「1、2、3、4.....」
「凛、少しリズムが崩れてるわよ。」
「あ、ごめん......」
「凛、さっきの振り付けなのだけれどもっとこうしたらいいと思うのよ。」
「いいえ、あの振り付けはあのままでいいわよ。そこを複雑にすると余計に面倒くさくなるのよ。」
「何よ?」
「お、落ち着いてください.......」
『凛、どう思う!?』
「え、勘弁してほしいにゃーー!!!」
「あ、行っちゃった.....」
「やっぱりリーダーは難しいわね、穂乃果や絵里がどれだけ凄いかが改めてよく分かるわ。」
「そもそも、にこちゃんが何か言わなければ良かったでしょ!?」
「何よ、思いついたから言ったのよ!!何か悪い!?」
「だから.....落ち着いて.......」
「おいおい、何を揉めてるんだよ。」
「あ、一条くん、助けて!!!」 ギュッ
「はいはい落ち着いて.....で何があったんだ?」
「ちょっとした言い合いよ.....凛には少し負担が大きいかもね。あなた、なんで凛を勧めたの?」
「理由おいうか、凛には自信をつけて欲しかったんだ。あいつなんか知らないけど.....自分にコンプレックスを感じているように感じたんだ。それに時々自分には不釣り合いだとか言うこともあったし.....ここれを機に自分のコンプレックスを乗り越えてほしいなって.....まぁ過去に囚われている俺が言うのも全く説得力がないんだけどな。」
「伊月....あなたの過去って一体何なの?私は気になって仕方がない。」
「それはにこも同じね。あんたには色々助けられてるし、それなのにあんたのことを全く知らないなんていうのはおかしいわ。」
「俺の過去なんかどうだっていいさ。今はな.....」
「そう.....まぁいいわ。私たちはあなたから話してくれるまでは待つわ。だから.....いつかは来てね。」
「ああ.....分かったよ。」
「さて、時間も来たことだし今日は帰りましょ。屋上の鍵はにこが返しておくからあんた達はさっさと行きなさい。」
「悪いな、ありがとう。」
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「.......それで、用事って何よ。」
「うちらで話し合わんといけないことがあるやろ?その事や.....」
「私たちが卒業した後に.....μ'sにどうして欲しいか。私たちの意見を一致させたいの。」
「それは.....にこ達が決めることじゃないでしょ。それは残るあの子たちが決めること。私たちがとやかく言うのは野暮じゃないの?」
「それはそうやね.....でも、『うち達』のμ'sはどうするの?」
「.......そっちか。」
「ええ、私たち11人のμ's.....半年もしない内に私たちと那月は卒業する。それに伊月だって来年いるかは分からない.....そしたら実質6人しか残らなくなる。μ'sをどうするか.....難しいわね。」
「あの.....一条くん。」
「ん?どうした、花陽。」
「その.....凛ちゃんのことはあんまり責めないであげてね。凛ちゃん昔ちょっとしたトラウマというかコンプレックスがあるんだ。」
「トラウマ?何かあったのか?」
「凛ちゃんはね、昔は今みたいに恥ずかしがってた訳でもなくて、小学校の頃はミニスカートを履いてたりしてたんだ。でも.....」
「でも?」
「男の子達が凛ちゃんを馬鹿にしてね。女の子っぽくないくせにそんなもの履くなって。凛ちゃん、男の子よりも運動が出来たし、今でもショートヘアだから.....小学生の男の子が思っている女の子とは離れてたから.....そういう心ない言葉のせいで凛ちゃんはそれ以来スカートを履いてこなくなったし、女の子らしいアクセサリーすらしなくなったんだ.....」
「そういうことか.....反動形成じゃないのか?よく言うだろ?自分たちが可愛いとか好きだなって思う人に対していじわるな態度を取る傾向がある、それだと思うけどな.....だが、受け取る側も子供だからか.....案外根強い過去だな。でも、じゃあなんでアイドルをしているんだ?アイドルとかって女の子のスターみたいな存在だから、そういのにはコンプレックスは感じないのか.....?」
