「もしもし、伊月くん?」
「ツバサか。どうした?」
「約束通り、高坂さんと会って話したわよ。まだ迷いがあるようだけれど......あの様子なら近々勢いを取り戻すわ。」
「そうか......感謝する。」
「まぁ私の言葉を君が言ったって形で言ったんだけどね。」
「え?どういうこと?」
ちょっと待って。え?ツバサが言ったんだよね?なんでそこで俺の名前が出てくるの?
「えっとね.....初対面の私が言ってもあんまり響かないさなって思って。他のμ'sメンバーの名前を出しても良かったんだけど、それだとあれだし.....だから使わせてもらったよ♪」
「面倒なことにならなきゃいいんだが.....」
「あとは君の番だよ。今のμ'sを立て直す為にはあなたの力が不可欠だわ。お願い、行ってあげて。」
「お前たちもだいぶ変わってるよな。ライバルを助けるなんて。」
「そうかしら?勝負していないのに勝ったなんて言えないでしょ?私たちはちゃんとした場で勝負したいの。だから助けたい。それだけよ。」
「分かった.....だが、俺がどこまで出来るかだな.....」
今の俺は前の俺とは違う。.......優しさも明るさもない。それでどこまであいつらの力になってやれるか.......
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「ここいらにいないか.....あっ、いた。」
「はぁ.....はぁ.....しんどいよぉ。」
「少し休憩したいにゃー!!」
「あんた達!この程度でへばってどうするのよ!!あの子たちが戻ってきた時に遅れを取らない為にはこれくらい出来て当然よ!!!」
「前の絵里ちゃんみたいなこと言ってるにゃ。」
「でもそうだよね.......絵里ちゃん達が戻ってきた時に前と変わってなかったら意味ないよね。頑張らなくちゃ。」
「ふーん、なかなか頑張ってるじゃないか。」
「そうだよ.......え!?一条くん!?」
「伊月くん!!今までどこいってたにゃー!!!」
「悪い悪い、ちょっと野暮用があってな。3人しかいないのか?」
知ってはいるが敢えて聞いておこう。こいつらの本音を知りたいし。
「あの後ね......穂乃果がいじけて、ことりの留学が決まったりでμ'sが崩壊したの。その後、穂乃果は辞めて、海未は部活にと皆バラバラな訳。だけど私たちは続けているの。いつかあの子たちが帰って来れる場所を失わないように。」
「凛もアイドルを続けたいからやってるにゃ。穂乃果ちゃんたちもきっと戻ってくるにゃ!!」
「私は.....他の人より身体能力が劣ってるから、少しでも頑張らなくちゃって思ったし.....アイドルも辞めたくないから.....」
「それぞれ訳があるんだな.....大丈夫だろ、μ'sは復活する。」
「はぁ?今までどっかに行ってたあんたがなんでそんなこと言えるのよ?」
「ちょっとにこちゃん.......」
「だってそうじゃない。一条がいたらもしかしたらあの場でμ'sの崩壊を防げたかもしれないじゃない。那月もあの場にいなかったし。」
「どう言われようが仕方ない.......実際事実だ、俺がいなかったのは。」
「伊月くん.......」
「でも何もせずにここに来た訳じゃない。ツバサと会って、穂乃果先輩を励ましてもらえるようお願いしたんだ。どう捉えるかは穂乃果先輩次第だが、少しは道が見えたみたいだ。.....なんか俺が言ったみたいにツバサが言ったらしいんだけどな.....」
「え!?ツバサ!?あんたあの綺羅ツバサと知り合いなの!?」
「そうなんですか!!一条くん!!」
「というかこの前アキバに行った時に話したような.......」
「でもでも!!名前呼びだなんて、とても親しくなってるじゃないですか!!」
「あんたいずれ刺されるわよ!!」
「おいおい.....話の目的が変わってるぞ,。」
『それは後!!今は綺羅ツバサとの関係が知りたいのよ(たいんです)!!』
「いやだから知り合い以上友人未満だろ.....恐ろしや。」
いや、μ'sの話をしろよ。なんでここでヲタク発動してんだよ。
「というかそれを言ったら俺はお前たちと関係を持ったらアウトになるよな.......」
「あっ.....」
「取り敢えず話を戻すぞ。穂乃果先輩のことは俺に任せてくれ。姐さんのことは.....恐らく那月が動いてくれているさ。あいつはアホ丸出しだけどああ見えて周りはちゃんと見えている。」
「で.....これからどうするつもり?」
「俺が穂乃果先輩と接触する。どうなるかは分からないけどなるべく説得しよう。穂乃果先輩が戻れば、2年生以外は戻ってくるはずだ。」
「分かったわ。いなかった分しっかり働きなさい。あなたも、那月もμ'sのメンバーなのよ。その意識を持ちなさい!!」
