黒獅子と9人の女神の物語   作:面心立方格子

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やっと....1期を完結させられました。多分2期はオリジナルがかなり絡んできます。多分




#56 終わりと新たなスタート

伊月くんへ

明後日、放課後に講堂でμ'sのライブをするから見にきてね。

穂乃果より

 

 

「ライブ....か。姉様連れ戻す前提で言ってるあたり穂乃果も成長したんだな。」

 

やっぱりあいつらはすげーな。助けがあったとはいえ自力でここまで戻ったんだ。明るい世界はいいよな......

 

 

「俺も落ち込んでられないな......見回り再開するか。

 

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裏路地

 

「久々に来たが、やけに人が少ないな。何故だ.....?」

あの事件以来、本当にチンピラ共の姿が見えなくなった。裏で誰かが牛耳ってるのか?

それに気になることもある。俺は本来そろそろ裁判所に行かなければならないはずだが、その召集の封筒が来ない。それに最近はTVを見てもそういうニュースは上げられていない。もしかして、証拠不十分で提訴が棄却されたのか.....それとも誰かが裏で揉み消したのか.....

 

 

「あら、あなた。随分と醜い格好をしているわね?」

「あ?なんだお前?」

「あら、あなたみたいな汚い人間に名乗る名はないわ。」

「あっそ。.......その言い方、なんとなく分かった。お前.....城善寺の人間だな。」

「あら?分かったの?では自己紹介するしかないわね。私は城善寺千世、現在の城善寺財閥の当主よ。」

「てめぇが.......探したぞ。3年前の恨み、ここで晴らす!!」

「あなた.....もしかして神山町の人間?その割には体が変色してないわね。」

「俺は目が緑色になったからな。そんなことはどうだっていいだろ。お前、自分がしてきた事が分かっているのか。お前は何の罪もない人々を都合が悪い、証拠隠滅として沢山殺したんだ。あの日.....唯一あの町で生まれて生き残った俺は生き地獄を見た。お前に分かるか?お前がしたことの重さを。」

「くだらない。あの汚らわしい市民を殺して何がいけないのかしら?それに世間ではあなたがその事件の犯人なの。これは真実よ。」

「ふざけるな!!てめえは腐りきっている。」

「あなたがどう喚こうと正義は我にありよ。あなたは悪なの。それを理解しなさい。一条伊月.......あの憎き一条敬一の....養子。」

「性根が腐りきっているてめぇに言われたかないな。お前はあの日.....街の人々だけじゃない。お前たち側の人間も死んだんだ。あいつは.....お前の強欲のせいで苦しい思いをして死んだんだ。それが分かるか!?」

「私たち以外の人間は駒でしかないの。駒は感情は持たない。それが上に立つものの常識.....下僕こどきに情を注ぐあなたを理解できないわ。.......これ以上話していても時間の無駄ね。あなたたち、この男を殺しておきなさい。」

「ちっ、待ちやがれ!!!」

「一条伊月、お前を殺す。覚悟しろ。」

「お前ら、お前ら2人なんかに負けるわけねぇだろ。どけオラ!!」

 

 

 

 

 

 

「くそが.....ふざけるなよ、いずれお前の首は俺がはねてやる。」

「ははは......」

「何がおかしいんだ!!!」

「お前はもう当主様の手のひらにのっているんだよ。もうじき音ノ木坂に.....冴子お嬢様が転校なさる。お前が少しでもお嬢様に不快な思いをさせたら、お前は本当に終わるんだよ。」

「ちっ.......」

 

あいつの娘が入ってくる.....くそ、一体どんな奴なんだ。

 

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2日後

「伊月、ちゃんと準備した?ライブ見に行くよ。」

「ああ。だが、懸念すべきことがある。」

「穂乃果ちゃんとことりちゃんが間に合うか.....だよね。それは.......」

「そいつは俺に任せろ。車とばして迎えに行ってやるさ。」

「助かる。俺は.....気づかれないように動く。もしKBを投与した人間や変なやつらが来ても.....俺が叩き潰す。」

「分かった。私は皆を元気づけに行くよ!!!」

「ああ.....親父、少し話しがある。来てくれないか?」

 

