「全く私が普通に話してくれて嬉しいんだろうけど楓お母さんもエレナお母さんも今朝方までお盛んなんだもん。壁そんなに厚くないんだから丸聞こえだったよ……」
時刻は10時。楓お母さんの胸の中で眠ってしまった私は、天音お姉さんの新婚旅行の計画を聞かずに寝てしまった。まぁ楓お母さんから話があると思うから大丈夫かな。それに私の中でも1つ変化があった。楓お母さんと普通に話せるようになったことだ。好きという気持ちは変わっていないけど、自然にタメ口で話せるようになり、お母さんとも呼べるようになった。それと私が楓お母さんと言った時の楓お母さんの表情がとても嬉しそうで、しっかり呼べて本当に良かった。
「よいしょっと。うん。これでおっけーだね」
私は、パジャマから部屋着に着替えると楓お母さんとエレナお母さんが待つリビングへと向かった。
「おはよう楓お母さん、エレナお母さん」
「おはよー」
「おはよ」
2人の綺麗なお母さんが私を待っていた。テーブルには朝ご飯のハムのサンドイッチとスクランブルエッグ、ヨーグルトが並べられていた。それに私の席にだけプリンが置いてあった。
「2人はプリン食べないの?」
「昨晩お騒がせしてしまったお詫びだから気にしないで食べてね。元はエレナが自分用に買ってきたプリンだから大丈夫だよ。味はエレナが買ってくるぐらいだから保証してあげる」
「なんだエレナお母さんのか。それなら遠慮なく食べるね」
「最近私の扱い雑すぎじゃない?まぁ別にいいけど。1つ1500円のプリンだからね味わって食べなさい」
「え!?これ一つで1500円!?」
私は目の前の小さなプリンを指差して驚いた。普通のプリンって100円とかじゃなかったっけ……
「そうよ。私の行きつけのお店なの。他にも種類あるから彩葉が気に入ったなら今度3人で行きましょうか」
「うん!」
「それじゃ食べよっか。いただきます」
「「いただきます」」
楓お母さんの声に合わせて私とエレナお母さんも同じように言うと朝食に手をつけた。
出された料理は全部が美味しくて、ファミレスやコンビニのご飯なんて絶対食べれなくなると思った程だった。まぁファミレスもコンビニも行ったことないけどあんまり美味しくなさそうだしね。
私は、出された朝食をぺろりと平らげると1500円のプリンに手を付けた。1口食べてみると……
「んー!!!何これすんごく美味しい!」
私にしては珍しく年相応の反応をしてしまった。1口食べた瞬間に甘みが口の中に広がって私がとろけてしまいそうなぐらいだった。
「ふふ、美味しいでしょ?彩葉がそんなに喜んでくれるなら上げたかいあったわね」
「うん。こんなに美味しいプリン食べたの初めてだったよ。ちょっとはしゃぎすぎちゃって恥ずかしかったな」
私は、エレナお母さんに少し顔を赤くしながら言葉を返した。こんなの施設にいたら絶対経験出来なかっただろうな。
「いいのよ子供はそれで。さてと、それ食べ終わったら旅行の事で少し話そうかしら。大好きな楓お母さんに包まれて寝ちゃったもんね彩葉」
ニヤニヤとした顔で話すエレナお母さんは、朝から楽しそうだった。ホントにこの人は人をいじるのが好きなんだなって思う。これで中身はドMって言うんだから面白いよね。
「恥ずかしいから思い出させないで。はぁ美味しかった!ご馳走様でした」
「お粗末さま。食器だけ台所に持って行ってくれる?」
「うん」
私は、食器を台所に持って行くとテーブルへと戻った。
「それで旅行の話って?」
私は、席に着くと正面でコーヒーを飲んでるエレナお母さんに話しかけた。
「楓が来たらにしましょ。貴方も何か飲む?」
「コーヒー飲んだことないから私も飲んでみたいかも」
「私の1口飲んで飲めたら楓にいれてもらいましょ」
そう言ってエレナお母さんは私の前に自分が飲んでいたコーヒーカップを差し出した。
「これってブラック?」
「そうよ」
「いただきます……ごめん私にはまだ早いみたい」
少し舐める程度しか口に含まなかったが、苦味が口に広がって何も美味しいとは思わなかった。
「まぁそーよね。逆に味覚まで大人だったらびっくりするとこだったわよ。はいこれ口直しのホットミルク。カフェオレにするように残しておいたんどけどあげるわ」
「ありがと」
ミルクを口に含むと口の中から苦味が消え、嫌悪感が無くなった。やっぱり私にはブラックコーヒーは早かったみたいだ。
「お待たせー。彩葉ミルクティーいれてきたから飲むよね?」
「ありがとう楓お母さん」
「それじゃ話を始めましょうか。私も午後から仕事だからそんなに時間ないからね」
「うん」
コトンとコーヒーカップを置くと、iPhoneをポケットから取り出してエレナお母さんが話を始めた。
「まず日程だけど今日から2週間後の6月30日~7月3日に決まったわ。場所は沖縄。天音のご両親は海外を進めてたらしいんだけどどうにも天音とさゆりちゃんが沖縄がいいって聞かなかったらしくてそこになったわ。正直言うと私達の用意することって特にないのよね。費用も全部緒方家持ちだって言うし」
なんていうか流石はお嬢様だなと思う。普通の家庭なら金銭面とか気にしたりすると思うし……あ!そう言えば来月って……
「なるほどね。後、来月から私って学校に編入するんじゃなかったっけ?」
「あーその事なんだけど」
何故だかバツが悪そうな顔をエレナお母さんはしていた。何かあったのだろうか。
「実は夏休み中なのよ。7月半ばに担任の先生と顔合わせと学校の適当な説明してもらって本当に通い始めるのは9月頭からになるわ。ごめんね私の確認不足で遅くなって」
「ううん。そういう事なら大丈夫。ちょっと緊張してたからさ」
「ふふ、彩葉でも緊張するのね」
「そりゃするよ。だってまだ5歳だよ!?普通なら6歳からでしょ?だからちょっと怖いなって思ってたの」
私は思っていたことをそのままエレナお母さんに言った。私の年齢は満5歳。普通なら年中さんか年長さんぐらいだもん。
「可愛いとこもあるのね。私ならもう中学校にも行けるのに!って言うのかと思ったわよ」
「言うわけないでしょ……話を戻すね。とにかく私が旅行に向けてやる事って特にないって事だよね?」
「仰る通りです」
「りょーかい。仕事前に時間作ってくれてありがとう。お仕事頑張ってね」
「ありがとう。それじゃ行ってくるわね楓、彩葉。お留守番宜しく」
「うん。行ってらっしゃいエレナ」
「ん」
「ちょっと!彩葉いるんだから考えてよね」
「じゃーねー」
あの人はホントに……エレナお母さんは、楓お母さんを自分の方に寄せると頬にキスして仕事に行った。完全に見せつけじゃん……
「ごめんね変なとこ見せて。それじゃ私達はのんびりしてよっか」
「うん」
私達は、エレナお母さんが帰ってくるまでテレビを見たり一緒に本を読んだりして過ごした。
彩葉「ホントに嫌な性格してるよね」
エレナ「なんの事?」
彩葉「わざわざ見せつけなくてもいいじゃん。別に2人の時は何してもいいけど私いるんだからね」
エレナ「何よ彩葉もやって欲しいなら言ってくれればいいのに。ん。あら柔らかい」
彩葉「もー!何してんのよこのバカ!」
エレナ「それでは次話で会いましょう!感想、評価など宜しくお願いします!」
彩葉「逃げるなぁ!」