「さて、どうしようかしら....?」
「先生たちはうちらに大人しくしとけって言うけど.....」
「このまま動かないのはなんか納得できないにゃー!!」
「神崎先生も、この行動は私たちの行動が一部影響してるって。それに学校の問題なのだから目を反らす訳にはいかないわ。」
「私たちでまいた種は私たちで摘むと.....?」
「でもどうするの?やみくもに出しゃばってもかえって逆効果よ。」
「そうね...せめて世間で騒がれてることが間違いだって証拠があれば.....」
「それならここにあるよ。」
「.......わ!?だ、誰ですか!?」
「ま、普通はそうなるよね.....自己紹介するよ、僕は毛利与助、一条伊月の片腕、という位置づけにいるよ。」
「その人が穂乃果たちに何の用事?」
「これを渡しに来たんだよ.....伊月の意思に反するんだけどね。」
「それ、どういうこと?」
「ちょっとにこちゃん、そんなにきつく当たらなくても.....」
「伊月にとってはね、君たちがこうやって動くことは辞めて欲しいんだよ。もし、自分に脅されてるとか、裏でつるんでるとか根も葉もない噂が立てば君たちの今までのアイドル活動に悪影響しかないって。僕も事が穏やかにすめばそれでいいと思ったけど.....そうもいかなくてね。」
「で、そのDVDは何ですか?」
「学校の裏サイトに貼ってあった陰湿な動画を解析したやつだよ。元ネタと合成元、一応それが記録、録音された日時も判明させた上であの証拠がガセだって言えるように編集した物だよ。君たちにとっては強い武器になると思うよ。」
「でもなぜあなたは、伊月の意思に反して動いているの?」
「君たちに動いて欲しい、そっちの方が世間的にはまだイメージがあるから影響力がある。そう考えたからだよ。というか、僕達の誰も君たちに協力はして欲しくないんだよ。僕達のことで君たちを巻き込むことになるからね.....ただ、今回は学校の評価にも関わってくる。伊月だけが動いても学校のイメージを変えることは出来ない。むしろ悪化するだろうね。それに城善寺さん、君だけが動けば権力のある者が無理やり筋を通してるだけにも見えてしまう。」
「その通りね。私だけが出るのはかえって悪印象。」
「じゃあ穂乃果たちて明日、記者会見みたいなのをしようよ!!」
『記者会見!?』
「でも、そのマスコミをどう呼ぶつもり?それに学校の許可もいるし....いささか非現実的じゃないか?」
「大丈夫!!マスコミの人達は結構校門前に沢山来てるし!!それに穂乃果たちはこの学校を救う為にμ'sを結成したもん.....学校の為なら頑張るよ!!」
「しかし穂乃果.....その後が大変ですよ。」
「そうだよ穂乃果ちゃん、それって簡単に言えば.....ことり達と伊月くんが関係を持っていることをばらすのと同じだよ。それだと.....」
「最悪の場合、ラブライブ出場停止もなくは無いわ。」
「ことりちゃんの言うことも一理あるかも.....」
「あなた達.....なんの為に私がいると思っているの。あなた達のことをカバーする為に私がいるのよ?私を上手く扱いなさい。」
「まぁ被害を最小限に抑えるならそういう形でやることがベストだろうね。」
「じゃあ理事長に許可を貰いに行こう!!」
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理事長室
「記者会見.....?あなた達が?」
「はい!!ちゃんとそれを示す為の証拠も手に入れました!!お願いします!!私たちに.....伊月くんの力にならせてください。」
「あなた達も伊月くんに似たわね.....でもダメよ。」
「どうしてですか!?」
「あなた達が仮にこれをして.....被害があるのは誰?」
「それは.....」
「伊月くんを、学校のことを想って動いてくれるのは嬉しいのよ。でも、それをして今後のあなた達にどう響くか.....それは考慮している?」
「その点に関しては私がいます。もし彼女達に....そして彼に風評被害が来るなら.....私が止めます。」
「.......分かったわ。好きな風にしなさい。明日の体育館の使用許可は出すわ。ただし!!ちゃんと準備はしてくださいよ。相手を叩きのめすつもりで。」
「あ、ありがとうございます!!」
「城善寺さん、あなたは少し残ってくれるかしら?」
「ええ、構いません。」
「では、失礼しました!!」
「残した理由は.....家のことですか?」
「そうね.....さっき。あなたは風評被害を防ぐと言ったけれどあなたの家は伊月くんと対立している。それでどうするつもりなの?」
「やはりお母様は彼を敵視しているのね.....」
「あなたは3年前のことを知っているでしょ?」
「それが....この前彼のお姉さんから同じ質問をされたのですが.....私には分からないんです。その3年前の事件が。彼と透谷が関わっているということは分かっているのですがそれ以外は何も知らないんです。」
「嘘では....無いようね。」
「はい.....教えてくれませんか?何があったかを。」
「私からは言えないわね.....伊月くんの口から直接聞きなさい。そうじゃないと出来事だけ知っても意味が無いのよ。」
「そうですか.....分かりました。でも私の家が彼と対立していたとしても.....間違っていることを間違っていると言えないような恥ずかしい真似はしません。この案件を以てそれを証明します。」
「分かりました、あの子たちを支えてあげてください。」
「はい....ありがとうございます。」
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「ねえねえ少しインタビューいいかな?」
