私の居場所を求めて   作:足でされたい

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自覚

コンコンコン

 

「どうぞ」

 

「彩葉です。失礼します」

 

約束の17時になり、私は本を読んできますと楓お母さんに言ってエレナお母さんの部屋へと来ていた。

 

「そんなに固くならなくていいわよ。って言ってもまだ無理か。椅子はひとつしかないからベッドの上に座って楽にしていいわよ」

 

「ありがとうございます。それで楓お姉さん抜きで話なんて何かあったんですか?」

 

私はベッドの上にちょこんと腰掛けるとエレナお母さんに話しかけた。

 

「やっぱりね。貴方私と話す時は力が抜けてるのよ。今も足投げ出して楽にしてるでしょ?楓と話してる時だけやけに固いのよね。無理してるって言うか気を使ってるっていうかさ。今の彩葉ぐらい自然体でいいと思うわよ。勝手な推測で悪いけど、私にはもうタメ口で話せるんじゃないの?」

 

やっぱりこの人は凄い……ドMで朝弱いけど人を見る目は確かだと思う。まさかここまで見透かされてるなんて思わなかった。

 

「うん。やっぱりエレナお母さんには叶わないね」

 

私がエレナお母さんと言った時少しだけ頬を赤らめさせ、照れているみたいだった。まさかいきなり自分の発言を認めて、お母さんと言ってくるなんて思ってもいなかったんだろう。

 

「私とやっぱり似てるのよ。それで楓にお母さんって言えない理由もだいたい分かってるわ。あの子の事が好きなんでしょ?お母さんを好きだなんて根本的に間違ってるから言えない。敬語を外せないのは自分の気持ちがちゃんと整理出来てないから。違う?」

 

ホントに凄いな……私がエレナお母さんと似てるっていうのはよくわからないけど、楓お母さんの事をお母さんと呼べない理由はだいたいあっていた。やっぱり楓お母さんの笑顔や、優しい声を聴くとドキドキするって言うのは楓お母さんの事が好きだからなんだろう。今までこんな気持ちになった事がなかった私は、エレナお母さんに言われてようやく自覚する事が出来た。そっか……私も女の人が好きになっちゃったんだ。それに17個も上の人が初恋だなんて思わなかったな。

 

「エレナお母さんには敵わないや。どうして分かったの?」

 

「目を見てれば嫌でも分かるわよ。私と話す時は普通に目合わせて話してるのに楓と話してる時だけ焦点があってないもの。それに顔も時々赤かったしね。それでどうするの?いつまでもこのままってわけいかないでしょ?楓は鈍感だから絶対言わなきゃ彩葉の気持ちなんてわからないわよ?まぁ普通の人なら5歳の女の子に恋されてるなんて思わないでしょうしね。彩葉を呼んだのはこの話をするためよ。後は自分で考えること。私は楓と違ってそこまで甘くないからね」

 

椅子に座りながらエレナお母さんは表情を一つ変えずに淡々と話していた。

 

「叶わない恋だって言うのは分かってるよ。私だってこのままでいいなんて思ってないもん。だけどまだ気持ちの整理がつかないのも事実なの。だからエレナお母さんに協力して欲しい」

 

「協力?」

 

きょとんとした表情でエレナお母さんは首をかしげていた。

 

「うん。しばらくは黙っていて欲しいの。楓お母さんに隠し事はしたくないけど、私がエレナお母さんとは普通に話せることも内緒にして欲しい。だから楓お母さんの前では敬語を貫くから」

 

「嫌だって言ったら?」

 

「楓お母さんに足舐められたって今から言ってくる」

 

「私と彩葉の発言どっちが信用されると思ってるのよ……それじゃ勝負にならないわ。そんな事言っても笑って誤魔化されるわよ」

 

「どうかな?そういうことに関してはエレナお母さん信用されてないみたいだよ。最悪別れるなんて事もあるんじゃないの?」

 

そう言うとあからさまにエレナお母さんの態度が変わった。

 

「ったく……ホントに嫌な性格してるわね。私に似すぎてて嫌いになりそうよ。楓の時は敬語ね。分かったわ。でも1ヶ月よ。その期間までに何とかしなさい。いいわね?これはエレナお母さんとの約束」

 

「ありがとうエレナお母さん。約束する」

 

「宜しい。それじゃあんまり楓1人にすると心配するから戻るわよ。それにしても普通に私となら話せるなら良かったわ。何かあったら何でも言ってね」

 

優しい笑顔でエレナお母さんは私に語りかけた。甘くないって言ってた人がする笑顔じゃないですよ。っていうのは野暮だと思い私は返事を返した。

 

「ありがとエレナお母さん」

 

私達は、楓お母さんが待っているリビングへと向かった。

 




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