「じゃあ揃ったし、出発しましょうか。」
「その前に少しいいか。皆に紹介しておこう。警察官の橘優花さんだ。今日はお前らの付添という名目で来てもらった。」
「え?付添が必要なの?」
「理事長に前回の合宿を報告した時に『西木野さんの家なら安全だけれど、やはり何かあった時に頼れる大人がいた方がいいわ。学校の先生じゃなくてもいいから次はお願いね♪』って言われたからさ。それに、前にも真姫の家で不審な人間がいたからな.....俺もお前ら全員を守れるかは保障できない。だから同じ性別の頼れる大人を連れてきた。」
「えへへー、頼れるなんて照れちゃうよ〜。」
「実際女性の中では強いだろ。それに動きと動きの間に無駄がない、力もちゃんと入った状態で何発も叩き込んでくるからな。拳銃の腕が熟達した人間が相手にならない限り、おそらく確実に守ってくれよ。」
「任せなって!!伊月くんがお願いしてきた時は驚いたよ。まさか私が頼られる時がくるなんてねー。」
「仕方ないだろ....女性でかつ腕がたつ人間が身近にお前しかいなかったんだから.....さてと無駄話は終わりだ。合宿先に向かうぞ。」
『おー!!』
「さぁ、電車の乗るわよ。」
「俺はバイクで行ったらダメか?」
「今回は山の近くにあるから、バイクや車だと行きづらいわよ。」
「くそが.......電車から逃れられない。」
「諦めなさい。でもしんどくなったら言いなさい。酔い止めくらいならあげるから。」
「ありがとう.....真姫。というかよく覚えてたな。」
「当然よ、前回それを理由に逃げようとしたじゃない。その退路を潰しただけよ。」
「さらっと怖いこと言うなよ.....」
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「おおーー!!」
「空気がおいしいにゃー!!!」
「こういう所やとスピリチュアルがありそうやね。」
「それにしても、皆結構身軽できたんだね。」
『ドォン!!』
「ん....?園田先輩?その装備は?」
「山登りの服ですが?皆さん軽装すぎではありませんか?私たちは山に来たのですよ。さぁ!!行きましょう!!山が呼んでいますよ!!」
「海未ちゃん、スイッチ入っちゃったね.....」
「前回みたいにヒートアップし過ぎないといいね.....」
「こっからどんくらい歩くんだ?」
「ほんの10分くらいよ。」
「皆荷物の忘れ物はない?それじゃ行きましょ?」
「あれ.....?」
「 どうしたの?凛ちゃん?」
「何か足りないような.......」
「そりゃあ人数だろ。お前ら、今何人いるんだ?」
「えっとぉ....あれ?11人?」
「だから穂乃果がいないんだよ。」
「えっ.....ほんとだにゃ!!」
「電車まで一緒だったのに....どこ行ったのかしら?」
「というか電車に乗りっぱなしなんだろ。さっき寝てたし。」
「困ったわね.....どうしようかしら?」
「俺が迎えに行ってくるよ。橘さん、頼んだ。」
「オッケー!!任せておいて!!」
さてと.....迎えに行くか.....
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1時間後
「皆酷いよ!!なんで起こしてくれなかったの!?」
「それは私たちも悪かったですが、寝ていた穂乃果も穂乃果で悪いのですよ。」
「うぅ.....ごめんさなさい。」
「じゃあ行きましょう。」
『おー!!』
「ここが真姫の別荘!?」
「大きいにゃー!!」
「相変わらずすげぇな。」
「そう?普通でしょ?」
「全然普通じゃないよ!!羨ましいなー。」
「あの、山登りしないのですか?」
「それは後よ。一旦入ってやるべきことを決めてからにしましょう。」
「それもそうですね。」
「おおー!!!」
「広ーい!!お金持ちの家によくあるやつ!!そして暖炉!!」
「すごいにゃー!!ここに火を.....」
「つけないわよ。まだそんなに寒くないでしょ。それに今から暖炉を使ってたら煙突が汚れてサンタさんが入ってこれないってパパが言ってたの。」
「サンタ......?」
真姫って、意外と子供らしいところが残っているんだな。普段大人びてるやつがこういう所があると結構可愛く見えるよな。サンタを信じるかはともかくだが.....
