1%はやはり出にくいですね。
地下ホールにて
「兄貴、少しお話ししたいことが.......」
「どうした?何かあったのか?」
「2つ、報告がありまして、いい報告と悪い報告、どちらから聞きたいですか?」
「んー、悪い方から聞く。」
俺らにとっていい報告って大体決まってるしな。
「はい。悪い報告なのですが、裏の掲示板によりますと、兄貴の通っている音ノ木坂学院に、怪しいやつがいるんですよ。」
「怪しいやつ?どういうことだ?」
「.....学校の金が外に流れてるらしいんですよ。横領?というやつですかね。最近、ここら辺で暴走族にお金が貢がれているという噂があって、ここ数ヶ月、この街のその額がとても多くなってるんですよ。そこで先日兄貴が捕まえたやつから情報を吐かせたんですが、どうやら献金をしているのは1人のようです。しかも、その取引自体が定期的でその人間は公務員らしいんですよ。」
だから最近アイツらのバイクとか凶器がごうかになっていたのか。
「自分の職業をばらしているってそいつ大丈夫なのか?」
「それが.....元教え子だったらしいんですよ。そいつが言うには、自分たちの問題行動を隠蔽し続けてくれてたらしいんですよ。」
「.....すごい野郎だな。そんで、そんなやつがうちの高校に、か。分かった。俺から内部調査をしよう。で、嬉しい報告は?」
「中島の野郎が一流企業に就職出来たらしいんですよ!!誠実さが伝わって、社長が雇用したらしいです。まぁ最初は平社員から始めるらしいですけど。」
「よくやった!!よし、今日は皆でパーティーだ!中島のやつを全力で祝おうぜ!!」
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「さて、皆揃ったな?せーの、」
『中島、社会復帰おめでとう!!』
「あ、兄貴.....皆...ありがとうございます!!」
そこからは大騒ぎ。中にはバトルを始めてるやつもいた。
俺はこの騒がしさが嫌いじゃない。こいつらは、裏切られたり見捨てられたり、何かと闇を抱えてる奴らが多い。そして、手を染めてしまった。けど、社会復帰したいと願う奴らだ。その願いが叶うんだから、皆嬉しいさ。仲間の門出、ってやつだな。
悪が全て黒とは限らない。中には世の中に絶望し、周りの人間のなんてことない理由で差別されたりと。そうやって自分を見失って犯罪者になり、それを世の中は一律に罰する。犯罪者全てがそういう訳では無いが、環境によって人は変わる。それを前科があるだ、噂があるだで否定的な姿勢を取ることを俺は許せない。だから俺は、こうやって仲間を集めている。1人でも、そういうやつを救いたい。そんな変な正義観からだ。俺だってそうだ。3年前のことを未だ引きずり自己満の元、暴力をつかいつづけている。褒められたものじゃないし、女々しいと言われたらそれまでだ。
「兄貴.....あの、俺は.....ここにたまに来てもいいですか?」
「いいに決まってんだろ!!お前が入ってきたのは一年半前だ。長い付き合いだったな。ただ、気をつけろよ。同業者とかに見つかったら何かと言われるしな。」
「はい!!ありがとうございます!!兄貴に助けてもらって、みんなと色々出来て、本当に楽しかったです!!」
今くらいは、それを忘れてもいいよな?
それから2時間位は騒ぎ続けた。日々の疲れってのもあるから、皆大いに盛り上がった。
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さて、また忙しい平日がやってきた。テスト?ギリギリアウトだったよ!!もう真姫に顔向け出来ねぇわ.......
「今日は数学科の先生が欠席のため自習とする。」
「誰だ?あいつ?」
「一条くん、失礼だよ。あの人は教頭先生だよ。最近ここに赴任してきた人だよ。」
「ふーん、まぁいいや。寝させてもらうわ。」
さーてと、睡眠学習だ.......
「おいお前、なぜ寝ている?自習と言ったはずだ。」
「睡眠学習ですよ。寝て成長するんですよ。先生。」
「下らん。テスト生と聞いていたがこれでは周りに迷惑だ。自主的に退学してくれないか?」
「騒ぐならともかく寝るは迷惑にはならないじゃないですか。」
「屁理屈を言うな!この不良が!!」
こいつカルシウム不足だろ。
しかも気づけば皆こっち見てるし、小泉さんとかすごい慌ててる。
「ふん、やはり黒獅子とやらはただの不良のようだな。」
『!?』
「あの、先生?黒獅子とはどういうことですか?」
「この機会に皆に話そう。この男、一条伊月は、黒獅子だ。」
.......おいおいまじかよ。こいつなんで正体を.....
え?黒獅子?
あの好戦的な不良?
なんでこんなとこ入ってきたの?
