私の居場所を求めて   作:足でされたい

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お風呂回


楓お姉さんの大切な話

「洗濯物はそこのカゴに入れて置いてね。着替えはそっちのタンスの中に入れて置いたから」

 

「ありがとうございます」

 

流れでお風呂場まで来たのはいいが、いざ服を脱ごうとするとためらってしまう自分がそこにはいた。5歳児でなおかつ相手が同性のお姉さんなのに何を気にする必要があるの?って自分でも分かっているが、なんだか恥ずかしくて仕方がなかったのだ。

 

「何恥ずかしがってるの?そんな気にする歳でもないでしょ」

 

服を脱ぎながらエレナお姉さんに声をかけられた。どうやら恥ずかしがってるのがエレナお姉さんには分かってるみたいだ。

 

「施設以外のお風呂に入るのが初めてなのでちょっと緊張してるかもです」

 

「そんな気にしなくてもいいのよ。ほら瑠衣ちゃんバンザイしてバンザーイ」

 

「バンザーイですか?」

 

私は言われるがままエレナさんの前で両手を上に掲げた。

 

「そーれ!女しかいないんだからこのぐらい解放的になりなさいな。ほら次は下。自分で脱げないなら私が脱がしちゃうからね?」

 

「で!出来ます!自分で脱ぎますから迫ってこないでください!」

 

両手をわきわきとさせながら私の方に迫ってくるエレナお姉さんを必死に私は止めた。

 

「あんまりいじめちゃダメだよエレナ。自分のペースでいいからね瑠衣ちゃん」

 

「いえ……大丈夫です」

 

私はズボンとパンツをまとめて脱ぐとすぐに洗濯カゴに服を入れ逃げるようにお風呂場の中へと入った。

 

お風呂場の中は広く浴槽は3人で入ってもそれなりに余裕がありそうだった。私は浴槽からお湯を取り軽く汗を流すと肩までお湯に浸かった。

 

「湯加減はどう?」

 

「丁度いいです。っ!?凄い……」

 

最初に入ってきたのは楓お姉さん。こういう時相手の体をじろじろ見るのはマナー違反だとは思うけど私は楓お姉さんから目を離せずにいた。

 

「あはは……そんなにおっぱい見られるのはちょっと恥ずかしいかな」

 

「ご!ごめんなさい!」

 

「まぁ瑠衣ちゃんの気持ちは痛いほど分かるわよ。大きな胸って目を引かれるもんね」

 

続いてエレナさんが入ってきた。あれ、エレナさんって私と胸の大きさ変わらない気がするんだけど……

 

「瑠衣ちゃん、次同じ事考えたら今日の夜ご飯が無くなるからね」

 

「人の心を読むのやめてもらってもいいですか……でもスラーっとしてて羨ましいです。私もエレナお姉さんぐらい身長大きくなればいいんですけど」

 

エレナお姉さんは本当にモデルと言っても通用すると思う。長い脚に整った綺麗な顔。逆に楓お姉さんはアイドルなんかやったら人気出る気がするけどな。

 

「しっかりご飯食べて寝ていれば自然と身長なんて伸びるわよ。そろそろ私達も湯船浸からないと体冷えちゃうわよ楓。何ぼーっとしてるのよ」

 

「やっぱり瑠衣ちゃん小さい頃のエレナに似てるなって思って。そうだね、入ろっか」

 

そう言うと楓お姉さんとエレナお姉さんは私を挟むようにして浴槽の中へと入った。

 

「確かに似てるわね。瑠衣ちゃんちょっとこっちに来てもらえる?」

 

「え?分かりました」

 

私はエレナお姉さんに手招きされ体をエレナお姉さんの方へと寄せた。

 

「よいしょっと。やっぱり子供って抱き心地いいわね。しばらくこのままでいいかしら?」

 

「別に構いませんけど……何でいきなり抱きついてきたんですか」

 

エレナお姉さんは私を自分の膝の上に乗せると後ろから優しく抱きしめてきた。

 

「紅葉お母さんの子供に若菜ちゃんって子がいるんだけど、その子抱きしめた時柔らかくて抱き心地よかったから貴方はどうかなって思ったのよ」

 

「まぁ私なんかで良ければ抱き枕に使ってください」

 

「しばらくこうさせてもらうわ。っていうかさっきまで緊張してたくせに随分余裕じゃない。やっと慣れた?」

 

