「天音お姉さんのお屋敷までどのぐらいなの?」
「歩いて10分ぐらいだからすぐだよ」
私達は3人で待ち合わせ場所である天音お姉さんのお屋敷へと向かっていた。最初は3人で手を繋いで歩いていたが、エレナお母さんが気を使ってくれたのかはわからないが、途中で手が疲れたから彩葉の事任せるわね。と言って私達の後ろを歩いていた。今は楓お母さんと2人で手を繋いで歩いている。天音お姉さんのお屋敷までの短い道のりだけだったが、その時間はとても幸せに思えた。
「着いたよ。ここが天音様のお屋敷。エレナの仕事場とそんなに変わらないでしょ?」
楓お母さんが指を指した方を見ると、そこには立派な豪邸が建っていた。大きな門には警備員さんが立っていて、中庭を歩いて本邸があるといった感じだ。中庭だけでどれぐらいの広さなんだろう……エレナお母さんのお屋敷も凄いけど、それに劣っていないぐらい立派な建物で、近場に2軒もこんな建物が立っているなんて知らなかったな。ご近所さんからしたらちょっとした観光名所とかになってたりしそうだけどどうなんだろうか……
「ホントにお嬢様って感じだね……あれ?エレナお母さんは?」
気が付けば先程まで後ろを歩いていたエレナお母さんの姿が見えなくなっていた。
「エレナなら先に行ったよ。私達も入ろっか」
私と楓お母さんは、大きな門をくぐると中庭を進んで豪邸の方へと向かった。
「私も天音様のお屋敷に来るのってすんごい久しぶりだからちょっと緊張しちゃうな」
大きな中庭を進みながら楓お母さんが私に話しかけてきた。
「そうなの?」
「うん。エレナがあんな性格だから滅多にお屋敷から出なかったんだよね。天音様とさゆりはしょっちゅう来てくれたんだけど私達が天音様のお屋敷に行ったのって今日含めて3.4回しかないんだよ」
「あぁ……確かにエレナお母さんって引きこもり体質ですよね」
まだそんなに長い時間エレナお母さんと一緒にいる訳では無いけれども、この数週間でエレナお母さんの性格はだいたい分かってきた。基本的に面倒臭い事はしないし、基本的には自分から動かない人だ。まぁ楓お母さんと私が絡むと率先的に動いてくれてるから私の中では優しくて綺麗で性格の悪いお母さんだけどね。楓お母さん絡みで何回からかわれたかもうわからないよ……
「ふふ、彩葉も大分エレナと仲良くなったもんね」
「不本意だけどそうかもね」
私達は2人して笑っていた。なんだかんだ言っても私はエレナお母さんの事も好きになっていたみたいだ。まぁ楓お母さんの好きとはちょっと違うけどね。
「楓!彩葉!早くなさい!閉めちゃうわよ!」
「はーい!今行く!」
私達は、玄関の扉を開けて待っているエレナお母さんの元へと走った。
扉の先にはメイド服を着たさゆりお姉さんが立っていた。
「おはようございますエレナさん、それに楓と彩葉ちゃんも」
ペコりと頭を下げながら話すさゆりお姉さん。しかし天音お姉さんの姿が見当たらなかった。
「さゆり、天音はどうしたの?」
「それがまだ起きてこなくて……私はこのとおり後はメイド服から普段着に着替えればいつでも出れます」
玄関にはさゆりお姉さんの荷物と思わしき物が置いてあった。
「全くこんな日に寝坊とはね……天音の部屋まで案内して貰えるかしら?」
「わかりました。楓と彩葉ちゃんは私の部屋で待ってて貰える?天音の横の部屋だから」
「おっけー」
そう言うとお屋敷内の広い廊下を真っ直ぐ進んで2階に上がってすぐの部屋の前でさゆりお姉さんは立ち止まった。
「ここが天音の部屋で横が私の部屋です。それじゃ悪いけど楓と彩葉ちゃんは私の部屋で待っててね」
そう言うとさゆりお姉さんとエレナお母さんは天音お姉さんの部屋へと入っていった。
「それじゃ私達はさゆりの部屋で大人しくてよ」
「うん」
横の部屋の動向が気になったが私は大人しく楓お母さんの言ったことに従ってさゆりお姉さんの部屋の中へと入った。
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sideエレナ
「ったく……幸せそうな顔してるのが腹立つわね」
天音は大きなベッドでお腹を出しながら幸せそうな寝顔を浮かべていた。天音の性格からして部屋の中は散らかってるものだと思っていたがゴミひとつとして落ちておらず、本や洋服などもしっかりと整理整頓されていた。以外に綺麗好きなのかしらね。
「ホントにすみません……」
「貴方が謝ることじゃないわよ。それじゃ起こしますかね」
「こうなったら中々起きないので多少手荒にしてもらって構わないので」
「元よりそのつもりよ。天音、いつまで寝てるのよ飛行機間に合わなくなっちゃうわよ」
軽く体をゆすっても天音はうんともすんとも言わなかった。これじゃさゆりちゃんもお手上げよね……
「ったく朝だって言ってるでしょ!起きなさい!」
私は、天音が大事そうに抱えていた布団を取ると部屋のカーテンを開け日差しがもろに顔に当たるようにしたのだが……
「ねぇ……なんでこいつ下着だけなの?普段から?」
「これでも寝る時は基本裸だったのを強制させたんですよ……すみませんだらしない所を」
「なるほどね」
まぁ私もそこら辺に関しては人の事言えないからいいわ。でも天音と同じだったと思うとちょっと嫌だわね……
「ちょっと起きなさいよ。あんま寝てると胸握りつぶすわよ」
いくら揺すってもうーんうーんと唸るだけで一向に起きる気配がなかった。ホントにめんどくさいわね……
「いつもはどーやって起こしてるの?」
「えっと……楓には内緒にして貰ってもいいですか?」
何故かさゆりは顔を赤くしながらモジモジとしていた。もしかして……
「キスでもして起こしてるの?白雪姫なのこいつは?」
「ち、違いますよ!ま、まぁそれに近いんですけど……私と天音の結婚式当日も寝坊してちょっとしたやり方で強引に起こしたことがあってそれやったら起きないかなって……」
「それで頼むわ。これ以上は私も手出さないと無理だもの」
「あの、エレナさん申し訳ないんですけど私の部屋で待ってて貰えませんか?ちょっとエレナさんに見せずらいと言うかなんというか……」
まぁそういう事かなとは思っていた。でもそんな事言われたら逆に出ていきたくないよね?