「それに関してですが....マスコミの皆さん、集まってもらえますか?」
ザワザワ
「明日の夕方、17時より音ノ木坂学院体育館でそこの案件に関することで私たちμ'sが記者会見もどきのことをします。ちゃんとした事実と学校での彼のことをありのままに語ります。是非どうぞ。質問は全てお答えするつもりです。」
「じゃあ君たちは彼の味方、というわけですか?」
「はい、彼がたとえ共学化テスト生でも、黒獅子と呼ばれる不良であっても私たちの仲間であることに変わりはありません。それに味方、という言い方は辞めてもらえますか?この案件に敵味方なんてことは無いんです。」
「分かりました、確かに言質を取りましたよ。」
「はい、私たちも逃げるつもりもありません。」
伊月、私たちも戦うわよ。いつまでもあなたに守られているのは嫌だから.......
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その夜.....
「本気ですか!?穂乃果!?」
「本気だよ!!だって穂乃果たちがいくら頑張っても皆が変わらないなら.....」
「ですが.....」
「私もはっきり言えば穂乃果の意見に賛成よ。私たちが救いたかった音ノ木坂学院は、こんな学校じゃないわ。」
「でも....うちらは3年生、あと数ヶ月で卒業なんよ。」
「でもその手もひとつの切り札ね。」
「にこっちはどう思うん?」
「にこは本来こういうリスクのあることに首を突っ込むのは嫌なんだけど....あいつが不憫な思いをし続けるのは嫌ね。それに私たちは卒業するんだから、後輩の為に頑張るのもいいんじゃないの?」
「にこちゃんドラマの影響を受けているのかにゃ?」
「うっさいわね。でもやるならやるわよ。私だけ我儘言ってやらないのはμ'sとして駄目だわ。」
「海未ちゃん.....」
「.....伊月...,分かりました。私もやります,。」
「良かったぁ.....」
「伊月もかつて退学を覚悟でたくさんのことをしてきました....私たちもその気で動かなければ何も変えることは出来ませんよね?」
「うん、ありがとう、海未ちゃん。」
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翌日
「これから、音ノ木坂学院で起きた今回の案件についての会見を始めます。今回話させてもらうのは音ノ木坂学院スクールアイドル部μ'sのメンバーと城善寺冴子です。よろしくお願いします。」
「では早速質問良いですか?彼は淫らな性格でしたか?」
「それは.....ありませんでした。私みたいな大人しい人にも優しく話しかけてくれました....あ、私は小泉花陽、1年生です....。」
「それはあなた達アイドルに近づきたいからではないのですか?」
「その線は無いですね。彼が入ってきた時は皆彼のことを警戒して話しかけようとすらしませんでした。それに彼がアプローチをかける前に他の生徒は勝手にレッテルを貼って嫌い、彼のことを知ろうとする態度すらありませんでした。当然といえば当然の反応かもしれませんが、最初からレッテルを貼っていたのは正直見ていて嫌でした。」
「今回の提出された証拠の中にはあなた達らしき方々がセクハラをされて女子生徒がそれに対して激昂しているものもありましたがあれはどうなんですか?」
「それに関しては凛が答えます。あれは恐らく凛とかよちんの事だと思います。元々凛もいつ.....一条くんを先入観で悪者にしていて、かよちんの緊張を解いてあげようとしていた一条くんに勝手に注意してしまったんです。その後一条くんから、幼なじみのあり方や沢山のことを教えてもらいました....でもそれを勝手に加工して被害を受けた風にされたんです!!」
「因みにですが、それを示す物は....?」
「それはこちらのDVDに保存されてあります。昨日中身を確認し、私たちの中でもちゃんと話し合いましたが、全て加工でした。」
「...,.......」(視聴中)
「このDVDの通り、これは加工された物で、その録音、録画時間も分かりました。このビデオだと4ヶ月以上前の動画と1か月前くらいの音声が合成されています。」
「因みにこれは誰が作ったんですか?」
「それはこちらをご覧下さい。」
『どうも!!警察官の橘と黒柳です!!』
『今回提示されたこの動画ですが、鑑識に調査させたところ、加工されたものであり、正式な監視カメラから取った物は殆どありませんでした。また、監視カメラでも都合の悪い物はカットされ、音声の書き換えも行われていました。』
『私たちの中でいい加減な調査をした者がおりました。そのことを深く謝罪し、また別の場を借りて深く謝罪し、再発防止に努めます。』
「こちらが証拠です。」
「なるほど.....ではどうしてこのようなことが起きたのですか?」
「今回の事件は彼へのレッテルを元に公的に彼を排除しようとしたことが原因で起きました。私たち生徒の中でも、彼のことをよく思っていない人が大多数で、彼の在学を認めている人は数少ないです。ですが彼を批判したり嫌っている者はまず彼と関わったことがない人が殆どで、先入観で勝手に解釈した人が残りです。」
「随分と彼に肩入れをしているようですが.....あなた達は彼に脅されてるとかそういうことでは無いのですか?」
「勿論そうです。そもそも彼が誰かを脅すような真似をしていたなら今更彼は無事ではありません。私が叩きのめすので。」
「失礼ですがあなたは.....?」
「私は城善寺冴子、城善寺千世の娘です。」
ザワザワ.....
