東方逢魔暦   作:Orb

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タイトルでネタバレしてる?
どの道ビルドアーマーで勝てる相手じゃないんだからノーカン()


魔王の敗北

「『変身』!!」

 

『ライダータイム! 仮面ライダージオウ!』

『アーマータイム! ベストマッチ! ビルド!』

 

走りながら変身を果たした俺は、そのままアナザージーニアス……ではなく、隣の男の方へと攻撃していく。

コイツだけは許さない…そう決心して。

 

「ハァァッ!!!!!」

 

全力を尽くして突いた《ドリルクラッシャークラッシャー》の攻撃。

 

 

 

だが、寸前でアナザージーニアスに軽々と片手で受け止められてしまった。

 

「なにっ…」

「………!!」

 

空いた片手での攻撃を防御しようとドリルクラッシャークラッシャーを手放し、構えをとった。

 

 

 

 

 

だが、無意味だった。

 

 

 

 

 

 

「ぐぁあああぁああああ!!!!」

 

アナザージーニアスの攻撃を受けた俺は防御していながらもその勢いに押され、軽く数十メートル後方へと殴り飛ばされてしまった。

 

「うぐ…な、なんだ…この威力は…」

「驚いたか。それもそうだろう。 何せアナザージーニアスは…『ビルド ジーニアスフォーム』と同じく、60本分のフルボトルの力を全て扱えるんだ。今のお前を飛ばすことなど造作もないよ」

 

やはり、アーマータイムでは限界があるのか……?

だが、今の俺にはこれ以上の力はない。

この力で、戦わないといけないのだ。

 

「っっ……これなら…!!」

 

『フィニッシュタイム! ビルド!』

 

アナザービルド戦同様、どこからともなく現れたグラフによってアナザージーニアスは拘束された。

これなら、手も足も出まい。

 

『ボルテック タイムブレーク!』

 

グラフに飛び乗り、俺は蹴りの体勢に入った。

別にこれで倒せるとは思っていない。

せめて、この攻撃が当たれば……。

 

 

 

 

「馬鹿馬鹿しい」

 

男がそう呟くと、突如グラフにヒビが入り、砕け散った。

 

「なっ……!」

 

無論、俺の必殺技も中断され、俺は宙に投げ出される形で体勢を崩す。

 

 

「天才は何でも歪めることが出来るのさ。こんな風に」

 

 

男がアナザージーニアスの肩を叩くと、それを合図と言わんばかりにアナザージーニアスが腕を上げる。

すると砕け散ったグラフの破片が形を成し、今度は俺を拘束した。

 

「くっ…何故だ…っ!」

「……!」

 

必死に抜け出そうとするが、抜け出せない。

そんな俺目掛け、アナザージーニアスはグラフ上を滑り落ち、キックを放った。

 

「ぐぁあああぁぁあ!!!」

 

その威力は絶大で、数十本にも及ぶ木々をなぎ倒しながら俺の身体は飛んでいき、爆発した。

 

「ぐっ…がはっ…!」

 

強制的に変身は解除され、俺は生身の身体へ戻った。

思いの外傷だらけで、改めてアナザージーニアスの脅威を実感した。

 

これは…不味い。

 

 

 

「ははは! 無様な姿だな、古き魔王」

 

もはや立ち上がる力も残っていない俺を見下す男と、アナザージーニアス。

声を発しないアナザージーニアスが、そんな俺へ止めを刺そうとした所で、男が止める。

 

「もったいない。 どうせならソレ解きなよ」

 

その言葉で、アナザージーニアスの身体から黒いナニかが発せられ、次第にその姿は一人の少女に……。

 

「……れい、む…」

 

確かに、その少女は霊夢だった。

霊夢だったが、何かが違う。

虚ろな目で俺を見下し、感情豊かな霊夢とは真反対な存在だった。

 

「凄いだろう? 彼女は生まれ変わったんだ。僕たちの仲間…いや、奴隷にね」

「っ…奴隷…だと」

「あぁ。僕の奴隷ってわけじゃないが。さっ、私語はここまでだ。やってしまいな」

「ぐふっ…!」

 

霊夢に腹を蹴られ、俺は仰向けの状態にされる。

 

「…………」

 

霊夢は何も喋らず、俺の腹を足で押さえつける。

俺は、そんな霊夢をただ見ることしかできない。

視界もぼやけていき、意識を保つ余裕もない。

 

「…………」

 

霊夢は手で俺の身体を突き刺そうとしているのか、胸元へ突き出す。

そして勢いをつけて、霊夢の手は俺の胸を──。

 

 

 

 

 

「……ごめんな」

「!」

 

──突き刺そうとした所で止まった。

原因は恐らく、俺の謝罪だ。

せめて、邪険にしてしまった謝罪だけはしたかった。

そう思って呟いたのだが、どうやら思った以上に効果があったらしく…。

 

「……どうした。何故泣いてる?」

 

男は訳が分からないと言った様子で、霊夢に問いかける。

だが霊夢は何も答えない。

 

ただただ、俺を見つめながら涙を流しているのだ。

 

 

 

 

「逢魔様!」

 

すると、どこからともなく針状のエネルギー弾らしきものが飛んできて、霊夢と男を俺の傍から遠ざけた。

 

紫が俺を助けてくれたようだが…俺の意識はそこで途切れてしまった。

霊夢……お前は絶対に、俺が───。




王道っていうかありきたりな展開ですね。
次回はいよいよアレが…?

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