sideエレナ
「はぁ……何も今言わなくてもいいじゃない。やっと元気な顔楓に見せられたんだからそれで終わりで良かったのに。私がプレッシャーかけすぎたかしら……」
確かに私は、彩葉に旅行中にどうにかしなさい。とは言ったけどまさか病院で言うだなんて思わなかったわ。きっと頭の中が楓に思いを伝える事でいっぱいいっぱいになってたのね……少し悪いことをしたわねあの二人には……
「とにかく明日ちゃんとあの子と話さなきゃ。楓には悪いけどお留守番してもらう事にしてもらうわ」
今の彩葉と楓を会わせたらどんな風になるかも分からないし落ち着くまでは私が顔を出す事にしよう。楓には自分で考えなさいとは言ったけどやっぱり放っておく訳にはいかいわね。
布団に入って横になるとすぐに私の意識は夢の中へと落ちていった。
時刻は朝の8時。私達月村家で言うところの朝ごはんの時間なのだが、珍しく楓が起きてこなかった。
「珍しい事もあるのね。あの子が寝坊するだなんて」
起こすのも可哀想だと思い、私は楓の分の朝ごはんを作ってラップをかけてテーブルに置いておいた。
朝食をサクッと済ませ、外行き用の服に着替えると私は1人で、彩葉の病院へと向かった。
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side彩葉
「ぜんっぜん寝れなかった……」
私は、病院のベッドで、1人天を仰いでいた。寝よう寝ようと目を瞑り静かにしていたのだが、目を瞑る度にキスをした時の楓お母さんの顔が出てきて寝れなかったのだ。
コンコンコン
「彩葉ちゃん起きてる?朝ごはんだよ」
そう言いながら看護師さんは入ってきた。私が今いる病室は一人部屋。他に誰もいないせいで少しばかり寂しかった。いつも3人一緒にいたせいで心が弱くなってしまったのかもしれない。施設にいた時はずっと1人だったののね……
「おはようございます」
「おはよー。どこか痛いところとかはある?」
優しそうな笑顔で看護師さんは私に話しかけてきた。凄く人の良さそうな笑顔だった。
「大丈夫です。怪我したところも今のところ痛みはないです」
「そっかそっか。昨日レントゲン撮ったでしょ?あれを見ても異常は無かったから明日には退院出来ると思うよ」
「ホントですか!?嬉しいです」
いつまで1人の病室にいるのかな……って思っていたところもあって私は、少しだけ安心した。まぁ家に帰れたらそれはそれで問題が出てくるんだけど……
「それじゃ朝ごはん置いていくね。食べ終わったらそのまま置いてもらって大丈夫だから。また取りに来るね」
「ありがとうございます」
そう言うと看護師さんは、病室を後にした。また1人になっちゃったな……
きっと病院だからだろう。朝ごはんはどれも味が薄くて食べた気が全くしなかった。早く楓お母さんの美味しいご飯が食べたいな……
私は、朝ごはんを食べるとまたベッドに潜り込んで眠気が来るのを待った。何分経っただろうか?全然眠れずにいると病室の扉が開いた音がした。看護師さんがお盆を下げに来たのかな?私は、布団から顔を出し確認すると、そこに立っていたのは……
「眠そうね彩葉。体の具合はどう?」
「エレナお母さん!?って事は楓お母さんも一緒だよね?え、どんな顔して会えばいいの!?いでっ。何で叩くの!?」
私は、エレナお母さんに軽く頭を叩かれた。頭を打って入院してる人にその対応はどうかとも思ったけどね……
「全く……少しは落ち着きなさい。楓ならまだ起きてないわよ。まぁそれだけ元気なら体調の方は大丈夫そうね。林檎買ってきたけど食べる?」
エレナお母さんは、持っていた袋から赤い林檎を私に見せてきた。
「よかったぁ……ちょっと今は、楓お母さんに顔見せずらかったんだよね。エレナお母さん林檎剥けるの?」
「あなた私を舐めてるわね。林檎ぐらい剥けるわよ。ってか普通に私がご飯作ってる時だってあるでしょ。ちょっと待っててね」
