「なぁ園田先輩、一体どこに行くんですか?」
「どこって.....山ですが?」
「え?何故?」
「なぜって、当たり前じゃないですか。山に来たのですから山登りをするのは当然ではありませんか。」
「なぁ凛、園田先輩は歌詞作りを忘れているのか?」
「え!?そうなの!?」
「でも、山には沢山スピリチュアルがあるからね、歌詞を思いつくにもいい場所やないんかな?」
「へぇ、スピリチュアルってそういう感じなんだな。」
「うん、神社とかこういう自然の中やとスピリチュアルを感じるんよ。そしたら、意外と普段は思いつかないことも思いつくんよ。」
「園田先輩はそう思ってないでしょうけど.....」
「あの感じやとそうやね......」
「まぁやってみるのも案外いいのかもな。凛、お互い我慢しよう。」
「うぅ......でも海未ちゃんがそう思うならついて行くにゃ!!」
「さぁ!!日が暮れる迄には登りきりましょう!!」
「にゃあ!?」
「ったく.....危ねぇから慎重になれよ、凛。」
「う、うん.....ありがとう.....」
「ん?どうした?赤くなって?」
「とりあえずそのお姫様抱っこ状態から解放してあげた方がいいんとちゃう?」
「ああ.....ごめん。」
「.....別にいいよ。気にしなくても。」
(お、これは脈アリかな.....)
「3人とも、速く登って来てください!!」
「悪い、すぐ行く!!」
「凛ちゃん、もしかして.....伊月くんのこと.....」
「ち、違うよ!!距離が近かったから恥ずかしくなっただけだよ!!」
「ふーん、うち、別に好きなの?って聞いてないのになー。」
「にゃ!?希ちゃん酷いにゃー!!」
「冗談やって、ごめんね。からかって。」
「別に...伊月くんはそんなんじゃないよ.....」
「おい、行くぞ。」
「う、うん!!」
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「寝てますね。」
「あはは....」
「電車でも寝てたけど、よく眠る子なんですね。」
「穂乃果ちゃんはいつもこんな感じですけどね.....」
「私に敬語はいらないよ。私、あんまり距離感とかがあると嫌だし。特に年下の人とかだったら。」
「そうなんです.....そうなんだ、橘さん。」
「うんうん、そんな感じ♪ところで衣装とかって思い浮かびそうなの?」
「ううん.....まだ少しイメージが足りないんです。どんな曲なのかも分からないし.....」
「どういう曲、か。想像するのは確かに難しいねぇ。」
「戻ってきました、この花、どうかな?」
「うわぁ、可愛い!!これどこで摘んできたの?」
「ちょっと行った所だよ。すぐそこにある。」
「これは使えそう♪橘さん、少しお花摘みに行ってきます♪」
「私も一応ついて行くよ。何かあったら困るしね!!」
「これ冠みたいにしたらどうかな?」
「うんうん、すごくいいと思うよ!!」
「でも、あんまり取っちゃだめだよ。自然のバランスとかもあるし。」
「分かってるよ♪じゃあ花陽ちゃんこれ摘もうか。」
「うん!!ことりちゃん!!」
「ほぇ.....ここどこ!?」
「あ、穂乃果ちゃん起きたんだ。おはよう!!」
「あ、おはようございます.....ここは?」
「今アクセサリーとして使えそうな花飾りの花を摘み取りに来てるんだよ。まぁ最低限しか摘まないけどね。」
「じゃあ穂乃果もお手伝いします!!」
「じゃあこっちらへんから摘んでいってね♪」
「うん、分かったよ!!」
「ふふっ、平和っていいですね、伊月くん。君が守ってるものはとても尊いものですよ。」
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「全く.....ちゃんとしてこないと枝とか刺さるし邪魔だな。」
「でも避けて通るのは楽しいよね!!」
ガラッ
「あっ.....」
「にゃーーーー!!!!」
「凛!!この手を離してはいけません!!」
「無理にゃーー!!!」
「ったく、降りたら危ないがそんな崖っぷちじゃないんだぞ.....大丈夫か?」
「凛ちゃん、ファイトが足らんよー!!」
「さっさと引き上げるぞ、せぇの。」
「もう帰りたいにゃーー!!!」
「何を言っているのですか!!折角ここまで来たのですよ!!今日は日も暮れそうですし、明日の朝日が昇り次第山を登りきります.....山頂アタックです!!」
