「親父、少しいいか?」
「ん?伊月か。どうした?」
「.......実は折り入って頼みがあるんだ。」
俺はそこから今日見た不審な出来事を話した。因みに、過去に親父がスクールアイドルに携わっているっていったことがあったが、それは、場を切り抜けるための嘘で、本当の仕事はSPである。もともと諜報員をしていたらしいが.....
「伊月、まずは音ノ木坂で調べろ。出入りをしてるならそいつから洗い出すのが先決だ。UTXに関してだが.....最近嫌な噂を耳にした。」
「は?そんな噂あるのかよ。」
「ああ。最近UTXの理事長ととある団体に癒着があって、金を払う代わりに、UTXの優位性を保たせるためにあらゆる手段を使っているらしい。例えば.....自分たちより優れているもしくは優位性を揺らがしかねない物を排除してるとか.....」
「もしかしたら.....姐さんの母さんや、絵里が危ない目にあうかもしれない.....」
「安心しろ!!南さんは俺の後輩だし、ああ見えて結構強いんだぜ。」
「.....え?親父と姐さんの母さんって、そういう関係だったのか!?」
今日一番の驚きである。じゃあ、ある意味俺と姐さんが会ったのって必然的だったんだな。
「ただ、その絵里って女の子は危ないかもしれないな。生徒会長さんか?」
「.....ああ。俺も一応生徒会にいるから、絵里を守ることはできるが.....」
「その家族がどうかは分からないな。だが伊月、お前が今すべきことは音ノ木坂の中で全てを暴くことだ。俺もUTXについては調べてやるが.....相応の報酬がないとなぁ」
そう、この男は、正式な依頼に関してはそれが誰であろうと報酬を要求するのである。たまたま出くわして助けた時は何も要求しないらしいけど。
「そうだな.....明後日の晩御飯は親父の好きなやつにしてやるよ。」
「交渉成立だな。UTXに内偵調査だな。」
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翌日
「絵里、またパソコン作業か.....と思ったらスクールアイドルの動画見ていたのか。あいつら、また新しい曲出したんだ。『これからのSomeday』か。全員で曲を作るって感じか。」
「.....やはりまだまだ未熟ね。」
「そうだね。けど、伸び代はすげーからな。ところで絵里」
「どうしたの?一条くん?」
「校舎の耐震構造に関する改築を話に来た人っていましたか?」
「いえ.....そんな人はみていないけれど。」
ん?絵里の首元になんか赤いのが着いてるな。.....まさかこれって盗聴器?一体何故?
「確認のため一緒に理事長室に行ってもらってもいいですか?」
「ええ。私も理事長からそのような話は聞いていないし、もし工事をするなら張り紙も作らなきゃいけないし。」
まだ、盗聴器を取り外す時じゃない。今動けばこっちの負けだ。少し揺さぶりをかけるしかない。
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「理事長失礼します。」
「あら伊月くん、どうかしたのかしら?」
「理事長、最近建築関連について業者が来ませんでしたか?」
「いえ.....来ていないわ。それにそういうことはだいたい秋にくるのだけれど.....」
「いえ。来たか来てないかだけ分かれば十分です。失礼しました。」
「私着いてくる必要あったかしら?」
「一応俺だけで行ってもあれだからね.....それに、今ので理事長も大体察してくれただろ。」
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「どうやら変な虫が嗅ぎ回ってますね。」
「男の声か.....確かあそこは女子高のはずだが。」
「いや、それだが今はテスト生とやらが来ているみたいで、その人間は.....」
「黒獅子か。あの男に気づかれるのはかなり厄介だぞ。」
「大丈夫てすよ、ボス!!こっちの盗聴器には気づいてないでしょう。」
「まぁそうか。気づいていたらあんな大胆には動かない。」
「おやおやあなた達、計画は順調かしら?」
「.....理事長でしたか。ええ。今のところ万全ですよ。.....ひとつの問題点を除いて。」
「問題点?それはなんですの?」
「黒獅子がこれに関与するかもしれないということです。音ノ木坂にスパイを作りましたが、まさかその女と黒獅子に関係があったみたいです。」
「分かりましたわ。では黒獅子には、刺客を数十人送っておきましょう。.....全ては我が校、そして私の名声のため。」
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そして、俺は放課後1人帰っていた。俺は別にスクールアイドル部のお手伝いでもなんでもないので、よく1人になる。.....今日はそれで良かったと思える。
「おい止まれ!!警察だ!」
「ん?警察?俺が何したって言うんだよ。」
「黒獅子.....いや、一条伊月、お前を逮捕する。」
「捕まってたまるかよ。」
「くそ、待て!!」
俺はそのまま路地裏に警察をおびき寄せた。
「で?偽物の制服を着て警察ごっこか。」
「な、何を!?私は本物の警察官だ!!」
「じゃあなんで逮捕状を持ってないんだよ。現行犯にしろ俺は何もしてない。そこらへんの詰めの甘さが酷いぞ。それにそれ、裏サイトで手に入れた警官服だろ?そこの紋章とかも少し違うし、それくらい考えろよ。」
「.......」
「で、何のつもりか知らないけどどうしてそこら辺から殺意がもれているんですかね?」
うわぞろぞろ出てきたよ。パッと見20くらいはいるのか.....しかもどいつも体がごついな。雇われか。
「仕事でお前を潰せとの命令があるのでね。悪いが死んでもらう。」
「おいおい、たかが高校1年に対して大の大人が寄って集ってとかださすぎでしょ。」
さすがに死角を狙われるのはきついし、相手は多分プロだから勝ち目は限りなく0に近い。
「ふん、なんとでも言うがいい。死ね!!」
「ち、こいつなんてしぶといんだ。」
「さすがに、20対1はきつい。.....ぐふっ。」
俺もかなりダメージを受けている。20人中8人は気絶させられたが、死角から掴まれたり殴られたりで、もうオレノカラダハボドホドダァ。おまけにサイレンサー付きのハンドガンで左肩を撃ち抜かれたから、動きもだいぶ鈍っている。
「お前らに....警告しておく。ここは俺のテリトリーだ。それなのにお前らはのこのこ入ってきた。.....何が起こるかも知らずにな。」
「あ?てめぇ負け惜しみはかっこ悪いぞ。さっさと死にやがれ!!」
「伊月様、遅れて申し訳ありません。与助様に機械の使い方を教えており遅れました。」
「遅いぞ。透谷。俺の死角をカバーしてくれ。.....俺も戦う。俺のテリトリーで汚いことをしたやつを.....俺は許さない!!」
「はっ。しかし伊月様も重傷を負っております故、無理のなさらないよう。」
そこから透谷のおかげで、やつらを殲滅させることが出来た。だが、俺は相当の傷を負ってしまったがな。
「すまない.....透谷。力を借りてしまった。」
「いえ、主の為に戦うのは従者兼記録係である私の義務ですので。」
「そうか.....悪いが肩を貸してくれるか?基地まで.....頼む。」
「.....伊月様、無茶が過ぎます。何故拳銃を持つ集団に素手で挑むのですか。.......この傷だと全治までかなりかかりますね。」
「まあ、な。それまでは.....休まないとな.....」
「伊月様、先程の者たちの雇い主が分かりました。UTXの理事長のようです。」
「そうか.....すまないな。」
「あともうひとつ、どうやら奴らは人質を抱えているようです。場所も割れています。伊月様が動けるようになり次第行きましょう。」
「.......分かった、すまないな。」
『EXIT』という前回伊月君に歌わせたやつなんですが、あれAJISAIのEXITなんですよ。AJISAI知ってる人いますか?僕の周りの人は誰も知らないんですよ。