俺はしばらくあいつらと会うことが出来なかった。というのも城善寺家の動きが大人しくなった為か、チンピラ共や闇取引が再開されたせいで、そっち側にずっと行っていた。俺がいなくなったらやばそうだな.....というのもあり、俺はそれが起きないよう部下たちに教育をしたりと色々していた。そのせいか....あいつらと会う時間が無くなった。那月が言うには、
「あの後ね、皆で遊んだんだ。ラブライブ前に皆で最後に思い出作りしたかったからさ。それで伊月も誘うはずだったんだけど忙しそうだったから皆に言っておいたよ。それでね.....色んなところいって楽しかったし、物騒な事が多かったから久々に自然と笑えたかな。それでね.....結局、μ'sは解散することにしたんだ。私たちが、12人いてこそμ'sだから、私たちのものにしたかったから。その後皆泣いちゃったんだ。卒業って言う別れを実感して、離れるから.....悲しくって。この1年間、私たちはスクールアイドルとしても沢山の苦難も楽しみも共に味わってきた、伊月だってそうでしょ?それに皆.....伊月が来なかったこと、本当に残念そうにしてたよ。泣いてる時も伊月くんがいたら.....って言ってたし。ねぇ.....伊月ならどんな言葉をかけてあげる?」
俺には.....その時答えられなかった。いつもなら何か思いつくけど簡単に言い出せなかった。俺は自分がこの先どうなるか分からなかった。そんな状況で安易に思い出と言うことを語るのはできなかった。心が乱れてるんだろうな.....
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地下スペース ラブライブ本番の日
「.....これで、完成か。」
「兄貴、何してるんですか?」
「うん?.....ちょっとした事だよ。よし、お前ら集まれ。今日の動きを伝える。まず半分は.....いつも通り街の見回りをしてくれ。今日は俺はサポートに入ることが出来ないから現場の判断は任せる。そしてもう半分は.....μ'sを守って欲しい。与助、お前を中心にやってくれ。」
「うん.....分かったよ。伊月は何をするの?」
「俺は.....透谷と一緒に全ての因縁のケリをつけに行く。俺たちが負ければまたKBの脅威と戦わざるを得なくなる。確実に.....勝ってみせる。」
「そうですか.....それで、この紙は?」
「そうだ.....ラブライブ側に行くなら、μ'sのメンバーにこの手紙を渡してくれ。会場のやつが止めるかもしれないがその時は俺の名前を出してくれればいい。なんとしてでも届けてくれ。.....タイミングはライブ前にしてくれ。後だと.....まずいんだ。」
「わかりました。絶対に届けます。」
「よし.....時間だ。全員頼んだぞ!!」
『おう!!!』
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とある港の近く
「.....ふふっ、来ましたか、一条伊月。」
「なんだ、この前の邪魔をしてくれたやつもいるじゃないか。」
「お前達が来ることは予想していた。.....今日ここで全ての決着をつけようじゃねぇか。」
「そうですね.....進化した私の力に絶望しながら死になさい。」
「なっ.....!?てめぇも血を入れたのか!!」
「勿論。私はもうあの女の手先ではない。単に復讐したいと思っている1人の人間ですから。力が手に入るのなら人外になったっていいでしょう。」
「貴様らのせいでどれほど家が汚れていったのか.....城善寺家を守るものとして許さん!!」
「ふん、貴様らはあいつらの犬だろ。ごたごた騒ぐな。意思なき人形風情が。」
「貴様のような血の通っていない人間になど言われたくない!!今日ここで.....全てを終わらせる!!」
「安心してください、一条伊月。私はもう警察をやめた身。今更伏兵だなんて考えてませんから。」
「ふん、そんなことはどうだっていい。あの日.....てめぇが警察内で事実を隠蔽していたのは知っている。」
「おや、知っていましたか。事実1つ隠蔽するだけで大量のお金が入ってるんですから。やって当然です。あいつらは金を与えるべき人間と価値を分かっている。」
「その為に.....どれだけの人が報われないままに死んでいったか分かっているのか!!」
「他人が死のうがどうだっていい。死んだものに何かをするのは不可能。それならばその死を利用して金を手に入れる方がよっぽど優秀で賢いでしょう。今更灰になったカスのことを責めるのは気持ち悪いですね。」
「てめぇ.....」
「もう口論もいいでしょう。さっさと殺して私たちの復権をするのです!!」
そうして、俺vs大森、透谷vs白鴉の最期の戦いが始まった。これで.....全ての決着をつける!!