「あぁ.....分かった。」
「じゃあ練習続けるわよ!!」
「え!?まだやるんですか!?」
「当然よ!!この程度でへばってたら.....」
「聞き飽きたにゃぁ!!」
元気なんだな.....こいつら。
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さてどこにいるのやら.....こういう時は家に行くのが一番か。
ガラガラ
「ごめんください、高坂穂乃果さんいますか?」
「あ、一条さん!!お久しぶりです!!」
「えっと.....雪穂ちゃんだっけ。お姉さんいる?」
「いるにはいるんですが.....どこか閉塞的で.....アイドルやってた頃からかなり変わったんです。」
「で、お姉さんには会わせてくれるかい?」
「はい.....お姉ちゃんの力になってください。」
「邪魔するぞ。」
「.........」
「あれ?前にツバサが助言したって言ってたから少しは明るくなってるかと思ったら暗いままだな。」
「.........あれ!?伊月くん!?どうしてここに!?」
「今更気づくのか.....隣座るぞ。」
「うん.......」
「色々あったみたいだな.....お前の気持ちを共感してやれることは出来ないが、酷なもんだ。」
「ねえ、伊月くん。私どうしたらいいんだろ?分からないよ.....」
「どういう動きが最適かなんて決まっちゃいねーよ。今のお前は何がしたいんだ?」
「ことりちゃんが行っちゃうのは嫌だよ.....でもことりちゃんがそれを望んだんだから穂乃果も認めなきゃって.....でも駄目で.....やっぱりことりちゃんと海未ちゃんとずっと一緒にいたい。μ'sだって続けたい。だけど.......」
「そこまでいってるならあとは動くだけじゃないか。何故動かないんだ?」
「どうしようもないしゃん!!そんな事くらい伊月くんにだって分かるでしょ!!!」
「どうしようもないだと....?動く前から何決めつけてんだこの野郎!!」
「.......!!!!」
「あんたがそれを言ってどうするんだ!!考えてみろよ!!廃校寸前で、近くには人気校がある中お前はスクールアイドルを始めたんだろ!?誰だって最初はそんなことでは何も変わりはしないと思っていた。だがどうだ!?実際はメンバーが揃っていって、オープンキャンパスで一定以上の評価を貰い、更には廃校を阻止したんだぞ!!それだけ成し遂げてきて何今更諦めてるんだよ!!」
「それとこれは話が違うじゃん!!」
「諦めが早すぎるんだよ!!!姐さんだってアイドルを続けたい、穂乃果先輩と園田先輩とずっと一緒にいたいって言ってたんだ!!諦めるなよ!!まだ届くんだ。まだ不可能になった訳じゃないんだ.......それを自分から手放すなよ!!」
そう、俺とは違うんだ.....まだ届くんだよ.....
「じゃあどうすればいいっていうのさ!!」
「だったら姐さんを、連れ戻せよ!!!いいか穂乃果先輩、今から少し話すから聞け。」
「え?」
「実はな.....今さっき連絡が来たんだが、那月が姐さんの留学先と交渉して、留学するのを延期してもらったみたいだ。一応本人が望んでいた志望先だから取り消しはいけないってことで。あっちの人が良かったから助かったな。」
「それ、ことりちゃんは知ってるの.....?」
「いや、多分知らない。けど内緒にしておいてくれ。そして当日、空港に迎えに行ってくれないか?」
「それ、いいの.....?ことりちゃんに言わなくて。」
「いや、言わない方がいいだろ。姐さんのことだから内心覚悟してるだろうし。ちゃんと姐さんと会って話さなきゃいけないしな。」
「.........ありがとう、伊月くん。ここまで相談乗ってもらって。」
「気にするな。俺もお前らには本当に迷惑かけてるからな。変なレッテルまで貼られてないか結構心配してるんだぜ。」
「へぇ......じゃあ今度こそ!!穂乃果って呼んでよ!!」
「だから先輩相手にそれはダメだと思うんですけどね。」
「さっきはあんたって言ってたのに。別にいいじゃん。」
「ぐっ.....そこは否定できない。」
「それに、もし呼んでくれないなら真姫ちゃんや絵里ちゃんに今穂乃果の頭に手を置いてることを言うけど。」
おい待て、それだけはまじで面倒だから勘弁してくれよ。あの二人、なんか女性が絡むと何かと怖いんだよなぁ.......特に絵里に関しては。
「分かったよ.....穂乃果。」
「うんうん!!よく出来ました!!じゃあお腹すいたから食べてくるね!!」
「太るぞ!!」
「うぐっ.....だ、大丈夫だよ!!最近あんまり食べてなかったし!!」
取り敢えず元気を取り戻してくれて良かった。後はメンバーだけでなんとかしてくれよ。
次回くらいで1期は完結します。というかやっと終わらせられます。