「私の性格知ってるでしょ?嫌よ」
私は笑顔でさゆりに返事を返した。
「ですよねぇ……ホントに秘密でお願いしますよ」
「えぇ。月村家当主として約束は守るわ」
「はぁ……天音?寝たフリしてるなら起きてよ?いいのねエレナさんの目の前であれやって?……もー!起きてよー!!!」
よっぽど恥ずかしいのか最後の最後まで粘るみたいだった。でもこの1時間後には飛行機に乗らなくてはならないとなるとあまりここで時間を使う訳には行かなかった。
「さゆり、そろそろ間に合わなくなるんじゃないの?天音の支度もあるでしょ?」
「わかりましたよ……はぁ……」
そう言うとさゆりは天音が付けていたブラを外して、胸の近くに顔を持って行くと……
「ふふ、いやごめんなさい笑っちゃ失礼よね」
何故か胸を吸い始めた。ったくどうして私の知り合いにはこんなのばっかなんでしょうかね。
『エレナがそれを言うの……』
なんだか空耳が聞こえた気がしたが気の所為だろう。それにしてもあの胸腹立つわね。胸も大きいくせに形も綺麗だし、なんで私だけこんな……そう思うと腹がたって仕方がなかった。
「さゆり、退きなさい」
「え?はい」
一心不乱に乳を吸っていたさゆりを天音の傍からどかすと私は、思いっきり胸を引っぱたいた。
「いったぁ!!!ちょっと何すんのよ!ってエレナ!?え!?やばい私寝坊した!?」
どうやらようやく起きたらしい。私が胸を引っぱたいたせいで天音の胸に綺麗な手の跡がついているのは内緒にしておこう。そう思ったエレナだった。
「ったく何時だと思ってるのよ。早く支度してよね」
「ごめん……ってかなんで私ブラつけてないの?まさかエレナ……」
「さゆりが乳首吸ってたわよ」
「さゆりさん!?」
珍しく天音が慌てていた。いつも通り笑いながら流すものだと思っていたんだけどね。
「だって起きないんだもん!前それで起きたから起きると思って……」
「まぁいっかエレナだし。さゆりは向こう着いたらお仕置きね。さてと!5分で支度するから玄関で待ってて。さゆりも着替えちゃいな」
「おっけー。ホントに寝坊癖治してよね」
「ごめんね。エレナもなんかごめん汚いもの見せて」
「ホントよ。次寝坊したらその無駄な脂肪無くなると思いなさい」
そう言うと私は、楓と彩葉を連れ出して玄関で2人を待つことにした。天音が言った通り5分もしないうちに乱れた髪を整え、いつもの天音の姿がそこにはあった。
「それじゃしゅっぱーつ!」
「ホントに元気ですよね天音お姉さん……」
天音の変わり者っぷりに彩葉もため息をついていた。私達5人は天音の使用人の車に乗り込むと羽田空港へと向かった。
楓「彩葉そっちに行かせなくてよかった……天音お姉さんの様子見に行かない?ってずっとそわそわしてたんだよね」
エレナ「あの子にしては珍しいわね。まぁ他の人の家なんて全然行ったことないだろうし興味本位だろうね。もしくはあの子がスーパーむっつりでこの展開読んでたのかもよ」
楓「彩葉をエレナと一緒にしないでよね。あ、彩葉来たからこの話はここで終わりね」
彩葉「なんの話ししてたの?」
楓「エレナお母さんが変態でどうしようもない人だよねって話だよ」
彩葉「また楓お母さんに変なことしようとしたら許さないからね」
エレナ「いつ、どこで私が楓に変なことしたのよ?」
彩葉「結婚する前の大学の夏休み。更衣室で発情したんでしょ?天音お姉さんが言ってたよ」
エレナ「……ちょっと天音殺ってくるわ」
楓「全くもう……次回は沖縄入りです!良かったら感想評価なども宜しくお願いします!」
彩葉「お願いします!」