私の居場所を求めて   作:足でされたい

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私のかっこいいお母さん

「ただいまー」

 

「おかえり。何か飲む?」

 

「ううん。宿題出てるからさくっとやってきちゃうね。夜ご飯までには降りてくるから」

 

「そっか。頑張ってね」

 

「ありがと」

 

家に帰ると楓お母さんがいつも通り笑顔で私を迎え入れてくれた。今はその楓お母さんの笑顔を見ると少しだけ心が痛かった。結局自分の手で犯人を見つけることは出来なかった。皐月さんは絶対に湊さんだって言ってたけど証拠もないし、彼女を問い詰めることは出来なかった。それで結局最後の手段を使うことにしたのだ。私の最後の手段とは、エレナお母さんの力を借りること。あまり親の力を借りたくないし、かかれた落書きの内容があれなだけにあまり使いたくない手ではあったんだけどこのままだと時間がこの問題を流してしまいそうで嫌だったのだ。

 

 

 

私はエレナお母さんの帰りを待って自分の部屋で本を読んで落ち着くことにした。

 

それから3時間後。エレナお母さんが帰ってきたみたいだった。さて……どのタイミングで声をかけようかな。基本的に帰ってきてすぐご飯を食べて楓お母さんと一緒にお風呂入ってその後はリビングで楓お母さんとくつろいで……あれ?あの2人ほとんど一緒にいるじゃん。どこか1人になるタイミング探さなきゃ。

 

「彩葉!ご飯出来たから降りてきて!」

 

階下から楓お母さんが私を呼んでいる。どうやらご飯が出来たらしい。

 

リビングに降りると既に仕事着から部屋着に着替えたエレナお母さんがテーブルにちょこんと座っていた。

 

「おかえりなさいエレナお母さん」

 

「ただいま。どう?学校の方は馴染めてるの?」

 

「まぁぼちぼちかな。新しい友達も出来たしね」

 

「それは良かったわね」

 

「ホントに!?良かったね彩葉。それなら夜ご飯豪勢にしたのに早く言ってよー」

 

「別に友達出来たぐらいで感動されても困るって。でもありがとう。喜んでくれたなら私も嬉しいし」

 

楓お母さんは嬉しそうに料理を運んでいた。ホントにこの笑顔を悲しませようとしている人がいる事が許せない。楓お母さんは私が絶対守る。

 

「それじゃ頂きましょうか」

 

「うん。いただきます」

 

楓お母さんがせっかく美味しい食事を作ってくれたのに全然味が分からなかった。私の頭の中は、完全にこの後どうエレナお母さんと2人で話そうかと言う事だけだった。

 

夜ご飯を食べ終えて楓お母さんが後片付けをしていて、エレナお母さんは食後のお酒をちびちびと飲んでいた。そう言えば私の入学式の代表挨拶の1件でお酒は1杯までになったんだっけ。

 

「あ、私さゆりから夜電話するって言われてたんだった。エレナ、悪いけど先にお風呂入って貰っててもいい?」

 

「わかったわ。それとも彩葉一緒に入る?なんてね」

 

「いいよ。たまには背中流してあげる」

 

私がいいよなんて言うと思っていなかったんだろう。エレナお母さんはびっくりしたような顔をして私に返事を返した。

 

「あらあらどうしちゃったの?もしかしてエレナママに甘えたくなっちゃったのかしら」

 

「なわけないでしょ。2人バラバラに入って楓お母さんがお風呂入る時間遅くなったら可哀想だからだよ。先行くね」

 

「全く可愛くないんだから」

 

「エレナお母さんに似たからね」

 

私はそう言うと、自室から着替えを取るとエレナお母さんより先にお風呂に入って待つことにした。多少強引だけどここしか言うチャンスは無さそうだしね。

 

湯船に浸かってのんびりしていると、脱衣場の方からガサガサと音がした。どうやらエレナお母さんが来たみたいだった。

 

「入るわよ」

 

「うん」

 

そう言うとタオルすら身に付けていないエレナお母さんが浴場へと入ってきた。まぁ家族だし何も付けてないのは当たり前だけどね。それにしてもホントに30超えてるとは思えないな……もう少しお腹のお肉とか出てきてもいいんじゃなかろうか。

 

「んーーー。疲れた。学校は順調?」

 

湯船に入るなりエレナお母さんは私に言葉をかけた。

 

「ボチボチだよ」

 

さて……どのタイミングで切り出そうか……っていうかなんて説明したらいいんだろうか。エレナお母さんの事だからあの事をオブラートに包まずそのままのことを伝えたら犯人見つかった時半殺しとかしそうな気もするし……

