戸籍など書類上のものを全て片付け終え、私と楓お姉さんとエレナお姉さんは自宅へと戻った。やはり同性婚という事からか、役所の人達が少し驚いていた。それに対してエレナお姉さんは笑顔で対応してるし、楓お姉さんも嫌な顔をせず役所の人と話していた。
「彩葉?おーい彩葉どうしたの?さっきから難しい顔してるけどまた考え事?」
楓お姉さ、ううん。楓お母さんからぼーっとしているところで声をかけられた。
「すみません少しぼーっとしてました」
ちなみに家族になってから1週間が経ったがまだお母さんと呼べたことは1度もなかった。何故だかはよく分からないが、呼ぼうとすると喉の奥に言葉が引っかかってしまって上手く声が出せなかった。
「ならいいけど。来月からは小学校に転入するんだからあんまり気抜いちゃダメだからね?まぁ彩葉なら大丈夫か。そろそろ3時だからおやつにしよっか。今紅茶入れてあげるから待っててね」
楓お母さんは優しい笑顔を見せながらパタパタとキッチンへと足を運んだ。
私は、来月からは施設ではなく近くの聖チェリチョウ大学付属小学校へと転入が決まっていた。初めて知ったことだが、紅葉さんが結婚している人は聖チェリチョウ大学の校長先生らしい。楓お母さんとエレナお母さんが転入先について相談したら2つ返事で了承してくれたとか。それにしても紅葉さんの結婚相手って事はおばあちゃんになるんだよね……確か校長先生って36歳とかだったと思うんだけどおばあちゃんって呼び方でいいのかな…本人が気にしてないならいいんだけどね。実際紅葉さんはおばあちゃんって呼んで貰って構わないからねって言われたけど施設での呼び方に慣れすぎたせいでこっちの方もおばあちゃんだなんて呼べる気がしなかった。
「なんだかなぁ……」
「何よ溜息なんてついて。幸せが逃げるわよ?」
「あれ?エレナお姉さん帰ってたんですか?」
いつの間にかリビングにはスーツ姿のエレナお母さんが私の目の前にいた。どうやら今帰りらしい。エレナお母さんのスーツ姿はいつ見ても出来る社会人!って感じがしてとても素敵だった。前にエレナお母さんと2人で買い物に行った時は、待ち行く男性が必ずと言っていいほど振り返ってエレナお母さんを見ていた。
「えぇ。丁度今帰ったわ。彩葉、後で私の部屋に来て貰えるかしら。その溜息の事で少し話さない?楓には席を外してもらうわ。17時に私の部屋に来て頂戴。それじゃ私は少し寝てくるわ」
そう言うとエレナお母さんは、自室がある二階へと向かって行った。
「あれ?エレナ帰ってきたの?」
「はい。なんか少し寝てくるって言ってました」
「声掛けてくれたっていいのに」
少し頬を膨らませて怒る楓お母さんはとても可愛くてなんだか微笑ましかった。
それから楓お母さんがいれてくれた紅茶と手作りのクッキーを少し食べて、楓お母さんとくだらない話をしてエレナお母さんが指定した17時を待っていた。
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