「でももう散々だにゃー!!」
「何を言っているのですか!?何の為に山に来たのですか!?」
.....は?おいおい待てよ、この人作詞を忘れていたのか!?しっかりしてると思ってたけど案外抜けてるんだな。
「作詞に来たはずだにゃーー!!!」
「なっ!?」
「忘れてたの!?」
「い、いえ!!忘れていたわけではありません。山を登りきった達成感が歌詞を思い浮かばせるかもしれないと思っただけです!!」
「言い訳にしては、少し見苦しいんじゃないんですか?園田先輩。」
「それに凛ちゃんも嫌がってるし.....日も暮れそうやし、ここで打ち切って降りへん?」
「な、折角ここまで来たのですよ!!」
「海未ちゃん、大事なんは、諦めることを知ることやで。」
「まぁこのまま登ってもあれだしな.....」
「.......分かりました。」
「じゃあとりあえず降りる準備をするか.....と言いたかったがもう暗いな.....少しここで残って朝を待つか。園田先輩、食糧持ってきてますか?」
「はい、一条さんも含め4人分ちゃんと持ってきていますよ。」
「わざわざ悪いな。」
「いえ、あなたも大切な仲間ですから.....」
今の間、何か少し気になるな.....何か隠してるのか?
「とりあえず火をつけますか。俺がちょっくら木材とか取ってくるからその間に色々準備しておいてくれ。」
俺はこの時自分がこの行動を取ったことを後に深く後悔することになった。
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「こんなところにお風呂があったなんてねぇ。」
「ほんと、よく見つかったよね。」
「はぁ....癒される。」
「花陽ちゃんは今日一日本当に頑張ってくれてたもんね♪」
「えへへ...そんなことないよぉ...」
「なんか子供を持った感じがするなぁ。私も早くいい人見つからないかなぁ.....」
「大丈夫ですよ!!橘さんならすぐ見つかりますよ!!」
「そう?ふふっ、ありがと。もし貰い手がいなかったら伊月くんに貰ってもらおうかなぁ.....なんて。」
「そ、それはダメです!!」
「あら?どうしたの、花陽ちゃん?」
「あっ.....なんでもないです。」
「大丈夫よ、冗談、冗談♪今のところはね。」
「あはは.....ところで橘さんは伊月くんの過去を知ってるんですか?」
「え?知ってるけどどうかしたの?」
「伊月くんは、私たちのことを何回も助けてくれてるんですけど.....伊月くんと私たちの間に距離を感じて.....半年くらい一緒にいるのに伊月くんの誕生日とか趣味とか....中学時代どんなだったのか全く分からないんです。聞いても、面白くないよ、って返してきて.....」
「それは仕方ないかもね.....」
「え?どうしてですか?」
「まぁそれはいずれ伊月くんから話してくれると思うよ。本当に伊月くんの過去が知りたかったら今まで通り何があっても伊月くんのことを信じ続けてあげなきゃいけない。それはとても大変なことなのよ.....特にあの子にとっては、ね。」
「そうなんですか.....じゃあ待つしかないね。」
「あれ?穂乃果ちゃん意外と潔いんだね。」
「だって無理やり聞いても伊月くん嫌がるだろうし.....何より伊月くんの口から直接聞きたいしね♪」
「ことりもそうかな.....伊月くんが心を開いてくれるまで待とうかな.....」
「ふふっ、伊月くん。いい子達に出会えて良かったじゃない。私も少し安心したよ.....」
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「ま、迷った.....」
そう、俺は日が暮れた山の中を少し迷っている。明かりを灯せるものをひとつくらい持ってこればよかった.....どうしたものか.....
「一条さん、どこにいるのですか?」
「園田先輩?」
「ここにいたのですね。帰りが遅いものですから、少し見に来ました。」
「ここがわかったんですか?」
「はい、あなたの足跡がありましたので.....二人きりですね.....」
「え?どうかしたんですか?」
「一条さん.....私の悩みを聞いて貰えませんか?」
やっと推しとオリ主のイベントを作れました。ここら辺しかオリ主(1年生)と絡ませられないんですよね.....