でなくても.....いい?
「伊月くん、なんで穂乃果のおでこ触ってるの?」
「熱があるわけでは.....ないんだな。」
「じゃあなんで!?」
「穂乃果ちゃん....それ本気で言ってる?」
「だって......廃校から救えた訳だし、後は皆で楽しくやる、じゃだめなのかな....?」
「......穂乃果。」
「絵里ち?」
「私たち3年生はあと半年すれば『卒業』するの。そして.....今回のラブライブが私たちにとって最後の大会になるの。」
「.........でも」
「それにスクールアイドルの決まり上、卒業すれば私たちはもうスクールアイドルを出来なくなる....だから最後の思い出を作りたいの。」
「...........分かってるよ、分かってるけど.....」
「穂乃果!?どこに行くのですか!?」
「穂乃果ちゃん待って!!」
「卒業、か。当たり前のことだけど辛いもんなんだな。」
「そうね。私たちが卒業すれば、伊月と会う機会も減るものね。」
「別にそこじゃないんだけどな.....皆頭では分かってるけど受け入れたくないんだろうな、折角こうやって仲間が集まったんだ.....気持ちが分からんでもない。」
「それでも、避けれないんよ。」
「なにしみじみしてるのよ、とりあえず穂乃果を追いかけましょう。」
「そうね。」
「絵里ち、先行っててくれる?うちはちょっと伊月くんとお話してから行くよ。」
「ええ。見つかったら連絡するわ。」
「なんのつもりだ?」
「伊月くんには改めてお礼を言わんとね、ありがとう。μ'sを救ってくれて。」
「俺は何も.....とは言えないが殆ど何もしていない。全てはあいつらの行動が成したことだ。」
「それでも、だよ。.....それとあと一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「伊月くん、うちらに何か隠してることあるん?」
「なぜそう思う?」
「カードがそう告げてるんよ。それとあとは.....勘、かな。うちらと関わっていく中で伊月くんはどこかうちらと自分を離してるような感じがして.....なんというか、もどかしいんよ。何を隠してるのか分からんから。」
「特に何も隠しちゃいないよ。」
「うん.....ならいいんだけど。じゃあ穂乃果ちゃん追いかけにいこか。」
「ああ、そうだな。」
「希.....悪いな。俺にはまだお前らに打ち明けることが出来ない.....お前らを信じきることが出来ないんだ......」
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「はぁ.....はぁ.....」
「ここにいたのか。穂乃果。」
「伊月くん.....追いつくの早いね。」
「俺は男だからな。お前らよりも速くないとまずいし。」
「.....うん。」
「何かつっかえてるのか?」
「絵里ちゃん達が卒業するってこと.....分かってるんだけどね、嫌なんだ。だから考えないようにしようと思ってたんだけど.....」
「逃れられないことだからな。」
「うん.....」
「まぁ.....俺が言えることじゃないんだけどさ、最高の思い出作って送り出してやらないのか?」
「.....え?」
「卒業したら確かに絵里たちとは別れることにはなるだろう。だが別に永遠に別れるわけじゃないしな.....μ'sがどうなるかはともかく、3年生を送り出してやるって考えたらどうだ?」
「送り出す.....?」
「絵里達にとって今回のラブライブに出ることがあいつらにとっては最高の思い出になると思う。だったらそうしてやることが一番良いと思うけどな。」
「そうなのかな.....」
「3年生がそれを望んでいればな。だがこれは俺の意見だ。決めるのはお前らだ。」
「穂乃果!!ここにいたのですか.....一条さんも。」
「ああ。それでどうするんだ?ラブライブ.....」
「....穂乃果、改めて私たち3年生の意見を聞いて。私たちは、ラブライブに出たい、このメンバーで。たとえ予選で負けたとしてもいい、出たいの。それは希もにこも同じでしょう?」
「うん、うちはラブライブ出たいんよ、穂乃果ちゃん。卒業云々を置いたとしても、ね。」
「にこは卒業のことはどうでもいいわ。私たちはラブライブに出るために、ここまで一生懸命に練習してきた。ステージに出たい。それだけよ。」
「絵里ちゃん.....希ちゃん.....にこちゃん....」
「3年生でなくとも、私たちも同じ気持ちですよ、穂乃果。」
「そうね、ここまで来たもの。それに今回はAーRISEとぶつかることになるけど.....可能性もなくはない。」
「凛は単純に皆で歌って踊りたいにゃー。」
「わ、私は....憧れのラブライブのステージに立ちたいです。」
「たがら穂乃果ちゃん、一緒にラブライブ出よ?」
「皆.....分かったよ。私もラブライブに出たい!!出て絶対に優勝するんだ!!」
「AーRISEと戦うんですけどね.....不可能かもしれませんよ。」
「不可能なことなんてないよ!!」
ん?雨降ってるのにどこ行くんだ?また風邪は引くなよ。
「すぅっっっ.....雨やめーーーーーーー!!!!.......ほら!!やんだよ!!」
いやすごいな、それ。天に愛されてるのか....
