「えへへ、楓おかぁしゃーん」
「彩葉……そろそろ甘えるのやめない?ちょっとどこ触ってんの!?今日なんかいつにも増しておかしくない?」
「おかしくないもん!どこって楓お母さんのおっぱい触ってるだけじゃん。これの為に生きてるもん」
「ホントに勘弁してよ……」
彩香が帰って2時間が経った。
私は、夜ご飯を食べ終えるとエレナお母さんが今日は遅くなると言うことで楓お母さんにわがままを言って一緒にお風呂に入らせて貰う事にしたのだった。久しぶりに一緒に入れた喜びと、昨日今日の疲れから解放されてネジが外れてめちゃくちゃ甘えたいモードになってしまっていたのだ。
「何か学校で嫌な事でもあったの?」
余りにも私の様子がおかしかったのもあってか、楓お母さんが心配そうに私を見つめてきた。私はその綺麗な顔に吸い込まれるように近付いて唇を……
「奪わせないわよ。ちょっと何してるのよ楓。その子にそんな近付いたらキスして押し倒されて犯されても責任取れないわよ」
キスしようとした直前にお風呂場のドアがガラリと空いてスッポンポンのエレナお母さんがそこに立っていた。
「良いところだったのに……」
「楓と彩葉を2人っきりにさせたらろくな事ないって分かるわよ。それに今日は色々決着付けてきたんでしょ?それならスーパー楓に甘えたいdayになるに決まってるじゃない。本当ならもっと早く帰ってきて楓の貞操を守りたかったんだけどちょっと仕事が押しちゃってね。楓、何もされてない?大丈夫?」
「実の娘に何かされるわけないでしょ……まぁちょっと今日は甘えすぎ。せっかく黙ってれば学校一の美人にだってなれるのになんで私の前だとこうなっちゃうのかな……」
「好きな人の前ではこうなっちゃうもんだよ。ね?エレナお母さん」
「私に同意を求められても困るわよ……まぁいいわ。それでどうなったの?簡潔にまとめて教えて貰えるかしら」
先程までのおふざけの様子とは違い、エレナお母さんは真剣な顔をして私に言葉を投げた。今楓お母さんいる事分かってて言ってるのかなこの人。
「特に何もないよ。エレナお母さんのおかげで何事も無く終わったから心配しないで」
「そ。ならいいわ」
「ん?どういう事?」
何の話?と言った感じで楓お母さんは頭の上にはてなマークがずっと出ているみたいだった。
「楓には関係ない事よ」
いやそんなにバッサリ楓お母さんだけ仲間外れにするような言い方しなくても……と言おうとした時にはもう遅かった。
「また私だけ仲間外れにするんだ。彩葉、背中流してあげるからおいで」
「え!?いいの!?」
「捕まえた。エレナには話せなくて私には話せないなんておかしいよね彩葉。私にも何があったか教えて」
私は楓お母さんの策略に見事に引っかかってしまった。いい加減楓お母さんも前からちょくちょく仲間外れにされる度にイラッと来ていたみたいだった。でも、そんな事より楓お母さんに後ろから抱きしめられてお風呂場で耳元で囁かれるなんて今日はなんていい日なんだろうか……
「楓、それは彩葉には意味ないんじゃないかしら。捕まってしまった!?っていう表情してないわよその子。嬉しそうにずっとニヤニヤしてるしあんたが耳元で囁いたせいでASMRみたいになってるじゃないのよ」
「全くホントにこの子は……彩葉、でも何があったかは教えて。じゃないと今後私に触る事を禁じます。それでもいいならこのまま黙っててもいいよ」
「ちょっとした嫌がらせにあいました」
楓お母さんに触れなくなる。って言われて私は条件反射で楓お母さんに言葉を返してしまった。
「どうして隠しておくのかな?」
「痛い痛いよ楓お母さん!」
後ろから思いっきり楓お母さんに頭をぐりぐりされてしまった。だけどよく分からないけど少しだけ気持ちいい気もした。
「喜びながら痛いって言うんじゃないわよ……なんか私を見てるみたいで嫌になるわね……」