「静かにしてください。私は最近この学校に編入して彼のことを見てきました。ですが、彼は淫らなことや脅しのようなことは一切しておらず、むしろ生徒が彼を迫害しているようにも見えました。」
「では教育委員会が誤った情報を流してしまった、ということでしょうか?」
「はい、そういうことです。」
「でも、やっぱり信用出来ないなぁ.....城善寺財閥が関わってるが.....一条伊月と言えば組織とか関係なく突撃する奴だから.......」
「勿論、信じるか信じないかはあなた方の会社の判断にお任せします。この証拠を提示して、尚まだ彼を退学させる風潮を出し、学校が変わらないなら......」
「穂乃果たち、μ's全員、この学校を辞めます。」
「え!?そ、それは冗談ですよね!?」
「冗談ではありません。私たちが救いたかった学校は、皆が認められ、共に成長できる、歴史あるこの学校なんです。私たち皆、大好きです。ですが、先入観や噂に囚われ、ろくに関わったこともないのに、こんな陰湿な証拠制作をして勝手に上げ、退学にさせることを行った生徒もそれを黙認している教師も、私たちは嫌いです。彼は学校を2度救いました。ひとつは大人の粉飾を見抜き.....ひとつは侵入してきた不審者をたった1人で追い出しました。誰の手も借りず、周りからレッテルを貼られてもなお自分の正しい道を貫いていました.....そして学校の為に尽力していました。」
「彼は生徒会の手伝いも兼任していて、作業の効率化に大きく役立ってくれました。」
「それも全部一条伊月の指示ですか!?」
「違います。.......それは、私たちの意思です!!」
「これを見てください、私たち直筆の退学届です。いつでも提出する覚悟はあります。」
ザワザワザワザワ
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「あ、兄貴!!!こ、これを見てください!!!」
「どうしたそんなに焦っ......すぐ行くぞ。」
「今だ、あれは操られてやっている。今すぐ保護するぞ!!」
「おい待てよ、ここに何の用だ?」
「一条.....伊月!?」
「貴様!!あんな子達にあんなことをやらせたのか!!汚いぞ!!」
「あ!?あいつらの退学なんざ初耳だこの野郎!!」
「そこをどけ!!お前たちは恐喝罪と公務執行妨害で逮捕する!!」
「上等じゃねぇか。やってみろよ、あいつらが勇気を出して前に出たんだ.....それを勝手に俺のせいにして自分たちで統制する気なんだろ?」
「そんなわけないだろ!!」
「そんなわけない?違うだろ、あの会見でお前ら警察や教師は面子を潰されたんだ。それを俺の脅しということにして、退学も証拠提示も俺が仕込んだデマだとでも言うつもりだろ?そんなことさせねぇぞ。あいつらに手を出すなら.....表出ろ。全面戦争を受けてやろうじゃねぇか。何があってもここからは通さない。てめぇら汚い野郎共にはうんざりしてたからなぁ!!」
「兄貴!?.....仕方ない、おいてめぇら!!やりてぇならこっちはいつでも受けるぞオラァ!!」
「お前ら、何があってもここを通すんじゃねぇぞ!!」
『おお!!』
「おい.....お前は中に行ってこい。あいつらを頼む。」
「了解しました.....兄貴、ご武運を。」
「ああ。お前こそ負けるんじゃねぇぞ。」
μ's編はこんな感じです。あと2回でこの展開をちゃんと完結させます。感想、ご意見、誤字脱字報告、お願いします。