まぁ、その前にヒロイン視点などの閑話を幾つか出すんですけどね。
──気づいたら、私は真っ暗な空間にいた。
暗くて、寒くて、静かで、寂しい空間だ。
でも、光が見えた。
それは、明るくて、暖かくて、偉そうで──楽しそうな光だ。
そこに行きたい。
そう願い、私は手を伸ばす。
届かないとわかっても、伸ばし続ける。
だって一人は、寂しいから。
「っ……!」
目を開く。
飛び込んできたのは、見慣れた天井。
私の家、博麗神社の自室だった。
「あれ……私…」
逢魔と気まずい雰囲気になって…神社に帰って…逆ギレしてしまって……あの男に…。
「………そうだ、私…」
思い出した。
私、逢魔を殺そうとしてたんだ。
体を起こして、自分の状態を見る。
何も、いつもと変わらない。 怪我もしてないし、気分も悪くない。
あれから、どうなったんだろうか。
「…………クンクン」
いつの間にか、嗅いだことのあるような匂いが漂ってきた。
「まさか…!」
病み上がり?だというのに、私は思いきり立ち上がり、居間へと向かう。
「はぁ……はぁ…」
息を切らしながら居間の襖を開け、中の様子を確認する。
やはりそこには、綺麗に並べられた朝食と──。
「遅かったな、霊夢」
相も変わらず、新聞を見ながらお茶を啜っている逢魔の姿が、そこにあった。
何故か知らないけど、涙が出てきた。
それを堪えることが出来ず、私は腕で隠す。
それを逢魔はやれやれと言った表情で、見つめる。
「…とりあえず、食べてくれ。昨日よりかは豪華なはずだ」
食べる。
勿論食べる。
少し涙が混じってしょっぱい味がしたが、やはり彼の料理は美味しかった。
【逢魔side】
泣きながら食べている霊夢の様を見て、思わず口元が緩んでしまった。
やはり、巫女だのなんだのと言われていながらも、彼女はまだまだ、子供なんだなと。
霊夢の箸が落ち着いた所で、俺は新聞を置き、霊夢と向き合う。
「霊夢、言いたいことがある」
「ふぇ?」
俺の言葉に霊夢は戸惑いながらも、なんとか口内の物を飲み込み、箸を置く。
「──すまなかった」
俺は、ちゃぶ台に手を置き、頭を下げる。
「…………へっ?」
俺の謝罪に、霊夢は益々戸惑いの表情を見せる。
「…お前に邪魔だって、言ってしまっただろう? そのことで、謝りたかったんだ」
「……でも、それはあの時……」
あの時…恐らく、霊夢が言っているのは霊夢が俺を殺そうとした時の事だろう。
アレを正式な謝罪と捉えているのなら、それはお門違いだ。
「──俺は、お前を守りたかった。だからこそ、あの時は邪魔だって言った、つもりだったんだ…」
「守っ……」
霊夢の表情が戸惑いから驚愕に変わるが、俺は言葉を続ける。
「…素直になれず、すまなかった」
再び、頭を下げる。 今度は台に頭をつけるように。
「逢魔……」
霊夢は、そんな俺の手を取り、告げた。
「私もね、素直になれなかった──貴方の力になりたいって、ずっと思ってた」
人々を守る王と、人々を守る巫女。
二人の意思がすれ違わなければ、今回のようなことは起きなかったはずだった。
「でも、貴方の力を身近で見て、自分には何もできないんだって分かったら、凄くイライラした」
お互い、持つ力の差には決定的なモノがある。
「……だから逢魔、改めて言わせて」
だが、そんなものは関係ない。
「──私と貴方。 二人でこの世界を護っていきましょ?」
例え絶大的な力の差があろうとも、意思がすれ違おうとも。
手を取り合えば、最強の守り人となるのだ。
「……ああ」
ここに来て、初めて心の底から笑顔になれた気がする。
「…やっと見れた。貴方の笑顔」
霊夢も、これ以上ないと言わんばかりの笑顔を、俺に向けてくれた。
「まるでプロポーズね。妬けちゃうわ」
そんな俺たちの雰囲気を台無しにするかのように、紫が襖を開いて登場する。
まぁ、俺はそこにいることを知っていたから良いものの…どうやら霊夢は気づいていなかったようで、固まっている。
「………ぷっ、ぷぷぷ……///」
茹でダコの様に顔を赤く染め、口元もタコの様に尖っている。
ふむ…本当に、霊夢は感情豊かな子だ。
「プロポーズじゃねぇしーーーーー!!!!!」
既視感のある叫び声と共に、霊夢は居間から去っていく。
食べ残しがない辺り、律儀だなぁとは思う。
「ふふっ、相変わらず元気な子♪」
「あまり辱めてやるな…」
「あら、嘘は言っておりませんわよ? どう見てもプロポーズでしたし、私妬けましたわ」
先ほど霊夢が座っていた位置に座り、台へ膝を乗せる。
「……ところで、私は昨日の事を記念日にしたいのですけど」
唐突に告げられた。
「記念日だと? ……なんのだ?」
「逢魔降臨の日ですわ♪」
おうふ。
声には出さなかったが、心の中ではまさにそれだった。
「だって、この世界──幻想郷の王となるお方が誕生した日ですのよ? 記念日にして人妖たちにはこの日、王への感謝の言葉を──」
俺は宗教の教祖様かなんかなのか?
とりあえず、そのようなものは却下だ。
俺が王になりたいのは、この幻想郷を護り、人々に幸せになってもらうため。
前の世界で出来なかったことを、この世界でするのだ。
「祝え! 時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者にして、幻想郷の王! その名も逢魔…この世界に、ひとつの光が誕生した瞬間である」
「……お前が言うのか」
「一度やって見たかったのですわ♪」
【???side】
紫と霊夢、そして逢魔がいる神社の外には、一人の男の姿があった。
マゼンタ色の和服を身に纏い、首には2眼のトイカメラBlackBirdFlyをぶら下げている。
そして小銭を賽銭箱に入れ、シャッターを切る。
その写真はキレイに撮れているどころか、歪んでおり、どう見ても正常な撮れ方ではない。だが、この男は気にしない。
なんたって、これが当たり前なのだから。
「……なるほど、大体わかった」
その言葉を残し、男は神社の前から颯爽と姿を消した。
今、幻想郷の王の元へ、世界の破壊者の足音が近づいているのだった──。
まさかまさかのアイツ登場。
まぁ、いるのといないのとじゃ進み具合が違いすぎますからね。
アレもコイツがいないとどうにかできないですし……
あ、今回で序章は終わり、次から第一章へ移行なんですが、しばらくお時間を頂きます。流石に逢魔暦に集中しすぎて、本業(趣味)のyoutube活動を疎かにしてしまってて……ちまちま閑話を出しますが、第一章はもう少し待っていただくと嬉しいです!
あと、youtubeにて仮面ライダーMADとか出してるので見に来てくれるとありがたいです(隙自宣)
「【MAD】新時代の若き社長【ZERO-ONE】」という動画を最近出したので、それで検索すると分かるはずです