私の居場所を求めて   作:足でされたい

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更新遅れてしまってすみません。ジャンル分けされたことすら知りませんでしたw


瑠衣の思い

「紅葉さんちょっといいですか?」

 

「ん?どうしたの?」

 

楓さん達が来た日の翌日。私は、いつものように朝早く起きると、洗面台で顔を洗っていた紅葉さんに声をかけた。

 

「失礼かとは思ったんですがどうしても気にしてることがありまして、質問しても大丈夫ですか?」

 

「ん?何かしら。別に気にしなくていいわよ。何でも言ってちょうだい」

 

「えっと……それでは失礼して……紅葉さんも同性愛者なんですか?」

 

「ぶっ!!けほ!けほ!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

きっとこの手の質問は予想していなかったんだろう。うがいをしていた水を吹き出して変なところに水が入ったみたいだった。

 

「びっくりしたわよ。どうしてそんな話に?あぁ……楓とエレナちゃんが結婚してるって昨日聞いたのね?」

 

「はい。それで紅葉さんはどうなのかなって思って」

 

「この話は私と楓とエレナちゃん以外とはしちゃダメだからね?それを守ってくれる?」

 

「はい」

 

そもそもこの施設で話す人なんて紅葉さんぐらいのものだ。何も問題は無いだろう。

 

「きっと瑠衣ちゃんなら子どもはどう出来るかとかも知ってるわよね?」

 

「えぇ。本の知識でそれぐらいわ」

 

「私も最初は普通に男の人が好きだったわ。でも、その人とはウマが合わなくてね。それで気付いたら今結婚してる人は女性だったわ。逆に質問だけどそれを聞いてどう思った?」

 

「別に何とも思いませんよ。好きの形は人それぞれだと思います」

 

私は思ったことをそのまま伝えた。本当に気にしてないんだよ。私は人を好きになったことなんてないから尚更気持ちが分からなかった。

 

「そう……それじゃこの話はおしまい!また後でね」

 

そう言うと紅葉さんは、施設の大人達が集まっている職員室へと入っていった。

 

「はい。また後ほど」

 

時間が少し経ち、朝ご飯の時間となり私はいつものように食堂へと向かった。珍しく私への罵声が浴びせられることが無かった。

 

「珍しい……どうしたのかな皆」

 

普段は、他の子の話なんかは気にもならなかったが、今日だけは違った。何か面白い事でも見つけたのだろうか。喧嘩して口数が少ない訳ではないようだしどうしたのだろうか。

私は、耳を済ませて会話を聞くことにした。

 

「今日は、楓お姉さんとエレナお姉さん来ないんだっけ?」

 

「明日かな?早く来て欲しいよね!」

 

「ホントそれ!楓さんホントに可愛くて羨ましいなぁ……私もあんな大人になりたい」

 

どうやら話の中心は、楓お姉さんとエレナお姉さんみたいだった。昨日の訪問は皆に大きな影響を与えたみたいだった。それもそうなるかな。最近施設に来た人なんていなかったもんね。それに来てもご老人だったし、お姉さんが来たのなんて初めてじゃないかな。

 

「はいはい!皆そろそろご飯にするよ!楓お姉さんは明日来るから楽しみに待ってようね!」

 

一同「はーい!!!」

 

紅葉さんの声に施設の子達は、今までで1番大きな声とも言える声量で返事を返していた。

 

そっか、楓お姉さんとエレナお姉さん今日は来ないんだ……そう思うと何故だか胸のあたりが切なくなるのが分かった。

 

「何なんだろこの気持ち……」

 

「瑠衣ちゃん何か言った?」

 

「なんでもないです」

 

正面に座っている紅葉さんから声をかけられ、私は動揺を見せないように返事を返した。朝ご飯が終わると一目散に部屋へと戻って自室のベッドに頭から突っ伏した。

 

「んーーー!!!!!!なんなのこれ!」

 

自分もこんなに大きな声が出るんだな……今までこんな風に叫んだことなんてあったかな。原因は分かってる。間違いなく楓お姉さんとエレナお姉さんの件だ。どうやら自分が思っている以上にあの二人の事が気になっているみたいだった。

 

「私らしくない。こんなベッドでうだうだしてたら他の子達と同じじゃん。私から動かなきゃ」

 