そう言うとエレナお母さんは、鞄から小さなナイフを取り出すと慣れた手つきで林檎を剥いていった。
「はい。どうせ病院食だけだとお腹いっぱいになってないだろうなって思ってたのよ」
「ありがとう。いただきます」
林檎を1口かじると口の中いっぱいに甘味が広がった。今までこんなに美味しい林檎なんて食べたことあったかなと思わせるほどだった。
「美味しい……」
「食べたわよね?」
「え?」
私が食べた事を確認すると、不敵な笑みをエレナお母さんは浮かべていた。
「さてと、楓との事を洗いざらい吐いてもらうわよ。彩葉って時々大胆になるのね。今後覚えておくわ。彩葉の大胆な行動のせいで楓が寝坊するぐらいだもん。一体なんて言ったのよ」
いつかは聞かれると思っていたが、林檎1つでこうなるとは……まぁいずれエレナお母さんには言うつもりだったし隠す必要ないか。
「いや……エレナお母さんに旅行中に気持ちを伝えなさい。って言われてたでしょ?だから早く言わなきゃ!って思って2人になれた時に言いました」
「それで好きって気持ちを分からせるためにキスしたと……」
「ふぇ!?それも言っちゃったの楓お母さん!?」
自分の顔が真赤になっているのが分かった。少し大胆すぎたかな……って思っていたことがもう伝わっているとは思わなかった。
「私に隠し事は無理よ。えっとそのなんだ、ごめんなさい。ちょっとプレッシャーかけすぎたよね」
「え?」
まさかエレナお母さんが頭を下げてるところを見れる日が来るなんて思わなかった。私が知ってる月村エレナは、好きな人にベッタリで他の人には常に凛々しい態度というか強気を貫いているものだと思っていたからだ。
「今思うと私が少し彩葉に意地悪したから、あの事故も起きたのかなって……じゃなかったらあの時意固地にならなかったんじゃない?違う?」
エレナお母さんがこんなに弱気で暗い顔をしている所は初めて見た。全く……なんで私が励まさなきゃいけないのかな。エレナお母さんは、強気なところがかっこよくて似合ってるのに。
「エレナお母さんこっち来て」
「え?いいけどどうしたの?」
エレナお母さんを私の手が届くところまで呼ぶと私は、思いっきりエレナお母さんの頭をひっぱたいた。
「いった!」
エレナお母さんは、一体何が起きたんだがわからないような顔をしてキョトンとしていた。まさか娘に頭を叩かれる日が来るとは思わなかったんだろう。
「さっきの仕返し!別にエレナお母さんは何も気にしなくていいんだよ。私がやりたいようにやっただけなんだからさ。そんな事より楓お母さんの返事早く届けてよ。私はそれが1番気になってて寝れないぐらいなんだからね。だからエレナお母さんは元気出していつも通り強気なエレナお母さんでいてよね」
私は、笑顔でエレナお母さんに言った。それを聞いたエレナお母さんは少し照れくさかったんだろう。少し顔を赤くして私に返事を返した。
「全く……彩葉に励まされてるようじゃ私もダメね。ありがと。それじゃ退院したら楓に返事出すように言っとくわね。ここに来る前お医者さんに聞いたら明日には退院出来るそうよ。良かったわね」
「うん。退院祝いで美味しいもの作って!って楓お母さんに言っといて」
「もちろんよ。それじゃまた明日迎えに来るわね」
「うん!」
エレナお母さんは、私の髪を撫でると病室を後にした。エレナお母さんが来てくれて安心したからだろうか?急に睡魔が襲ってきて、私の意識は夢の中へと落ちていった。
楓「4ヶ月!?嘘でしょ……ホントに更新遅くなってしまって待ってくれていた読者様に申し訳がつかないです……」
エレナ「定期的に来るサボり癖どうにかして欲しいものね……まだまだ私達の物語は終わらないもの。ちゃんとして欲しいわ」
彩葉「私の恋の行方分からずじまいになる所だったじゃないですか……勘弁してくださいよほんと」
3人「次回は早めの更新させるので宜しく御願いします!」