「そりゃぁ!!」バキッ
まず俺は大森に一気に近づき首に蹴りをかました。はっきり言って血の力は厄介極まりない。再生能力が特化していて、まともに相手をしてもキリがない。それはお互い様分かっているようで.....
「ふん、汚らしい!!死ね!!」ゴキッ
俺の鼻に鉄パイプで殴ってきた。相当痛い....おそらく鼻の骨が折れた。だがこの程度今更.....
「ちっ..... おらぁ!!」
構わず俺はあいつの頭部に強い衝撃を与え続ける。どれだけやろうが...
経験の差は埋められない。
「ふふっ、愚かなことを。」シューッ
「なっ.....げほっげほっ。」
こいつ.....毒ガスか。体が麻痺している。
「ふふっ、貴方が至近距離での戦闘を得意としているのは知っています。ならば毒ガスなどを使えばあなたはいとも容易く封じられる。」
「ざんねん.....だな.....火事の中で、一酸化炭素中毒になっても動き続けられたんだ.....この程度.....どうってことはない!!」
嘘だ。本当はダメージ自体はある。その証拠に俺は疲労のせいで動くのもしんどい。だが.....こいつらを倒さないとまた俺と同じような犠牲者が出るんだ.....
透谷side
「ちっ.....小細工を。」
服の袖に毒ガスを出せるよう隠している....それに、こいつのナイフの動きが前より速くなっている.....暗かったからあの時は遅かったのか。
「ふっ、私は殺し屋だぞ?お前ごときでは勝てん。」
「どうかな.....お前も油断しているんじゃないか?」
「何を.....!!」バァン
そう、私はこの間にやつのポケットに小型の爆弾を入れた。殺傷能力は低いにしろ、その衝撃を無視はできない。
「.....ははは!!!面白い!!そうでなくてはな。」
「なっ.....爆弾が効かない。」
「ふっ、お前はあの惨劇を知らないだろうから特別に教えてやる。この血はな、この程度の衝撃なんざ無効にするくらい再生能力が速いんだよ!!」
「くっ.....貴様、アンプルの力で。」
「ああそうさ、普通の血の力を促進している。つまり再生能力自体は他の奴より群を抜いて高い。無駄なんだよ。」
「そうかな....元暗殺者を舐めるなよ。」
そういって私達は再び組合になった。だがお互い相手を掴むことはできなかった。当然である。どれだけ再生能力が凄くても奴は人間。私の手の内を警戒しつつ動く。
「.....ならこいつはどうだ。」
「なに.....釘?」
「靴裏に仕込ませておくくらい普通だろ?お前はこれで少しは動けないはずだ。」
再生能力がいかに凄くても.....刺さったままじゃ意味が無い。私はやつの足の中心に釘を指した。これで少しは動きにくくなったはずだ。
「くっ.....無駄なことを。」
「下を向くとは随分と余裕だな、はっ!!」
私は奴が釘を抜くために下を向いたのを見計らってやつの顎に膝蹴りをかました。これはかなりのダメージだろう。
「くっ....へへ、だが抜けた。それにお前も随分と余裕だな。」
「.....くっ。」
そう、蹴られると同時に奴は硬直剤を打ってきた.....手で払い除けたがその手に刺さった。くそ.....左手が動きにくくなった。
「指が使えないようでは話にならん。」
「どうかな、この程度....なんとかなるんだよ!!」
そう、透谷家には過去から過酷な訓練がある。拷問に耐える特訓、体の神経を攻撃される特訓、今みたいに硬直剤を打たれて体が不自由になった時.....その全てを耐えのけて初めて実働部隊に入れる。
「ふん、これでこそ戦いというものだ!!!」
「いかれてやがる.....」
だが今の一瞬隙を作ることはできた.....ならこいつを倒すなら.....お嬢様、私に力を貸してください。
「いくぞ!!」
そして私は近接戦に持ち込んだ。こいつの捌き方は学習しきった.....もういける。
「はっ!ゃ!!」
「くっ.....面倒だ。」
そいつはハンドガンを取り出し.....いなす暇もなく打った。なぜだ....現代の拳銃はすぐ打てる作りじゃないはず,.....なんとか急所を外したがダメージはでかい。.....お互いにな。
「甘かったな.....距離を取りたいか知らないがその一瞬がいのちとりだ!!」
お嬢様.....兄さん、この技を.....使う。守るために。
「なに.....ぎゃあ!!!」
そして私は.....やつの首にとおっている神経の部分をナイフで切り.....そして頭に銃弾をぶちこんだ。これで終わりだ.....
