黒獅子と9人の女神の物語   作:面心立方格子

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前回からの展開に若干困り気味ですね。三連休だったので英気は養えました。


#20 憂鬱ですねぇ

学校から出ようと思ったら門が固く閉ざされていた。登って出ようと思ったら監視センサーみたいなのが作動しているようで、出ようにも出られない。

 

「ちっ、どうしたものかねぇ。」

こうなったらどっかの教室にこもりましょうかね。

というわけで俺は今生徒会室にいる。ここ以外人いない場所知らないしな。

「ん?これ綾瀬先輩がよく使っているパソコンだな。仕事用だろうな。」

パソコンを開いて見ると仕事用のファイルがずらりと並んでいる。

その中には、教員と連絡を取り合うためのファイルや、会計や委員会の報告書のものもある。

「検索履歴にスクールアイドルのことがある。.......あの人気にかけてるんだろうな。」

否定的な態度を取ってはいたが、やっぱり気になるのだろう。彼女自身歌や踊りに関する経験があるのだろうから気になるし、やりたいのだろうか。

「ん?この会計ファイル.....少しおかしいな。学生の会計決済書なのに最終編集が教員になっている。どういうことだ?」

俺は原案を見ながら比較してみた。そこで、ひとつ気がついた。

「ここだけ値段が違う.....いや、それと同じ額別の項目で補っているのか。生徒会運営費とクラブ年度予算。どこをどうしたらこんな変更が出るんだ?」

だが、その2つは無関係で、関連性があるとは思えない。更にいえば、かなりの額の変化がある。

「別の所から入ってるのか?いや.....その線くらいしか考えられない。となると.....誰かが横領した分を外から貰っている。.....何なんだ?この予算案は?」

巧みに操作されている。綾瀬先輩が気付けなくてもおかしくないくらいに。.....この学校を辞めるのはこの案件を解決してからだな。

.....足音が聞こえてきた。誰か来たのか?まぁいいさ。窓から出て屋上まで登ればいい。

「ふぅ、命綱なしだとやっぱこえーな。」

( ゚д゚)ハッ!生徒会のパソコン切るの忘れてた。

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真姫side

あいつ.....どこにいったのよ!!門からは出てないはず。しばらく探し回ったけどどこにもいない。さすが黒獅子。こういうことに関しては私たちよりも群を抜いて秀でている。

 

「星空さん、いた?」

「こっちにもいないにゃー。」

「あと行ってない場所は.....講堂と生徒会室と屋上。星空さん、屋上に行ってくれる?私は生徒会室と講堂に行くわ。」

「了解!!もし見つかったらお互いすぐ連絡しようね!!」

「分かったわ。」

.....もしあいつに会ったらどういうことを言えばいいのかしら。あいつの目は本当に悲しそうだった。教頭への怒りよりも、一瞬で態度を変えた他の生徒達を見て。........そこら辺はまた後で聞くしかないわね。

 

 

 

生徒会室に着いたはいいけれど、誰もいなかった。

「窓が開いているのは不自然だけれど、パソコンが開かれている。

.....あの生徒会長がそんなミスはしないわ。.....あいつここに来てたのね。」

気になって私はパソコンを見た。 .....今年の予算決済案かしら。

「あいつ、こんなこと見てどうしたのかしら?.....生徒会の手伝いをしてるとは言え、これは決済されたやつなのに、今更変更する余地でもあったのかしら。」

少なくとも私はこの時気付かなかった。.....伊月が何をしたかったのか。

保存するのもあれなので、私はパソコンを切った。おそらく閲覧履歴にはのらないでしょうけど。

「次は、講堂ね。.....待ってなさい、伊月!!」

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凛side

かよちんからメールが送られてきた。.....教頭先生から色々聞いたんだね。かよちん、よく頑張ったにゃー。

「屋上に着いたはいいけど、鍵かかってるのかな。」

と思ったら普通にあいたにゃ。しかも伊月くんもいた。

「伊月くん!!」

「.....凛か。こんなとこまでどうした?」

「伊月くんを探しに来たんだよ。辞めちゃうの.......?」

「まぁ、な。ここの生徒の殆どはああいう奴らだって分かったしな。黒獅子と分かって受け入れてくれてるのは知る限り真姫だけだしな。」

「.....凛、俺に失望したか?黒獅子であることを隠し、お前らと関わってきた俺を。」

伊月くんが何を言ってるのか分からない。.....伊月くん、だって凛に大事なことを気づかせてくれたじゃん。なんで.....

「凛には難しいことは分かんないにゃ.....伊月くんが黒獅子だってことも今日初めて知ったし、黒獅子の変な噂はよく聞いてたにゃ。.....でも、伊月くんのことは悪い人だとは思ってないよ。」

「.....どういうことだ?俺は黒獅子で、世間では好戦的な不良だなんて言われてる。そいつと俺は同一人物だ。.....それを何とも思わないのか?」

 

伊月くんの行動は嘘じゃない。だって.....伊月くんの目はあの時、澄んでいて綺麗だった。.....あんな目をする人が悪い人のはずがない!!

 

「.....驚きはするけど、別に不信感は持たないよ。.....凛の知ってる伊月くんは優しくて、周りをよく見てて.....決して自己満足のために誰かを傷つける人じゃないにゃ。凛は自分の目を信じるよ!!.....かよちんだって、西木野さんだってそれは同じ。.....だから伊月くん、辞めないで.....」

「.....皆お前みたいなやつだったら辞めようだなんて思わないさ。.....結局は教頭の言う通り、噂がたつやつが決して良い奴じゃないし、皆それがデマであっても信じるのさ。.....演技だとか言われたって仕方がない。.....それにな、凛、俺の事がPTAで問題になれば、学校側の信頼がなくなる。.....知られた以上こうするしかないんだ。俺には.....高校生生活を送る資格なんてない。」

「そんなのおかしいよ!!凛は伊月くんのこと悪いだなんて思ってないし、この学校で伊月くんは、1回も問題行動してないじゃん!!」

「本当に優しいな.....お前は。」

「当たり前でしょ!!凛と伊月くんは友達なんだから!!心配するのは当然だにゃ!!」

 

西木野さんにもさっき連絡したし、もうすぐ来るはずだにゃ。.....絶対に辞めさせない。あの教頭がどう思ったとしても、凛は伊月くんを信じるにゃ!!




一旦ここまでです。このままだとあまりにも長くなりそうなので。
次回は、少し理事長が出ます。.....3年生組も出ると思います。

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