東方逢魔暦   作:Orb

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歪んだ天才(アナザージーニアス)…実は結構気に入ってます


歪んだ天才

『ボルテック タイムブレーク!!』

 

「ハァッ!!」

「グァァアアァア……!」

 

 

 

 

「…ふぅ。思いの外、あっさりしてたな」

 

特に苦戦することもなく、倒せた。

もしかすると、昨日の方がまだ強かったかもしれないな。

 

「……帰ったら、どう謝るか」

 

今思えば、俺は生きてきた中でどれだけ謝罪をしたことがあるだろうか。

叔父である順一郎に叱られたこともなければ、親と喧嘩した覚えもない。

……もしかすると、人生初の謝罪か?

 

 

 

 

 

 

「……ただいま」

 

一体何年振りのただいまだろうか…少し、昔が恋しくなってくる。

 

「…霊夢?」

 

やはり機嫌を損ねているのか、声は返ってこない。

ただそれだけなら…まだ良かったのだがな。

 

 

 

『ヒビキ!』

 

【ヒビキライドウォッチ】を起動させ、十数体のディスクアニマルを召喚する。

 

「頼む、霊夢を探してくれ」

 

ディスクアニマルは喋らない。

だが、こちらの命令を聞いた彼らは、独特な鳴き声と共に森へ入っていった。

 

「…霊夢、どこに行ったんだ…」

 

俺は、もぬけの殻となっていた神社に戻り、何か手掛かりが残っていないか探し始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

【???side】

 

『……どうだ、ソイツの様子は』

 

ここは異空間。

あのお方が作り出した無限の広さを誇る空間だ。

そこに、今は僕とあのお方…そして彼女の三人がいる。

 

「様子、と言われましても…」

 

チラっと、隣にいる彼女を見やる。

 

「…………」

 

虚ろな目で俯いている彼女は、うんともすんとも言わない。

 

「このような様子です」

『………』

 

彼女は壊れたロボットのように立ち尽くしているが、こう見えて聞き分けはいいようで、命令はしっかりと聞く。

 

『もっと、こちらの言いなりになると思っていたのだがな』

「それは仕方ないかと。何せあのウォッチはまだ試作段階です。寧ろこの状態でも上々の出来だと思いますが?」

『……うむ、そうだな。そういうことにしておこう』

 

あのお方は気難しい方だ。そして何より、我が儘だ。

恐らく彼女という存在を完全に己の物にしようと思っていたのだろうが、案の定、結果は斜め上に行ってしまった。

 

「では、奴はいかがいたしましょう?」

『…力を失っていると言っていたな。それは何故だ?』

「あくまで憶測ですが、時空が作り替えられる最中に抜け出してきたからかと。 何時復活するかは皆目見当がつきませんがね」

『……そうか。では、早めに処理しておいた方が良さそうだな』

「では、彼女を?」

『あぁ、そいつの力なら、赤子の手をひねるようなものだろう。……フッ、あの魔王も、赤子と言われるようになるとはな』

 

自分の言葉に自分で失笑する。

そんな彼の目的は、この幻想郷を支配する真の魔王となること。

故に、古き魔王などいらないのだ。

 

「では、仰せの通りに」

 

そして僕──『ロセ』は、そんな彼に付き従う存在であり、『逢魔時王』に対し一個人の憎しみと恨みを抱いているただの家臣だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【逢魔side】

 

「…!」

 

一瞬だが、ヒビキライドウォッチが光った。

ディスクアニマルたちが何かを見つけたか、あるいはディスクアニマルたち自身に何かが起きた。

 

「っ…なんにせよ、ただ事ではないか…」

 

俺は急いで神社を飛び出し、走る。

目指す場所は、ウォッチが導く、森の奥深くだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだ、これは」

 

息切れしながらも目的の場所へ辿り着いた俺の眼に飛び込んできたのは、地獄絵図

辺り一帯の木々には焼け跡があり、ディスクアニマルたちの破片と思われるものが辺り一面に落ちている。

そして、今も尚立ち続ける煙の中には、二人のシルエットが──。

 

「やぁ、古き魔王。 初めまして」

 

一人が煙の中から姿を現す、へらへらとした様子の青年。

そしてもう片方が──。

 

「………」

 

無言でその場に立ち尽くしているのは、アナザービルド。

 

──に似た姿をしている、全く知らないアナザーライダー。

 

「紹介しよう。彼女はアナザージーニアス。僕たちの仲間だ」

 

──彼女? 仲間?

それらを全て理解した時、俺の中で何かが熱くなるのを感じた。

久しい……真の怒りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様ァァァッッ!!!」




今思えば、オーマジオウの辿ってきた歴史では逢魔(ソウゴ)がキレるような展開はなかったんじゃないかな~と思った。まぁ怒った魔王はだいぶ強くなるから、次回は………【ビルドアーマーvsアナザージーニアス】……流石に、無理だよね。"アレ"じゃないと…

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