城善寺side
「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
「どうしたの、手短に頼むわ。」
「はい。主がお嬢様を呼んでおります。何やら話があると......」
「そう.....伝えてくれてありがとう。.......私も1つ聞いていいかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「透谷.....今回のこの騒動を起こしたのは.....本当に生徒なの?」
「それは一体....?」
「今回の騒動、世間的にも知られていてかなり大事になっているのよ。でも今まではそんな目立った排除運動は無かった。それに彼女たちは教師を殆ど通さずに警察に訴えた。おかしいとは思わないの?もし今まで排除運動が起きなかったのは、起こしたら自分の身が危なくなる、という恐怖による抑制がかかっていた。そして彼女たちは彼に立ち向かう力は無い。なのに.....この騒動が起きた。....あなたならどう考える?」
「別に何も。おそらく溜まりに溜まったストレスが発散したに過ぎないかと。更に言ってしまえばこの国は民主主義です。多数派は正義であり、あいつのようなはみ出し者は悪なのです。今回はその形を見せたに過ぎません。実際、他国の革命は戦力差があっても策を使い、相手を倒しています。彼女たちの行動は理解出来ます。」
「あなたはそう考えるのね.....ありがとう。じゃあお母さんの所に行かせてもらうわ。それと....」
「それと?」
「本当のあなたは誰なの?いつまでハリボテを作って自分を隠しているのかしら.....次に聞く時までには答えを出しておいて。」
「本当の.....自分.....そんなもの....」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お母様、何の用事?」
「冴子、少し座りなさい。...,あなた、今の音ノ木坂の騒ぎの中で動いているようね。その必要は無いのよ。」
「何故ですか?」
「何故?まず証拠が揃っていること。そして警察の方々がそれを認めたこと。校内だけでなく世間の人もこの運動に賛成している。あなたがしていることはただの反抗なのよ。そんな家の名前を汚すような真似はやめなさい。」
「お母様、それには同意しかねます。」
「何故です?」
「お母様、今回の案件は曖昧な点が多すぎます。それを傍観している方がよっぽど家を汚すと思うのです。それに、手際が良く、都合が良すぎるのです。本来なら彼を呼んで事情聴取や何かしら措置を取るべきなのです。これがちゃんと彼に事情聴取をした上で、かつ証拠が提示しそれが加工でないことをちゃんと公表すべきなのです.....それをせずに一方の要求だけ聞いて勝手に処遇を決めたら、絶対に相手は納得しませんしまた恨みしか生まないのです。」
「冴子、あなたは考えが甘いのです。今私たちの地位を高くしているのは財産と世論の支持です。世論がそういう方向を向いているのならそれが正義であり、常識というものなのです。これが分かるなら今回の一件には首を突っ込ないで。」
「......話は以上ですね、失礼します。」
「.........透谷」
「は、当主様。」
「あの子を監視しなさい。少しでもあちら側に味方をするような真似をしたら.....監禁しても構いません、止めなさい。」
「.......は、仰せのままに。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理事長side
「御協力感謝します、東條さん。」
「その名前で呼ばんといてくれや。わいは商や、東條やない。」
「ごめんなさい.....それで今回の件なのですが.....」
「あれはままごとや。あんな中途半端なことで伊月を有罪には出来ない。城善寺の野郎も甘いんじゃないか?」
「そうでもないですよ。現に今の学校にいる伊月くんの味方は20人もいません。私が把握する限りは13人です。」
「なるほどな。でもまずいことになったで。街頭インタビューではまず共学化テスト生徒は何故廃校阻止の時に辞めさせなかったのか?とか言うやつらもいれば、スクールアイドルが出たのはそれを隠蔽するための手段じゃないか?とかいい加減なことを言う出すやつもおった。全く、誰も伊月が学校の粉飾を見抜いたりとかそういうところは誰一人言わへんねんから、相手のやりたい放題やな。」
「そうですね.....主に1年生が中心のようです.....。でも、今回はイレギュラーなこともあるんです。城善寺さんが味方側にいるんです。」
「...,それはほんまかいな?」
「はい。私も最初は驚きました。本来なら敵側のリーダーでもおかしくない人材がこちら側にいるんです。」
「.......それはそれとして、わいを呼んだのは何でや?」
「伊月くんのことを探して欲しいことと、もし伊月くんが世間が何かしらの形で世間に晒された時、伊月くんのことを助けて欲しいんです。」
「......お前は何をするんや?」
「私は今学校にかかっている誤解を解くこととこれから教育委員会に行って、今まで起きたことをありのままに話してきます。」
「教育委員会.....?今行くのは無駄足ちゃうか?あいつらには世間がついている。あの手この手で屁理屈をこねるで。」
「分かっています.....でも、ここで私が行かなければそれこそ音ノ木の名を汚すことになるんです。」
「分かった.....成長したな。わいは少しばかり情報操作と伊月を探すことをするわ。だから学校としてちゃんと正面から世間と戦うんやで、ええな?」
「はい、ありがとうございます.....。」
「敬一が重症で、黒柳が伊月のことを一時的に突き放してしまった今、あいつを知る大人はわいとお前と橘しかおらん。任しとけ。あいつがもし干されるようなら全力で助けるさ。」
「本当に感謝しかありません.....それはそれとして、なのですが、娘さんとの縁は戻せそうですか?」
「今は無理や。まだこの世界の業者やからのぉ....家族なんて持っちまったら娘は生まれつき道を決められて、理不尽な暴力の下で生きなあかん。麻薬や警察手帳や制服が平気で売られてくるんや.......そんな所に娘は巻き込みたくない。少なくとも城善寺との因縁が終わるまでは...,希の元には行けへん。」
「そうですか.....あとこれなのですが.......教育委員会に提出する報告書なのですが.......」
「ふん.......このUSBは何や?」
「伊月くんが全校生徒の前で粉飾していた教頭先生を暴いたところです。他にも裏サイトで発見された動画の元ネタを探し出しました。これでいわゆる証拠を揃えたつもりです。何か抜けがあるでしょうか?」
「そうやな.....今回は警察沙汰になる可能性が高い。だからこの証拠はちゃんと信頼できる警察官に見せて、検察にも出すんや。」
「そのつもりです。」
「それともし、謝罪会見を要求されたら.....絶対に行くなよ。」
「何故ですか?こういうことの責任は私たち教員、もっと言えば理事長である私の責任なのですよ?」
「そんな綺麗な建前はええんや。今はその行動の抜け目をなんとかしないかん。マスコミがなんと報道するかは知らんが、もし謝罪なんかしちまったら、折角上がった学校の人気が無くなるのと、あんたら教員が生徒によって提出された証拠を認めるということになるんや。もしそれでも謝りたいんなら、事が住んでからやれ。あとこれは提案やねんけど......」
「,......え?しかしそれでは......?」
「憂うべき現状を変えられるのは.....あの子たちだけや。それを利用しない手はないやろ。」
「...,.....」
「もちろんちゃんと同意という最低条件は守らなあかん。これすらいしないと、無理やり言わせたおさとか勝手に悪いことをしていないのなら、堂々と意見を言ったらなあかん。そうじゃなきゃ今後、一切わい達が若者に迷惑をかけることになる。」
虹ヶ咲学園のラブライブはどうなるのでしょうか.....?時系列とかメンバーの集まり方とか....何より幼なじみとやらをどう出すか.....色々気になりますね。