「お、お母さん.....」
「ああ、一応世界を飛び回ってたがな。ピアニストで俺にピアノを教えてくれた人なんだ。」
「へぇ....じゃあこのピアノも?」
「うん、お母さんの形見なんだ.....お母さんってさ、仕事が忙しいから全く家に帰ってこなくてね。半年に1回くらいは帰ってくるようにはしてたんだけどね。」
「もう今はいないけどな.....3年前に事故で死んでさ。」
「その、なんかごめんね。」
「別に謝る必要はねぇよ。」
「でも、那月ちゃんにそっくりだにゃ。」
「親子で似たんだろうな。」
「その点、伊月とは全く似てないわね。」
「.......そうだな。」
「でも知らなかったわ。海外で活躍するピアニストなら、事故があった時にニュースとかになりそうなものだけれど.....那月のお母さんのニュース見たことないわ。」
「お母さんは、日本というよりかは海外で主に活動していたからね....知らない人も多いんだよ。」
「さてと.....お前らはもう寝ろ。明日も作業しなきゃいけないから、速く休め。」
「そうね.....じゃあ寝ましょうか。」
「なあなあ伊月くん?」
「ん?なんだ、希?」
「その....言いにくいというかあれやねんけど.....何か隠しとる?」
「隠す?.....何の話だ。」
「さっき、仏壇のお母さんの話をしていた時もよく目を反らしてたし.....何よりカードが告げとるんよ。」
「そうか.....特に隠してることはないんだけどな。写真を見て、母さんが懐かしくなったからじゃねぇのか?」
「そういうことならそれでええねんけど.....あんまり無理したらいけんよ。絵里ちも、皆も心配してるから。」
「ああ.....気をつける。」
(悪いな、希。まだ本当のことは言えそうにない。俺のことは俺がケリをつけなきゃいけないしな.....)
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翌日
「ここがイベント会場か....随分と派手になってるな。」
「そうでしょうね、私たち城善寺家が出資をしているもの。」
「城善寺?お前らが関わったのか?」
「ええ、お母様が決めたらしくて.....不思議よね。」
「確かにそうだな。いや....使えるからか。」
「使える?彼女たちにあなたを殺せるというの?」
「無理だろうな.....だが、人質にするなり爆破したりすれば俺にダメージを与えられるとでも考えれば多少は出資するかもな。」
「そこまでしてあなたを殺す理由は何なの?理解出来ないわ。」
「因縁だよ。詳しいことは教えられないが俺.....いや、俺たちと城善寺家には深い闇があるんだよ。」
「ならなぜ私は敵視しないのかしら?」
「敵視?お前は俺のことを殆ど知らないだろ?」
「そうね、お母様はあなたのことを大罪人のようによく言っているわ.....だけどあなたが本当に悪人なら今頃私もμ'sの皆も無事ではいられないわよ。」
「そうか.....だがそれが事情を知ってもなお言えるか?」
「その事情は教えてくれないのでしょ?」
「ああ.....知りたきゃ俺が死んでから知ればいい。」
「そう.....なら当分は聞けないわね。」
「そうだな.....で、お前はなんでここにいるんだ?」
「現場監督のようなものよ。それに暴動が起きないように警察にも協力してもらってるの。」
「警察?」
「ええ、大森さんというかなりやり手の警察官よ。」
「やり手、ねぇ.....確かにあれはやり手だな。」
「これはこれは冴子さん、お誉めにあづかり光栄です。」
「あら、来ていたのね。」
「ところで.....なぜ冴子さんが一条伊月と一緒にいるのですか?」
「同級生よ、同じクラスで。」
「ほぉ.....でも彼は問題ばかり起こす人間ですよ、一緒にいると汚れてしまいますよ。」
「そうかしら?それは私が決めることよ。」
「さすが冴子さん、心が広い!!一条伊月、少しこっちに来なさい。」
「ちっ.....」
「何のつもりだ?お前。」
「なぜお前が城善寺家の人間と親しくしている!?」
「親しく?悪いが城善寺家って言うとあいつに失礼だぞ。」
「くっ....まぁいいでしょう、どうせあなたもここまでですから。」
「ここまで?てめぇまさか.....」