「血の力を過信し、近接戦に多く持ち込んだようだな。透谷家が近接戦を得意としていたのは知っているだろう。」
「くっ....そんな馬鹿な.....」ドサッ
「今まで殺した魂に.....人に頭下げてこい。地獄に行け。」
伊月様.....こちらは片付きました。あとはお願いします。
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再び伊月side
「はっ.....!!」
「ごふっ.....」
どうやら血の力にまだ慣れていないのか動きが鈍い.....適応したとはいえ白鴉のように馴染まなければ血はかえって足枷になる。
「くっ.....」パンパン
「当たらねぇよ...そんなフラフラした銃身なら.....な。」
俺の体も動かなくなってる.....さっきの硬直剤、まさか全身に回ったのか.....
「ははっ、かかったな。これは4年前奴らを黙らせるために作った特効薬だ。これが高く売れてな。これはお前ら専用の毒薬だ。血と共に体を麻痺させる成分が全身に回る。さらにお前らの細胞を破壊し再生能力を抑止する。どうだ?いい心地だろ?」
「ふんっ.....ならてめぇだって一緒だよな?」グサッ
「なっ、貴様.....なぜ抜ける?」
「破壊されようとも.....俺の力が抜けることは無い。げほっ.....くらいやがれ!!」
そして俺はその薬を.....そいつに指した。御丁寧に首に刺した。これで.....お前も終わりだ。
「がぁ....貴様、」
「ふん、お互い呪われた人間同士なんだ。これくらい受けて当然の罰.....だよ。」
「.....死ね。」
「そのボタンは.....」
「ふっふ、一条伊月。私の負けは認めましょう。ですがこのまま生き残っても私はもう詰んでいます。あなたが生きて償わせるのが流儀みたいですし。それに.....あなたごと爆破すれば私も汚名なくして死ねるでしょう.....」カチッ
バァァァァァァァン!!!!!!!!!!
「なっ.....ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺はそのまま体が吹き飛ばされ、海に落ちた。まずい.....体が動かないせいで.....意識が遠のく。
「伊月様!!」ダバァン
「透谷.....お前は生き延びろ。俺を捨てて逃げろ!!」
「ダメです、私はあなたを生かした。なら私が貴方を見殺しにすれば名が廃れます!!それにこれは恩返しです!!」
「ばかやろ!!それで死んでどうする!!誰が城善寺を守るんだ!!」
「.....ですがあなたを捨てる訳にはいかないのです!!.....がぁ。」
そう、透谷も戦いのせいで体がマトモに動けなくなっている.....このままじゃ.....穂乃果、姐さん、海未、真姫、花陽、凛、絵里、希、にこ.....那月、城善寺、すまない.....生きて帰れそうにない...
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μ's side
「もうすぐ決勝だね!!」
「ええ、皆張り切っているわね。」
「冴子ちゃん!!どうしてここに!?」
「家のことはいいのですか!?」
「ええ、今日は時間を作って来たのよ。あなた達のステージ、見に来たわ。」
「それなら.....尚更負けられませんね!!」
「おい、通してくれ.....どけやおら!!」
「わ!?何!?」
「はぁ.....はぁ....μ'sの皆さんですね、兄貴から...ぜぇ.....手紙です。」
「伊月くんから.....」
「何か書いてるの?」
皆へ
俺がこの手紙を書いた理由は至ってシンプルだ。もしかしたらこの戦いで.....俺が命を落とす可能性があるからだ。もしそうなっちまった時の為にここに全てを記しておく。
まずは.....色々散々迷惑かけてごめんなさい。俺は俺なりに行動をしてきたけどそれが時にはお前らからしたら迷惑なことも沢山あったはずだ。それは....ほんとうに申し訳ない。
そして、これは俺の本音だ。今でも俺は自分を信じることが出来ない。暗闇だった俺の人生にお前らが光をくれた.....そして今の自分が誰かの為に生きているという事実が俺にとっては信じられなかった。あの日、絵里や真姫と会っていなかったらずっと闇の中で生きていたのかもしれない。お前たちが俺の過去を知ってもなお俺を受け入れてくれたこと.....それが昨日のことのように今でも感じる。俺は.....お前らに報いることができたのだろうか。
