東方逢魔暦   作:Orb

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UA数10000突破!お気に入り数120件以上!いやぁ…最初はビビりにビビってパスワード限定公開にしてたんですけど、伸びるもんですね。感謝カンゲキ雨嵐ですよ(死語)


総てを護る為に

「逢魔様!」

 

………誰だ。

 

「逢魔様! 起きてください!」

 

黙れ……俺は、霊夢を助けなくては……。

 

「逢魔様!──逢魔様!!」

「っ……ゆ、紫……?」

「あ……お、逢魔様ぁ!」

 

紫の必死な声で目を覚ました俺は、訳も分からないまま紫に抱き着かれてしまった。

……胸が当たるとこんな音がするんだと、68年生きてきて初めて分かった。

 

「あ、暑苦しい……というか、ここは博麗神社か…?」

「…はい。あの後、意識がなくなった貴方様を連れて避難したんです。…霊夢たちの行方については…申し訳ありません」

「……そうか」

 

その言葉で、俺は起き上がらせていた体を再度寝かせる。

傷はそれなりに残ってるものの、痛みはだいぶ和らいでいる。紫のおかげだろうか。

 

「…少し、お休みになりますか?」

「……あぁ、どうにかして霊夢を助ける方法も考えないといけないから、な………何やってるんだ?」

「何って、膝枕ですよ」

「…………はぁ、好きにしろ」

 

全く、男の頭を膝に乗せるなんて…重いだけのはずなんだがな。何が嬉しいのやら。

そんな疑問を抱きながらも、後頭部の気持ちよさに負け、俺は早々に意識を手放していた。

 

 

 

 

 

 

『どうするの? これから』

 

眠りに落ちたはずの俺は暗い空間に佇んでおり、背後から声をかけられた。

 

「……やはり、お前だったか」

 

予想はしていた。

だが、まさか当たっているとは思わなかった。

俺が振り返ると、そこには若き日の俺──『常磐ソウゴ』が笑顔で立っていたのだ。

 

『やっぱ分かるよね。流石は俺』

「手元にある全平成ライダーのウォッチ、そしてジクウドライバー…予想しない訳がない」

『…それもそっか』

 

彼は、時空を作り替えた張本人であり、消えかけていた俺と最後に話した人物。

何かを見越してか、それともただの出来心か、コイツは自分の持っていた渡せるだけの力を俺に渡していたのだ。自らの残留思念と共に。

我ながら、恐ろしい奴だ。

 

『でも、まだ足りないよね』

「…あぁ、例え平成ライダーのウォッチは揃っていても、アイツ──霊夢には勝てない」

 

俺は最低最悪の魔王『逢魔時王』だ。故に、若き日の俺が生み出した『グランドジオウ』は扱えない。

アナザージーニアスへの対抗…そのためには、やはり──。

 

『………ふっふーん』

 

すると、ソウゴがニヤケ顔をこちらに向けてきた。

 

「………お前、まさか」

『~♪』

 

白を切るかのように口笛を吹くソウゴ。

やはりコイツ、対抗策であるアレを持ってるのか……?

 

『……俺はさ、叔父さんに怒られたことがあるんだ』

 

唐突に、ソウゴが叔父…順一郎の話をし始めた。

 

『寂しい時に寂しいって言えない人間なんて、人の痛みがわからない王様になっちゃうぞ…ってさ』

「…………」

 

人の痛みが分からない王様、か。

まさしく、オーマジオウとして人類の前に立ち塞がっていたあの頃の俺は、そんな王だったのだろう。

 

『……あの子、痛がってたよ?』

「…なに?」

 

彼がいうあの子とは……霊夢の事だろうか。

一体、何を痛がって……。

 

『君に邪魔だって言われてさ、ずっと痛がってた。でも、それを言わなかった』

「………」

『君が悪いって言ってるわけじゃない。でもさ、お互い、素直じゃないなぁと俺は思うんだ』

「………」

『君だって、彼女といて楽しいと思える時があったはずだ』

 

確かに、ないわけではない。

長年孤独だった俺からすれば、霊夢のような感情豊かな子が傍にいてくれるだけで、何から何まで新鮮だった。

料理だって、不満そうではあったが度々「美味しい」という言葉がこぼれ出てて、その度に嬉しくなった。

 

『……まぁ、その辺は事態が解決した後でお互い話し合えばいいよ。俺には何も出来ないしね』

「……ありがとう」

『ん? 何が?』

 

あっけらかんとした表情で首を傾げる。

俺は、そんなソウゴに向けて──。

 

 

 

 

 

「──力を、貸してくれ」

 

頭を下げた。それは魔王と呼ばれた者の所業ではないだろう。

だが、そんなものは関係ない。

 

『…うん、その言葉を待ってた』

 

そう言って微笑んだソウゴの手には、ひとつの光があった。

 

『王様ってのは、世界を良くするための存在だ。 人々を幸せに──笑顔でいてもらうために。 だから、言いたいことはハッキリ言わなくちゃね』

 

世界を変えずに長年魔王として君臨してきた俺と、世界を変えるために魔王となった俺。

辿ってきた歴史も、抱いた思いも何から何まで違う俺達だが。

 

 

 

 

 

人々(みんな)を幸せにしようとしてたことだけは、同じだ。

 

 

 

 

『でもこの力は一回限り。あとは、自分の道を見つけないとね』

「あぁ…そうだな」

 

俺に光を授けたソウゴは、役目を終えたかのように消えていく。

…まさか、二度も自分に救われるとはな。

最低最悪の魔王も、今回限りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総てを護る為に、俺は幻想郷の王になると、そう決めた。




結局アレの登場は次回になりそうです。
次々回辺りで序章終わりかなぁ……
あ、総てを護るって書いてソウゴになるのエモ過ぎません?()
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