「なんの事ですかね?まぁせいぜいシャバの空気を楽しんでおくことですね。言っておきますが何をしても無駄ですよ。もう報道陣も買収していますしあなたが何をしようともあなたが悪となるようになりますから。最後に教えてあげましょう、正義は作るものです、情報操作をしてしまえばどんなことをしようとも正義になれるのです。お前は悪だ。最初から城善寺家と対立した時点でお前は悪なんだよ。お前の掲げるものは夢幻なんだよ。」
「それをして以前大敗したのはどこのどいつだ?てめぇの言う通り情報操作さえすれば誰であろうとも正義の味方になれる。俺は悪だ。それを否定するつもりはさらさらないがな。だが、その正義は脆い。それに悪と言われても烙印を押されたとしても俺はやりたいことをするだけだ。」
「ほざきますね。まぁいいでしょう。負け犬の遠吠えを聞くのは気持ちがいい。」
「ちっ.....」
そう言って大森は去った。これはまずいな....μ'sに被害が及びかねない。しかもあいつらの数から察するに.....何か仕掛けている。だけどライブ自体はやるしかない。爆弾のタイプだけでも見ていくしかないか。
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μ's side
「そういえば生徒会の方は大丈夫なのですか?」
「かよちん心配しすぎにゃ!!海未ちゃんやことりちゃんがいるから大丈夫だよ!!」
「なんで穂乃果だけ入ってないの!!」
「穂乃果ちゃん抜けてるところあるんだもん!!」
「別に穂乃果だけではありませんよ、私だって完璧ではありませんから間違いを犯すことだってありますよ。」
「そうなの?海未ちゃんって結構落ち着いてるから.....」
「それに穂乃果ちゃんは色々新しいことをやってくれてるし....ことり達だけだと足りないんだよ。」
「そうなんだ.....」
「花陽たちも見習わないとね。」
「そうやね、来年になれば1年生が中心になって引っ張っていくことになるしね。」
「うぅ.....引っ張って行ける自信ないよぉ.....」
「大丈夫よ、私も最初はそんな感じだったから。」
「絵里ちゃんが!?」
「ええ、そう見られまいと結構気を張ってたんだけどやっぱり内心はしんどかったのよ。」
「でも絵里ちは何かと上手く仕事してたよね。」
「それは希や皆がサポートしてくれたからよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいね。」
「にこちゃんの1年生の時ってどんな感じだったの?」
「そうねぇ.....今の穂乃果みたいな感じよ。」
「ちょっと!?にこはそんなに危なかっしくなかったわよ!!」
「まあまあ....でもライブ中にライブ会場を離れるというのも大胆ね。」
「穂乃果ちゃんらしいけどね。」
「でも、やっぱり楽しむなら多い方がいいじゃん!!」
「それもそうですね、私たちとお客さんの距離を詰めるという貴重な機会ですし、私は賛成ですよ。」
「で、でも.....セクハラとかされたら.....」
「大丈夫だよ。伊月くんがいるし、そんな人がいたら多分伊月くんがボコボコにするとおもうよ♪」
「こ、ことりちゃん、怖いにゃぁ....」
「でも今更というところもあるでしょ?私たちは流れとはいえマスコミや教育委員会に喧嘩を売ったのよ。そういうのはアイドルにはNGだけど.....それをした後ならセクハラが起きるくらいどうってことないでしょ?」
「それは暴論のような.....」
「それに私たちも黒柳さんから護身術は学んでいますしもし手を出されたらやり返せるからそこまで心配いらないですよ、花陽。」
「う、うん.....」
「というか言葉が物騒になりすぎよ!!にこ達はアイドルなんだから言葉遣いにも気をつけなきゃいけないのよ!!」
「まぁ内輪やし.....ええんちゃうかな?」
「とりあえずさっさと完成させて練習しましょ。」
「あれ?那月ちゃんは?」
「那月なら.....昨日伊月の部屋に案内したってことで罰ゲームとして洗濯とか掃除とか色々させられているんですって。罰ゲームとはいえ那月とよくこなすわね.....」
「姉弟揃って化け物ね。」
「まぁとにかく私たちはこれに集中しましょ。サプライズのタイミングはまた後で考えましょ。」
「私を叶える物語」ですか。公募というのは結構踏み切りましたね。
となると今回のラブライブ!は、廃校というよりかは自分のしがらみから乗り越えるみたいな感じになるのですかね....さすがにそんな重い内容ではないような....
というか国立(割とアクセスしやすい場所)で廃校の危機ってだいぶやばいですよね?