「慣れたっていうよりエレナお姉さんの行動が読めなさすぎて疲れたんですよ……」

 

まぁそのおかげで緊張が解れたのは事実だけどね。

 

「楓ぐらいじゃないかしらね。私の行動読める人なんて。楓も最初は今の瑠衣ちゃんぐらい参ってたのよ。付き合い始める前はホントに酷かったんだから」

 

「そうだったんですか?」

 

「えぇ。そうよね楓?」

 

私達の正面で二の腕をマッサージしていた楓お姉さんにエレナお姉さんは声をかけた。

 

「ほんっとに酷かったんだよ。何回ふざけんな!って思った事かわからないぐらいだよ。まぁ今となってはいい思い出だけどね。エレナ、私にも瑠衣ちゃん貸して。若菜ちゃん抱きつこうとするといっつも逃げられちゃうんだもん」

 

やっぱり最初っから仲良いカップルなんていないよね。え?貸してって?

 

「仕方ないわね。はい」

 

「エレナお姉さん!?」

 

エレナお姉さんは私を抱き上げるとそのまま楓お姉さんへとパスした。抱き上げた時ニヤッと笑ったのを、私は見逃さなかった。この人私が楓お姉さんの事を気になってることを分かってて!?

 

「ホントだぁ瑠衣ちゃんあったかいし柔らかいね。ずっとこうして抱きしめてたいかも」

 

「あ………楓お姉さん背中にその……」

 

エレナお姉さんの胸は柔らかいっていうよりコンクリートって感じだったけど楓お姉さんに抱き着かれると、大きな2つの果実が私の背中に当たっていてそれはとても柔らかかった。

 

「ん?やっぱり嫌だった?」

 

「い、いえそんな事ないです。むしろ嬉しいぐらいです」

 

自分でも顔が沸騰するぐらい赤くなっているのがわかった。エレナお姉さんに抱き着かれていた時にはなんとも思わなかったが、楓お姉さんに抱き着かれると安心すると言うか恥ずかしいけれどずっとこうしていたいような気分になった。

 

「そっか!なら良かった!」

 

楓お姉さんは抱きしめている腕の力を更に強めて自分の胸がめちゃくちゃ当たっていることなんて気にしていないようだった。

 

「随分瑠衣ちゃんが気に入ったみたいね」

 

「うん。なんか放っておけないっていうか可愛くて仕方ないんだよね」

 

私が可愛い?いやいやそんなはずあるわけない。こんな性格な5歳児が可愛いわけない。

 

「ふふ、そんなに楓がこだわるのも珍しいわね。楓、あの話瑠衣ちゃんにしてもいいんじゃないの?せっかく3人集まってるんだから」

 

「ちょっと早い気もするけどいいかな。瑠衣ちゃん真面目な話があるんだけど聞いてくれないかな?」

 

「話ですか?大丈夫ですよ。でもお風呂場でですか?」

 

「こういう時の方がリラックス出来るかなって。エレナこっちに来てもらえる?瑠衣ちゃんは向こうに」

 

そう言うと私を抱きしめた腕を離し、その表情を見ると真剣な顔をしていた。一体なんの話だろうか。

 

「瑠衣ちゃんのぼせてないよね?そんなに湯船つかってないけどもし熱いと思ったら浴槽に腰掛けちゃって大丈夫だからね」

 

「ありがとうございます。大丈夫ですよ。楓お姉さんとエレナお姉さんこそ大丈夫ですか?」

 

「私は大丈夫よ。楓は?」

 

「大丈夫。それで話って言うのはね。単刀直入に言うね。瑠衣ちゃんに私達と家族になって欲しいの。施設で私達が同性婚をしてるって分かっていても、瑠衣ちゃんは今日も会いに来てくれて凄く嬉しかった。普通の子なら少しは拒絶的な反応を示してもいいと思ったけど瑠衣ちゃんは違かった。それでこの子しかいないなって思ったの」

 

「突然びっくりしたわよね。でも楓と私は本気よ。私達が瑠衣ちゃんを引き取って新しい幸せをあげたいの。もう私は楓からたくさんの幸せを貰って満足なのよ。だから次は瑠衣ちゃんが貰う番よ」

 

私が楓お姉さんとエレナお姉さんの家族に?そんな幸せな事があっていいのだろうか。いつか素敵な人がお母さんになってくれないかな……なんてずっと考えていた事だった。その夢が叶う……こんな素敵な人が私のお母さんになってくれるんだ……気が付けば私は瞳から涙を流していた。今までずっと我慢してきた思いと辛さが一変に私を包み込んだ。