私の今の気持ちは1つだった。あの二人と会って話がしたい。ううん違う。楓お姉さんと会いたいんだ。昨日の優しい笑顔で瑠衣ちゃんって言って欲しい。どうやら私は昨日の楓お姉さんの笑顔に夢中になってしまったらしい。私も結構単純と言うかなんというか……とにかく紅葉さんに聞いてみなきゃ。もちろん他の子にはバレないようにしなくっちゃ。

 

私は、一直線に紅葉さんがいるであろう職員室へと早足で向かった。

 

職員室の前へと着くと、深呼吸をしてからノックをした。

 

「失礼します。瑠衣です。紅葉さんいますか?」

 

「入っていいよー。奥の方にいるから」

 

どうやら職員室にいるのは紅葉さんだけみたいだった。他の人は小さい子についているんだろう。たまたま紅葉さんがついなくて良かったな。普段は紅葉さんも子供たちから1番人気の存在だから朝以外はそんなに話せないからね。

 

紅葉さんは言っていた通り一番奥の机に座って、コーヒーを飲んで資料か何かを見つめていた。

 

「すみません今大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよー。それにしても珍しいね瑠衣ちゃんがここに来るなんて。何かあった?」

 

「えっと……その……」

 

「ん?」

 

不思議そうに紅葉さんは私の瞳を覗いていた。それもそうだろう、普段ならこんなに言葉に詰まることなんて1度も無かったんだから。ただ楓お姉さんの事を聞きたいだけで、どうして恥ずかしいような、少し照れくさい気持ちになるのだろうか。

 

「あの、楓お姉さんの事で聞きたくて」

 

「楓の?どうしたの?それに顔真っ赤だよ?何処か体調とか悪くない?」

 

「ふぇ!?だ!大丈夫です!どこも悪くないです!」

 

「ふふ、もしかして楓の事気に入ってくれたのかしら?」

 

紅葉さんはニヤニヤと私の方を見て笑っていた。この人絶対勘違いしてるよ……

 

「そういうのじゃないですけど……その、楓お姉さんに会えないかなって思って。初めてなんです。こんなに他人が気になるなんて。それでこの気持ちがなんなのか知りたくて」

 

私の真剣な思いが伝わったのか、先程まで笑っていた紅葉さんの表情もいつの間にか元に戻っていた。

 

「そうねぇ……会わせてあげたいんだけど瑠衣ちゃんだけ会ったって知ったら他の子に何か言われるんじゃない?」

 

それはほぼ間違いないと思う。ただでさえ私は周りの子から好かれていない。仮に今日紅葉さんに楓お姉さんに会わせてもらった事がバレたら何を言われるか分かったものじゃない。それでも私は……

 

「それは100も承知です。なんとか皆に気付かれずに会いに行けたりしないでしょうか」

 

私は必死の思いで紅葉さんに訴えかけた。明日になれば会えるのは分かってる。でも、明日会う時には他の子達に楓お姉さんを取られてしまってまともに話すことなんて出来ないだろう。私は楓お姉さんを独占したいんだ。二人っきりで話がしてみたい。私の意中はそれで埋め尽くされていた。

 

「やっぱり瑠衣ちゃんってエレナちゃんに似てるわね。楓さんを私に下さいって言ってきた目そのものだったわよ。それにたまたまなのかエレナちゃんと同じような綺麗な黒髪にお人形さんのような顔なんてそっくりよ?話がそれたわね。楓に電話してみるからちょっと待っててね」

 

そう言うとポケットからスマートフォンを取り出し楓お姉さんに電話をかけたみたいだった。それにしても紅葉さんが言ってたエレナお姉さんに似てるって有り得ないよ。私はあんなに綺麗じゃないもん。背も高くないし、あんな堂々とした態度で皆の前に出るなんてもってのほかだ。

 

「もしもし楓?今どこにいるの?うん。ならよかった。今から可愛いお客さんが1人そっちに行くから宜しくね。え?それは来てのお楽しみよ。今から車で行くから。それじゃあね」

 

そう言うと紅葉さんは電話を切った。

 

「お待たせ。それじゃ行きましょうか」

 

「いいんですか!?」

 

「内緒ね?普段わがまま言わない子のたまのわがままぐらい聞いてあげるわよ。裏門から私の車で行くから裏門で待っててもらえる?」

 

「ホントにありがとうございます」

 

私は、深く紅葉さんに頭を下げると裏門へと向かった。紅葉さんもすぐにやってきて車を出すと私を乗せて楓お姉さんが住んでいる家の方へと走り出した。

 




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