「姐さん、何か分かったか?」
「ううん、歌詞は思いつかないよ。」
「.....そうか、なら姐さんに1つ聞いてもいいか?」
「え?何?」
「姐さんはここで働いてどう思っているんだ?俺はそれが知りたい。ここでの姐さんは、学校の姐さんとは随分と違う。俺はそう見えてな、それがなんでか気になってるんだ。」
「ここに来るとね.....見える景色が少し変わるんだ。この服を着ると、少し勇気が貰えて,.....言葉にするのは難しいんだけど、楽しいんだ。ことりはこの仕事や、この場所が好きなんだなって。」
「そう思えてるなら、何も迷うことないじゃないですか。」
「え?どういうこと?」
「自分はこれが好きだ、こういうことが楽しいんだと思えることがあるっていうのは、結構いいことなんだよ。現に姐さんは、ここで色んなことをして、楽しいと思っている。歌詞に迷ってるとか言ってたけど、自分が思ったことを書いてもいいんじゃないですか?」
「でも.....」
「『曲に宿された命はそれぞれ違って、その人の個性や自分らしさが溢れている。そのらしさがあるからこそ、曲の命の輝きは美しく、作る人、聞く人を楽しくさせる』今回の1一件とは少し違うことだが、かつてとある音楽家はこう言ったんだ。だから、自分が思ったこととかを歌詞にするのは決して悪いことではないんだ。姐さんにはそういうことが出来る能力がある。」
「.....うん。」
「それに、姐さんには歌詞を書いたり、人を笑顔にする力があると思う。きっと、それは高坂先輩も園田先輩も同じ考えを持ってると思いますよ。」
「うん....ありがとう、伊月くん♪」
「礼を言われるほどのことは何もしていませんよ。俺はあくまで、自分の考え方を言っただけです。」
あとは頼みましたよ、高坂先輩、園田先輩。
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地下スペースにて
「これより緊急会議を始める。全員いるな?」
「います。それより兄貴、突然会議開いてどうしたんすか?」
「今回はみんなに伝えたいことがあってな.....ひとつは、最近なにかと事件や問題が頻繁に起こるようになった。だから、各自警戒してくれ。変な組織とかも動いてるからな。それともうひとつなんだが.....」
「どうしたんすか?兄貴」
「.......」
「.......仕方ありません、私から話しましょう。先日、この街にKBを投与した人間が2人現れました。倒した後、確認しましたが、どうやらただの一般市民でした。」
「KB?なんのことですか?」
「そうか.....皆はKBを知らないのか.....この中で麻薬等の闇取引に関わったことがあるものは知っているだろう。」
「はい、なんか特級レベルで危険らしいんすけど、そのかわり世界各国で望外な値段で取引されているらしいです。」
「その通りだ、KBというものは、一種のアンプルのような物なのです。基本的に生物全てに投与することができるもので、投与したものは異常なレベルの再生能力を手にすることになります。」
「それって、倒すのは不可能だってことですか!?」
「いや、そうでもないのです。KBを投与しても、脳や脊髄など、中枢の神経、または急所に強い衝撃を与えれば、奴らを止めることができます.......つまりは殺すのです。」
「何故殺さなきゃいけないんすか?」
「彼らは再生能力を手に入れる代わりに.....自我を失ってしまうのです。KBというものは、生物の精神を蝕むほどの強力なアンプルです。稀に適合することで、自我が残る者もいますが、そんな者でも1週間経てばただの怪物に成り下がってしまうのです。」
「それを治す方法というのは.....?」
「現時点では解決方法は見つかっていません、ただ投与した彼らを救うためには、彼らの命を摘み取らねばなりません。」
「.......そうなんですか。」
「.....私も正直な話、手をかけたくありません。ですから、一刻もはやくその原因を探さねばなりません。」
「そこで、だ。お前らには数人1組のグループを作って、それぞれ捜索に当たって欲しい。ただし、乗り込むのは辞めてくれ。見つけ次第、全員で乗り込む。いいな?」
『はい!!』
「辛いもんだな.....」
「伊月様.....心中お察しします。」
「 俺は3年前、悪夢を見た。しかもその事件は終わっていなかった。.......再びあのような地獄絵図になるのか.....」
「KBを投与される人間は、9割以上が望んでやっているんだ。.....今回もおそらく実験としてやったんだろうな.....」
「ですが、今回は市民です。おそらく強制的にやったのではありませんか?」
「御家族の方には申し訳ないな....」
「.......あなたが悪いわけではないのに、何故頭あなたがそう思うのです?」
「この悪夢は.....いや、これは俺がケリをつけなきゃいけないんだ.....だからこそ、考えなくちゃいけない。最悪謝らなきゃいけないんだ。そして、戦わなきゃいけない.......それが、俺の罪滅ぼしになるんだ.....あの日、守れなかったことの。」
「それでは、伊月様、あなたが悪者になってしまいます!!真実がねじ曲げられてしまうのですよ!?それに、それこそ、世間にこの問題がばれて、大問題になるのですよ!!」
「それでもいい.....それでも、終わらせなきゃいけないんだ.....この負のサイクルを。」
「伊月様.......」
「伊月、僕は3年前のことはよく覚えてるよ。伊月の気持ちも分かるよ。.....でもさ、1人でいかないでくれよ。僕や透谷さん、敬一さんだっているんだから.....」
「.......すまないな。」
1人でいくな.......か。絵里にそう諭しておきながら俺が出来ていないのは、話にならないな.......
