黒獅子と9人の女神の物語   作:面心立方格子

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スノハレを披露した時、全員めっちゃ薄着でしたがあれで寒くないのでしょうか.....もしかしてライブ前に運動でもしたのか。
伊月くんsideから入ります。オリジナル佳境ですかね.....


#101 再起、そして....

いくつかの時が流れたような気がする。俺にとってはとても長い時間。あの日のことを何度も思い出した。突然の恐怖、目の前で母親を殺された時の怒り、憎しみ、悲しみ.....そして、『透谷』を殺した時の虚無感。あの3年前の日はずっと俺を縛り続け.....そしてまた俺を闇へと誘う。あいつらの.....μ'sの輝きはとても眩しかった。俺とは絶対に合わない光....でも、絵里や真姫を含め、あいつらは俺を助けてくれた.....もし、あいつらがこれを知ったら....俺はもう二度と光を見ることは出来ないだろう.....そんな気がした。

 

 

 

 

「伊月!!無事か!!」

 

「耳の前で叫ぶな。....まだダメージはあるが動けない程ではない。」

 

「お前.....ずっと魘されてたけど何があったんや?」

 

「3年前のことをずっと思い出しては苦しみ、そして改めて自分がどういう道を歩んできたかを考えさせられた。」

 

「そうか.....」

 

「なぁ、与助。もし3年前のことを皆が知ったら....俺はもうあいつらとは交われなくなるよな?」

 

「それはあの子たち次第だけど.....普通なら確実にそうなるよ。」

 

「だろうな.....」

 

「それでお目覚めのところ悪いけど状況は最悪やで。お前の騒ぎを利用してお前は今では世間の敵、犯罪者や。しかも警察の連中、汚いことをしやがった。」

 

「何をしたんだ.....?」

 

「お前を渡せば、部下の人達の罪は無かったことにするやと。ふざけとんのか。」

 

「.....完全に掌握されてる。」

 

「何でや?」

 

「大森は俺を捕まえたいんじゃない。部下を裏切らせ、仲間がいなくなった状態の俺を捕まえていたぶる.....最後は城善寺財閥に渡して報酬金をもらう、本当の意味で俺を殺しにきてるんだ。あいつらはさ....社会復帰をする為に俺が呼んだんだ。だから社会復帰を無くされるのが嫌ならお前らのボスを出せってことだ。要はあいつらが断りにくい条件を出してきたんだ。」

 

「そういうことか.....」

 

「.....俺はあいつらに委ねる。俺を引き出すならそれでいい。あいつらが無事でいてくれるならな.....」

 

「伊月、大森はそんなに真面目な奴じゃないで。おそらく伊月を捕まえた後、その部下をちょびちょび捕まえて自分の実績にするつもりや。それにやり残したことがあるやろ?」

 

「それはな.....透谷と決着をつけにいかなきゃいけないんだ。」

 

「その前にや!!まずはμ'sの子達と会ってくるんや。お前のこと、ホンマに心配しとったで。」

 

「そうなのか....行かないと、か。あいつらにか。」

 

「それも夢で出てきたんか。」

 

「俺のことを全部知ったあいつらに捨てられる夢をな。何度も、何度も。手を差し伸べて突き落とされる。気分がいいわけはない。」

 

「仮にそれでもや.....会ってこなあかん。お前が作ったことはお前がケリをつけるんや。それくらい、お前なら分かるやろ?」

 

「....分かった。行ってくる。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「この時間なら.....あいつらはまだ練習か.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでここなのですが.....伊月!?無事だったのですか!?」

 

「良かった.....良かったよー!!!」

 

「もう.....心配したんだからね。」

 

「悪かったな。」

 

「伊月、話があるの。部室に行きましょ。」

 

「...,ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、話って何だ?」

 

「ごめんなさい、あなたに2つ謝らなきゃいけないの。1つは、私たちの為に汚名を着てまで守ってくれた.....私たちが不甲斐ないばかりに....ごめんなさい。」

 

「それは気にするな。汚れ役は俺にはお似合いだからな。」

 

「そ、そんなことないよ!!」

 

「そしてもうひとつは.....那月から教えてもらって、あなたの過去を、知ったわ。全部。」

 

「.......え?」

 

嘘だろ?全部知ったのか.....じゃあ話ということは.....俺に消えろってことか。それとも....

 

「あなたがどんな過去を背負って今まで生きてきたのか.....」

 

「......それでどう思った?」

 

「どう思ったって.....」

 

「気持ち悪いか、忌々しいか、それても汚れているか.....どうだっていい。俺は人殺しでもあるんだ。今までよくものうのうと生きてこられたな、そう言いたいのか?」

 

「ちが、そういうことじゃ.....」

 

「悪かったよ.....お前らを騙すような真似をして。もう二度とお前らの前には現れない。」

 

「待ちなさい!!」

 

 

パシッ....