 

 

 

 

「俺が養子というのはどういうことだ?」

「.....誰から聞いた?」

「城善寺財閥現当主からだ。あいつらが俺を揺さぶる為に考えたデマの可能性は低いんだ.....教えてくれ。」

「......わるいが今は話せない。いずれ話す時が来る。それまでは待ってくれないか。」

「.....仕方ない。だが、事情次第では親父であろうと容赦しないからな。」

「分かっている.......とりあえずライブ会場に行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

「哲二、伊月が全てを知るまではそんなに遠くないみたいだ。皮肉だよな、あの日1人奇跡的に生き残った男の子が、再びその黒幕と相対することになるんだ.......伊月が壊れないといいんだが。俺たちも動かなきゃいけなくなる。伊月の周りにいる人たち守るため、そして俺たちの世代の因縁を片付けるために...,」

 

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「それにしてもすごい人だね。」

「あれ?那月っち。いつの間に来てたん。」

「さっきだよ。穂乃果ちゃんとことりちゃんは.....まだみたいだね。」

「大丈夫だと思いますよ。なんせ穂乃果ですから。」

「ええ、きっとことりを連れてきてくれるわ。」

(まあことりちゃんの留学先には話をつけているから、当然連れて帰ってくるよ。)

「ところで伊月は来ているの?」

「伊月?多分きてると思うけど、皆からは見えない位置にいると思うよ。」

「それはなんでですか?」

「まあ.....要は会場警備だって。それにここ女性客が多いから、目立つのが嫌なんじゃないかな?」

「そういうものなんですか.......」

「でも伊月くんには見ていて欲しいにゃ。」

「大丈夫だよ、ああ見えてそういう所はしっかりしてからね。何せ私の自慢の弟だもん!!」

「久々に見たわ.......那月のブラコン。」

「と。とにかく頑張ってね!!!」

 

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「兄貴、これなんですか?」

「これは.......なんだ、なんかの発信機か。いや、通信か.......」

「というか兄貴はライブに行ってください。事後処理は俺たちに任せてください。」

「そうしたいのだが.....警察が来た時にお前らだけじゃ厄介事が起きるんだ。俺はある程度顔が知れてるからまだしもお前らはそこら辺のチンピラと勘違いされる可能性すらある。特に今の警察はそういう奴が多いからな.....」

「僕のこと忘れてない?伊月程じゃないけど、警察には顔がきくよ。だって普段監視カメラの解析とかは僕が手伝ってるからね。ここは僕たちに任せて、μ'sの元に行ってあげて。」

「与助.....分かった。なら向かわせてもらう。ただ.....何かあればすぐ連絡してくれ。」

『はい!!』

 

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「はぁ.....はぁ.....間に合ったか。」

危なかった.....『9人』がステージに立っていて、曲が始まる寸前だったみたいだ。

 

「では聞いてください....私たちの始まりの唄、『START:DASH!!』」

 

「あいつら.....前よりも輝いてるな。今回の1件がメンバーの仲をより確かなものにしたんだろうな....羨ましいよ、そういうのが通じる世界で。」

「あら?あなた.....もしかして一条伊月さん?」

「ん?あなたは誰ですか?」

なんか真姫に似てる.....気のせいか。

 

「私は西木野真姫の母です。旦那と娘がお世話になりました。」

「いえ.....真姫にはこっちもお世話になっています。というか.....若くないですか?」

「あらあら嬉しいわね♪.....真姫ね、前よりも明るくなったんです。今まではずっと閉塞的であんまり関係とか作ってなくて.....この学校に入学したのも私たちのエゴみたいなものなんです.....」

