『先生に呼び出されたから先に帰ってて』
5時間目の授業中彩葉からノートの切れ端に書かれた手紙が私の元へと送られた。呼び出されたって多分いじめの件だよね。彩葉ホントに大丈夫かな……先に帰っててとは言われたけど、心配だし教室で終わるまで待ってようかな。
授業が終わって彩葉の方を見ると、なんだかいつもの彩葉とは違って、ずっと怒っているような目をしていた。でも、それは当たり前か。あんな事されたらいくら彩葉が優しい人だったとしても怒るよね。とにかくホームルーム終わってものんびり待ってよっと。
ホームルームが終わって、せっかくだから待ってる間宿題でもしようとしたところで皐月さんから声をかけられた。
「彩香さん、ちょっと調べ物を手伝っては頂けませんか?」
「あ!なんか彩葉が丁度先生に呼び出されたみたいだからそれ終わるまでで良ければ付き合うよー」
「ありがとうございます。それでは図書室へと行きましょうか」
「おっけー」
彩葉を待つ時間の丁度いい時間潰しになると思って、私は二つ返事で皐月さんの誘いを承諾した。その後ろではちょこんと柚月ちゃんが付いていた。
この時彩葉が湊さんと話してるって分かってたら絶対に自分の気持ちに気付かなかったんだろうなとは、この時の私は思いもしなかった。
図書室に着くと、中には勉強している生徒などがいた。私達は、窓際の近くの4人席を取って席に着いた。
「それで皐月さんの調べ物って何?図書委員さんにそこら辺のジャンルのとこ聞いてきてあげるよ」
「ごめんなさい彩香さん。私嘘をつきましたわ。図書室なのであまり大きな声を出さないで聞いていただけますか?」
「え……?うん。分かった。彩葉の事?」
「そうですわね」
それから私は皐月さんの話を黙って聞いた。真犯人は彩葉が校長室に行った時に既に分かっていた事。皐月さんは彩葉に頼まれて私を足止めしておいて欲しかったと言うこと。
「私ってそんなに信用ないのかな……確かに出会ってまだ3日とかだけど、ちゃんと私にも話して欲しかったな。そしたら何か手伝えたかもしれなかったのに」
少しだけだけど悲しい気持ちになった。彩葉の事だから私達に迷惑かけないでこういう選択肢を選んだんだとは思う。でも友達なんて迷惑かけてなんぼだと私は思ってるし、もっと色々相談して欲しかったな。それに湊さんと一対一なんて何されるか分からないし、無事に帰ってくるのを待つだけなんて私は嫌だよ。
「それは違いますわ。彩葉さんは彩香さんに迷惑をかけたくないから私にお願いしたんですよ。大切な友達に何かあったらいけないからに決まってるじゃないですか」
「私も同じだよ。彩葉が大切な友達だから湊さんに何かされるんじゃないかって心配してるの。今2人はどこに?」
「分かりませんわ。私はそれを伝えて欲しいって頼まれただけですので」
よく見ると皐月さんも心配そうな顔をしていた。皐月さんの横にちょこんと座っている柚月ちゃんも落ち着きがないようにキョロキョロと周りを見渡していた。
「そっか……ごめん皐月さん。私ちょっと下駄箱見てくる。それでまだ彩葉が校内にいるならずっと昇降口で待ってるよ」
そう言って私は鞄を取ると、彩葉の靴が入っている下駄箱を目指して駆け出した。早く彩葉に会って話がしたい。今の私の心の中はそれだけだった。
「まだ帰ってないか」
彩葉の下駄箱を除くとまだ新しい綺麗なローファーがしっかりとそこに置いてあった。
どうしようか。校内を闇雲に探しても仕方ないし……それに彩葉自身は私に迷惑をかけたくないから皐月さんにあんな事言ったんだもんね。
「待つか」
何時になるか分からないけど私は昇降口で待つことに決めた。本当は今すぐにでも校内放送をかけて貰って探したかったが我慢した。でもちゃんと湊さんとの話が終わったら、私に聞かせてよね。
どのぐらいの時間が経っただろうか。校舎の入口から外に人が出てくる度に、彩葉では無いかと駆け出してしまいそうになるのを我慢していた。
待ち始めてから数十分が経過した時だった。
背が高く、綺麗な黒髪を長く伸ばしてこちらに歩いてくる人影が見えた。
私は、この時だけ反射神経が全世界で1番早くなったんじゃないかな?というぐらいのスピードで彩葉に駆け出した。
「彩葉!!!」
皐月「ごめんなさい彩葉さん。彩香さんをもう少し上手く足止め出来ればよかったんですけれど……」
彩葉「気にしないで。無茶言ってるのは私だし彩香の性格なら飛んでくるに決まってるもん」
皐月「そう言って頂けると幸いですわ。でも次はちゃんと止めてみせますわ。家の人間全員使ってでも彩香さんを止めてみせます!」
彩葉「それは彩香が可哀想だからやめてあげて……」
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