「ちっ…まさかそっちから来るなんてね…」
「会った事あるのか?」
アナザービルドを見た博麗は心底めんどくさいというように項垂れる。
「何回か、ね。戦ってもすぐ逃げられるし、いつも決着はつかずだったんだけど」
「何故か今回はあちらから来た、と」
これは憶測に過ぎないが、恐らく俺がいることが原因なのではないだろうか。
とりあえず、アナザーライダーが出現した原因を特定せねばな。
「下がってろ、博麗」
「はぁ? 何様よ。アンタこそ下がって──」
彼女の言葉を遮るように俺は前に出て、【ビルドライドウォッチ】を取り出す。
ビルドにはビルドの力だ。
『ビルド!』
起動音と共に光り輝くライドウォッチ。
そこから『仮面ライダービルド』が召喚され、アナザービルドへ向かっていく。
「…まーたその力。しかもあれ、なんか似た者同士じゃない? どういうこと?」
「はぁ…話はあとだ。 とりあえず俺たちは逃げる『ぐぁぁっ!』ぞ……ん?」
博麗を連れてその場を後にしようとしたところで、ビルドが消滅した。
まさか、アナザーライダー相手に瞬殺されたとでも言うのか?
「どうすんの? 負けちゃったみたいだけど」
「………」
「やっぱり、ここは私が…」
「いや、奴はお前の力じゃ倒せない。諦めろ」
「っ…アンタね、ほんっっと何様?」
「魔王様だ。文句があるなら後にしろ」
仕方ない。
俺自身の肩慣らしをここで済ませてしまおう。
何か言いたげな博麗を制止し、俺はアナザービルドと対峙する。
……………。
…………。
………。
……。
…何故だ?
何故、オーマジオウドライバーが出現しない?
「グァァァ!!」
そうこうしているうちに、アナザービルドがこちらに向かってくる。
致し方ないが、アレを使うしかない…。
「ちっ…」
アナザービルドの攻撃を躱しながら、俺は『ジクウドライバー』を取り出して腰へ付ける。
この感覚、50年ぶりか…。
『ジオウ!』
【ジオウライドウォッチ】を取り出し、ジクウドライバーへ装填する。
俺の背後には懐かしき時計が現れ、待機音と共に長針と短針が回り続ける。
博麗は呆気に取られているようだ。
「………『変身』」
その言葉を合図に、ジクウドライバーを回転させる。
重々しい時計の音と共に背後の長針と短針が10と2で固定される。
それと同時に、ライダーの文字も浮かび上がった。
『ライダータイム!』
『仮面ライダージオウ!』
そんな音声と共に、俺の身体は生身の状態から【ジオウ】へと変わってゆく。
「…ふむ、多少窮屈な感じだが、悪くないな」
「…………えっ、え…えぇ~……」
呆気を通り越している彼女を横目に、俺は懐かしさを堪能しながら眼前のアナザービルドを睨んだ。
初めてジオウへの変身を果たした、昔のことを思い浮かべながら。
変身シーンを文字で表現すんのむっっず!
おかげで話数を重ねる度に語彙力削られてってるような……まぁいいか()