「エレナお母さんと一緒にしないで。でも言わなかったのは楓お母さんに迷惑かけたくなかったからで、そのなんて言うか悪い意味で隠したりはしてないよ」
「さてと、私はそろそろ上がりましょうかね」
これから楓お母さんに何か言われると思ったのか逃げるようにエレナお母さんはその場を立ち去ろうとした。まだ体も髪も洗ってないでしょ……
「前に言わなかったかな?家族で隠し事は厳禁って。エレナもだよ。なんで私に言わないの?正座。彩葉も小学生の時と違って甘やかさないからね。湯船のとこなら風邪引かないからそこで正座して」
「「はい……」」
私とエレナお母さんは2人して楓お母さんの前で裸で正座をする事になった。構図だけ見たらホントに情けないなこれ。
それから楓お母さんにこうなった経緯を話して説教が終わったのは30分後だった。
この1件がきっかけで月村家には、
【家族に隠し事をしない。これを破った場合は1週間のトイレ掃除とエレナの場合はお酒禁止、彩葉の場合は楓お母さんに甘えるのを禁止】
という条例が出来た。
「ホントにもう……私に別に気遣わなくて大丈夫だからね。同性婚してる時点で何か言われるぐらい覚悟してるんだからさ。彩葉も私の事より自分優先してよね。なんで怒ったきっかけが自分に対する嫌がらせじゃなくて私の事が書いてあったからなのよ……とにかくいつまでもお風呂入ってる訳にもいかないから2人ともちゃんと体と髪洗って出てきてね。私はなにか飲み物容れて待ってるから」
そう言うと楓お母さんは足早にお風呂場から出て行った。
「疲れたわね……楓を怒らせるとこうなるんだからもうやめなさいよね」
エレナお母さんはずっと正座をしていたせいで足が痺れたのか細くて白い綺麗な足を思いっきり浴槽で伸ばしていた。
「エレナお母さんも楓には言わなくていいって言ったじゃん。今回はお互い様でしょ」
「まぁ私にも落ち度があったわね。でもこれでしばらくは彩葉に何かする子なんて出てこないでしょ」
「そうなる事を祈るよ。めんどくさいだけだもん」
「でも月村エレナの娘になったって少しは実感出来たんじゃない?」
なんでこの人は得意気に言ってるんだろうか。月村って名前のせいでどれだけクラスの人や上級生に声かけられたと思ってるんだ……
「まぁ嫌ってほど分かったよ。後話ちょっと変わるんだけどさ」
「ん?何かしら」
「もしかして好きな人に怒られたりしたら嬉しくなるって当たり前の事なのかな?楓お母さんに正座って冷たい声で言われた時なんか嬉しかったんだよね」
「彩葉……もう戻れないわよそこまで来ると。おかしいわね。親子揃って性癖似る必要なんてないはずだけど」
「エレナお母さんはドMでしょ。私はちょっとそういうのも悪くないかなって思っただけだから」
「いや……中学一年生でそれは結構重症よ……そろそろ上がるわね。これ以上重症化しない事を祈るわ」
そう言うとエレナお母さんはお風呂場から出て行った。いやエレナお母さん体と髪洗ってないでしょ……
彩葉「汚いよ。なんで洗って出てかなかったの?」
エレナ「私は朝シャワー浴びるからいいのよ。お風呂行ったのは彩葉が楓に変な気を起こすんじゃないかって思ったから行っただけだし」
彩葉「ホントにいいタイミングで来るんだもん。勘弁してよね。私にお金があったらお風呂に鍵付けてエレナお母さん入って来れないようにするんだけどな」
エレナ「そんな事にお金を使うんじゃないの」
彩葉「それを言うならエレナお母さんだって首輪だったり鞭だったりネットで買ってるの知ってるんだからね」
エレナ「そんな嘘を言っても効かないわよ」
彩葉「ふーん。そういう事言うんだ。家族に隠し事はなしなんだよね?誰が宅配便受け取ったと思ってるのかな?あ!楓お母さん!エレナお母さん隠し事してるよ!!!お酒禁止ね!!!」
エレナ「私が悪かったから楓を呼ぶのはやめて!!!」
感想、評価など宜しくお願いします!
前作はこちらからどーぞ!
https://syosetu.org/novel/153653/