 

 

「ま、真姫ちゃん!?」

 

「どうして....どうして私たちを頼ってくれなかったのよ!!どうして....話してくれなかったの.....?私たちが弱いから?私たちが信頼出来ないから.....?」

 

 

「何で?そんなの決まってるだろ!!この血が!!俺の存在自体が!!そして....俺の犯した罪が!!あっちゃいけねぇからだよ!!聞いただろ?俺のこの体が生まれた過程が....そしてそのせいで多くの人間が死んだことが!!お前らはそれを知ってしまった以上、無事ではいられない。そしてそうだ.....この事実を知れば全員俺を迫害し、殺そうとする。商売道具にしようとする奴だっている。」

 

「じゃあ私たちがそんな人間だと言いたいの!?」

 

「.....心のどこかでそう、思ってるのかもしれない.....お前らは悪くない。だが、俺が悪いんだ....」

 

「.....ふざけるのも大概にして!!もし本当にあなたのことをそんな風に思っているのなら.....私たちは世間を相手に戦うわけないでしょ!!あなたが私たちにとって大切な人だから....だから私たちはあなたに生きていて欲しい!!あなたと一緒にいたい!!どんな過去があっても、たとえあなたが人を信じることが出来なくても.....私たちは絶対にあなたを見捨てない!!」

 

「ことりもそう思うよ。伊月くんの過去を聞いた時は怖かったけど....でも、ことりはことりが見た伊月くんを信じるよ。誰でもない、自分の判断で。」

 

「........あなたが背負った責任も、苦しみも....私には同じ気持ちはない。けれど.....私の家が犯した罪だから.....私はあなたと本気で向き合う。それが贖罪だと信じて.....」

 

「.....伊月、これを。」

 

「これは....ハンドガン?何で持ってるんだ....」

 

「あなたは私たちが本当に疑っているか心配なんでしょ?なら.....それで私を撃ってみなさい。」

 

「絵里ち!?」

 

「そんなの無茶よ!!かすりでもしたら.....」

 

「当たっても構わないわ。さぁ撃って。全部で6発。私はここから.....一歩たりとも動かないししゃがみも飛びもしない。」

 

「.....正気か?」

 

「正気よ。遊びでこんなことするわけないでしょ。それに私は撃たれたとしても意見はしない.....約束するわ。もし約束が破られるなら.....あなたの好きにして。殺してもいいわ。」

 

「何を.....言っているんだ.....」

 

「あなたの信頼を得られるのが簡単なんて思うことは無いわ。私は命をかける....私の覚悟はそのレベルよ。」

 

 

バァン....勿論当てるつもりはない。

その銃弾は絵里の首の近くを通った.....本当に動かない.....何でだ、怖くないのか....

 

「速く続きを撃って。敵ならいまの間に間合いにはいられたわよ。」

 

 

「....くっ。」

 

 

その後、俺は最後の1発まで撃った。本当に頭がおかしかった.....だが.....絵里は一歩も動くことは無かった。それどころかμ'sのメンバーも銃声があるにも関わらずにずっとその場にいた。途中、俺が銃口を向けたが一向に動く気配は無かった。なんのつもりだ.....?

 

 

「.....なぜ避けなかった。もし俺が狙ってたら今頃お前らは重症だったんだぞ.....」

 

「私の知ってるあなたは優しくて、自分の鬱憤で人を殺すような人じゃないって分かってたから.....信じてたから。聞いて、伊月。あなたの血族がどんな過程で生まれたかも知っているけれど.....この世であなたは一人しかいないのよ。そして私たちは皆あなたに助けられた。あなたはときに命をかけて、自身が不利になることを分かっていながら動いてくれた。私たちがそんなことに気づかないと思った?私たちは別にあなたを護衛として置いている訳では無いし、あなたを利用しようとも思ってない.....一条伊月という1人の人間と向き合って信頼できる仲間だから一緒にいるのよ。そこにあなたの過去がどうであってもその評価は変わらないわ。たとえあなたが人殺しでも.....あなたがちゃんとその罪と向き合って生きているのだから責めることもないわ。それは私たち全員、同じ想いよ。」

 

 

「.....那月以外にそういうことを言ってくれる人物がいるとは....」

 

「そうかしら?でもここにはあなたを受け入れられないような人間は1人もいないわ。伊月.....お帰り。よく生きていてくれたわね.....!!」

 

「.......!!」

 

「涙.....?あなたが流してどうするのよ.....私たちが一番心配したんだからね.....はぁ.....良かったぁ....」

 

.....こんなに温かいのか。俺が捨てるはずだったものはこんなにも....安らぎをくれるのか。

 

「伊月、ちゃんとみんなに謝りなよ!!仮にも撃ったんだし、それに何よりも!!こんな健気な子達を待たせたことだよ!!」

 

「そうだな....那月、いや、姉ちゃん。」

 

「ね、姉ちゃん!?ちょ.....言われてみると恥ずかしいな....なんか恥ずかしいからやっぱり那月でいいや。家でならそう呼んでね。」

 

「あぁ.....みんな、本当に.....本当にありがとう。」

 

『おかえり!!伊月(くん)!!』




こんな感じですかね.....オリジナルもまだもう少し残ってます。

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