きっと下心に決まってるわ。
うわー、引くわー。一条くん優しそうな雰囲気してたけど、全部演技なんだ。
周りからえぐいほど言われてる。しかも教頭の顔は満足気だな。
.....やっぱり情報1つで人ってのは手のひらを返すのか。
「どうした?何か言い返さないのか?黒獅子よ。」
「.....別に俺は他人からどう思われようが構わねぇさ。それよか何でお前がそれを知っているんだ?」
「ふん。そんなことどうでもいいだろ。それよりも、不良が我が校にいるのは迷惑極まりない。廃校の話も出ているのに、お前のようなやつがいたらこの学校に泥が塗られる。今からでも退学しろ。」
周りも俺に非難の目を向けている。3人を除いて。
これが正常な反応なんだ。排除して自分たちの安寧を守る。至極当然だ。たとえそれが間違った情報だとしても。黒獅子の実態も知らず当てつけの噂を信じ込み、ソースの分からないものを信用し、自分が見てきたものを嘘だと決めつける。
まただ。いつになっても周りは腐り続けている。自分の目よりも周りの情報。一方的に決めつけて非難する。やっぱり人を信じるのは間違いでしかないのか。
「.....分かったさ。こんなとこ辞めてやる。俺が間違いだったんだよ。人と関わろうだなんて。もううんざりだ。自分の目を信じられない奴らといたら俺の目まで腐っちまうよ。」
「なんとでもほざけ。この社会不適合者が。さっさとこの場から立ち去れ。」
「待って!!伊月!!」
俺は誰かに呼ばれたが、それすら無視して教室を出た。
だが、もうひとつ得た。教頭が横領の犯人であることを。
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真姫side
「ふん、ようやく去ったか。では自習を再開する。」
「どういうことですか!!教頭先生!!」
「ん?君は.....西木野くんか。なんだね。」
「伊月が.....伊月が何をしたっていうんですか!!あいつが1度でも.....1度でもこの学校で問題行為を起こしましたか?」
「確かにおこしてはいない。だがそれは自分を隠すための汚い作戦で.....」
「あなたは噂で言っているんでしょ!!私は黒獅子である彼に助けてもらった。彼をこの目でちゃんと見たのよ!!彼は噂のようなやつじゃない!!心が優しい人なのよ!!」
「やはり汚いな。西木野くん、君の家はお金持ちなのだろう?」
「それが何よ?」
「黒獅子は君のようなお金持ちと仲良くなることでお金を貰おうとしていたのだろう。ああ、なんて汚い。」
「あなた、1度も伊月と関わったことのないくせに、よくそんなことが言えるわね!!」
「ああ関わったことはないさ。だがそんな噂がたつ人間がいい人間な筈はない。西木野くん、よく覚えておきなさい。それが現実だ。世の中は見せかけで相手を騙す人間がいる。彼はその部類だろう。気をつけたまえ。」
あいつ.....よくもそんなことを。
「もういい!!あなたと話しても埒が明かないわ!!」
「西木野さん!?」
「凛も探しに行くにゃ!!」
そう言って私たちは外に出ていった。
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凛side
教頭先生の顔を見てるとなんだかイライラしてきたにゃーー!!伊月くんが黒獅子ってことは今日知ったけど、凛が知ってる伊月くんは優しくて、そして.....周りを考えている人だにゃ。それに、伊月くんの目は綺麗だった。それだけ。それだけだけど、凛は伊月くんを信じることができる。必ず見つけるにゃーー!!
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花陽side
私は1人教室に残っていた。凛ちゃんも行っちゃったし、西木野さんも行った。
こんな時、どうすれば.......
一条くんが言っていた方法を、非力な者ができること。.....相手から情報を取る。
正直言って怖いし、したくない。けど.....一条くんにはお世話になったし、私には悪い人には見えない。.....頑張れ、私!!
「その、教頭先生?」
「なんだね。」
「さっきの黒獅子の噂ってどこで聞いたんですか?しかも彼の本名をどうやって知ったんですか?」
「噂は嫌でも聞くさ。この街に住んでいれば。本名に関しては.....偶然聞いてな。」
「偶然?誰かの会話を聞いたんですか?」
「.....あまり詮索はするな。警察だ。本校生徒に危害が及ばぬよう黒獅子のことを警察に聞いたのだ。その時に聞いたのだ。」
「それじゃあ.....偶然というのはおかしくないですか?その.....意図的に聞きに行った訳ですし。」
「.....なんだ、その揚げ足をとるような言い方は。失礼だろう。」
「でも.....間違ったことで人を非難することの方が失礼.....です。」
「やはりか。黒獅子に毒されている。一刻も速くやつを排除せねば。」
怖くて、これ以上出来ない。けど.....色々聞き出せた。私は授業中にスマホで凛ちゃんにメッセージを送った。今聞いたこと、全てを。
お願いします.....一条くん、戻ってきてください。
長くなりました。会話とか心情とかをみやすくするため、本音を言うとほかの作者さんの書き方から学んで隙間を入れてみました。
どうかは分かりませんが、もし変なら教えてください。