ピロピロ
「どうしたのかしら?伊月くん?」
「何で番号変えたのに分かるんだよ.....」
「こんな時に連絡をよこすのは君くらいよ。それで何の用事?」
「μ'sの皆を頼んでいいですか?あいつらが統制する側に保護されないように。」
「統制?.....はいはい、理解したわ。伊月くん、外で騒ぎを起こしたわね?」
「まぁ.....警察が記者会見潰そうとしてきたからな。それを止めているだけだ。一応、あいつらの近くには仲間を置いておいたから仮に中からなにかされた時にも対応できるようにはしている。」
「大丈夫よ、一応会場には神崎先生と橘さんがいるから。」
「はい、頼みました。俺はわんちゃん全面戦争になりそうなので。」
「なるべく穏便に済ませなさいよ。あなたもここの生徒なんだから。」
「分かってますよ.....ただ、相手側も中々強硬ですから、避けるのは難しいですね。」
「いいかお前ら、あいつらから何かしてこない限り、何もするなよ。こっちから先に手を出したら負けだ。ただ.....絶対に通すなよ。」
「分かってますよ!!中は大丈夫なんすか?」
「中にはちゃんとした大人がいる。そこはあいつとそいつらに任せよう。」
「おい!!早くどけ!!どかなければ業務執行妨害でお前たちを逮捕する!!」
「誰が通報したんだよ、お前らが勝手に動いてるだけだろ?」
「近くに住む人から通報があったんだ。お前たちが発言を強制させているから保護してくれと。」
「は?じゃあお前らはそいつの勝手な思い込みを信じて、事実確認をしていないのか?」
「μ'sのメンバーがこうやって記者会見をしている、それが証拠じゃないか!!」
「そういう言い分で動け、お前たち大森に指示されたのか......だがいいのか?あんたらの自分勝手な行動は今、テレビを通して伝えられているんだぞ?そんな曖昧な根拠で動いて勝手に統制する。なんとも自分勝手じゃないか?」
「じゃあ何故お前たちは集団でここに来たんだ!?」
「何故?お前らが集団で来ることを知っていたからさ。俺一人で行けば、数の暴力でやられるのは明確。なら、部下を連れてきて数の暴力に対抗する。それに保護するよう通報されたにも関わらず、まるで全面戦争をするのを分かっていたかのような動きじゃないか?さっきの通報の中に『俺たちがいる』なんて事、言ってたか?にも関わらずこの人数で来るとは一体どういった了見なんだ?」
「ぐっ.....屁理屈をこねるな!!」
「だったら今すぐ退け。女子学生を保護するのに20人近くの警察官が普通いるかよ.....それにこのまま強硬突破すればお互い損しかねぇよ。」
「なんだと.....!?っ.....もしもし、はい.....分かりました。おい、撤収だ。」
「帰りやしたね.....」
「そうだな.....だが事態は変わらねぇか。」
「そうすか?ちゃんと侵入を阻止出来たじゃないですか?」
「それはそうだが.....次あいつらがどう動くかだな。今の出来事を都合のいいように扱うはずだが.......」
「いやいやー。いい記事を頂きました!!」
「あ!?なんだてめぇ!!」
「おい待て。この人は味方だ.....佐山さん、今の一部始終録画しましたか?」
「勿論、これは非常に大きいよ。うちの記事で君たちをサポートさせてもらうよ。きっと飛ぶように売れるぞ!!」
「あんた.....この状況楽しんでないか?」
「楽しんでるよ!!こんなアニメでしか有り得ないようなスクープを実際に手に入れられたからね!!明日を楽しみにしておいてくれ!!」
「あいつ.....変わってますね。」
「ああ。だが、あいつの書く記事はいつも公平だから信用はできる。あいつ自体を信用できるかは微妙だがな.....」
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翌朝
「な、なんだこれは!?」
【衝撃 教育委員会と警察がグルになり、問題を起こしていない生徒を排除している!!】
『先日起きた黒獅子の学校での一連の出来事を調べるため、当社の記者が様々なところへインタビューへ行った。そこで記事が見たものは恐るべき計画と世間を騙すための執拗な手段だった。インタビューを元に記者がここに全てを書き記した....』
ピロピロ
「はい、週刊誌担当の佐山です。」
「教育委員会の者だけれどね....どうしてあんないい加減な記事を書くんだ!!」
「いい加減?あなた方教育委員会や警察にもちゃんと取材をした上で書いているのですよ。それのどこがいい加減なのですか?」
「これではまるで我々と警察が悪者みたいではないか!!」
「それは読者の判断次第です。」
「あの男は黒獅子ですよ!?悪なんです!!それを擁護する記事を出すとはどういった了見なんですか!?世論を無視しているのですか!?」