 

「っく……ずっと施設にいた時から考えていたんです。誰か素敵な人がお母さんになってくれないかなって。その夢叶えてもらってもいいですか?楓お姉さん、エレナお姉さん」

 

「瑠衣ちゃん……うん。私達と一緒に幸せになろ」

 

楓お姉さんはそう言うと、私を優しく抱きしめてくれた。その腕の中で私は声が枯れるぐらい泣き続けていた。

 

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side楓

 

「瑠衣ちゃん寝ちゃったね。あれだけ泣いて疲れたのかな」

 

「安心感からかもね。でもよかったわね。瑠衣ちゃんに了承して貰えて」

 

「うん」

 

時刻は22時。お風呂から出ると瑠衣ちゃんがうとうとしていたのを見た私は、眠いなら寝ちゃってもいいんだよ?と言うと、

 

「すみませんちょっと疲れちゃったみたいで……何処の部屋に行けばいいですか?」

 

「せっかくだから3人で寝よっか。ツインベッドだけど瑠衣ちゃんぐらいの子が入る分には構わないし。どうかな?」

 

瑠衣ちゃんは少し顔を赤らめるとこう返事を返した。

 

「その……少し恥ずかしいですけどそれでお願いします」

 

「おっけー!」

 

そう言って寝室に連れてきたのはいいものの、5分もしないうちに瑠衣ちゃんは私とエレナの間ですーすーと寝息をたてていた。

 

「子供を持つって事がどれだけ大変になるかは分からないけど私達ならやっていけるよね?こんなに可愛い子をもう泣かせるわけにはいかないもん」

 

「大丈夫よ。何も心配する事なんてないわ。それにしてもホントに懐かれてるみたいね。楓の手ずっと握ってるもの。ホントに私に似てるのかもね」

 

瑠衣ちゃんは、私の手を握るとそこに存在があるのを確認するように、時折手を動かしては強く握っていた。

 

「ふふ、ホントに可愛いよね。ホントは夜ご飯食べようとしたんだけどもう私もこのまま寝ちゃうよ。それと役所とかの手続きもあるでしょ?明日やりに行こうか。あーでも相談所の方はどう?」

 

「私は適当に後で食べてくるわ。そうね、臨時休業にするわ。予約は入ってないからネットにだけ書いておくわ。その前にお母さんには言ったの?」

 

「言ったよ。そしたら瑠衣ちゃんの荷物明日に送るって。本とかは、瑠衣ちゃんが起きたらどうするか聞いてみるって送っておいたから」

 

「わかったわ。それじゃちょっとご飯食べてくるわね。先寝ててもらって構わないからね。おやすみ」

 

「うん。おやすみエレナ」

 

そう言うと瑠衣ちゃんを起こさないように気を使ってか物音を立てずに静かにエレナはリビングの方へと向かっていった。

 

「楓お姉さん……?」

 

「ごめん起こしちゃった?」

 

「絶対私の前からいなくならないでくださいね……」

 

どうやら寝言だったみたいだ。瑠衣ちゃんからは規則的な寝息が聞こえていた。絶対私の前からいなくならないで。瑠衣ちゃんの過去に何があったかは私は知らない。でも、もう悲しい思いはさせないから大丈夫だよ。

 

私は瑠衣ちゃんを抱き寄せると耳元で小さく呟いた。

 

「私はずっと瑠衣ちゃんのそばに居るからね。だから心配しないで」

 

私もそろそろ寝ようかな。明日からは色々と忙しくなるだろうからね。

 

「瑠衣ちゃんおやすみ」

 

私は瑠衣ちゃんを腕の中で優しく包み込んだまま眠りについた。

 

 

 




エレナ「コンクリートみたいな胸って何よ……」
楓「まぁあながち間違ってないような気もするけどね」
瑠衣「私も将来コンクリートになるんでしょうか……楓お姉さんまでとはいいませんけどコンクリートは勘弁して欲しいです」
エレナ「貴方達そんなに私をいじめて面白いかしら?」
楓「楽しいよね瑠衣ちゃん?」
瑠衣「はい!」
エレナ「全く……えっと、次回はお引越し回の予定です。感想、評価など良かったら宜しくお願いします!」
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