 

私が悩んでいるとエレナお母さんから声がかかった。

 

「それで、私と2人になりたかったんじゃないの?どうせ学校で何かあって楓には言えない事なんでしょ?」

 

「相変わらず鋭いね……なんで分かったの?」

 

「もう何年一緒にいると思ってるのよ。小さい頃から楓に言いづらい事となると何か理由をつけて私を引っ張り出したのは貴方よ。楓に片想いしてた時もそうだったじゃない。楓に聞かれるとまずいんでしょ?早く言って楽になりなさいな」

 

そこまで読まれているとは思わなかった。流石月村エレナといったところか私がわかり易すぎるのか。とにもかくにもこれで話が出来る。オブラートに包もうかとも思ったけど楓お母さん侮辱してる人に気使う必要もないか。私は、今日起きた出来事をそのままエレナお母さんに話した。

 

「まぁ予想はしてたけどね。絶対そういう事がこの先どこかであるとは思ってたわ。楓に言わなかったのはいい判断ね。多分あの子自分を責めちゃうと思うから。後は任せなさい。犯人は私が絶対見つけるわ。誰に喧嘩売ったかって言うのをちゃんと自覚してもらわなきゃね」

 

もっと怒るかと思ったがエレナお母さんの声からは怒気は感じ取れず冷静に話してるように見えた。

 

「怒ってないの?」

 

「怒ってるに決まってるじゃない。大切な楓と彩葉が嫌な思いしてるのに怒らない月村エレナがいると思うの?」

 

そう言うとエレナお母さんは私の方をじっと見てきた。いつものふざけさエレナお母さんはそこにおらず、真剣なまなざしで私を見つめていた。

 

「だよね。ごめんなさい」

 

「彩葉が謝ることじゃないわ。それで犯人見つけてどうするの?正直あの学園の監視カメラを見せてもらえばすぐに誰が犯人かなんて突き止められるわ。犯人見つけるだけ見つけて終わりなら正直私が出る意味はないと思うのだけれど」

 

「私の前で土下座させる。私ね、今までホントに幸せで平和ボケしてたんだなって痛感したの。誰かに本気で怒ったことも無くて、今回初めて人を憎いって思った。小説の登場人物が怒る時ってこんな感じなんだなって初めてわかったんだ。だから思い知らせてあげる。誰に喧嘩を売ったのかって事。月村彩葉に今後変な気を起こさないようにするって」

 

私は湯船から出てエレナお母さんを見下ろすように話を続けた。

 

「私の大好きな楓お母さんとエレナお母さんを侮辱した事を死ぬまで後悔させてあげるから。だからエレナお母さん、力を貸して」

 

そう言うとエレナお母さんは満足したように湯船から勢いよく出ると私を抱きしめた。

 

「それでこそ私の娘よ。後は任せなさい。明日彩葉が学校から帰るまでに探しといてあげる。それじゃ話はここまで。先に出るわね」

 

そう言うとエレナお母さんはお風呂場を出ていった。

 

ホントにかっこいいお母さんだなって改めて思った。私の後ろにはエレナお母さんがついていると思うとそれだけでとても心強かった。

 

「あれ、エレナお母さん体洗うの忘れてない……?」

 

「ちょっとエレナお母さん体も髪も洗ってないけどいいの?」

 

「え?私は楓が用事終わるまで待ってるわ。やっぱり楓の胸吸わないと一日の疲れ取れないもの。貴方はちゃんと体洗って出てくるのよ」

 

そう言うと脱衣場からそそくさとエレナお母さんは出ていった。

 

「さっきまでのエレナお母さん返してよ……」

 

私は1人でため息をついたのだった。

 

 




彩葉「なんでだろう……女性に力強く抱きしめられたら柔らかさを感じるはずなのに骨しか当たってなかったような……」
エレナ「ぶっとばすわよ」
彩葉「だって楓お母さんに抱きしめられたら自然と頬緩むのにエレナお母さんに抱きしめられてもちょっと苦しいだけなんだもん」
エレナ「貴方だって人の事言えないんだからね!?あの後楓の胸吸ってた時の話でも1時間ぐらいしてあげましょうか?」
彩葉「遠慮しときます。あーひとつだけ忠告しとくね。浴槽でエレナ感激です!はやめた方がいいよ。声響くからね。外に聞こえてたらどうするの。世間体もあるんだから考えてよね」
エレナ「ごめんなさい……」

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