「すみませんが我々の仕事は世論に従って右向け右のような内容の記事を出すことではありません。我々は常にちゃんとした取材と確かな情報を元に制作しています。記事の方向性に文句を言わないでください。それに彼を一概に悪と決めつけていますがあなたは彼のことを知っていますか?一条伊月、15歳の高校一年生にして共学化テスト生として音ノ木坂学院に入学、入学して早々、当時の教頭の粉飾を暴き検挙、そして校内に侵入した不審者達を追い出した、その他にもスクールアイドル部のメンバーの悩みを解決しており、廃校阻止の裏の主役程のことをしている。また彼の猥褻な行為はまず発見されず、むしろ生徒から距離を取っているというのが事実。これは私が学校に取材に行き、監視カメラや彼のことを調べた結果です。あなた方、調べましたか?」
「それは.....」
「あなた方は噂と曖昧な根拠を信じて退学処分を下した。その怠惰でいい加減な労働姿勢を美化しろという方が苦しいものですよ。それに今回は警察もそれに手を貸したという訳ですよ。それをそのまま記事にしただけです。まだ言いたいことがありますか?」
「.....仮にそうだとしてもこれは名誉毀損罪だ!!訴えるからな!!」
「はい、お好きにしてください。ですが、それなら彼の方がよっぽど人権侵害をされていますよ。彼への名誉毀損、それを考えてますか?もしあなた方がそう言うなら我々はその件について訴えます。ではお互い法廷で会いましょう。」
「ぐっ.....だが私たち教育委員会には子供たちの学べる環境を整える義務がある。彼の存在や行ってきたことで怯えたりするのは当然のこと。大多数の生徒がそれで迷惑しているのだから彼を退学にするというのは至って正しいじゃないか。人権とか言うけどね、しゃあ他の子供達が安心して学べない環境を認めろと言うのか!?」
「そもそも噂だけで人を決めるという方が問題ですよ。その理論でいけば、中学生の中でヤンキーがいたら、仮に学校で何もしていないのにそいつを謹慎処分にするのと同じですよ。それに今声を上げている人は1度たりとも彼と話したことがない人たちでしょ?それを鵜呑みにする方がよっぽど馬鹿げてますよ。本当に迷惑行為をしているならともかくそれは自己中な言い分ですよ。私は彼じゃないから言えますけどね、侮辱するのも大概にしてください。もう話しても埒が明かないので失礼します。」
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警察署
「一条伊月....あなたが何をしたか分かっていますか?」
「知るかよ。だがこの一件でてめぇの株は下がったんじゃないか?」
「本当です。あなたのせいで!!私の社内評価が落ちたじゃありませんか!!」
「だから知るかよ。俺を貶めたいのは丸見えだったしな、どうせ裏で城善寺と絡んでるんだろ?」
「何を言っているんだそんな事ないだろ!!ですが君は公務執行妨害をしました。」
「は?てめぇらの言論統制の方がよっぽど問題だろ。それに保護であの人数は要らない。お前が俺たちを捕まえる為に敢えて増やしたんだろ?無駄だ。」
「ぐぅぅ.....覚えておけよ!!お前をいずれ地獄にたたき落としてやる!!」
「やってみろよ、何なら今ここでやってもいいんだ.....ぐっ!?」
俺は今肩を銃で撃ち抜かれた。サイレンサーが付いているから音が軽減されてる上に、ここには監視カメラがない。こいつ.....
「お前は再生力が高いんだ、この程度の傷ならすぐ治るだろう.....存分に痛めつけてやる。」
「ちっ.....」
「くそ!!逃げるな!!」
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「な、なん(ですかこれは!?」
【激震!!一条伊月容疑者、取り調べを脱走!!】
「まずいことになったわね。」
「理事長、これ何ですか!?」
「この姿勢は.....おそらく銃で撃たれたのね。しかもかなり狙われてやったものね。伊月くんの再生力は並大抵じゃないから.....上手く扱われたわね。」
「ということは、取り調べ中に相手の故意で重症を負ったということですよね?」
「ええ、ここまでやるなんて.....警察も必死ね。自分たちの面子を守らなきゃいけないからこういう手をとる事で強制的に犯罪者に仕立て上げて世間から批判されるように仕向けた。ほんと、汚いわね。」
「でも、どうすれば....」
「私たちにできることは無いわ。私たちだけでは世論や警察には勝てない。」
「.......先生、今度の記者会見、私に任せてくれませんか?」
「神崎先生?一体何を考えているの?」
「私が.....担任として一条さんのイメージを....世論と戦います!!私だけに任せてください。」
「だけ!?それ、本気なの?」
「勿論です。もし無理だったら私はこの学校から去ります。」
「え!?ちょっとめちゃくちゃよ.....」
「だからお願いします!!私にやらせてください。」
「......分かったわ。その代わり、μ'sの皆のことも踏まえて完全勝利することが条件よ。」
「!?.....はい!!分かりました!!」
次は大人編です。これで終わる予定ではいます.....