東方逢魔暦   作:Orb

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2068年のオーマジオウが幸せになる未来があっても良かったと思うの
まぁオーマジオウにとっては若き日のソウゴが未来を変えてくれることが何よりの幸せなんだろうけど


最高最善の魔王、その地に降り立つ

「…さて、どうしたものか」

 

老いた肉体は既に消え去り、今の俺は若き日の俺──『常磐ソウゴ』の姿になっている。

こればっかりは紫に感謝するべきなのだろうが、如何せんこれから何をすればいいのか判断できない。

道案内ぐらい、頼むべきだっただろうか

 

 

 

 

 

 

「救ってほしい…か。具体的にはどのようにだ?」

 

私の前で跪いた紫に対し、私は興味を示した。

よもや、最低最悪の魔王と呼ばれていた私にこのような話を持ち掛けてくるとは思いもよらなかったが、彼女からは悪意を感じない。

正真正銘、私からの救済を求めていると、感じたからだ。

 

「言葉通りの意味です。今、私の世界…『幻想郷』は、危機に瀕しています」

「…見たことも聞いたこともない世界だ」

「それもそうでしょう。私たちの世界を認知する事は、神でもないと出来ませんわ」

「ふむ…それで、危機というのは?」

 

紫は少し間を置いて、口を開いた。

 

「……時間が、リセットされたのです」

「リセットだと?」

「はい。このことに気づいているのは、残念ながら幻想郷で私ただ一人。他の皆は時間が巻き戻ったことを理解していないのです」

「つまり、第三者による意図的な時空干渉…そういうことか」

 

驚いた。

まさか私以外にも、時空を操れる者がいたとは。

 

「…実を言うと、それだけではないのです」

「ほう」

「時間のリセットと共に、本来私たちの世界に存在しないはずの者まで現れています。その名も──」

「──『アナザーライダー』、か?」

「!? ……その通りでございます。流石、逢魔時王ですね」

「ある程度予測は出来る。私に助けを求めるということは、そういうことだろうからな」

 

しかし…アナザーライダーと来たか。

時空は作り替えられ、もう現れないと思っていたのだが…。

 

「……だが、ひとつ聞こう。 八雲 紫」

「なんでしょうか」

「知っていると思うが、私は最低最悪の魔王『オーマジオウ』だ。何故このような私に助けを求める? それほど切羽詰まっているというのか?」

「………」

「ライダーが関わっている以上、私も幻想郷とやらを助けることは吝かではない。だが私は魔王。私が干渉することでその世界が更に危機に瀕するかもしれないのだぞ?」

「……承知の上でございます」

「…そうか」

 

面白い。

彼女の眼を見る限り、既に決心しているようだ。

 

「ならば、その救済…喜んで引き受けよう」

「っ……ありがとうございます!」

 

彼女も自分の世界を救うことに必死なのだろう。

若き日の私を思い出すな…。

 

「では、詳しい話は後程。貴方様にはまず、幻想郷の現状を見てほしいのです」

「ふむ……その前に、私の肉体をどうにかせねばならないのだが」

「その辺に関しては私にお任せください。賢者の力をフル活用致しますわ」

「…? そうか」

 

彼女はいそいそと手を動かし、現れた時と同様の裂け目を作り出す。

改めて見ると、ワープゲート…のようなものだな。気味悪いが。

 

「ここを潜ってもらえれば幻想郷です…後のことは、お願いします」

「一緒に来ないのか?」

「…私は賢者である故、表にはあまり顔を出せないのです。申し訳ございません」

「気にするな。立場は重要だからな」

 

その言葉を最後に、私は彼女が作り出した裂け目を通った。

通る直前、彼女が何か言葉を発したように思えたが、それを確認する術はもうない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『流石は、最高最善の魔王…常磐ソウゴですね』

 




魔王でも人助けはしたい………はず()
まぁ相手は人じゃねぇけd((((

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