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俺は、少し重い足取りで家に帰った。.........辛いもんだな。
だが、俺は気分を帰るために壁を強めに殴った.....少し血が出たがまぁいいだろ。
「おかえりーーー!!!!.......なにかあったの?」
「いや.....少し疲れただけだ。」
「だったらお姉ちゃんが膝枕でもしてあげようか?」
「いや、遠慮しておく。ところで今日の晩御飯はなんだ?」
「えっと、カレーだよ。今日は私の手作り!!」
.......は?手作り?
「すまん、疲れて耳がおかしくなったのかもしれん。今手作りって言ったか?」
「うん!!!言ったよ!!!!」
「今日は地球が滅びるのか.....」
「なんでさーーーー!!!!」
「お前の作るカレーはまずいんだよ!!どういう作り方をしたら、あんな物を作れるんだ!!!下手したら、舌の感覚消えるし、意識も飛ぶわ!!!」
「ひど!!私そこまで下手じゃないよ!!!!」
「じゃあそこで伸びてる親父はなんだ!!!絶対にこれ気絶してるだろ!!!」
「お父さん、私の料理を味見してから、ずっとこんな感じなんだよね.....そんなに美味しいのかな?」
「どうしたらそんなおめでたい思考回路になるんだ.....あ、俺用事思い出したわ。じゃー『がし!!!』\(^o^)/」
「伊月?どこ行くの?オネエチャントイッショニゴハンタベヨ?」
今日のメイド喫茶で貰ったまかないが愛おしいよ.......
「完食だね!!また作るよ!!!」
「もう嫌だ、俺はおわったかもしれない....ヨクイキタ。」
「伊月.....俺なんかもう2回目だぞ...」
こういう時だけは、親父と共感できるんだよな。那月の料理下手は本当にどうにかしてほしい。将来旦那になる人の不幸が見える.....
「そういえば伊月、ことりちゃんからメール来たんだけど、今度の日曜日にアキバでライブするんだってさ。見に来てって。」
「見にいけたら行くよ.......この料理を食って生き残ってたらな。」
「どれだけひどいのさ!!!!普段の伊月の方が生き残るか心配だよ!!」
「そいつは大丈夫だ。そう簡単には死にはしねーよ。」
「はっは、頼もしいな。さすがは伊月だ!!!」
「そりゃどうも。」
「そうだ、伊月も世話になってることだし、その子達に会いに行くか!!南さんところの娘もいるんだろ?」
「親父が行くと、カオスになりそうだから辞めとけ。」
「おいおいひでぇな。これでも社交辞令くらいはできるぞ?」
「普通は誰でもできるんだよ。まぁいいや.....あんまり変なことするなよ。」
「おう、任せとけ!!!」
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日曜日
「親父!!いつまで寝てるんだよ!!」
「んあ?あと5時間寝かせてくれ.....」
「5時間寝たら夕方になるぞ!?ライブあるから早く起きろ!!」
「.........は!?もうこんな時間かよ!!準備準備.....」
「.....たく、」
親父って、普段はすごいのに、こういう所を見るとなんか一般人にしか見えないんだよな。
「んじゃ!!行くか!!車で行くぞ!!」
「.......は?お前頭沸いてんじゃねーの?」
「お前は車に乗りたくないだけだろ!!いいから行くぞ!!」
.......神様、ときに現実は残酷ですね、酔い止めが持つといいのですが.......
「あぶねぇ、危うく始まるところだったな。」
「どっかの誰かさんが寝てたせいだけどな。」
「まあまあ、というか皆メイド服だよ!!可愛い!!」
「それでは聞いてください!!!」
『Wonder zone』μ's
「すごいね、歌詞がことりちゃんって感じがするよ!!」
「本当に南さんそっくりだな。若返ったみたいだ。」
「.......前に進めてるんだな、あいつら。」
本当に尊敬するよ、進めてない自分を見ているからかな。それはさておき、あいつらメイド服めっちゃ似合ってるな。絵里と真姫は特にすげーな。希は.....うん、なんかエロいな。
「前に進めないってんなら、俺たちが背中を押してやるよ、伊月。たまには人を頼れ!!」
「...........ああ。」
ライブ後
「お客様、困りますよ!!会いたいなんて!!」
「どけおら、俺は関係者だ!!」
「大体皆さん、そう言うんですよ!!帰ってください!!」
「どうかしたんですか?」
「いえ、この迷惑な客があなた達に会わせろって言って帰ってくれないんですよ!!」
「どうしたらこんなスマートな大人をそこら辺の迷惑な客と間違えるんだ!!」
「あの.....どちら様ですか?」
「あ、俺は一条敬一。一条伊月の親父の位置にいる人間だ!!」
「伊月の.....分かりました、どうぞ。」
投稿が遅くなってすみません。今日は時間割が鬼畜で小説を書く時間がありませんでした。