘えていいんだよ?ってか1回甘えてくるまで離してあげない。天音お姉さんとさゆりお姉さんずっと玄関にいさせるわけ行かないよね?」
楓お母さんがニコッと笑いながら言ってきた。なんかキャラ変わってませんかね……
「エレナお姉さん、楓お姉さんお酒とか飲みました?いつもこんな感じじゃないですよね?」
私は、話を逸らそうとエレナお姉さんに声をかけた。これ以上密着していると私もボロを出してしまいそうな気がしたからだ。
「この子は結構頑固なとこもあるってだけよ。それに私と天音には甘えられて何で私には?って不満もあるでしょうよ。ほら彩葉、楓お母さんをギュッて抱きしめて上げて」
「別にエレナお姉さんに甘えた覚えなんてないんですけど……」
それを言うとエレナお母さんが楓お母さんに聞こえないように耳元でボソッと呟いた。
「パンツ。頭の良い彩葉なら分かるよね?早くしないとバラすわよ」
1番人が気にしてることをこの人は……分かったよやればいいんでしょやれば。
私は自分の両手を楓お母さんの腰に回すと抱き着くように身体を預けた。顔だけは見られたくなかったから楓お母さんの胸の中に顔を埋めた。決してやましい思いはない。ただ真っ赤になった顔を見られたくないだけ。うん絶対そう。
「よしよし。普段からこれぐらい甘えてよね。まだ5歳なんだから私とエレナに気を使ったりする必要ないんだから。やりたい事や欲しいものがあったら言ってくれていいんだからね」
私の背中を擦りながら楓お母さんは優しい声で私に語りかけた。ホントにどれだけ優しい人なんだろうか……きっと私が気を張ってたと思ってたんだろうな……
「ありがとう楓お母さん。大好き」
「うん。私も大好きだよ彩葉」
私の大好きと楓お母さんが言う大好きの意味は違うけれども、私は楓お母さんから言われた大好きという言葉を忘れる事はないだろう。そして疲れていたのか、楓お母さんの胸の中で安心したのかは分からないが急な眠気に襲われ、楓お母さんの胸の中で私の意識は夢の中へと消えていった。
--------------------
side楓
「やっぱり気張ってたのかな。すんごい幸せそうな顔で寝てるよ。それにちゃんと聞いてた?私の事お母さんって言ってくれて大好きって。ホントに彩葉の親になれて良かったよ」
私は、ベッドで眠る彩葉の髪を撫でながらエレナに話していた。初めて彩葉に言ってもらったお母さんという言葉が嬉しすぎて、あの後、天音様とさゆりの新婚旅行の計画の話を聞く時も顔がにやけっぱなしだったらしい。自分ではそんな顔になってるとは思わなかったけどエレナから見たら一目瞭然だったみたいだ。
「よっぽど嬉しかったみたいね。私も彩葉があそこまで素直に甘えるなんて思わなかったわ。私と同じように彩葉の本音を引き出したのはまた天音だったわね。適当な事ばっか言うくせに人の本質はあの子には見えてるのかもね」
「そう言えばエレナの私への態度が変わったきっかけも天音様だったね。1番私達のこと気にかけてくれたのって天音様だったんじゃない?今度お礼しなきゃだね」
「そうかもね。私も天音の事は楓の次に信頼してるし感謝もしてるわ。天音に言ったら調子に乗るだろうから言わないけどとても感謝してるわよ。彩葉ともすぐに打ち解けてあの子も天音の事は好きだと思うわ」
少し顔を赤くしながらエレナはそう言った。相変わらず誰かを褒める時に顔を赤くするのは変わらないらしい。恥ずかしがり屋で優しいのは私と付き合い出した時からホントに変わらないんだなって思う。結婚したら子育てで仲違いしたりレスになったりしてすぐに別れる夫婦も少なくないってお母さんから聞いたけど、私達は絶対そうはならないなって思う。こんなに綺麗で子供の事も大切に扱ってくれて仕事もこなしてくれる人なんて私にはもったいないぐらいだもん。
「エレナ」
「ん?どうしたの?」
「しよっか。彩葉が心開いてくれた記念日だもん。ちょっと気持ちが舞い上がっちゃってるしこの気持ち沈めてよ」
私がそう言うと一瞬エレナは驚いていたが何かを察したのか、私の手を引いて彩葉が寝静まっているのを確認すると静かに彩葉の部屋を出た。
「楓からの誘いなんて珍しいじゃない。ホントに今日はどうしたのかしらね」
「なんだか嬉しくってさ。それにエレナの少し照れた表情見たら我慢出来なくなっちゃった」
「キャッ!ちょ、ちょっとそんないきなり」
私は、ベッドにエレナを押し倒すと自分の右足をエレナの顔の前に差し出した。
「そんないきなりって言ってる割に拒否しないんだね」
「ずるいわよ……早く私に命令して下さい楓様……」
期待するような眼差しでエレナが見つめてくる。今は私がご主人様。絶対彩葉には見せられないけどね。
「いいよ。私の足舐めて綺麗にしてくれるよね?」
「はい……」
その日の私は、普段よりSっ気が強くエレナを逃がさなかった。次の日の仕事が午後からということもあり、翌朝4時までエレナの事を責め続け、2人で知らない間に眠ってしまっていたらしい。なんとか彩葉が起きる前に起きた私はエレナを叩き起して濡れたシーツなどを洗濯機に突っ込んでシャワーを浴び事なきを得た。
「気付いてないよね……」
「気付かれてたら今回は貴方のせいよ……」
私達は2人で彩葉を起こしに行った。
「おはよ彩葉。朝ご飯出来てるから早く降りておいで」
「おはよ」
そう言うと眠たそうな顔をした彩葉は小さな体を起こしながらこう言った。
「明け方近くまでお盛んなのはいいけどもう少し静かにしてもらってもいい?隣の部屋だからエレナお母さんの奇声こっちにまで聞こえてるからね。着替えるから下先に行ってていいよ。なんでわかったの?って顔してるけどあれで気付かない方がおかしいよ。えっと、後敬語外したんだけどどうかな?」
私達の小さな天使に昨晩の行為がバレていたみたいだった……私とエレナは顔を見合わせると気まずそうに彩葉に謝ることしか出来なかった。でもやっと普通に話してくれて私はとても嬉しかった。
「そう言うのは聞こえないふりしておくんだよ。わかった?それじゃ待ってるね」
「5歳児に奇声なんて聞かさしたら普通はお母さん何かあったの!?って飛び込んでくるからね。うん。また後でね」
「あ!後で新婚旅行の話するからそれだけちゃんと聞いてね!」
「はーい」
旅行の準備もしっかりしなくっちゃだね。天音様とさゆりの大切な新婚旅行に同行させてもらうんだもん。それに彩葉が家族になってから初めての旅行。絶対成功させなくっちゃ!私は気を引き締め直してリビングへと向かった。
エレナ「楓、今回は貴方に非があるわよ……」
楓「エレナだって喜んでたんだからお互い様じゃん。ちょっとやりすぎたかなとは思うけども……はぁ、気付かれてた……やっちゃったよ私」
エレナ「まぁあの子のことだから気にしないでしょ」
楓「まぁ首輪がバレてるしエレナがドMなのも知ってたしね」
エレナ「うんって言いたくないわね……とにかく次からは静かにね」
楓「いやだいたい甲高い声あげるのエレナじゃん」
エレナ「……」
次回は新婚旅行の予定について月村家で3人が作戦会議をする予定です。
感想、評価お気に入りなど宜しくお願いします!