「へぇ、自分で望んで来たわけじゃないんだ。それは初耳ですね。」

「はい.....でも今は楽しそうに学校のこと話してるんです。スクールアイドルのことや、あなたのこともよく聞きます。」

「別に.....俺は真姫に何もしてませんよ。」

「そうなの?真姫はあなたに勇気を貰ったって言ってましたよ。お父さんとちゃんと話せたのもあなたが機会を作ってくれたからだって。更には、あなたが自分の悩みをさらけ出した時に親身になってくれたことが本当に有難かったって、本当に楽しそうに話してましたよ。」

「.......」

「これからも真姫のことをお願いしますね。あの子は少し強がるところがあるから、親としても心配なんです。支えてあげてください。」

「はい.....まぁこっちも色々お世話になってます。俺を初めてちゃんと正面から見てくれた人ですから。」

「ふふふっ、将来が楽しみね♪」

「俺は真姫とは釣り合いませんよ。もっといい男が見つかりますよ。」

「でも、旦那も私も婿を迎えるならあなたみたいな誠実で頼れる、優しい人がいいわ。だから.....縁談になった時は顔だけ出してくださいね。了承はすぐ降りますから♪」

「将来の話は一旦置いときましょう.....輝いてますよね。」

「そうね、皆楽しそうだわ。真姫のあんな顔見るのは小さかった時以来ね。」

 

そのまま少し感傷に浸りながらライブを見ていた。.....少しは頑張った甲斐があったかな。

 

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ライブ後 屋上

 

『ありがとうございました!!』

 

「いやー、どういたしまして!!」

「俺は別に何もしてないよ。」

「いいえ、今回は一条さん姉弟がいなければμ'sはなくなっていました。私たちの為に色々してくださったことは感謝しきれません。」

「じゃあ穂乃果ちゃん.....あれやる?」

「うん!!やろうよ!!!」

 

 

そう言うと、穂乃果と姐さんが俺たちに手を差し出してきた。.....なんだこれ?

 

「一条伊月くん、一条那月さん、μ'sのメンバーになってください!!!」

「え!?メンバー!?」

「那月はともかく俺は男だぞ。視力大丈夫か?」

「大丈夫だよ!!」

「メンバーと言ってもステージに出る訳じゃなくて、私たちをサポートして欲しいの。今回みたいに大きく動く必要はないけど、私たちを助けて欲しい。」

「そういうことなら喜んで!!!」

「.......」

「どうしたの?伊月くん?」

「俺は.....まだお前たちを信じきることが出来てないんだ。頭では分かっていてもまだ心には疑心暗鬼がある。だから、ありがたい誘いだけど断らせてもらうよ。」

「もう!!まどろっこしいわね!!それでもいいじゃない!!」

「は?どういうことだ?」

「伊月くんが凛たちを信じきれてなくても、これから関わっていく中で信じてくれればいいにゃ。伊月くんの心の中は分からないけど、でも凛たちは伊月くんの力が必要だし、伊月くんと一緒にいたい。.......それだけだよ。」

「凛.....」

「そうね、今のμ'sにはあなたが必要なの。メンバーでもあなたの影響を受けている人間は少なくはない。それは事実よ。」

「.........」

「伊月、この子達は大丈夫だよ。きっと伊月のことを分かってくれるから.....一緒にやろうよ、サポーター。」

 

 

俺がやっていいのか?.....俺は本来交わっちゃいけないんだ。人のことを信じることの出来ない人間なんだ.....そんな俺に手を差し伸べてるのか?こいつらは.....

 

信じていいのか?俺はこいつらを信じたいのか.....

 

「.......分かった、それでもいいなら力になろう。『11人目』のメンバーとして。」

「わぁぁ.....うん!!!これからもよろしくね!!伊月くん!!」




1期というか第1部終了です。やっと終われました。まさか56話もかかるとは.....第2部なんですが、早ければ明日、構成考えたりすることになったら来週からになると思います。

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