東方逢魔暦   作:Orb

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今回からシリアスです
あと、今回は描写的に洗脳系NTRと思えるような展開があります。
勿論どうにか解決させるつもりですが、不快だと思う方はお薦めできません


力になりたい

森の中を、ただ無言で歩き続ける。

行きもそれなりだったが、帰りはただの苦痛だった。

霊夢は何故こうも機嫌が悪いのだろうか…女とは謎の塊だ。

…女から見れば、男も謎の塊なんだろうか。

 

意を決して、霊夢に語り掛けようと思ったその時──。

 

「ウゥゥ……」

 

森の中から、これまためんどくさいのが登場した。

しかし、それは本来そこにいるはずがない存在で……。

 

「アナザービルド……だと?」

 

ありえない。

奴はビルドの力を使って、倒したはずだ。

 

「…霊夢」

 

里を出て初めて、霊夢へ声をかけた。

 

「…何よ」

 

この期に及んでこの態度は正直どうかと思うが、とりあえず俺は持っていた荷物を全て霊夢に渡し、告げる。

 

「これを持って、先に帰っててくれ」

「……はぁ? あのね、確かに私は奴を倒せないって言われたけど、力になれないわけじゃ──」

 

 

 

 

 

 

邪魔なだけだ、帰れ」

 

 

 

 

 

 

「………」

 

恐らく、こちらに来て初めて出たドスの効いた声だ。

霊夢の機嫌を更に損ねるような事になってしまうが、仕方ないのだ。

 

相手は一度倒したはずのアナザービルド。

それがどういった経緯で復活したのかは謎だが、異質な存在だということは分かる。

だからこそ、この戦いで霊夢を傍に置いておくわけにはいかないと判断した。

……帰ったらどうなるか、なんて今更考えても遅いな。

 

「……あっそ」

 

それだけ呟いて、霊夢は荷物を抱えて神社の方へと飛んで行った。

……今更だが、アイツはどうやって飛んでるのか…帰ったら聞いてみるとしよう。

 

「…では、始めようか。 実験を」

 

『ジオウ!』

『ビルド!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【霊夢side】

 

 

「……何よ…なんなのよ……もうっ!!」

 

神社に帰り着いた私は、居間に入って早々にちゃぶ台を蹴った。

イライラの原因は明確。 逢魔だ。

……いや、あくまでそれは建前に過ぎない。

本当にイライラしているのは、逢魔の力になれない自分にだ。

 

力になりたいだけなのに、素直になれない。

それは何故か…考えたくはないが、もしかするとそういう感じなのかもしれない。

私に限ってそんな…と思うが。

 

 

 

 

 

私はあいつに一目惚れ、に近い感情を抱いている。

 

 

一目惚れと言い切れないのもどうかと思うが、正直そんなものだ。

私は恋なんてしたことないし、一目惚れがどういったものなのかも知らない。

何がきっかけとなってこの感情を抱いたか、なんて考えれば考えるほど分からなくなってくる。

 

「………」

 

そんな感情を抱いたアイツの力になりたい。

これだけは、恋なんだって分かる。

でも、現実は違う。

力になりたくても、なれない。

それがどれだけ苦しいか、アイツは知ってるのだろうか。

知ってほしい…私の気持ちを。

見てほしい…今の私を。

 

そう考えると、先ほどのアイツを思い浮かべ、今度は悲しくなってくる。

 

 

 

 

 

「なら僕のとこに来なよ」

「っ!?!!?!」

 

居間で立ち尽くしていると、背後から突然誰かに抱き着かれた。

気配を感じなかったのに、コイツ……!

 

「前々から君には目を付けてたんだ…ね? おいでよ」

「い…やっ!離せ──ッ!!」

 

振りほどこうにも、出来ない。

コイツ…尋常じゃない力を持ってる…!

 

 

 

「僕のとこに来ればアイツの力になれるよ?」

 

 

 

そんな言葉に、気が緩んでしまった。

 

「はい、決定!」

 

『ジィーニアス…』

 

「え……」

 

ライドウォッチらしき物を一瞬のうちに胸に当てられ、私の時間は止まった──。

 

 

 

 

 

 

「さぁ、共に行こう。アナザージーニアス。古き魔王の時代は終わった…これからは、あのお方の時代なんだ」




あと何話で序章を抜けれるだろうか…
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