伊月side
俺はおそらく血をずっと抜かれ続けていた人を背負って逃げている。一旦この人を誰かに預けないと.....俺の血を飲ませて辛うじて生きてはいる。だがこのまま放っておけば死ぬ.....
「伊月、大丈夫か!?」
「黒柳、この人を保護してくれ。俺は今から絵里達を探す。」
「無茶な!?お前は速く戻れ!!これ以上騒ぎを大きくしたらお前はもう二度と外を歩けなくなるかもしれないんだぞ。」
「それでもいい。俺はあいつらから受けた恩を返す。あいつらの命を救い、ラブライブ!まで安全に守ることが俺の役割だからな。」
「....どう言っても聞かないのか。」
「勿論だ。お前だって分かっているだろう?」
「.....生きて帰ってこい。退路は確保しておいてやる。」
「感謝する。頼む。」
俺はそう言って黒柳に預け、もう一度内部に戻った。絵里達は地下にいなかった.....なら、おそらく最上階のあの部屋にいるはずだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
10分後
「この部屋か.....大丈夫か!?」
「むぐむぐ.....」
「すぐ解く。待ってろ。」
「はぁ.....助かったわ。」
「まだ落ち着くには速い。穂乃果達がここに入ったらしい。」
「え!?穂乃果ちゃん達が!?」
「ああ。」
「それで今どういう状況なのよ.....」
「俺にも分からない。あいつらがどこにいるかすらな。」
「そんな.....」
そう、俺と透谷は行動を共にしていたが、μ'sのメンバーは俺たちが来る前に潜入を開始している。 それにここにいないということは逃げ道を塞がれないように下で探していると思う。
「とりあえず急ごう。厄介な殺し屋に見つかる前にお前らだけでも逃がす。」
「ええ、上に通気口があるわ。そこから脱出出来そうよ。ただカメラがある。あれをかいくぐらないと外には行けないわ。」
「それは行く時に全部潰した。おそらく透谷が監視室を抑えたはずだからな。」
「透谷ってあの.....」
「ああ、お前らが最終予選をやっている時に戻ってきてくれたんだ。」
「あの時いなかったのはそれが理由なのね.....」
「とりあえず一旦外まで行くぞ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
透谷side
「はぁ.....はぁ.....」
「はぁ.....お前も中々、やるじゃないか。」
「私も元はそちらの世界の住人でしたのでね.....殺し屋の手段なんて大体把握していますから。」
「だが物理的ダメージはそう簡単には取れないぞ.....」
「貴様だって血の力があるとはいえ、ダメージ回復にはラグがあるはずだ。それに今のお前では....伊月様には勝てない。」
「.....なんだと?」
「伊月様は過去と向き合い、より強くなられた。今の伊月様には迷いが無い.....つまり、血に縋って生きてきた貴様では相手にならないということだ。」
「ふん、寝言は死んでから言え。」
「くっ.....」
私はやつの手の内を全て封じた。だがこいつは血の力がある.....このまま長期戦をすれば私が不利になることは確実。
「透谷、大丈夫か!?」
「!?.....一条敬一、生き返ったのですか?」
「おいおい殺すな。俺は生きてる。そこを退け、そして退却しろ。こいつには俺も因縁がある。伊月ならμ'sの皆を保護しておそらくこっちに向かってる。透谷、道中出会ったら引き返すよう言っておいてくれ。」
「.....分かりました。ご武運を。」
「死に損ないが.....私に勝てるとでも思ったのか。」
「この前は伊月を庇ったが故だ.....今から本気の勝負やろうぜ。」
「ふん、すぐにあの世に逝かせてやる。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
伊月side
「伊月様!!」
「透谷、無事だったか。」
「はい、ですがお父様が白鴉と交戦中です。引き返すよう言われています。」
「義父が.....大丈夫なのか?」
「はい、本人はそうしろと仰っておりました。それに白鴉も殺し屋としての手の内をもう明かしました。おそらく死ぬことはないでしょう。」
「.....分かった、1回出よう。親父もおそらく撤退するだろう。」
そして俺たちは屋敷をで出て、退却した。警察の介入もあり、事態は速く収束した。だが館内を探しても白鴉、そしているはずだった大森.....城善寺千世の姿は無かった。そして俺の部下たちはアンプルを回収して全破壊し、二度とKBが出ないようにした。奴らを追い詰めた.....あと一歩だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「絵里ちゃん!!無事だったんだね!!」
「ええ.....!!心配させたわね。」
「うんうん!!そんなことないよ!!」
「そうですね、絵里達が無事で良かったです。」
「それに、伊月も特段何も無く帰ってきたし、今回は私たちの勝ちね。」
「まだ因縁は終わってないがな.....だが、一件落着した。」
「うちらも早く帰らんとね。このままここにいても疲れるだけやし。」
「本当よ!!にこ、おかげでもう体がバッキバキなのよ!!」
「お疲れ様.....でした。」
その後、事は終わり、それぞれが帰路についた。今回はけが人は数人いるけれど、死者はゼロ、透谷家は透谷によって方針転換し、城善寺家の傀儡であることを辞めた。城善寺冴子は母が不在の間、臨時的な当主として動いている。形だけではあるが、城善寺家は多少良くなった。
一条家 朝2時
「伊月.....何してるの?」
「作曲.....ついでに作詞も。」
「こんな時間に.....すごい、ここまで出来てるんだ。」
「ああ、もう少しで完成する。俺のパートが。」
「俺のパート?」
「ああ、詳しくは言えないがな。那月、決勝戦、俺は傍にいてやれないかもしれない。いや、正確に言えば.....その場にいることが出来ない。だから.....これを預かっていてくれ。」
本当にこの血を呪いたいよ.....だがあいつらは受け入れてくれた。俺はせめてもの恩返しをしたい。それに.....俺は神に誓ったんだ。たとえ死んだとしてもあいつらの光を汚しはしない。行方不明の白鴉と大森.....あの二人がどこにいるかは分からない。だが近いうちに必ず姿を表す。あいつらなら....ちょうど決勝戦の日.....あの惨劇からちょうど4年の日に俺の前に現れる。その日こそ、俺たちが真にこの縛り付けられた因縁から解き放たれる日であり.....俺たちにとって最期の戦いになる。
「これは.....」
「決勝戦の前にあいつらに渡してくれ。頼む。」
「.....うん、分かった。伊月.....」
「お姉ちゃんはさ.....出来れば伊月には行って欲しくないんだ。もうこれ以上自分を犠牲にする伊月なんか見たくないよ.....」
「.....すまない。それでも俺は行かなくちゃいけないんだ.....」
「.......!!!そうだよね.....伊月、必ず生きて帰ってきて。もうこれ以上、お父さんや私や、お母さんに.....悲しい思いをさせないで.....」
那月は泣いていた。普段気丈に振る舞うからこそ、俺は久々に見た。ずっと.....ずっと辛い思いをさせていたんだ...あの日からずっと。優しいから那月は絶対に口を出さない。溜めていくんだ.....母さんが死んで、更に弟まで死んだら.....どんな思いを、させちまうんだろうな。μ'sのメンバーにも.....そう思われる人間であれたのか。
「.......俺は全力で戦う。必ず勝ってみせる。だから泣くな。」
この二次創作もそろそろクライマックスになっていきます。ハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのか.....予想しながら呼んでくれたら嬉しいです。