俺みたいな影のことは....忘れてくれたって別にいい。でも、もし叶うなら.....お前らがくれた、眩しいくらいの光を誰かに分けてあげて欲しい。世の中には俺ほど重く辛い過去を持っていない人間にせよ、誰しも心の闇があって、それに心を奪われている人間もいるんだ.....だがそいつらは全員悪い奴とは限らないんだ。無論、そんなことは綺麗事だ、なんて言われてもおかしくない。だが俺が見てきた中だったら.....あいつらは皆自分を見失っていたり、他人に拒絶され自分がわからなくなってきたり.....光を失ったやつが多かったんだ。だからこそ.....お前らがくれた光を、俺たちみたいな影に住む人間にもあげられる人間になってほしい。与えられる資格とかそんなことは関係ない.....お前ら見て、接して信じることが出来た人間も救って欲しい。いずれそれが.....また光を生む。その始まりになってほしい。そしたらまた他の誰かがその光を受け継ぐ.....スクールアイドルとして、1人の人間として。お前たちのことが大好きだ。出来ればずっと一緒にいたい.....でも、それが叶わないかもしれないんだ。もし俺が消えても.....常に今のように眩しいままでいてほしい。
「伊月.....そんなの勝手よ!!」
「そうね.....私たちが貴方からどれだけ光を貰えたと思ってるの.....」
「うちらが辛くても、絶対に見捨てなかった。」
「命をかけてまで....誰かを守った伊月くんは影なの.....?」
そして.....俺の最期の願いを叶えて欲しいんだ。いつの日か.....俺が作った曲をお前たちがアレンジしてひとつの曲に完成させてほしい。.....その楽譜が一緒にあるはずだ。
「楽譜.....これね。編曲が済んでいるのかしら?」
僕たちはひとつの光.....ちょっと厨二病みたいな感じかもしれないけど、俺の素直な心で、お前たちをみて作ったんだ。
「.....これ、歌詞が途中で終わってるわね。しかも途中途中線があるし。」
「これを私たちらしくして.....ひとつの曲にしろってこと?」
.......ありがとう。皆。1年ちょっとかもしれなかったけどμ'sと一緒に過ごせた時間は.....俺にとっては宝そのものだった。出来ることなら.....3年生の卒業を見届けたかった.....本当にありがとう、信頼できる、眩しい人達よ。
一条伊月
「うっ.....伊月くん.....」
「穂乃果、本番前ですよ?私も泣きたいですよ.....我慢してください。」
「あいつ、死ぬつもりなの.....」
「.....見て、これ。髪飾り.....」
「私たち全員分あります.....ね。」
「これ、可愛いにゃ。伊月くん.....ずっと内緒にしてたのかな。」
「.....これつけて出えへん?伊月くんがくれた形見やもん.....一緒にステージにいるみたいで。ええやん。」
「そうね.....伊月、私たちは必ず優勝するわ。だから.....傍で見届けて。」
そしてμ'sはラブライブ!優勝を果たし、全国にその存在をしらしめた。音ノ木坂学院は廃校を阻止し、強豪であるAーRISEを倒し、見事輝いた.....その光は全国のスクールアイドルを志すもの、アイドルが好きな子達に勇気と笑顔を与えた。.....その影で支えていた1人の青年の存在は知られることなく消えてしまった.....
これで、黒獅子のμ's編は終わりとなります。
この二次創作でメインにしていたのは、最終回らへんで多用した『光と影』ということです。ラブライブ!本編はメンバーの成長も描かれていて凄くいいです。そして、ラブライブ!にはない人の影の部分を足せばもっといい感じになるのでは?と思い描き始めましたが.....キャラを書くのが下手くそだったりオリジナルを強くする方針がいつの間にかラブライブ!が追加要素のようになってしまいました。また人間の汚い部分を多めに描写したのも、μ'sという光がそういった人間の闇の部分と向かいあい、そしてそれを経験して成長していくことで、より人間としても育っていく風に書きたかったんです。初めての二次創作で至らない部分だらけでした.....それでも読んで下さっている皆さんには本当に感謝しています。
そしてこれはめたい話なのですが、作者が今年受験生になり、勉強を本格化させないといけなくなりました。この二次創作が考えてる時間が1番長く、書くのに苦労していたのもあって、続編は受験が終わった後、つまり1年後くらいに再開出来たらな、と思っています。生誕記念編は書きたいと思います。なのでこの1年は不定期投稿になってしまいます。ご了承ください。
言い訳がましいですが、あとひとつ。僕がこの作品を書いて思ったのは、『全然ラブライブ!のこと分かってないじゃん.....』ということです。アニメと映画は全部見ていたのですが、書いていて下手くそだと思いながら過ごしていました。なので一度離れ、もう一度見直したいということです。もう1つ書きたい二次創作もあり、この受験生の期間は、二次創作を書きつつ、ラブライブ!をちゃんと見直して行けたらなと思います。大変自分勝手ですが本当に申し訳ありません。そして、読んでくださった方、お気に入り登録、評価、感想をくれた方、低迷してはいましたが本当にありがとうございます。