「ねえねえ伊月、あとでお父さんのところ行かない?」
「そうだな.....一段落ついたし一度くらい顔を出しておいた方がいいか。」
「まだあのこと気にしてる?」
「まあな、黒柳に言われたのもあれだがもしかしたら本当にそうかもしれないと考えるところがあるんだ。まさか俺が義理の息子だったっとは思わなかった。」
「でも伊月のことを仕事として育てるなら愛情注がないと思うよ、最低限生きる必要のあること以外何もしないと思うし。」
「取り敢えずこの話は.....病院でやるか。」
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病院
「お父さん....少しは良くなってるみたいだよ.....」
「そうだな.....」
「.......ねぇ伊月。」
「ん?何だ?」
「伊月はさ.....城善寺さんと話している時とかってどういう気持ちなの?」
「.........特に憎んだりはしてないよ。」
「その様子じゃ.....我慢はしてないみたいだね。でもどうして?」
「...,.....あいつはおそらくだが3年前の惨劇を知らないんだ。それにもしそれを知っていたりしたら、まずあの時に俺の味方になんかつかないだろうさ。.....もし仮にそれが演技だとしても家の評価を下げるかもしれない可能性のあることに首をつっこむはずもない。だから俺は分けて考えてるんだよ。」
「透谷さんのことも.....そう考えてるの?」
「.......まあな。だけど理由も違うし立場も違う。」
「今まで謎だったんだけど.....伊月は透谷さんのこと、どれだけ知っているの?」
(外に多分誰かいるが.....特に問題は無い。扉を閉じれば大丈夫か。)
「じゃあ那月にも話しておくよ。あいつ、いや『透谷』についてな。」
「うん....」
「元々城善寺財閥っていうのは戦争中に急成長した財閥なんだ.....その後一度城善寺家に戻って財閥解体の影響から逃れた.....そして戦後は人道支援や公共事業に出資したりと色々表側ではいい感じを演じている。だけど.....そのお金の集め方はかなり異常だったんだ。有力な投資家を脅してそのお金を集めたり自分たちにとって敵になりうる人物を暗殺したり.....当時は戦争があったからそこまで広がることも無かった。海外のマフィアや麻薬の密輸の手伝いをしてその多額な報酬を受け取ることもしていたんだ。それに不都合な人間は殺してるからあいつらを告発する人間もいないし、出版会社が記事を出そうものなら情報操作をし、銀行を操ってその会社を倒産させたりしていたんだ。」
「そ、そんなにやばかったんだ.....」
「そしてそれは頭首の指示なんだが.....自分たちの手を汚すのが嫌だった城善寺家は、分家の人間にその汚れ仕事をさせて自分たちは潔白でいようと考えた。その汚れ仕事を任された家が『透谷家』なんだ。これをすることで仮にバレたとしても家を切り捨てれば自分たちは助かるような作りにしたんだ。それは戦争中に始まって透谷家に生まれた男子は必ず城善寺家の為に汚れ仕事をする習慣を作ったんだ。」
「透谷さん......」
「3年前の惨劇も、透谷家をリーダーとする組織で起こしたんだ。当時は犯罪を犯して捕まっていた犯罪者にKBを投入して大量の殺人兵器.....いや、狂人を作り出したんだ。」
「でも待って.....どうやってKBを手に入れたの?」
「透谷家の人間が拉致したんだ。」
「ということは.....その人は.....」
「ああ、死なないように食料を与えつつ、全身を拘束して切り傷をつけたり指を切ったりして血を採取していたんだ。『神山の血』をひいている人間は脳みそ、心臓、脊髄のような身体の最重要な部分を壊されない限りとてつもない再生力を誇っているからそれを利用して血を出させ続けたんだ。そして効率が悪いからといって町から出ていく人を拉致して奪っていたんだ。」
「ひ、酷すぎる.....」
「やってることは吐きそうなほど汚い事だが.....その事実はもみ消されてるから世間じゃ潔白だ。」
「.......そうだね。」
「これがあいつの家『透谷家』の実態だ。」
「それでよく手元にいた時平然としていられたよね.....」
「まあな.....あいつとの約束があるから、守らなきゃいけない約束が。」
「うん.......」
「じゃあ帰るか。義父も治ることも分かったんだ、それで充分だ。」
「そうだね.....」
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「透谷よ、結局失敗してしまったようだな。」
「はい、申し訳ありせん、頭首様。」
「まさか冴子が出てくるとは想定外だ.....何を考えているのかしら。」
「お嬢様はまだ子供です。そういう間違いをすることはよくあります。」
「だがあれは看過できるものではない。.....処分は後で考えるとして、お前に仕事がある。」
「はっ、なんでしょうか.....」
「今度ハロウィーンイベントがあると知った。その会場を爆破しておけ。その際、大森に事後処理をするよう手配しておけ。」
「はっ.....ですがお嬢様が行く可能性があります。」
「なら拘束するなりすればいい。どうしても無理なら....爆発に巻き込まれても構わない。」
「なっ!?.......それはさすがにやりすぎではありませんか、もう他の議員や主要機関には存在が知れているのですよ、それでもし失うとなれば.....それこそ家の名を汚すことになるのですよ!!」
「何故だ.....不慮の事故と済ませれば何も問題は無いはずだが。」
「それをすれば次期頭首となる存在の護衛が不十分ということになり、家の格が落ちてしまいます。」
「ならばお前たちの組織の中の落ちこぼれもろとも爆殺すればいい。そうすれば護衛をした上で死んだということになる。後はそれをあいつに.....一条伊月とその仲間のせいにすれば何も問題は無い。よいか透谷。お前の使命は家の発展に尽くすことだ。その為なら感情など捨てよ。それが代々お前が受け継いできた家の重みだ。それを個人の感情で迷ってはならない。良いな?」
「.....分かりました。」
「お前もその暴動に乗じてあいつを殺しても構わん、白鴉。」
「やっと仕事か.....最初からそうすれば良いものを。」
「お前程の人物を使うのは重要な局面だ。こそこそと殺すのでは気分が良くならんだろ。」
「勿論、俺は極限までに追い詰められた人間を殺すのが大好きだからな。こっそり殺すこともできるが面白くない。」
「分かった.....では手筈通りに頼むぞ、透谷。」
「承知しました、頭首様。」
ちょっとした報告を。
この作品を完結させたら、またラブライブ!の二次創作作ります。まだアニメはやってませんが虹ヶ咲学園を主体とした作品を書こうかなぁと思います。オリ主の予定ですが、今度は虹ヶ咲学園優先で書こうと思っています(要はオリ主回はなるべく少なく)
それまではこの作品をちゃんと書きます。では。