「凛ちゃんは私の為にスクールアイドルになったんです。私1人じゃ心配だからって。でも.....最近の凛ちゃんは楽しそうで、そういうのを気にしなくなったなって.....でもやっぱり気にしてるみたいで.....」
「それも含めてどうにかしないとな.....あいつのポテンシャルをその過去で潰されるのはあれだしな.....」
「一条くん.......なんとかならないかな?」
「だから今回のライブは.....あいつ中心でやるべきだと思う。人を纏めるのは本当にしんどいだろう。そこら辺は花陽達が察して動いてやってくれ。凛のコンプレックスの部分は俺ができる限りなんとかしよう。たが.....俺の言葉だけじゃ足りない。花陽たちも凛の背中を押してやってくれ。」
「う、うん.......頑張るよ。」
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「おかえり、伊月。」
「.......え?」
「どうしたの?お姉ちゃんが復活したって言うのに.....嬉しくて言葉が出ないの?」
「お前.....その髪色.....」
「あぁ.....これね。私、対応出来たみたいなんだ。だから伊月とお揃いだね、えへへ.....」
「.......なんでだよ、」
「え?」
「その血を持つことがどういうことか分かっているのか?えへへなんて悠長な事言ってる場合じゃねぇぞ。これのせいでお前はこれまでよりも更に狙われやすくなるんだ。髪だからまだマシかもしれないが.....あいつらからしたら摘み取らなきゃいけないものだ。お前はあいつらに自分は無事だって言えるか?その血が何を意味するか知らないわけじゃないだろ.....?」
「.......大丈夫だよ。」
「大丈夫なわけないだろ!!!馬鹿なのか!!!」
「大丈夫だよ.....私、もっと強くなるから!!!」
「なんでお前までこっちに入ってくるんだよ!!!こんな争いの犠牲は俺1人で充分だ。お前らは明るい世界で生きてりゃいいんだよ。疑うことを知らない綺麗な信頼関係を結べる世界で.....」
「そっちこそ....ふざけないでよ!!!」
「あ.....?」
「犠牲は俺1人で充分?何言ってるの.....?この世の中の人は伊月が犠牲になることを望んでいるの?全員が伊月が犠牲になるのを平気で見てられるの?そんなわけないでしょ!!!私だって.....μ'sの皆だって伊月が傷ついて楽しいなんて思う人は誰一人いないよ!!!」
「そういうことじゃねぇんだよ。犠牲を増やすか、最小限に留めるか、どっちが現実的かって話だ。人間っていう生物はそうだ。常に集団の中で嫌われたりしている奴に傷を負わせてそいつを排除する。そうやって社会を回してきているんだ。だから.....今回だってそうだ。俺は犠牲になるかもしれない.....だが世の中からしたらただの不良が消えるだけだ。それでいいじゃねぇか.....それであいつらが助かるなら.....俺はそれでいい。」
「伊月の.....バカ!!!!伊月が良くても私たちはダメ!!!本当にあの子たちのことを想ってるなら.....生きてよ。生きて皆を守ってよ!!!いや....私たちと一緒にいてよ。もしそれを世間が認めないなら.....私は戦う。そんな理不尽な現実と。たとえ誰を敵に回しても.....私たちは君と一緒にいたい。誰よりも優しい心を持つあなたと戦いたい。.....ごめんね、柄にもないこと言って.....」
「なんでお前らは.....嘘や偽善でまみれて汚れている俺に....そこまでしてくれるんだ.....俺には分からない。お前らが『関わってあげてる自分優しい』とかそういう奴らじゃない.....何のつもりなんだ.....」
「うーん、それは愚問だよ。」
「私も.....μ'sの皆もきっと優しい君が好きだから.....力になってあげたいんだよ.....こんな答えじゃ満足しない.....?」
aviutlの操作方法を学んでいます。これやってるとyoutuberの方々が大変かが分かります。それと同時にリアルが忙しい中殆ど毎日内容の濃い作品を投稿している他の作者さんが凄いなーと思う日々です。