「不可能なことなんてないよ!!.......ラブライブに出場して、皆で歌って、踊って.....そして、1番になろう!!!」
『やろう!!』
『やろう!!』
「頑張れよ。お前ら。」
「伊月くんも頑張るんだよ!!」
「だって俺ステージとか出ないし、特別ダンスや歌が出来るわけじゃないしな.....」
「そうかしら.....あなたは歌唱力は私たちよりはるかに上よ。那月もダンスだけ見れば絵里よりも上.....あなた達姉弟の力が絶対に必要になるわ。」
「那月はともかく俺はな.....まあメンバーなんだ。果たすべきことは果たそう!!」
「それじゃあ、ラブライブ目指して、頑張ろう!!!」
『おーー!!!』
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「はぁ.....はぁ.....」
「那月ちゃん!!動きが甘いよ!!もっと速く、もっと鋭く!!」
「優花さん、本気出しすぎだよー!!!」
「だめだよ!!伊月くんの隣に立って戦いたいんでしょ!?だったらこの程度で音を上げてたらアウトだよ!!伊月くんは、黒柳さんと同じレベル.....いやそれ以上。私だって手加減してもらってるとはいえ、伊月くんに勝った回数で片手で数える程度なんだから!!」
「そうなんですか.....?」
「うん!!だから那月ちゃんもせめて私レベルくらいにはならないと!!」
「もう一度お願いします!!」
「うん、じゃあ最初からやり直しだよ!!」
「橘さん、本気だな。」
「伊月の隣で戦うというのは、常に死と隣り合わせになることを意味するんだ。せめて自分の身くらいは守れるようにはなっておかなければならない。」
「黒柳、すまないな。時間使って鍛えてもらって。」
「気にする必要はない。那月も望んでやっているのだからな。それに、橘も自分の動きを確認することにおいてはいい機会だろ。」
「お前が稽古をつけないのか?」
「手加減することが出来ないもんでな、那月の骨を折りかねない。」
「なるほどな.....久々に俺とやり合うか?」
「遠慮しておこう。お前とやると体が疲弊しきる。」
「そうか.....まあいいさ。」
「ところで敬一、少し報告があるのだが。」
「ん?何だ?何かあったのか?」
「城善寺財閥の次期当主が伊月のクラスに転任するらしい。」
「千世の娘、か。あいつとの因縁も片付けないとな.....」
「こう見ると皮肉なものだな。伊月は、私たちのいざこざに巻き込まれてるようなものなんだ。」
「申し訳ないとは思ってるさ.....特にあいつの母親にはな。」
「.......私は仕事に戻る。橘達のことは頼んだ。」
「ああ.....那月、そこの動きなんだけどな.....」
「......はい。一条敬一と、黒柳哲二をマークしています。今のところ目立った動きはしていませんが.....早めに潰しておくべきかと。」
「まだよい。引き続き監視に務めなさい。まだ泳がせて機会を待つのよ。」
「.......はい。」
1年もあと1ヶ月とちょっとで終わるんですね.....早いですよね。僕も来年は受験がありますし.....嫌なものですね。