「素敵!!」
「優しいお義父さんですね。」
「あの人、やっぱ娘さん大事にしてるじゃんり
「ここの掃除は毎年私がやっているのよ。それにサンタさんが来なかったことは1度もなかったんだから。中見てみなさい。」
「んん?」
「ぷぷ.....真姫がサンタ.....」
「にこちゃん!!」
「それはダメよ!!」
「痛い、痛い!!だってあの真姫よ、真姫がサンタ....」
「にこちゃん、それを言うのは重罪だよ。」
「そうにゃ、真姫ちゃんの理性を左右しかねない一言だにゃ!!」
「まあまあ皆落ち着いてね。とりあえずやること決めよ。」
まぁある意味そうかもしれないな.....俺はまずサンタの存在を最近まで知らなかったんだよな.....親父もクリスマスでも忙しそうに働いてたし、今思えば物を頼まなかったのがある意味親孝行になってたのかな.....あれ?橘さんが珍しく仕切ってる。何かしでかさないことを祈るがな.....
「じゃあ、今回は新曲の作成をメインにしましょ。この合宿で、AーRISEや他のグループに負けないくらいのライブを考えましょ。皆それぞれ頑張りましょ。」
「それはあんまり賛成出来ないな.....」
「どういうことですか?」
「それじゃ今まで通りのような気がするんだ。今までだって真姫や園田先輩が手を抜いたことは1度もないだろ?それで今まで以上のものを作れって言うのはかなりしんどいものになるぞ。いくら専念できるとはいえ、1人じゃ何かとしんどいだろ。」
「ならこうしましょうか。真姫、海未、ことりを中心として作曲、作詞、衣装のグループを作りましょ。今回はそれ以外の6人はくじ引きでそれぞれ分かれましょ。そっちの方が新しいイメージが湧いてくるでしょ?」
「そっちの方がいいだろうな.....なら俺や橘さんはどうするんだ?」
「そうですね、3つのグループとなるとバラバラになったら私たちは1グループ付くことが出来ませんしね....」
「それなら大丈夫よ。作曲組は殆ど家の近くか中にいるわ。ピアノが必要だから。」
「ことりたちもミシンとかがないとダメだからイメージが浮かんだら家にいるよ。」
「分かった、なら作曲グループは基本的に家の近くで活動してくれ。できるだけ人目がつきやすい場所とかで頼む。」
「分かったわ。」
「じゃあくじ引きしましょうか。」
「ざっとこんな感じね。」
作曲班
真姫、絵里、にこ
作詞班
海未、希、凛
衣装班
ことり、穂乃果、花陽
「じゃあ私は衣装班のお守りをしますね!!」
「なら俺は作詞組か。俺たちのことは気にしなくていい、自由にやってくれ。」
「それじゃあ、頑張ろう!!」
『おーー!!!」
「.......おー.....」
「真姫、タイミングが少し遅かったな。」
「うるさいわね!!」
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一方その頃
「2人1組で組手を行う。使うのはいまさっき習った護身術と拘束のみを使用して、どちらかが拘束されたら負けだ。」
「はい!!!!」
「そし、かかれ。」
「兄貴のお知り合いは中々スパルタっすねー。今まで休憩なしときた。」
「だが俺達が強くなれば兄貴の力なれるんだ。頑張ろうぜ。」
「ふぅ....ふぅ.....お父さん!!力入れすぎだよ!!」
「何言ってんだ、これくらい解けないと守るどころかお前が拉致されて終わりだぞ。さっき言ったみたいにやってみろ。」
「やってるけど無理なんだよ!!」
「敬一、少し力抜いてやれ。お前の弱気は強すぎるんだ。」
「そうか....?なら無気力.....おっ、抜けられたじゃないか。」
「お父さんの力の調整が下手すぎるんだよ!!」
「どうだ?そっちは。」
「那月ももう少し体を上手く使えば力を出しやすくなるんだけどな.......要領は悪くないから少しずつ力を入れていくつもりだ。そんでそっちは?」
「伊月の下にいるだけあって、かなり鍛えられている。だが技が全くなっていないからこれどは簡単にやられる。」
「まぁそんなもんか。これ、定期的にやらないとな。」
「ああ。あいつにはあんまり負担をかけたくないしな。」
「........橘のやつ、呑気だな。」
「どうした?」
「先程、山の写真が送られてきてな。あいつ、護衛のこと忘れてないといいんだが.....」